ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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39 狼煙

 ダイは、伝説の勇者アバンに弟子入りして修行を受けていた。

 

 だが修行の途中で、アバンは復活した魔王ハドラーによって倒されてしまう。

 ダイは真の勇者を目指し、平和を取り戻すために、兄弟子ポップと共に冒険の旅へ出た。

 

 デルムリン島を旅立ち、ロモス王国へ向かったダイとポップは、もう一人のアバンの使徒・マァムに出会う。

 三人はアバンの意思を継ぐ仲間として力を合わせ、ロモス王国を襲撃してきた百獣魔団長クロコダインを打ち破った。

 

 続いてパプニカ王国へ向かったダイたちは、魔王軍団の一人である不死騎団長ヒュンケルと対峙する。

 苦戦するダイたちのもとへ駆けつけたのは、かつて敵だったクロコダインだった。

 

 彼の体を張った足止めによって、ダイとポップは辛うじて脱出することができたが、マァムは捕らえられてしまう。

 

 マァムを救出するため、地底魔城へと潜入したダイは、魔法と剣を融合させた新たな技を編み出し、ついにヒュンケルを撃破する。

 ヒュンケルを倒したダイたちは、レオナ姫の行方を追って神殿へ向かい、そこで信号弾を打ち上げるのだった。

 

「――あかんあかん。火薬玉はすべて吹っ飛んじまったわい」

 

 地下倉庫の階段から上がってきたバダックは、ため息まじりに嘆いた。

 

 パプニカでは、戦場の合図として信号弾が使われている。

 今回は「我勝てり」を示す赤い信号弾を上げることで、レオナ姫との接触を試みようとしていた。

 

 だが、信号弾が保管されていた地下倉庫への入口は、瓦礫に埋もれてしまっていた。

 その瓦礫の撤去に頭を悩ませていたところ、ダイが自ら進んで役目を引き受けたのだった。

 

 呪文と剣技を組み合わせた技により、ダイは見事に瓦礫を吹き飛ばすことに成功した。

 だがその呪文が火薬に引火し、信号弾の火薬玉は暴発してしまった。

 

「でも、とりあえず信号弾は上がったんだし……どこかでレオナ姫が見てるかも」

 

 小さくなって反省しているダイを見かねて、マァムが優しくフォローする。

 

「どうかなあ。あんなむちゃくちゃな色の信号弾じゃ、かえって怪しまれるんじゃねぇかな~」

 

 足でダイを小突きながら、ポップは意地悪く言った。

 これからどうすべきかと皆が思案していたその時、マァムが空に浮かぶ“何か”に気づいた。

 

「みんな! あれを見てっ!!」

「……あれはっ!! あれはパプニカの気球船じゃっ!!!」

 

 マァムの指差す方を単眼鏡で覗いたバダックが、驚きの声を上げる。

 

「「おおっ!!」」

 

 気球船から降りてきた人物を見て、思わずダイとポップは声を上げた。

 

「エイミ殿ではないか!」

「バダックさん、あなただったのね、あの信号弾は」

「なあ、じいさん。紹介しろよ」

 

 エイミを見て、鼻の下をだらしなく伸ばしながら、ポップがバダックにせがむ。

 

「バカモンっ! 恐れ多いぞ。この御方こそ、パプニカ三賢者の一人・エイミ殿じゃっ」

「三賢者!? この人が!?」

 

 誰よりも早く反応したのは、ダイだった。

 

「あなたは?」

「お、おれ、ダイって言います」

「ダイっ!? あ、あなたが……?」

 

 ダイが、レオナから贈られたナイフを見せると、エイミはすぐに納得したようだった。

 こうしてダイたちは、エイミの案内で気球船に乗り込み、一路バルジ島へと向かった。

 

 

 +

 

 

 気球船に乗ってバルジ島へ向かってから、ずいぶんと時間が経った。

 

「そういえばダイ。さっきエイミさんが“三賢者”って聞いて、随分と驚いてなかった?」

「そりゃ驚くさ。こんな若くて美人な人が三賢者だなんて言われたらな。俺はてっきり、もっと爺さんっぽい人たちかと思ってたよ」

「……あなたと一緒にしないでちょうだい」

 

 会話が脱線しそうだったからか、マァムは冷たくポップをあしらう。

 彼女は内心、ダイの三賢者という言葉への反応に、微かな違和感を覚えていた。

 

「俺、トーヤから聞いてたんだよ。だから、本人が目の前に現れてビックリしただけさ」

「トーヤって、ダイのお師匠さんよね? その人もパプニカの人なの?」

「何の話?」

 

 かすかに聞こえてきた会話に、エイミとバダックが反応する。

 

「おおっ、そうじゃった、そうじゃった! エイミ殿。このダイくんはのう、トーヤ殿と知り合いだったそうなんじゃよ!」

「ええっ!? トーヤと!? 本当なの、ダイくん?」

 

 食い入るように詰め寄るエイミの剣幕に、ダイはやや気圧されつつも、落ち着いた口調でトーヤとの出会いや出来事を語り始めた。

 

「……そう、なのね。まさかデルムリン島へ行っていたなんて……」

 

 話を聞き終えたエイミは、考えをまとめているのか、どこか上の空の様子だった。

 

「知り合いとは聞いておったが、まさかトーヤ殿がダイくんの師匠じゃったとはのう」

「そんなんじゃないですよ。トーヤは師匠とか先生って感じじゃないし、どっちかというと……友達って言った方が近いかもしれません」

 

「よかったなあ、ダイ。トーヤって人もパプニカの人間なんだろ? ならバルジ島で会えるんじゃねえか?」

「……残念だけど、彼はバルジ島にはいないわ。最後に会ったのは三ヶ月前。それきり姿を見ていないの。デルムリン島に向かったことも、いま初めて知ったくらいよ」

 

「そ、そんな……それじゃ、トーヤは……」

 

 レオナと一緒に行動していると思い込んでいたダイは、エイミの沈んだ表情に、不安を募らせた。

 もしかして、もう死んでしまったのではないか――そんな考えが頭をよぎる。

 

「なぁに、心配いらねぇさ」

 

 ポップがダイの肩を叩いて、元気づけるように言った。

 

「トーヤって人が島を出てから、すぐに魔王軍が動き出したんだろ? だったら、そんなに時間は経ってねぇ。行方不明って言っても、ただ逸れただけかもしれねえぜ」

「……でも……」

 

 励まそうとするポップに対して、ダイの表情はまだ晴れなかった。

 

「お前の話じゃ、今のお前よりもトーヤの方が強いんだろ? だったら、軍団長クラスが直接来ない限り、やられっこないさ」

「そうじゃ、そうじゃ。易々とトーヤ殿がやられるとは思えんわい」

 

 バダックも力強く言葉を添える。

 

「……そう、だよね。トーヤのことだから、もしかしたら一人で魔王軍と戦ってるのかもっ」

 

 そう言って、ダイは無理やり笑顔を作り、気丈に振る舞った。

 

「島が見えたぞっ!」

 

 気球船に同乗していたパプニカの兵士の一人が、前方を指さして声を上げた。

 

「あれがバルジ島。島の中央にあるあの塔を拠点に、私たちは反撃の機会をうかがっていたのよ」

 

 エイミが指を差しながら説明する。しかし、塔の方角から立ち上る黒煙に、皆がすぐに気づいた。

 

「な、何か様子がおかしいぞ……! まさか姫の身に何か――!」

「……レオナ……!」

 

 ダイは引き締まった表情で、塔から立ち上る煙をじっと見つめた。

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