「さて、これでいいかしら。今さらだけれど、頭のいたい話ね…」
資料をまとめるのは亡国企業日本支部実働部隊隊長、スコール・ミューゼルである。現在彼女は人員の調整を行っている。調整といえど所属人員を登録し、整理するだけ…であれば良かったのだが、その登録される人員が問題だった。
元米国IS部隊所属ナターシャ・ファイルス、IS開発者篠ノ之束、2人目の男性IS操縦者星守黄牙の3名である。
「特にラビットは説得によって加入だから納得して貰わないと後でどうなるか、しっかり明記してあるのは確認済みだし…」
彼女の言うとおり福音戦後にナターシャ、黄牙を回収、その後日本支部本拠地である船に襲来し、これまた説得された束。事実ではあるがつつかれることは確実である。
「それにIS学園はもうすぐ学園祭、襲撃者がいる可能性は極めて高い…それに向けて準備してもらっているのだから、事が起こるまで静観でも何ら問題はな「入るぞー?」い…どうしたの、急に?」
ドアが開き入ってきたのはオータムだった。スコールの副官であり、恋仲だ。
「あぁ、全員の準備が終わったことを報告しにな。」
「そう。なら自由時間にしてちょうだい。」
「了解。…それと」
そういってスコールの目の前に来るオータム。唇同士がふれあいそうな距離で小声で話す。
「あんま根を詰めんなよ…心配になるぜ?」
「…大丈夫よ、適度に休息取ってるから。」
「…わーったよ。たまには甘えさせてやろうかと思ったんだけどなあー?」
「あら、ベットの中じゃ別人みたいに甘えてくるのに?」
「そ、それは今関係ねえだろ!!?」
「ふふっ、冗談よ。膝枕してくれる?ちょっと眠くて、ね?」
「…あいよ。」
軽くじゃれたあと、2人で長い休憩を取っていた。
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その一方で
「おーくぅーん…」
「どした…の、そんな状態で」
「オーニウムが足りなぁい…仕事終わったでしょー?」
「やることあるって言ったでしょ?それまで待ってて」
「ケチんぼー」
這いずりながら寄ってくる束を軽くあしらう黄牙。どうやらIS学園の情報を集めているようだ。
「どーせ当日までにスコちーが作戦だったり色々考えてくれるってば~」
「だとしても、だよ。念には念をいれておいた方がいいし。」
「それはそうだけどさー?「それにたばちゃんだってシャルロットとクロエに黙って1人で来てるんだから謝んなきゃいけないの忘れてないよね?」…もちろん分かってる。」
少しだけ空気がはりつめる。それもそのはず、束は黄牙の存在を確認できたらそのままIS学園に戻ることも出来たのだが、彼女は彼と一緒にいることを選んでいるのだ。
「まあ俺も謝んなきゃならない人がいるからさ、2人で謝らなきゃならなくなりそうだよなあ…」
「おー君はまだいいよ金髪ドリルとクロちゃんの妹の2人なんだしさ…束さんシャルりんとクロちゃん、それに加えてちーちゃんもなんだけど…」
「あー……骨は拾うよ」
「勝手に殺さないで!?」
……謝る対象によってイメージが異なってしまっているようで、黄牙は緊張からかテンションが少し落ちている。束は意気消沈寸前のようだ。
「それにさー、マーちゃんのことをどういっくんに説明しよーかなーって。」
「あぁ、そうだった…説明いるかな?」
「…いっかー。妹一人増えてもなんとかなるでしょー。」
随分と雑に放り投げたものである。
「個人的にはナターシャさんが問題だろうな。俺と同じで。」
「死者蘇生みたいなことが同時に2件はキツそうだねえ…あー大変そーだなー」
「…なんか語尾がやたらと伸びてない?」
「気になるならオーニウムを補給させろー束さん干からびちゃうぞー?」
うつ伏せにぐだりとしながら両手を前に出している束。
「あぁ、もう…おいで?」
「やたー…抱き上げて~?」
「分かったよ。…よっ、と…」
「へへっ…おー君いー匂いするー…」
「…そのまま寝ないでよ?」
「だーいじょーぶいっ…んふふー」
補給中は半分寝ぼけているように幸せな顔をしている束。いつもつけているウサミミもへなへなと力が抜けている。そんな束を微笑ましい様子で見守る黄牙。作戦を確認している今だけは静かでのどかで平和な時間を過ごしていた。
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そして、時刻は学園祭当日に突き進む。
「随分やる気じゃない…!」
「私は、あの人の子だ!」
「それはそうと、どうして1人で行ったのか説明、してもらえますよね??」
「厄介事が次々と…」
「離しません、だから貴方も…」
「俺はあのときからずっと強くなった!」
次回、新章、学園祭動乱篇。
「「…ただいま、皆。」」