ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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12 錬金術

 スコップを手に、洞窟の隅に釜戸のような土台を作る。

 すでにこの洞窟には初日に作った調理用の釜戸があるが、今準備しているのはそれより一回り大きいものだ。

 

 日曜大工にも慣れてきたおかげで、作業はスムーズに進み、一時間もかからずに完成した。

 

「これ、マジで仕事にできそうだな。バーンを倒したら、大工にでもなるか」

 

 一息ついてスコップをしまい、パプニカの道具屋で買ってきた特大サイズの釜を取り出す。

 

 ドラクエの民家でよく見かける、あの巨大な壺よりもさらにでかい。

 釜の側面には、俺の念能力〈旧文字〉で丁寧に呪文を書き込み、先ほどの土台にセットする。

 

 続いて取り出すのは、先日失敗に終わったスペルカード。

 

【 同行(アカンパニー) 】

・スペル名を読み上げ、「起動(オン)」と唱える。その後、場所か人の名称を宣言すると発動。

・呪文の使用者を、行ったことのある場所、もしくは会ったことのある人の元へと転送する。

 

 前回なぜ失敗したのかを考えた末、「発動条件を書いていなかったからではないか」という結論に至った。

 〈旧文字〉の能力は、「対象物に文字を書き込むことで、その文章通りの効果を与える」というものだ。

 

 木刀に「強靭」や「強固」といった効果を書いたときは、対象自体に直接作用するものだったため問題なかった。

 

 だが、この『同行』には「誰が、いつ、どうやって」発動するのかが書かれていなかった。

 つまり、「どういう条件で場所を指定し、呪文を使用したことになるか」という発動プロセスが明記されていなかったのだ。

 

 今回はその点をしっかりと書き加えた。

 

 ……結果は失敗だったけどな。

 

 それでも、俺はスペルカード作りを諦めない。

 これが完成すれば、ドラクエの魔法が使えなくても、かなりの場面で困らないはずだ。

 

 バーンと戦うためにも、これは必要不可欠になるだろう。

 

 というわけで、今回はこの釜を使う。

 

 釜に水を入れ、沸騰するまでじっと待つ。

 でかい釜なので、かなり時間がかかる。

 

 ――そして、ようやく水が沸騰した。

 

 そこに『同行』のスペルカードとキメラの翼を投入し、菜箸のような長い棒でぐるぐると混ぜる。

 

 ぐーる、ぐーる、ぐーる。

 

 しばらくすると、釜の中の液体が光を放ち始めた。

 

 成功か!?

 

 あまり期待していなかったが、この反応は本物っぽい。

 輝きが収まったところで釜を覗くと、そこには見覚えのあるカードが一枚――まさにHUNTER×HUNTERのグリードアイランドで見た、あのスペルカードの姿があった。

 

 「熱っっちー!」

 

 慌てて長箸で拾い上げる。

 

【 同行(アカンパニー) ランク:F 回数:1 】

・カード名を読み上げ、「起動(オン)」と唱える。その後、場所か人の名称を宣言すると発動。

・呪文の使用者を、行ったことのある場所、または会ったことのある人の元へ転送する。

 

「おおおっ!!」

 

 これは絶対成功してるやつだ! だって、“回数”とか表示されてるし!

 興奮冷めやらぬまま、俺は洞窟の外へ飛び出した。

 

「アカンパニー、オン。ベルナの森!」

 

 カードを掲げて宣言すると、まばゆい光に包まれ、ふわりと浮かぶような感覚に襲われた。

 十秒ほどの浮遊感のあと、気がつくと俺は森の中に立っていた。

 

「いよっしゃーッ!」

 

 思わず声が出る。いや、これは叫びたくもなるだろ。念願の転移魔法だぞ。

 手元のカードを見ると、使用回数は“0”になっていた。

 

 〈凝〉で確認すると、『旧文字』で書かれた文字も、すっかりオーラを失っている。

 記念に取っておこう。

 

 懐にカードをしまってから、ふと気づく。

 

 ……ここ、ベルナの森じゃん。

 パプニカまで帰るのかよ。遠いなぁ……。

 

【 錬金釜(アルケミー) 】

・沸騰したお湯が入った釜にアイテムを入れてかき混ぜると、想像した通りのものを生成できる。

・釜に入れるアイテムは完全にお湯に浸っていないと“材料”と認識されないので注意。

 

 最初に作った『同行』は、ただ紙に〈旧文字〉で効果を書いただけの簡易なものだった。

 オーラを込めたとはいえ、それだけで発動するほど甘くはない。魔法じゃなくて念能力なんだから。

 

 念能力は、便利な魔法じゃない。現実に干渉する物理現象だ――クラピカの師匠もそう言っていた。

 つまり、グリードアイランドのカードを完全再現するなんて、一人でやるには無理がある。

 

 一時は諦めて、「まあルーラやキメラの翼があるし……」と妥協しかけたが、ふと閃いた。

 

 ――“元々ある道具”を媒体にすれば、相乗効果で能力を定着させられるんじゃないか?

 

 試しにキメラの翼に直接〈旧文字〉を書こうとしたが、書きにくすぎて断念。

 そこで思いついたのが、「素材から自分で作ればいい」という発想だった。

 

 アイテムを作るといえば……そう、『アトリエシリーズ』だろ?

 というわけで、錬金釜を自作した。

 

 まさかカードの形にまで加工できるとは思わなかったが……うまくいって本当に良かった。

 この錬金釜は、おそらく素材に宿った“効果”だけを抽出して、新しい形に再構成しているのだと思う。

 

 キメラの翼の“翼の形”には意味がないし、『旧文字』だって見た目ではなく文章の内容が本質。

 あとは操作系か具現化系か変化系かは分からないが、カードという形に具現化されたということだろう。

 

 ……まあ、理屈は後付けだけどな。

 

 ともかく、これからはカード作りで忙しくなるぞ。

 素材集めのためにも、また新たな冒険に出なきゃな。

 

 ドラクエらしく、冒険の始まりだ。

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