ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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6 別れ

 痛ぇわ。マジで痛ぇ。

 ……だって、左肩砕けてるんだもん。

 

 肩を押さえたまま、しばらく動けずにいた。

 

 この世界で骨折って、どうなるんだろう?

 ホイミって、どこまで治せるんだ。さっきは足の痛みは消せたけど……。

 

「トーヤ、肩見せて。今、治すから」

 

 ようやく泣き止んだマリンが、俺の肩を心配して呪文をかけようとする。

 

「治すって……マリン、魔法力もう残ってないだろ? さっき限界まで使ってたんじゃなかったっけ」

 

 それともホイミは、消費MPが少ないから使えるとか?

 そう考えていると、マリンが首から下げていたアクセサリーを取り出した。

 

 「それは?」

 「これ、“祈りの指輪”っていうの」

 

 紐に通されたそれは、小さな指輪のように見えた。というか、間違いなく指輪だな。

 マリンは紐から指輪を外して、自分の指にはめる。

 

「こうやって祈ると、魔法力が少しだけ回復するんだって。テムジン様からもらったの」

 

 テムジンって誰やねん。

 

「何度か使うと壊れちゃうらしいんだけど……これはテムジン様が使ったあとの物だから、あと一回くらいは大丈夫だと思うの」

「いいのか? それってかなり高価なものなんじゃないのか?」

「うん。でも、こういうときに使うためのものだから――」

 

 そう言ってマリンは目を閉じ、静かに祈りを捧げた。

 すると指輪がほんのりと輝き、宝石の部分が淡く光ったあと、砕け散る。

 

 あ、壊れた。

 

 ……もったいない。魔法力なんて、しばらく休めば戻るだろうに。

 でも、マリンは壊れた指輪なんて気にせず、俺の肩にそっと手を添えた。

 

「ホイミ」

 

 温かい光に包まれて、俺のダメージはみるみるうちに回復していく。

 一分もしないうちに治療は終わり、試しに肩を動かしてみると、まるで痛みがなかった。

 

 ……魔法って、すげぇな。

 

 

 +

 

 

 町へ着くと、武装した大人たちがたくさんいた。

 

 なんでも最近、この辺で凶悪なモンスターが出るようになったらしい。

 それって、もしかしてグリズリーのことか? と思いつつ、俺はあまり気にせずマリンを送り届けることにした。

 

 町に入ると、マリンは道に迷うことなくまっすぐ進んでいく。

 

「道が分かるなら、もう大丈夫だよな。ここで俺は帰るぜ」

「あ、待って! まだちゃんとお礼もしてないし、もう少しで――」

「いいって、礼なんて。俺もそれなりに楽しめたしさ」

 

 正直言えば、俺はこの二日間をけっこう楽しんでいた。

 

 この世界に来てから、初めて人と出会って、冒険っぽいこともした。

 クマに襲われたり、肩を砕かれたりしてマジで痛かったけど、それも含めて――だ。

 

 ついでに町の場所も把握できたしな。

 まさに「ドラクエ」っぽいイベントだったぜ。

 

「ほら、早く帰って、みんなを安心させてやれよ。妹さんも、無事だといいな」

 

 そう言って手を振ろうとしたが、マリンは納得いかない表情を浮かべていた。

 

「あ、そうだ。……その指輪、くれないか?」

 

 マリンの首から下がっている、宝石のない“祈りの指輪”。

 それを指さして、俺は続けた。

 

「こういうの、ちょうど欲しかったんだよ。ダメか?」

「う、ううん。……じゃあ、これあげるね」

「ああ、さんきゅー」

 

 指輪を受け取り、今度こそ帰ろうと踵を返す。

 

「私、しばらくはこの町にいるから、絶対遊びに来てねー!」

 

 マリンが手を振って見送ってくれる。

 

「おお、その時はまたどっか遊びに行こうぜー!」

 

 それに手を振って応え、俺は町を後にした。

 

 

 +

 

 

「さてっと……」

 

 本当は、町で保護してもらう予定だった。

 けど、やるべきことができた。――しばらくは、一人でじっくり修行だ。

 

 町で保護されてたら、自由に動けなくなるしな。

 それに、あんなクマにやられかけるようじゃ、この世界じゃ生きていけない。

 

 少なくとも、あの程度の相手は一人で倒せるようになりたい。

 

「ま、気長にやるか。新しい発も思いついたし」

 

 それに魔法も覚えなきゃな。

 やり方は、また後でマリンにでも聞けばいいだろ。

 

 指輪を無くさないように首から下げて、俺は小屋へと帰っていった。

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