ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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59 覇者の剣

「これが覇者の剣かぁ」

 

 剣をしげしげと見つめながら、ダイが感嘆の声を漏らす。

 

「ほっほっほ、如何にも! それこそが伝説の剣――“覇者の剣”である」

 

 そんなダイに満面の笑みを浮かべながら、ロモス王が誇らしげに答えた。

 

 ザムザを倒した俺たちは、その褒美としてロモス王から“覇者の剣”を贈られることとなった。

 

 もともと大会の賞品だったし、他の出場者が手も足も出なかったバケモノを倒したのだ。実質的には俺たちが優勝みたいなもんだろう。

 それは誰の目にも明らかで、異を唱える者はいなかった。いや、むしろ「ぜひ持っていってくれ」という空気だった。

 

「“覇者の剣”は、以前ダイに授けた“覇者の冠”と同じく、オリハルコンでできておるんじゃ。オリハルコンは、永久不滅の金属と伝えられておる。これからの戦いでも、きっと大いに力を発揮することじゃろう」

 

 その説明に、誰もが「へぇ~」「ほぉ~」と感嘆の声を漏らす。

 

 いや、偽物なんですけどね。

 

 本来なら、紋章アバンストラッシュの威力に耐えきれず、ボロボロになるはず。

 そしてザムザから、「それは本物じゃない」と明かされるのが原作の流れ。でも、今回はその技を使っていないから、ザムザは何も言わずに塵となって消えた。

 

 その時は深く考えず、「剣を手にすればダイが偽物だと気づくだろう」と高をくくっていたのだが――。

 ……全然気づく様子がないダイに、俺は若干の不安を覚えはじめていた。

 

「ど、どうだダイ。“覇者の剣”を手にした感想は?」

 

 早く気づいてくれと言わんばかりに、俺はダイに問いかける。

 

「うん、よくわからないけど、すごいパワーを感じるよ。もしかしたら、紋章の力にも耐えられるかもしれない」

 

 ダメだこれ。まるで疑ってない。

 

 なぜだ、なぜ気づかない。

 キミ、原作じゃポップの実家で武器の良し悪しについて語ってたよね? なら気づいてくれ。

 

 ――もしかして、ザムザのやつ、すり替えてなかったのか?

 ……いやいや、それはない。

 

 ザムザがわざわざロモスに潜入した理由には、“覇者の剣”の大きなウエイトを占めていたに違いない。

 もちろん、大会の参加者を生体実験に使うってのも目的だっただろうけど、それなら別に道ばたで人をさらえばいい。わざわざ大会に潜入する必要はない。

 

 ならば、“覇者の剣”はやはり偽物だと考えて間違いない。

 

 あー、そうか。そういうことか。わかったぞ、ダイが気づかない理由が。

 

 原作でも、ザムザにアバンストラッシュを使った後、剣はボロボロになっていた。

 でもよく考えてみれば――パプニカのナイフなんてストラッシュを放つ前に消滅、ヒュンケルの魔剣でさえも一撃で砕けた。

 

 それなのに、“覇者の剣(偽)”はボロボロになりながらも形を保っていたのだ。

 ……あれ、むしろ異常じゃね?

 

 きっと偽物とはいえ、相当な業物なんだ。下手すりゃ“鎧の魔剣”に匹敵するレベルの。

 ならば、ダイが見抜けないのも無理はない。なにしろ、一流の剣には違いないのだから。

 

 とはいえ――どうやってそれを気づかせる?

 さすがに、「それ偽物じゃね?」なんて、ロモス王の目の前で言える勇気は俺にはない。

 

 ……どうしよう。

 

 剣の話題で盛り上がるみんなを横目に、俺は一人、頭を悩ませていた。

 

 

 +

 

 

「そういやぁ、トーヤの木刀って、妙に頑丈だよな」

 

 両手を頭の後ろで組みながら、何とはなしにポップが呟く。

 

「そういえばそうだね。バランと戦った時も、木刀で真魔剛竜剣と打ち合ってたっけ」

 

 その言葉に乗るように、ダイも頷いた。

 その戦いを見ていないマァムは、黙ったまま、静かに目線だけこちらへ向けてくる。

 

「あー、まあな。木刀に闘気を流してるから、普通の武器よりはかなり頑丈なはずだよ」

 

 ”覇者の剣”をどう扱うかで頭を悩ませていた俺としては、あまり会話に加わりたくなかったが、水を向けられてしまえば仕方ない。

 適当に話を合わせる。

 

「真魔剛竜剣って、伝説の武器なんでしょ? そんなの相手に木刀で渡り合えるなんて、やっぱりすごいわよね。それに、闘気を流しても武器が壊れたりしないなんて」

「ダイだって、紋章を使い始めた当初は剣が壊れたりしなかったんだろ? だったら、俺程度の闘気なら、込めたところで別に問題ないって」

 

「そうかな? 闘気の強さなら、俺とそこまで差があるとは思えないけど……」

「うーん、確かに。でも”凝”を使えば、それなりにダイに近い力は出せ――」

 

 そこで俺は、はっとして言葉を飲み込んだ。

 

「「「ぎょう?」」」

 

 三人が声を揃えて同じ言葉を繰り返す。

 ……やっちまったか。だが、まあいいか。別に隠し通すほどのものでもない。どうせ他の連中には真似できないし。

 

「仕方ない。これは俺が使ってる特殊な技術でな。教えてやってもいいけど、他言は控えてくれよ」

 

 そう前置きして、俺は”念”について、ダイたちに説明することにした。

 もちろん、系統だの習得率だのといった詳細には触れない。

 

 あくまで、”念”とは闘気を自在に操る技術であり、基本となる〈纏〉〈練〉〈絶〉〈発〉の四大行と、その応用技が存在するという、最低限の話にとどめた。

 

 彼らなら知識としてそれを受け取るだけで、自分流にアレンジして応用してしまうかもしれない。

 そう期待しての説明だった。

 

 そして、思いがけず話した”念”の存在が、”覇者の剣”が偽物であることに気づかせる――千載一遇のチャンスが転がり込んでくるのであった。

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