ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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15 講義その1

「――って感じで、一人で戦う場合とパーティー組んで戦う場合じゃ、力の配分が重要なんだよ。わかった?」

 

 チョークで黒板に呪文の種類を列挙しながら、俺はペース配分の大切さを語った。

 

 ちなみにこの黒板、さっき一人で『同行』して家に帰り、持ってきたものだ。他にも必要そうな道具をリュックに詰めてきたから、特訓の準備は万端だった。

 

 さっきの洞窟探索での彼らの呪文の使い方――その非効率さについて俺は指摘していた。

 

「私も、それくらいは考えている。しかし、多少ムリをしてでも早く進まなければ、モンスターに囲まれてしまうじゃないか」

 

「じゃあ聞くけどさ。魔法力がフルの状態で、メラゾーマ何発撃てるんだよ?」

 

 俺の問いにアポロは目を閉じ、思案する。

 

「……そうだな。大体、十二、三発だろうか」

「私も、それくらいかしら」

「私は十発はいかないわね」

 

 そんなに使えるのか……こいつら魔法力多いな。

 ゲームで言えばレベル30くらいか?

 

 いや、関係ないか。マンガでもレベルの低いポップがメラゾーマ覚えてたりしたしな。他のステータスが低くても、魔法力だけ多いってこともあるだろう。

 

「で、だ。お前たちは洞窟でどれだけのモンスターと戦うと思ってるんだよ。雑魚相手にメラゾーマ連発してたら、十五階に到達する前に魔法力空になるぞ」

 

「そ、それは……。魔法の聖水や祈りの指輪で回復して――」

 

「んなもん使うくらいなら、もっと効率のいい戦い方覚えろ」

 

「言うのは簡単だが、どうすれば良い。敵がどの程度の攻撃で倒れるかなんて分からないだろう」

 

「コントロールさえ上手くできれば、初級の呪文でも十分に戦えるぞ。工夫だよ、工夫」

 

 そう言いながら、俺は右手に小さくメラを発動させた。ロウソクの火ほどの、直径1センチほどの小さな炎。それを頭上に掲げ、みんなに声をかける。

 

「いいか、よく見てろよ」

 

 小さな炎は徐々に大きくなっていき、やがて直径3メートルを超える巨大な火球となった。

 

「す、すごいわ。これ、本当にメラなの? メラゾーマとほとんど変わらないわ!」

 

 マリンが驚きの声を上げる。

 

「ふう、ざっとこんな感じだ。っていうか、やろうと思えばお前たちも普通にできると思うぜ」

 

 俺は炎を消し、持参した椅子に座った。

 みんなは地面に直接座っているが、まあ、先生と生徒なんだから当然だろう。

 

「さて、ここで問題です。メラをこのように威力を調整して、メラゾーマのようにする利点はなんでしょうか?」

 

 アポロが手を上げる。律儀なやつだ。

 

「はい、アポロくん。どうぞ」

「メラゾーマよりも少ない魔力で放つことができる」

 

「ぶっぶー、違います。むしろ使う魔力は多くなります」

 

「はい!」

 

 今度はマリンが手を上げた。

 

「マリンくん、どうぞ」

「呪文の発動時間が短くなる」

 

「おお、いいところに気がつくね。でも今回はバツ。威力を上げるには集中力が必要だから、慣れてないとむしろ時間がかかります」

 

「もー、早く答えを教えなさいよ」

 

 焦れたエイミが口を挟む。

 

「オーケー。では答えを言おう。メラをメラゾーマ並にする利点。それは――」

 

 俺は一旦タメを作り、ゆっくりと続けた。

 

「ないの。全然。これっぽっちも。まったく利点はない」

 

「……!」

 

 みんなはマンガのようにずっこけた。マジで、地面に倒れ込むやつがいるとは思わなかった。

 

「お、おい。君は私達をからかっているのか? なら、今のはまったくの無駄じゃないか」

 

 起き上がったアポロが訴える。

 

「まあまあ、待ちなって。今のは“メラを強くした場合”の話だ」

 

「どういうことだ?」

 

「逆ならどうだ。メラゾーマをメラ並みに弱く放った場合――そのときはどうなる?」

 

 三人は真剣に考え始めた。そして――

 

「そうかっ。そういうことなのね!」

 

 マリンが一番に声を上げた。

 

「どういうことなの?」

 

 エイミが訊ねると、マリンは俺に向き直る。

 

「トーヤ。もう一度、さっきのメラを見せて」

 

 俺は再びメラを唱え、頭上に掲げる。

 

「やっぱり……思った通りだわ」

「教えてくれ、マリン」

 

「アポロもエイミも、よく見て。トーヤのメラ、確かに巨大な火球だけど、全然熱くないの。こんな近くにあるのに、ね」

 

「ほ、本当だわ。こんなに近いのに、それほど熱くない」

 

「つまり、威力は変わらず、大きさだけを変えてるってことよ」

 

「ご名答。よくわかったな、大したもんだ」

 

 俺はニヤリと笑い、再びメラに魔力を注いだ。すると、途端に熱量が跳ね上がり、周囲の空気が陽炎のように歪み始めた。

 

「ちなみに熱量も上げられるけど、魔力の消費も大きくなる」

 

 暑くなってきたのでメラを消して、椅子に再度腰かける。

 

「でも、逆にメラゾーマを小さくすれば、消費も抑えられるんだよね?」

「そういうこと。そこから先の説明は、俺がしよう」

 

俺は黒板に向き直り、チョークを走らせながら説明を始めた――。

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