絶対無敵のヒーローアカデミア   作:DestinyImpulse

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黒の目覚め

 セメントスが個性『セメント』で会場のステージを造り直して、最終種目にふさわしい闘技場が完成した。プレゼント・マイクの声がスタジアム内に響き渡る。

 

『色々やってきたが結局これだぜ!ガチンコ勝負!頼れるのは己のみ!心技体に知恵知識!総動員して駆け上がれ!』

 

 ついに始まった最終種目に観客たちは歓声をあげる。早速、第1戦の選手である龍悟と心操がステージに上がると、スタジアムの熱気が更に膨れあがった。

 

『一回戦!!その強さまさに絶対無敵!!ヒーロー科孫龍悟!!VSごめんまだ目立つ活躍なし!普通科、心操人使!!』

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする!あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコだ!!怪我上等!!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!!道徳倫理は一旦捨て置け!!だがまぁもちろん命に関わるよーなのはクソだぜ!!アウト!ヒーローは、“ヴィランを捕まえるため”に拳を振るうのだ!』

 

(尾白の言葉通りならこいつの個性は恐らく“洗脳”だ)

 

 試合前に龍悟は尾白から話は聞いていた。騎馬戦のメンバー決めの時、尾白は心操に声をかけられた。――覚えているのはそこまでで、気づいた時には心操チームで騎馬戦に参加していた。

 

(それらを踏まえると、あの心操の言葉に答えただけで操られる……尾白…お前の助言ありがたく思うぜ)

 

 仕掛けがわかれば容易い……会話をしなければいい。

 

 そう思ったときだ……

 

『すまねぇが受けてくれねぇか…洗脳…』

 

 声が聞こえた…

 

「!?」

 

 突然聞こえた声に驚き辺りを見るが…目の前の心操以外ステージには居ない……

 

(聞き間違いじゃねぇ確実に聞こえた…あの夢と同じ感覚…まさか、同じ現象か…!)

 

 だとすると…今のはワン・フォー・オールから聞こえたと言う事だ……すると…心操が喋りだした…

 

「“参った”ね。わかるかい、孫龍悟…これは心の強さを問われる戦い。強い将来を思うなら、形振り構ってなんかいられないーー」

『そんじゃ早速始めようか!!レディィ!START!!』

「ーーそう思わないか?」

 

 罠だと知っている…だけど…

 

(尾白すまねぇな…教えてくれたのに……けどよ、鬼が出るか、蛇が出るか……ワクワクするぜ…!)

 

「…………かもな…」

 

 その罠に足を踏み入れた……真実を知るために…

 

 答えた刹那、拳は緩み、だらりと下がった。目も虚ろになり、動かない…

 

「俺の、勝ちだ」

『あれ?!おいおいどうした~~~~!!大事な初戦だ、盛り上げてくれよ!』

 

 しかし龍悟はそれでも動かない。

 

「あ〜〜〜!警告したのに!!」

 

「警告…?そういえば、尾白ちゃんは騎馬戦であの人と同じチームだけども、あの人の個性を知ってるの?」

 

 A組に割り振られた観客席では、尾白が悔しげな声をあげていた。それを聞いた蛙吹が尾白に問うと彼は頷いた。

 

「ああ。心操の個性は“洗脳”。奴の問いかけに答える事で発動し、洗脳されている間はほとんど意識も無く、奴の言いなりになってしまうんだ……!」

 

「洗脳!?」

「いくら、龍悟でも!!」

 

 対人戦ならば最強に近い彼の強個性にA組の生徒から驚きの声が上がる。だが、響香には負に落ちない点があった。

 

(龍悟はそれを知っているのに……何かがきっとあるはず……)

 

「お前はいいよなぁ、孫龍悟。振り向いてそのまま場外まで歩け…」

 

 その言葉が聞こえた時…A組に緊張が走る…

 

 だが…龍悟は動かなかった…

 

「?、どうした…場外に走れ!!」

 

 初めての出来事で心操にも戸惑いが生まれ…今度は走れと命令するが動かない……

 

「クソ!」

 

 業を煮やした心操は龍悟に近づく…だが、その時…龍悟の指から…“黒い何か”が放たれた…

 

「なっ!?がはぁ!!」

 

 突然の脅威に反応できず心操は吹き飛ばされた…

 

「何だあれ…!?」

 

 場外にはならずフラフラになりながら起き上がった心操は龍悟を見る…龍悟の指から黒い鞭のような物が存在していた。

 

『何だあれは!!孫の指から出た何かが心操を吹き飛ばした!!』

『どうゆうことだ?孫は洗脳されたままだぞ』

 

 相澤の言う通り龍悟の目は虚ろのままだ…それでも黒い何かは動いている…誰もが驚愕する中、龍悟は………厳密には龍悟の意識は…

 

 

(やっぱり、ここか…)

 

 初代の夢で見た、真っ黒な場所に居た。

 

「ありがとよ…来てくれて」

 

 声が聞こえ振り返ると…夢で見たスキンヘッドの男が居た。聞きたい事があるが口がない。

 

「おォい お口がないのかドンマイさ!」

 

 男はファンキーな人物だった。

 

(こんなにハッキリと…これはもう面影とかそういう類のものじゃない…!この継承者は…歴代継承者たちは!ワンフォーオールの中に生きているのか!?)

 

 驚くがよく見るとファンキーな男は消えかかっていた。

 

「ああ?時間は限られてるみてぇだな…よし!坊主よ!洗脳にかかってほしいって頼んだのはお前にここに来てほしいからだ、伝えたい事があってな!まずこれが今の状況だ」

 

 ある光景が見えてくる…それは今の試合だった…

 

(何だ、俺の指から出てる黒いのは!?)

 

「お前が今出した力は…俺の”個性”さ」

(!?、こいつの“個性”!?)

 

 流石の龍悟も驚きしか出ない…

 

「俺たちの因子は”力”の核に混ざってワンフォーオールの中にずうっと在った」

「小さな核さ…揺らめく炎或いは波打つ水面の中にある小さな点 培われてきた力に覆われる力の原子…そいつが今になって大きく…膨れ胎動を始めたのさ」

 

(ワン・フォー・オールそのものが成長していると言う事か……!)

 

「今、発動した“個性”が俺の『黒鞭』おまえ最初が俺で良かったさ…これはいい個性さ」

「だけどな!この”個性”もまたワンフォーオールに蓄積された力が上乗せされ俺のころより大幅に強化されている」

 

 すると、男は次第に消えていく。

 

「…消えるか…すごく…フワッとしてきたもんよ…俺はよ…心だけの存在だからよ。いいか坊主…お前にはこれから6つの“個性”が発現するさ、心を制して俺たちを使いこなせ」

 

 

「ワン・フォー・オールを完遂させるのはお前だ」

 

 その言葉を最後に龍悟の意識は途切れた。

 

 

 

 

 龍悟はゆっくりと目を開ける…目の前には心操が居る。どうやら意識が戻ったようだ…自分の右手から出てる『黒鞭』を見る。

 

(6つの“個性”か……どうやらワン・フォー・オールは俺を飽きさせる気はないみたいだ)

 

 微笑みながら黒鞭を制御し…解除する。

 

『あれ!戻ってる!?洗脳解けてる!!』

『打ち破ったのか…!』

 

「よし!」

「やった!龍悟君戻った!!」

「打ち破ったのか!!流石だよ!!龍悟君!!」

 

 その放送を聞いた響香達も活気が戻ってくる。

 

「何をした…?!何をしやがった!」

 

 命令は聞かない…洗脳が破られた、心操は明らかに動揺していた。

 

「なんとか言えよ…!お前はいいよな!そんな凄え“個性”で!!俺はこんな“個性”のおかげでスタートから遅れちまった!恵まれた人間にはわからないだろ。誂え向きの“個性”に生まれて、望む場所へ行ける奴らにはよ!」

 

「……………………」

 

 別にさっさと倒してもいい…だけど…その心からの叫びを聞いて……その気は失せた。

 

 龍悟は静かに心操に歩み寄る…

 

「この!」

 

 心操は拳を振るうが……龍悟は片手で容易く受け止めた。

 

「だから、努力を辞めたのか…」

「!?、うるせぇ!」

 

 心操の振り回す拳を紙一重で避ける龍悟。

 

「一つ言ってやる…自分を信じない奴に努力する資格はねぇ」

「…おおおおお!!」

 

 心操は息も上がり、汗を大量にかきながら、それでも一心不乱に龍悟に打ち込んでいく。

 

 響香が何かに気づく…

 

「動きが良くなってる?」

 

 最初に見た動きより、心操は速く鋭く打ち込んでいる。

 

「…うぉおおっ!!」

 

 龍悟は、心操の渾身の右ストレートをまともに顔で受け止めた。後ろに仰け反り、龍悟は静かに笑う。

 

「やればできるじゃねぇか…」

「お前…まさか…」

 

 龍悟は初めて拳を握る。

 

「修行…頑張れよ」

 

 龍悟の拳が心操を撃ち抜いた。心操は場外に吹き飛ばされた。

 

「心操君場外!孫君二回戦進出!」

 

『二回戦進出!!孫龍悟!!初戦にしちゃあ少し物足りなかったがナイスファイトだったぜ!!』

 

 倒れてる心操に手を伸ばして起こす龍悟。

 

「落ちこぼれでも必死に努力すればエリートも超える事があるかもよ」

 

「…………!」

「どうするかはお前次第だ」

 

 そう言って龍悟はステージから去った。

 

 心操も通路へと戻っていく。そして、そんな彼を迎えてくれたのは心からの称賛の声だった。

 

「かっこよかったぞ心操!」

「俺ら普通科の星だな!」

「ナンバーワンによく立ち向かえたな!スゲーよ!!」

 

 プロヒーローからも称賛の声もある。思わず涙ぐむ目を押さえ、言葉の代わりに頭を下げるとまた歩き出す。

 

 

「…フッ」

 

 その様子を少し見て龍悟は通路に歩き出した。

 

 

 

 

END

 

 

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