ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:どか0623

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62 錬金術士?

「帰れ」

 

 短く一言。ロン・ベルクはそれだけを告げた。

 

 「お、お願いしますっ。俺たちが魔王軍と戦うには、どうしてもあなたの作る“最強の剣”が必要なんです!」

 「そんなことは知らん」

 「なんだとっ!? あんたは魔族だから、魔王軍の味方ってわけか!」

 

 ポップが責めるように言うと、ロン・ベルクは酒瓶を置き、鋭い視線をこちらに向けた。

 

「……武器屋に善も悪もない。俺はただ、強い武器を作る。それだけだ。だが――最近はどうだ? ロクな使い手がいねえ。宝の持ち腐れだ。だからアホらしくなって、武器作りをやめたのさ」

 

 そう言って、ロン・ベルクは俺のほうを睨みつけた。

 ……いや、そこまで露骨に嫌わなくてもいいだろ、さすがに傷つくわ。

 

「そこのバカもだ。名刀も丸太も変わらん。その辺の棒きれでも振ってりゃいいだろう」

 

 明らかに俺を指しての暴言に、メルルが小声で耳打ちしてくる。

 

「……何かあったんですか?」

「3年くらい前かな。たまたま山奥で魔族に出くわしてさ。話してみたら刀鍛冶だって言うから、強い剣を作ってくれって頼んだんだ」

 

 一応小声で答えたつもりだったが、周囲はすっかり聞き耳を立てていた。

 みんな静かに、俺の話に耳を傾けている。

 

「で、嫌だって言うから、じゃあ勝負しようって。俺が勝ったら作ってくれって持ちかけたんだけど――」

「けど、どうなったんです?」

「……あれは、そんな生ぬるいもんじゃない。本気で“殺してやろうか”って思ったくらいだ」

 

 案の定というか、当然というか。

 ロン・ベルクは俺の話を遮るように鼻を鳴らし、吐き捨てる。

 

 「今思い出しても、胸くそが悪くなる――」

 

 そして、なぜか3年前の出来事を憎々しげに語りはじめたのだった。

 

 

 +

 

 

 3年前、偶然にもロン・ベルクに出会った俺は、武器を作ってくれと懇願した。

 土下座までして頼み込んだが、にべもなく断られた。

 

 だが、そう簡単に引き下がる俺ではない。

 ロン・ベルクの家の前に居座り、座り込みを開始した。首を縦に振るまで、テコでも動かない覚悟だった。

 

 ――座り込むこと一週間。ついにロン・ベルクが動いた。

 

「……いい加減にしろよ、小僧。でないと地獄を見ることになるぞ」

 

 俺は心の中で思ったね。「かかったぞ」と。

 怒りに震えるロン・ベルクに、俺は言い放った。

 

「なら、勝負をしてください。剣の勝負で俺が勝ったら、武器を作ると約束してほしいんです」

 

 ロン・ベルクは魔界最高の鍛冶師であると同時に、一流の剣士だ。

 今は酒に溺れていても、こんな若造が自分に剣で勝てるつもりでいる――そんなふざけた態度に頭に来ないはずがない。

 

 まして、一週間もストーキングされて苛立っているところへ、そんな戯けたことを抜かす奴が現れたとなれば尚の事。

 

 そして案の定、怒りが決壊したかのような勢いで勝負を承諾したロン・ベルクは、自前の剣を手に襲いかかってきた。

 

 ――そして、俺は負けた(笑)。

 

 

 +

 

 

「……というわけだ。だから、こいつには武器は作らん」

 

 昔のことを思い出していると、いつの間にかロン・ベルクの回想も終わっていた。

 話を聞き終えた皆は、それぞれ思い思いの反応を見せている。……まあ、十中八九、呆れてるんだろうけど。

 

 すまんな、ダイ。

 俺がムダに嫌われたせいで、ロン・ベルクを必要以上に意固地にさせてしまったかもしれない。

 

「お、お願いします。どうしても俺には、強い剣が必要なんです」

 

 これ以上、この人を刺激しないように。俺はそっと部屋の隅へと移動する。

 ――でも、安心してくれ。ロン・ベルクを説得するのは、実はそんなに難しいことじゃない。

 

「あなたの作った“鎧の魔剣”でさえも、一撃で消滅してしまったんです。もっと強い剣がないと、“真魔剛竜剣”には勝つことができない」

「真魔剛竜剣だとおっ!!!」

 

 ほらね。

 

 

 +

 

 

 その後、ダイはロン・ベルクにバランとの戦いを説明した。

 

「ふははは、面白いっ! できるぞボウズ。地上最強の剣がっ」

「本当ですかっ、お願いします! 今すぐにでもっ!」

 

「慌てるな。真魔剛竜剣に勝つには、同じオリハルコンを使わなければならん。そうでなけりゃ、結果は同じだ。……あいにく俺は錬金術士じゃないんでね。材料がなきゃ剣は作れんよ」

「な、なんでぇ……振り出しに戻っちまった……」

 

 ポップが嘆くようにぼそりとつぶやくと、場がしんと静まり返った。

 トントン拍子に進んでいただけに、落胆もひとしおのようだ。

 

 だからこそ――ここは俺の見せ場ってやつだろ。

 

 最近は全然活躍できてなかったしな。そ

 れでころかロン・ベルク説得という意味では足を引っ張ってすらいるんじゃなかろうか。

 

 ここらで汚名返上の意味も込めて、仲間の役に立たないと。

 

「あ、あーっと……ゴホンっ」

「ん? どうかしたの、トーヤ?」

「ああ。オリハルコンが必要なんだろ? 俺の家にあるぞ」

 

 そう言って俺は“同行”を使って、素早く自宅へ戻る。

 そして取り出したのが――。

 

 【ハルモニウム】

・伝説に語られる神々の金属、オリハルコンの塊。

 

 剣一本は余裕で作れるほどの大きさのそれを見て、ダイたちは大喜び。

 ふふ、きっとロン・ベルクも喜んでくれるに違いない。そう思って視線を向けたのだが……。

 

 ――なぜかロン・ベルクは、射殺さんばかりの視線で俺を睨んでいた。

 

 なんでさっ!

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