絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
「お疲れ、龍悟」
「おめでと!龍悟君!」
「最初はヒヤヒヤしたぞ」
A組の席に戻ると響香達の称賛の声を受けた…
「ありがとよ…次の試合は」
「今から始まる所だよ」
もう次の試合が始まるところだった…
『第一試合は少し派手さがなかったが、今度はどうだ!!第二試合!!どちらも推薦入学者!!轟焦凍VS骨抜柔造!!レディィ!START!!』
最初に仕掛けたのは轟だった、氷がステージを覆いスタジアムの屋根を軽々と超える高さの大氷塊が骨抜の体を完全に封じた。あまりの出来事に会場の誰もの開いた口が塞がらなかった。
「すっご……轟の圧勝じゃん」
「いや、まだだ」
響香の言葉…これを見た誰もが轟の勝利と感じた状況で龍悟は轟の勝ちを否定した。
「氷結ぶっぱは安い手じゃん」
「なっ!?」
氷が一瞬でゼリーの様に柔らかくなり骨抜は脱出した。
『轟もスゲーが骨抜もスゲー!!これは見ごたえがあるぜ!!』
放送によって再び熱気が戻り歓声が響きだした。
「あいつは騎馬戦の時、地面を軟化させた奴だ…そして推薦入学者……練度もある」
「勝負はまだわからないか…」
龍悟の言葉に飯田も納得しステージを見る。
「お前さ…確か…左の炎があるって聞いたけど…」
「……うるせぇ!!」
轟は氷で攻撃しようとするが…
「言い忘れたけど…適当に足場を柔らかくしたから足場に期待しないほうがいいよ」
「!?」
柔らかくなった足場にやられ体勢を崩してしまう。
骨抜の“個性”は『柔化』…生物以外の触れたものを柔らかくできる解除も自由だ。
(よし…このまま地面に埋める!)
骨抜は地面に埋める事で戦闘不能を狙う積りだ。
轟は倒れる瞬間…観客席に居る自分の父…“エンデヴァー”が目に入る。
『とうとう限界がきたな……いい加減子供染みた反抗は辞めろ』
父の言葉が蘇る…
「うおおおおお!!」
轟は足から氷を形成し続け骨抜に突撃する。
「なっ!?」
突然の事で反応できずそのまま場外に押し出されてしまった。
「骨抜君場外!轟君二回戦進出!!」
轟は自分の手を見ながらステージを去った…龍悟には酷く寂しそうに見えた。
続いて第三試合︰塩崎VS上鳴。
プレゼント・マイクが塩崎を「B組からの刺客」扱いして反論されたり、開始直前に上鳴が油断したままナンパしたりといろいろあったが試合は始まった。
上鳴は先手必勝で放電するが塩崎の“個性”『ツル』による壁で放電が防がれた。すると何かに気づいた龍悟が思わず叫んだ…
「よけろ!ナッパぁ!!」
『ナッパって誰!?』
クラスの皆が思わず突っ込んだ……さっきの継承者を見て恐らくベジータの方面が出たのだろう……
そしてステージから出たツルが上鳴を拘束し場外に出された。
「あれあれ!一瞬で「あのバカ…相手がどうゆう奴かも見切れんのか」オーイ!!」
誰かが何か言った気がするが気のせいだろう…
第四試合︰飯田VS芦戸
芦戸が酸を飛ばすが飯田には当たらず、そのまま場外に押し出されてしまった。
『さぁ!次はBブロックだぁ!第五試合!聞けば孫龍悟の幼馴染!見せてくれるか!ヒーロー科耳郎響香!!VS男気一筋ド根性!鋼鉄!!ヒーロー科鉄哲徹鐵!!レディィ!START!!』
「女だからって手加減しねぇぜ!!俺拳!!」
鉄哲が体を鋼鉄化し響香に殴りかかる。
「そうしてくれると嬉しいよ……女だからって甘く見られたくないし…!」
響香は鉄哲の拳を受け流す…鉄哲はそのまま前に進んでしまい…響香は鉄哲の右側面に移動し飛び上がり回転回し蹴りを鉄哲の後頭部に叩き込んだ。
「ぐふ!!」
鉄哲は前かがみに倒れ込んでしまう。
「切島と同じくらいか……やっぱり痛むな…」
『意外!耳郎、格闘型だった!!』
『確かに意外だったな…個性なしの戦闘ならA組じゃ龍悟の次、二番目に強かったからな…』
『まじで!!』
「く〜そ…拳藤と同じタイプか!!」
鉄哲は起き上がる、ダメージは大して無さそうだ…
「だが、効いてねぇぞ!!」
「なら、これは?」
響香はプラグを伸ばし鉄哲に刺し…心音を響かせる。
「ぐおおあ!!」
鉄哲が苦しむ隙にプラグで拘束し場外に投げ飛ばす。
「鉄哲君場外!!耳郎さん二回戦進出!!」
続いて第六試合:常闇VS八百万
「龍悟君はどう見る?」
「最初でどうするかで決まるな」
龍悟の言葉を聞き周りは見逃さない様に集中する。
試合開始早々にダークシャドウを展開した常闇が先制攻撃を仕掛けた。八百万も辛うじて盾を創造して防ぐが大きく下がってしまう。八百万が武器を創造しようとした所でダークシャドウは更に攻撃を重ね、八百万に思考の時間を与えない。三度目の攻撃で盾が手から離れてしまうが、再び新たな盾を創造して装備する。
だが、常闇はそれ以上の追撃はせず、ダークシャドウを引っ込めた。チャンスとばかりに八百万の右手に鉄棒が創造されるが、ミッドナイトの判定が出る。
「八百万さん場外!常闇君二回戦進出!」
足元を見て、八百万は愕然とした。確かに片足が場外に出てる、常闇の圧勝だった。
第七試合:切島VS拳藤
「うおおおおお!!」
漢、切島…体を硬化させ拳藤に真っ向から挑むが…
「悪いね…パワーはこっちが上だよ!!」
「クソーー!」
手を大きくした拳藤に容易く握りしめられ鉄哲と同じく場外に投げ飛ばされてしまった。
そして龍悟と響香・飯田は麗日が居る控室だ…入った瞬間…眉間に皺がよって麗かじゃない麗日が居て驚いたが相手はあの爆豪…龍悟や轟なら問題はないが他にとっては恐怖の対象だ。
「ねぇ、龍悟君…私、爆豪君に勝てるかな…」
「…………爆豪は人として最低な奴だ…自分だけしか見ない、自分は凄い奴だと信じて疑わない、自分至高主義と言う奴だ……だが、実力は確かにある……響香でも勝つのは難しいだろう……」
龍悟の言葉に表情を暗くする…
「だが、可能性がない訳じゃない」
「………ありがとう…龍悟君」
麗日は椅子から立ち控室を出ようとする…
「…龍悟君…決勝で会おうぜ!」
震える手で、麗日はサムズアップをしステージに向かった。
「龍悟…」
「可能性があるのは事実だ…」
「僕達は見守るだけか…」
龍悟達もA組の席に戻った。
『さぁ~て!一回戦第八試合!一回戦はこれでラストバトル!中学時代はちょっとした有名人!堅気の顔じゃねえ!ヒーロー科爆豪勝己!VS!!俺こっち応援したい。ヒーロー科麗日お茶子!』
「お前、浮かす奴だな。丸顔。」
「まる!?」
「棄権すんなら今の内だぞ。いてぇじゃ済まさねえからな」
『第八試合、STAAART!!!』
「そんな気持ちでここにはおらん!」
体勢を低くしたまま、麗日は迷わず突っ込んだ。触れてしまえば麗日のペースで試合を進める事ができる。だが、それが何より難しい…爆豪の下から上への掬い上げによる爆破で容易く吹き飛ばされる。
「まだまだ!!」
麗日は諦めない…何度爆破されボロボロになろうとも挑むのを辞めない…両親の為…龍悟に近づく為に…
「麗日君……」
友達思いな飯田は勿論クラスの皆も、もう見てられないと、顔に出てる……一部のプロヒーロー達からも爆豪へブーイングが巻き起こったが…
『今言ったのプロか?何年目だ?くだらない事言ってんなら、帰って転職サイトでも見てろ!』
相澤の一喝で静まる。
「相澤先生の言ってる事は正しいけど……でも…」
それでも響香には不安があった。
「…そうだな…だが、麗日は諦めていない……俺にできるのは麗日を信じる事だけだ…」
龍悟は静かに試合を見る。
麗日がまた爆豪に突撃する。爆豪が迎撃しようとした時……爆豪の眉間に何かが激突した。
「ガッ!?」
爆豪の眉間に当たった物……それは、ステージの破片だ。麗日はヤケになって突撃した訳ではない…自分には接近戦しかないと爆豪に思い込ませて重さを無くした破片を指で弾き爆豪の眉間に命中させたのだ…そのお陰で爆豪に確かな隙ができた…
(今や!!龍悟君が言った可能性!!)
思い出すのは…体育祭一週間前…
『格闘技を教えてほしい?』
『体育祭が近いのにこんなん…言うのは『いいぞ』いいの!?』
『そもそも、勧めたのは俺だ…だが、体育祭までに習得できるかは保証できないぜ』
『それでも!お願い!!』
(今こそ、この技を!)
麗日は爆豪の懐に踏み込み右ストレートを顔面に叩き込みその勢いで回転して左裏拳そのまま左アッパーで空中に飛ばし右回し蹴りを叩き込む…
「があっ!!」
重い連撃に肺の空気も出され、反撃が爆豪にはできない。
麗日は左手を突き出し爆豪に狙いを定め右拳を握り力を籠めて駆け出す。これが龍悟に伝授された五連撃。
「超龍撃拳!!」
力を籠めて放たれた拳は爆豪を打ち抜き爆豪はステージに背中から倒れ込んだ。
『ま、マジかよ!!何だ今の!?怒涛の五連撃が爆豪に炸裂した!!』
『今のは龍悟の動きだ……密かに教わっていたのか』
「龍悟いつの間に…」
「俺が教えたのは最初だけだ…後は麗日自身だ」
「これで麗日君の!……そんな……」
飯田が驚愕する…爆豪が立ち上がったからだ。だが、無傷ではない…相当ダメージを負ったようだ。
「クソが、やりやがったな…丸顔…覚悟できてんだろうな…ぶっ潰す!」
「…………はぁ、はぁ」
麗日の体はもう限界だった……もう一度超龍撃拳を放つ体力もないし、爆豪に喰らわせる策がない……目が虚ろになった麗日には爆豪ではなく龍悟が見えた。
(龍悟…君?)
『さぁ、麗日!俺達の決勝戦を始めよう!!』
(決勝戦…そうだ…爆豪君との試合、触れていたから咄嗟に浮かせたんだ…)
『だが、爆豪は爆発の反動で麗日に襲いかかった…それでもお前は最後の力を振り絞りカウンターを決めそこから超龍撃拳に持ち込み…爆豪に勝ったんだ』
(そうだ…私は!)
龍悟が超サイヤ人Ⅱに変身する。
『来い!麗日!!』
「うおおおおお!!」
麗日が個性を発動し爆豪が浮かぶ。
「俺には関係ねぇ!!」
爆発の反動で移動し麗日に右の大振りを仕掛ける…麗日も右拳を握り構える。
「もし、麗日のカウンターが決まり超龍撃拳に持ち込めば!」
「麗日君の勝利だ!!」
「お茶子ちゃん!!」
響香や飯田、蛙吹が麗日の勝利を祈る。
(勝つってのか!?麗日が爆豪に!?)
麗日の勝利は夢物語ではないと感じた轟は戦慄する。
「さぁ、麗日!勝つんだ!!」
龍悟が叫ぶ。
爆豪の右手から火花が飛び迫る。麗日も拳を振るう。爆豪との接触までの数秒は麗日にはスローに見えた。
(父ちゃん、母ちゃん…私……勝っーー)
その時、誰もが戦慄した……ぶつかり合う一瞬……麗日は倒れてしまった。
ミッドナイトがステージに上がって麗日の方へ駆け寄った。
「………麗日さん…戦闘不能…爆豪君、二回戦進出!」
その言葉に誰も何も言えず…そのまま、麗日は運ばれてステージから消えた。
「…………」
龍悟は寂しい目をしながら立ち上がり…控室に向かった。その途中で爆豪と鉢合わせしたが…爆豪の戯言に付き合う余裕もなく無視して控室に行った。後ろがうるさかったと言っておこう。
控室に入ると麗日は居た、顔に湿布が貼ってあったりと痛々しい姿だった。
「あ、龍悟君…怪我は大丈夫だよ…リカバリーガールに治してもらったし……ごめんな、超龍撃拳…教えてくれたのに無駄にしてしまって…やっぱり私じゃ使いこなせなかった……」
そんな訳はなかった…龍悟から見ても麗日は超龍撃拳を完成させていた……だが、今の龍悟には慰めの言葉を言う資格はない…龍悟はテーブルに置いてある麗日のケータイを見る……今、麗日に言葉を言えるのは、麗日の家族だけだ。
龍悟は何も言わず麗日の頭を優しく撫でる。
「え……?」
麗日は龍悟の顔を見る……龍悟はいつものポーカーフェイスではなく優しい表情だった。不思議と心が温かくなり涙が出そうだった。
「さっきそこで買ってきた……響香達にも顔見せに行けよ…皆、心配していた…」
龍悟は売店で買った疲労回復のエナジードリンクを置き控室を出ようと背を向ける。だけど、その背中に麗日は抱きついた。
「麗日?」
「ごめん…少し、ここままでいい?」
「……ああ…」
すすり泣く声を耳に入れないようにして龍悟は麗日の悔しさをその背中で受け止めた。
END