IS学園 Bピット
???「ふう…BT兵器が無ければ負けていましたわね。」
どこかの国の貴族が使いそうな言葉遣いで反省点を洗い出す、金髪の縦ロールが特徴的な少女が1人。彼女の名はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生である。
セシリア「帰ったらしっかりと今回の戦闘内容を報告しなくては…!?」
偶然目に入ったアリーナの様子を写した映像に彼女は驚愕した。男がISを使っているではないか、女性しか使えない筈の機体を。
セシリア「こ、これは一体、どういう…」
???「呆然とするのもいいが、人の気配くらい気づいたらどうだ?」
セシリア「!?…貴女は…Ms.オリムラ!?」
千冬「やれやれ、有名になりすぎるのも考えものだな。」
突然現れた千冬にさらに驚きながらも、セシリアは彼女に質問した。
セシリア「Ms.オリムラ、あれは…いえあの方は一体どなたなのですか?」
千冬「見れば分かるが2人目の男性操縦者だ。親友が連れてきた。」
セシリア「つい先日世界初の男性操縦者が見つかったばかりですのに…しかもどこの国にもそんな報道はなかった、彼は特殊な環境にいるのですか?」
千冬「特殊といえば特殊だ。…忘れていたがこいつの存在は秘匿レベルⅤだ。お前が知った情報は入学まで話してはならない。それを破れば…あとは分かるな?」
セシリア「は、はい…承知しましたわ…。」
千冬「私はこの事を学園長に報告する。この試合が終わり次第お前にも来てもらうが、構わないな?」
セシリア「も、もちろんです…。」
千冬「そう怯えるな。ここで彼の試合を見ていくといい。きっとお前が成長できるようなものだと確信している。」
そう言い残し千冬はピットを後にした。1人残されたセシリアは、
セシリア(ブリュンヒルデにそこまで言わしめた実力、とくと見せて貰いますわ!)
設置されたモニターに釘付けになった。
IS学園 第2アリーナ
試験場に到着しグラウンドに着地すると、そこにはラファールを装備した試験官の姿があった。彼女は黄牙を確認すると、オープンチャンネルで彼に話しかけた。
三笠「はじめまして、あなたの相手をつとめる試験官の三笠 亜美よ。よろしくね。」
黄牙「よろしくお願いします。」
三笠「それじゃ、ルールの説明をするわね。と言ってもいたってシンプルであなたの操縦技術をしっかり見せることを前提として、私のSE(シールドエナジー)を可能な限り削ってね。操縦者の技術面と私のISのダメージ量からあなたのISのダメージ量を引いた数値を見て判断することになるわ。ここまでで何か質問は?」
黄牙「制限時間はあるのでしょうか?」
三笠「最大20分よ。他に何かあるかな?」
黄牙「いえ、充分です。ありがとうございます。」
三笠「では…管制室、試合開始の合図を。」
――試合開始5秒前、5、4、3、2、1、試合開始。――
開始のブザーが鳴ると同時にアサルトライフル2丁を持ち、黄牙に弾幕を張る―――よりも早く黄牙は相手の懐に真っ直ぐ飛び込んできた。そして
三笠「!?がっ…!」
思い切り大型クローの攻撃を叩き込んだ。絶対防御があるとはいえ通常ではあり得ない速度で突っ込んできた分のスピードも加わっており、その衝撃は計り知れない。2度目を打ち込もうとする黄牙に対して、三笠は急いで後退し、今度こそ黄牙に弾幕を張った。そしてその間に頭をフル回転させ先程の状況を分析する三笠。
三笠(今の加速…まさか、瞬時加速《イグニッションブースト》!?でも、そうでなければ15mの距離を一瞬で詰めることなんて到底出来はしない。それに今の攻撃だけでSEの2割を持っていかれるなんて…これは遠距離戦に徹しないと確実にやられるわね…)
と、今回の戦闘でのふるまいを決めた矢先に、ハイパーセンサーがロックオンを知らせる警報がなった。
三笠(ロックオンされた?火器の装備らしき物は見当たらなかったのに?…とりあえずここは撹乱しないと!)
考えている内にロックオンの正体が写し出された。
三笠(腹部に小型の荷電粒子砲を内蔵している!?あんな場所に武装の反応なんてなかったのに!?)
黄牙「撃ち抜く!」
光が迫る。三笠は機体をなんとかそこからはずそうとスラスターを全開にして逃れる―――光の奔流はアリーナの壁に直撃し爆発した。それはアリーナ全体を大きく揺さぶる衝撃となった。
三笠「まさか、そんなものを搭載しているなんて思いもしなかったわ…」
黄牙「もしかしたらバレていると思っていたのですが、どうやら驚いてくれたみたいですね。」
三笠「ええ、あなたのISの武装はそれで全てかしら?」
黄牙「そうですよ。(といってももうひとつ隠し玉はあるのだが)」
三笠「なら今度は―――」
黄牙「喋っている暇があるのですか?」
三笠「な―――」
またも瞬時加速で接近を許してしまい、クローによる連撃がラファールを襲った。
三笠(このままでは削りきられる…けどね、こっちにも…)「意地ってものがあるの!」
黄牙「!!」
ブレードを引き抜いたタイミングで一太刀入れることに成功した。そこからもう一撃入れようとしたもののストライクヴルムの最後の一撃が入り、ラファールのSEが0になった。ブザーが鳴りアナウンスが響く。
――ラファール、SEエンプティ。よって勝者、星守黄牙。――
勝利した黄牙はどこか満足感を覚えると同時に反省点を頭のなかに浮かべ始めた。
黄牙(最後に少し油断したか…そのせいでSEが8%削られた。悪い癖は直り難いものだなあ。)
三笠「どうしたの?そんなに難しい顔をして。」
黄牙「いえ、どうせなら完全試合というものをやってみたかった、そう思っただけです。最後の一撃、かなり効きましたよ。」
三笠「まったく、もう反省なんて真面目なのね。その方が好感が持てるからいいんだけど。」
黄牙「…大人の女性は子供をからかうのが好きなんですか?」
三笠「もしかしたらそうかもね。」フフッ
などと話していると放送が聞こえてきた。
――受験生の呼び出しを申し上げます。星守黄牙さんは学園長室に来てください。――
三笠「それじゃ早く行ってきなさい。遅れると怖いわよ?」
黄牙「脅かさないでください。…ありがとうございました。」
そう言ってピットに戻っていった。
《機体紹介》
ストライクヴルム
操縦者:星守 黄牙
世代:第3
製作国家:不明
武装:腕部大型クロー(三つ指型)×2
腹部荷電粒子砲×1
背部大型スラスター
拡張領域:合体《ブレイヴ》:砲凰竜 フェニックキャノン
どこで製作されたのか不明である第3世代型IS。
戦法としてはスラスターで接近、クローで一撃を入れて距離をとるという一撃離脱を繰り返すのが主流。
本人の技量と相まって高速戦闘時は無類の強さを誇る。
戦闘スタイルの関係上、荷電粒子砲は滅多に使うことはなく、いつもは龍頭型の発射口は開いていないため自然とカモフラージュの機能や初見の奇襲性も獲得した。
拡張領域を解放することで機動力と火力を大幅に向上、射撃戦においても性能向上が見られる。
次回、今後について。
次の章は誰の視点から?
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黄牙