ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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「っ!? あ、あなたは……トーヤくんじゃありませんか」

 

 『同行』の光がやむと、目の前にはアバンが立っていた。

 アバンの場所まで飛んできたのだから、当然といえば当然だ。

 

「お久しぶりです、アバンさん」

 

 驚くアバンに軽く挨拶を済ませ、俺は今いる場所を確認した。

 

「ここは、破邪の洞窟ですか?」

 

 修行のために何度も訪れた場所。簡素な造りではあるが、見覚えのある風景だったのですぐに分かった。

 

「……ええ。私自身の持つ破邪の力を、さらに高めようと思いましてね。外の状況は把握していますか?」

「その話は、先に進みながらでもいいですか? 地下に潜るのなら、俺も協力しますよ」

 

 そう言いながら、俺は洞窟の奥へ歩を進めた。

 

「あ、トーヤくん? そっちじゃ逆戻り。地下はこっちですよ」

「……」

 

 恥ずかしさをごまかすため、無言のまま足早に進んでいった。

 

 

 +

 

 

「――そうですか。パプニカが……」

 

 俺は外での出来事を簡単に伝えた。

 といっても、魔王軍の侵略によってパプニカが崩壊したことくらいだが。

 

「あなたの言っていた神託の通りになりましたね。ならばこそ、我々もできることをやらねばっ!」

 

 アバンの正義の心に火がついたのか、拳を握りしめて気合を入れている。

 

「ところでアバンさん。あなたの弟子たちは無事に旅立ちましたか?」

「ダイくんとポップのことでしょうか。あの子たちなら、ちゃんと旅立ちましたよ。デルムリン島から出立するのを確認しましたから」

 

 それを聞いて、胸を撫で下ろす。

 ヒュンケルの行動から原作の進捗は予想できても、実際に他が原作通りに進んでいる保証はない。

 

 ダイやポップがハドラーにやられていたとしても、不思議ではないのだ。

 

「その様子だと、神託に出てきた“魔王と戦う弟子”というのは、あの二人で間違いなかったようですね」

 

 アバンには神託として世界の危機を話したが、彼の弟子が大魔王と戦うということしか伝えていない。

 今の俺の反応から、自分の選択が間違っていなかったと判断したのだろう。相変わらず油断ならない人だ。

 

 ぶっちゃけ、アバンは最終決戦までここに籠もるんだから、隠す必要はないんだけど……。

 とはいえ、わざわざ話すことでもない。必要以上に隠すつもりはないが、バレてもごまかすのが面倒なのでやめておこう。

 

「ダイの特訓はうまくいったんですか?」

「それはもう、バッチリ……とまでは言えませんが、七割方は教えることができましたよ。あなたの基礎訓練の成果ですね」

「うっ」

 

 やっぱり、俺がダイを特訓していたことはバレていたか。口止めしていなかったしな。

 でも七割か……随分と順調なんじゃないだろうか。それなら、クロコダインに一方的にやられる心配はない……か?

 

 いや、クロコダインの皮膚は鋼鉄並みに硬いって話だしな。紋章なしじゃ、厳しいかもしれない。

 

「ここで、重大なお知らせがあるんですが」

 

 俺がダイの先行きを心配していると、アバンが真剣な口調で話しかけてきた。

 

「な、なんですか?」

「実はですね。私、自分の分しか食料を持ってきていないんですよ。半分こしてもいいんですが、そうすると地下へ潜るのはベリーベリーハードになってしまうんです」

 

 冗談めかして話すアバン。

 その言葉に、俺は彼が背負っている巨大なリュックへと目を向けた。

 

 洞窟に潜る際に重要なのは、戦闘能力以上に装備と食料、そして灯りだ。

 さっき、俺はアバンに協力すると言った。だが、アバンからしてみれば、何の道具も持たない俺は足手まといでしかないだろう。

 

「それなら問題ありません。俺は自前のものを使えますし、むしろアバンさんの食料や回復アイテムも、俺のを使ってもらった方がいいですよ」

「おお、なるほど。あなた、さっきルーラのように突然ここへ現れましたもんね。その要領で外との出入りが自由というわけですか」

「それでもいいですが、もっと便利な道具を使います。見ててください。……リターン、オン。トーヤ」

 

 俺が呪文を唱えると、目の前に便利なアイテムの数々が現れた。

 それらを指差しながら、自慢げにアバンの方を見る。

 

「どうです? これで食糧問題は解決です」

「おお、これは凄いですねぇ。ルーラの応用ですか? いや、そのカードの効果か……どちらにしても素晴らしい能力ですよ」

 

 アバンの称賛に、俺は少し得意げになる。しかし、その表情はよく見ると微かに曇っていた。

 訝しんでいると、アバンはそれに気づいて口を開く。

 

「あ、いえね。こんなに大量の荷物をどうやって運ぶのかと思いまして。移動するたびに、そのカードで呼び出すのかなぁ、なんて……」

「それなら心配いりませんよ。よく見てください。台車に載っているでしょう?」

「……確かに台車に載っているようですが、このままずっと押していくつもりですか?」

 

 洞窟で台車を押していくなんて、さすがに邪魔すぎる。

 俺だってそこまでバカじゃない。

 

「ご安心を。これは『生きてる台車』と言って、このタグを目印に、勝手についてくるんです。アバンさんの荷物も、乗っけちゃってください」

 

 【生きてる台車 積載量350キロ】

 ・後ろを勝手についてきてくれる台車。お買い物や採取に便利。

 

「他にも色々と便利なアイテムがあるので、それは進みながら説明します」

 

 こうして俺は破邪の洞窟でアバンをサポートしながら身を潜めた。

 アバンには原作よりも早く地下へ潜ってもらいたいからな。

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