1話 月龍と亡国の邂逅
???
黄牙「…どこだ、ここ?」
??「さあ、何処でしょう?」
黄牙「!?」
いつの間にか後ろに立っている白いドレスを着た少女。
黄牙「さっきまで福音の攻撃をくらって…あれ?」
??「福音なら私達の隣にいるよ?現実世界のだけど。」
黄牙「…じゃあ俺が見てるのは夢だとでも言いたいのかよ。」
??「うーん、それも違うかな。」
黄牙「………」
考え込む黄牙。その様子を見た少女は、
??「ねえ、これを見ても今貴方がどこにいるか分からない?」
黄牙「ああ?」
少女の方に視線を向けると、一体の龍がそこにいた。
黄牙「…お前かよ、
ストライクヴルム(以降ライ)「あったりー!」
声色から嬉しそうなことは伝わった。そして少女の姿に戻るストライクヴルム。
ライ「このまま誰?ってなるままなのかって思って心配だったんだよ?」
黄牙「普通分からんわ。自分のISが女の子の姿してんだぞ。」
ライ「えへへー(^^)」
黄牙「えへへじゃねえよ!…俺は今生きてるのか?」
ライ「もちろん!けどね、私と貴方はここで1つの儀式をしなくてはいけません!ドヤ」
黄牙「………」
ライ「無反応はやめてよー!」
黄牙「うるせえ!だったら ドヤ とかするんじゃねえよ!!」
ライ「むー…( ̄^ ̄)」
黄牙「むくれるな、ったく話が進まねえ…」
ため息をつく黄牙。
ライ「ちゃんと話すからよく聞いてね!さっきの戦闘で私の月の力が完全に開放されました!それにさしあたって、貴方とどんな時も永遠に一緒にいるという約束をしなければなりません!」
黄牙「なるほど。」
ライ「どんな時も、だからね?ここ重要だよ?」
黄牙「…ああ、分かった。」
黄牙の反応に驚くストライクヴルム。
ライ「相思相愛の人と一緒にいられなくなるんだよ!?」
黄牙「覚悟の上だっての。束がいっこうに星の守人伝説について連絡してこないってことは、俺が消えるか何かあるんだろう?」
ライ「………消えはしないよ。宇宙の中心で私達とずっといるだけ。」
黄牙「なーんだ、そんな事か。てっきり存在そのものを抹消されるかと思ったぜ。」
ライ「!!?」
さらに驚くストライクヴルム。
ライ「どうしてそんな平然と出来るの…?」
黄牙「どうしてって言われてもなあ…俺の嫁は宇宙の中心くらい、何年かすれば届きそうだしな。」
ライ「…信頼してるんだね。」
黄牙「そいつは当たり前。俺は束を愛しているからな。」
ライ「まったくもー…じゃあ進化については了承でいいんだね?」
改めて聞いてくるストライクヴルムに黄牙は、
黄牙「もちろんだっての。これからもよろしくな、相棒。」
ライ「!!…うん!」
そういって二人は手を繋いだ。その瞬間光に包まれる。
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???
黄牙「…はっ!」
目を覚まし上体を起こす。隣を見てみると福音の操縦者であろう人がベッドに寝かされていた。
黄牙「なんだここ?…上下に揺れているってことは船の中か…」
??「そうだぜ?」
黄牙「うわあ!?」
またしても起き抜けに驚かされた黄牙。
黄牙「だ、誰だよアンタ!」
??「おいおい、せっかく助けてやったのにそれはねーんじゃねーか?」
黄牙「起きて早々におどかして来たのにか!?」
??「ビビりすぎだろお前…まあいいや。俺様はオータム亡国企業の一員だ。」
黄牙「!!」
亡国企業。かつてシャルロットに頼んで調査させていたIS企業だった。
黄牙「何故、俺を助けた?広告塔にでもするつもりか?」
オータム「アホか、お前は軍でいうとこのMIAだ。広告塔になんぞ出来るわけねーだろ。それに自己紹介はまだ終わってねえよ。」
黄牙「何だと…」
驚愕する黄牙を構うことなく続けるオータム。
オータム「続けんぞ。それと、
黄牙「アニング・プロテクターズ…?」
聞きなれない単語に困惑する黄牙。
??「何をしているオータム。」
黄牙「織斑先生!?」
??「…別人だが。」
オータム「エム…こいつに自己紹介してただけだぜ?」
エムと呼ばれた千冬似の女性に話すオータム。
エム「お前が星の守人か。」
黄牙「どうしてそれを…」
エム「蟹がよく口走っていたからな。今は剣になって、母船の方にいるが。」
黄牙「!!」
何度目かわからなくなるほど驚く黄牙。それをよそにオータムが
オータム「ん?何か3つ位光ってねーか?」
エム「さっきの蟹とあと二つか。」
黄牙「…まさか」
そういって待機状態の福音にカードをかざすと、カードが双子座のマークが特徴的な指輪に変わった。
オータム「へえ…そう変わんのか。」
エム「身体機能は問題無さそうだな。」
黄牙「相棒のお陰でな。あと、解析装置とかどこかにないか?」
エム「この小型船にはないな。母船まで我慢してくれ。」
黄牙「…了解だ。」
この後、福音の操縦者が目を覚まし状況説明を受けて、亡国企業所属となった。彼女いわく、「戦いを終わらせる為になるのなら力になる。ゴスペルもそう言ってる。」だそうだ。
次回、彼の選択。