ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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19 贈り物

 アポロたちと破邪の洞窟での特訓を終えて、半月が経った。

 

 今日は商人の町、ベンガーナに来ている。

 ここには普通の店ではお目にかかれない逸品が並んでいて、それらを手に入れて自分の能力で強化すれば、強力な武具の完成だ。

 

 そんなわけで、今はデパートを隅々まで見て回っているところだ。

 

 それにしても、この世界でエレベーターがあるとは驚きだ。

 電気もないのに動くエレベーターを作るなんて、ある意味ではすごい技術なんじゃないか。

 

 そんなことを考えながら装飾品売場を歩いていると、ある物が目に留まった。

 

『祈りの指輪 2500G』

 

 前世の感覚で言えば、約25万円。

 使い捨てアイテムでこの値段は、ちょっと高すぎる気がする。

 

 左手の小指に嵌めた『強制する指輪』に視線を落とす。懐かしいな。もう、あれから10年近くも経つのか。

 あのとき、怪我をしていた俺のために、マリンが祈りの指輪を使ってくれたんだよな。

 そして宝石が砕けたその指輪を、彼女から譲り受けた。

 

 人助けのためとはいえ、それを迷いなく使えるなんて、お人好しにもほどがある。

 少し休めば、すぐにホイミくらい使えるようになったはずなのに。

 

 ……。

 

「よし、決めたっ」

 

 この指輪を使って、装備品を作ろう。

 あのときのホイミのお礼を、まだしていなかった。

 10年越しでも、礼をするのに遅すぎるなんてことはない。

 

 俺は祈りの指輪を三つ買い込むと、調合のために文字通り飛んで帰った。

 

 

 

 

 どんなものを作ろうか考えているうちに、深夜になってしまった。

 人に贈り物をするのが、こんなにも神経を使うことだったなんて。

 

 どんなものを贈れば喜んでくれるか。

 何を欲しがっているか。

 考えれば考えるほど、楽しいような、不安なような、不思議な気持ちになる。

 

 ……だからだろうか。うまくいっているはずなのに、なぜか失敗しているような気がしてしまう。

 ついさっき完成したばかりの手袋を眺めて、俺はため息をついた。

 

【祈りの手袋】

・装備者のMP消費を僅かに抑える。

 

 これは祈りの指輪と布を素材にして作ったものだ。

 ちなみに、なぜこのアイテムの効果がわかるのかというと――このメガネのおかげである。

 

【スケルトンメガネ】

・アイテムの主効果をみることができる。

 

 これはグリードアイランドの指定ポケットカードの一つ。

 原作では、名前の通り物を透かして見るためのメガネだったが、俺が作ったこのバージョンは、アイテムや念の効果を見ることができる。

 

 伝説級に便利なアイテムだけど、隠された効果を持つアイテムがそんなにゴロゴロしているわけでもないので、欲しがるのは俺か商人くらいだろう。

 

 ……ま、そんなことはさておき。

 

 いつもなら、錬金釜で作るアイテムは素材の力を大きく上回るものになる。

 それなのに祈りの指輪を使っておいて、効果が「MP消費を僅かに抑える」だけってのは、ちょっと物足りない。

 

 手袋にしたのが悪かったのか? 今度は別の形にしてみよう。

 

 ―――。

 

「できた。……今度はどうだ」

 

 さっきよりも出来のよさそうな腕輪を、スケルトンメガネで確認する。

 

【祈りの腕輪 充填速度:小】

・放っておくと、僅かに宝石に魔力が蓄えられていく。

・祈りを捧げることで、使用者のMPが回復する。

 

 おおっ、これはなかなかいい効果だ。

 

 やっぱり元の形状に近いものの方が、良い効果が出るのかもしれないな。

 もう10年近く錬金釜を使ってるけど、いまだに新しい発見が尽きない。

 

 『旧文字』もそうだけど、俺の念能力って、効果がいまいちハッキリしないんだよな。

 その分、成功したときの効果はかなり強力な気がするけど。

 ……まあ今回は人に贈るものだし、一か八かの真似はしない。というか、素材が高価だから失敗したくないし。

 

 最後の祈りの指輪と宝石を錬金釜に入れて、かき混ぜる。

 

 ―――。

 

 おおっ。釜から取り出す前から、オーラを感じる。これはかなりの手応えだ。

 期待を胸に、スケルトンメガネをかけてアイテムの効果を確認する。

 

【法力の指輪 充填速度:中】

・装備者のMP消費を抑える。

・放っておくと宝石に魔力が蓄えられていく。

・祈りを捧げることで使用者のMPが回復する。

 

「うっしゃー!」

 

 やっぱり、指輪を素材にするなら指輪がベストだったか。

 プレゼントするのが惜しくなるくらい、いい物ができた。……いや、言葉の綾だけど。ちゃんと贈るさ。

 

 あいつらの喜ぶ顔が、目に浮かぶようだ。

 早く明日にならないかな。

 

 綺麗にラッピングしたプレゼントを見ながら、俺は満足げに目を閉じた。

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