16:35 IS学園 学園長室
千冬「失礼します。…更識、しばらくの休暇だったはずだが?」
更識「私もその予定だったのですが、轡木学園長に呼び戻しの命を受けたのでここにきた次第です。」
轡木「そういうことです、織斑先生。時間にはまだ早いと思いますが、何かあったのですか?」
千冬「はい…2人目の存在を知られました。」
更識「な!?」
轡木「それは…あまり穏やかではありませんね。それで、知った人物はどなたで今どこに?」
千冬「知った人物はイギリスの代表候補生であるセシリア・オルコット。第2アリーナのBピットに待機させました。どうなさるおつもりですか、学園長?」
轡木「そうですね、一旦こちらに呼んでもらえますか?彼女の処遇はここで決めます。」
千冬「わかりました。それでは呼んできます。」
轡木「いえいえ、それには及びませんよ…更識さん。」
更識「はい。」
轡木「オルコットさんをここに。道中星守くんに会った場合は同様に連れてきてください。」
更識「わかりました。それではまた。」
出る前に一礼し、その場を後にした更識。その様子を見届けた二人は
轡木「もう少し楽にしてもらいたいものですねえ。」
千冬「流石の彼女でもそれは無理ですよ。」
彼女の立ち振舞いに対して苦笑いを交えて話していた。
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16:38 IS学園 Aピット
ピットに戻り、ISを解除して学園長室に行く準備をしていると携帯から連絡が入る。束からのようだ。
黄牙「もしもし」
束『あ!もすもすひねもすー!いつ帰ってくるのー?』
黄牙「学園長室に来いと呼び出しを受けたから少し遅くなるよ。ちゃんと待っててね。」
束『むー…じゃあ終わったら連絡して!迎えに行くから!』
黄牙「大丈夫なの、それ?」
束『おー君なら知ってるでしょ?IS学園はどの国にも干渉されない場所だってこと。』
黄牙「あ、そうだった。でも、人目につかないところでね。」
束『はーい。んじゃ切るねーバイバーイ』
黄牙「うん、また後で。」
電話を切り、ピットを後にする。学園長室に向かおうとするも場所を知らない為、ウロウロしていると
???「あら、貴方が2人目かしら?」
黄牙「……」
???「そう身構えないで。学園長から貴方を迎えに行けと言われているの。」
黄牙「なら、名前を名乗って頂けますか。知らない人についていかない事くらい小学生でも知っていますよ。」
楯無「それもそうね。私は更識 楯無。この学園の生徒会長をつとめているわ。ヨロシクね、星守 黄牙君?」
黄牙「…生徒会長が一受験生の名前まで知っているのは何故です?」
楯無「そこから先は貴方の情報と交換でないと教えません。」フフフ
黄牙「じゃあ聞きません。…貴女の後ろにいる人は?」
楯無「そうね、貴方の存在を早期に知ってしまった人物、と言った所かしら。」
黄牙「……」
黄牙が後ろの女性を見ると、
セシリア「ヒッ」
怯えているようだった。何かあったのだろうか。
黄牙「…とりあえず、学園長室の場所が分からないので案内お願いします。」
楯無「オッケー。それじゃ、お姉さんについてきてね。」
10分後、何やら偉い人がいそうな扉の前についた。ここがそうなんだろう。
楯無「ついたわよー…ってオルコットさん?顔が青いけど、大丈夫?」
セシリア「い、いえ…」
黄牙「大丈夫では無いと思いますよ。彼女に何を言ったか知りませんけど、完全に殺される前の人の反応じゃないですか、これ。」
楯無「うーん、とって喰ったりする訳じゃないんだけどなー…とりあえず入るわよ?」
そういうと楯無はドアをノックする。はぐらかされた様な気がするがそれを気にしている場合ではない。
楯無「更識です。星守 黄牙、セシリア・オルコット両名を連れてきました。」
一瞬の間があった後、扉を開く。そこには、先程会った織斑千冬と、白髪の老齢な男性がそこにいた。
千冬「先程ぶりだな、星守、オルコット。」
黄牙「はい。自分の戦闘はいかがだったでしょうか?」
千冬「それはお前が一番理解しているはずだ。」
黄牙「…仰るとおりで。」
轡木「はじめましてですね。私はこの学園の学園長を勤めている轡木 十蔵と言います。」
黄牙「星守 黄牙です。今回の呼び出しの理由をお伺いしても?」
轡木「それも大事な案件ではありますが、それよりも前に片付けなければならない問題があるのです。セシリア・オルコットさん、ですね?」
轡木に呼ばれ、体を大きく震わせる。完全に怯えきってしまっている。
セシリア「は、はい…」
轡木「1ついっておきますが、何も貴女を殺そうとは思っていませんよ。」
セシリア「それは、どうして…」
轡木「星守君はいずれこの学園の生徒全員が知るところとなる存在。早い話が、彼の生活を安全に過ごして貰うために彼の護衛を頼もうかと思っているのですが…」
セシリア「是、是非やらせていただきます!」
轡木「…更識さん?貴女何と言って彼女をここに?」
楯無「逆らわない方が自分の、ひいては国のためになる、と。」
轡木「更識さん…」
千冬「更識…後で反省文三枚書いて提出しろ。これは流石にやりすぎだ。」
楯無「も、申し訳ありません!」
先程までとはまるで別人のような楯無の態度に、星守は苦笑いを浮かべるしかなかった。
轡木「コホン、とにかくオルコットさんは星守君の護衛をお願いしますね。それと、星守君。ここまでで何か意見等はありますか?」
黄牙「そうですね…オルコットさん?」
セシリア「はいっ!」
黄牙「…いつもこんな感じ何ですか?」
セシリア「いえ、全く違いますけど…」
黄牙「じゃあ、いつもの喋り方で話をしてください。いつも堅苦しいと流石に息苦しいと言いますか…」
セシリア「わ、分かりましたわ。」
黄牙「これからよろしくお願いしますね。オルコットさん。」
セシリア「ええ、もちろんですわ。」
セシリアからぎこちなさが消え、空気も少し緩くなっていたところに轡木が口を開いた。
轡木「では、本題に移りましょう。星守君、これから3年間、君はこの学園の生徒となりますが、構いませんか?」
黄牙「元よりそのつもりでこの学園の試験を受けたんです。構う構わないの問題ではありませんよ。」
轡木「後ろ盾が君にもある、と?」
黄牙「そんなところです。まあ大々的に言えるようなものではないのですが、人体実験等が待っているのなら、すぐさま研究所ごと潰しに行ってくれる位。」
轡木「それは「おーくーん!」…一体誰の」
言うより早くドアを突き破って兎が抱きついてきた。
束「おー君遅い!束さんをいつまで待たせるのさ!」
黄牙「師匠…」
予想外の来客に黄牙と束以外全員が驚いていた。そんな中
千冬「束!?何故お前がここに!?」
束「簡単なことだよ、おー君いるところに束さんありなんだよ!」ドヤ
千冬「まるで意味が分からん…」
轡木「…なるほど。これは大々的に言えることではありませんね。」
楯無(篠ノ之 束博士!?重度の人嫌いの噂だけれど、いや、それよりも…)
セシリア(ああ…お父様、お母様…セシリアはもうすぐそちらに逝きますわ…)
楯無(オルコットさんが全てを悟った表情になっている…!)
それぞれ四者四様の反応を示すなか、黄牙が口を開いた。
黄牙「あーこのタイミングで言うのもあれなんですが、お願いが1つ。」
轡木「もしかしてそのお願いとは…」
黄牙「あ、はい。3年間ずっと1人部屋って出来ますか?」
轡木「それくらいなら全然問題ありませんよ。篠ノ之博士と一緒に住めないかと言われるのかと思ってハラハラしていましたよ…」
黄牙「この状況にトドメ刺すほど鬼じゃ無いんで。」
千冬「が、学園長…今回はこれで終わりですか…?」
フラフラになった千冬が轡木に話しかける。どうやらちーちゃん成分を補給され過ぎたようだ。その後ろにキラキラしている束がいた。
轡木「はい、今回の件についてはこれで終わりです。三人とももう帰宅しても構いませんよ。」
セシリア「ありがとうございます。失礼いたしますわ。」
黄牙「失礼しました。ほら師匠、行きますよ。」
束「あーん、まだちーちゃん成分補給し足りないよー!」
黄牙「クロエに言って師匠のご飯抜きにしてもいいんですよ?」
束「またねー!ちーちゃん!」
三人が学園長室を出ていくと、緊張の糸が解けグッタリしていた。
轡木「流石は稀代の大天災…織斑先生、大丈夫ですか?」
千冬「…すみません、今日は早めに上がります。失礼します。」
轡木「更識さんも、お疲れ様でした。部屋に戻って下さい。」
更識「は、はい…失礼します…。」
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17:00 IS学園 正面玄関
セシリア「それでは星守さん、篠ノ之博士、私はこれで失礼致しますわ。」
黄牙「あ、そうだオルコットさん?」
セシリア「な、何か?」
黄牙「一緒のクラスになったら普通に下の名前で呼んで欲しいんだけど、いいかな?」
セシリア「も、も、もちろんですわ!でしたら私のこともセシリアと呼んで欲しいのですが…」
黄牙「良いよ。」
セシリア「!!嬉しいですわ!では、本当にこれで失礼致しますわ!」
スキップで帰る姿を見送った二人。黄牙の隣にいた束は何やら不機嫌そうにしていた。
束「むー…おー君の女たらし。」
黄牙「俺そんなことした覚えは無いんだけどなあ…。」
束「帰ったらしっかり甘えるから、覚悟するのだ!」
黄牙「おーこわーい。…あ、思い出した。」
束「何を?」
黄牙「束さん、織斑先生に俺の寝顔写真送ってるって聞いたんだけど?」
束「ナーンノコトカナータバネサンオボエテナイナー」
黄牙「飯抜き」
束「やめて!いくら束さんでもそれは嫌だよ!」
黄牙「知りません。勝手に送った篠ノ之さんのせいです。」
束「そんなー!」
兎の声が空に響いた。
次回、クラス代表決定戦前。
次の章は誰の視点から?
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一夏
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束
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シャル・クロエ
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黄牙