絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
龍悟達は非常階段を駆け上がっていた。各フロアを封鎖されている以上、ここが唯一の最上階への道なのだ。最上階は200階……気の遠くなる話だが敵と出くわすよりマシだった。60階、70階と駆け抜け80階に差し掛かったその時。
「シャッターが!」
階段の途中でシャッターが降りていた。
「どうする?壊すか?」
そう言う轟にメリッサが言った。
「そんな事したら、警備システムが反応して敵に気づかれるわ」
どうするかとシャッターを見上げていると。ヘロヘロになっていた峰田が反対側のドアに気づく。
「なら、こっちから行けばいいんじゃねーの?」
それはフロアへと続く非常用のドアだった。
「馬鹿!!」
「ダメ!」
慌てて龍悟とメリッサが止めようとするも間に合わず峰田はハンドルを引いてしまった。
管制室に警告音が響き、刃物の男は何事かとコントロールパネルの前で操作を続けている仲間の元に近づいた。
「何だ?」
「80階の扉が開いた?」
眼鏡の男が訝しげに答える。
「お前各フロアのスキャニング、ミスったのかよ!?」
眼鏡の男は苛立った様に舌打ちしながらパネル操作した。するとモニターに80階付近の監視カメラの映像がいくつも映し出される。その中の一つに廊下を駆けていく龍悟達の姿があった。会場で早速連絡を受けたウォルフラムは冷静に指示を出す。
「80階の隔壁を全て降ろせ。ガキ共を逃がすな」
「了解」
龍悟達を捕らえにのっぽとチビの手下二人が会場を出ていくのを咳き込んで見つめながらオールマイトは祈った。
(気をつけろ、皆……敵は狡猾だぞ)
「他に上に行く方法は?」
非常ドアを開けたせいで敵に気づかれた可能性が高い。走りながら轟の問にメリッサが答える。
「反対側に同じ構造の非常階段があるわ」
「急ぐぞ!」
飯田が速度を上げたその時、行く手の通路の隔壁が奥から次々と閉じられていく。
「シャッターが!」
「後ろもですわ!」
隔壁は後ろからも閉じられていく。敵が閉じ込めにきたのだ。閉じる隔壁の隙間越しに扉が見えた。
「ビックバン・アタック!!」
龍悟の放った気弾が隔壁を容易く破壊、そのまま扉も破壊する。
「この中を突っ切るぞ」
急いで扉の中へと足を踏み入れた一同は予想外の景色に驚いた。中を埋め尽くすのは様々な植物、驚きながらも足を止めずに龍悟はメリッサに声をかけた。
「此処は?」
「植物プラントよ。“個性”の影響を受けた植物を研究ーー」
「待って!」
響香が皆を制す様に前に飛び出した。険しい視線が奥にあるエレベーターに向けられている。
「エレベーターが上がってきてる」
「敵が追ってきたんじゃ……」
恐れおののく峰田の隣で龍悟が皆に声をかけた。
「響香、轟…迎え撃つぞ。他の皆は隠れててくれ」
戦闘は避けられないと龍悟は指示を出す。その事を飯田も察したのだろう、皆を連れて茂みに隠れた。龍悟の左右に響香と轟は構え、八百万に創造してもらった増幅装置を響香は腕にはめた。
ポーンと音が鳴り響いた。エレベーターがこの階に止まったのだ。扉が開きのっぽとチビの敵が降りてきた…その時、轟の氷壁が敵達に襲いかかる。
「やった……訳ないよね」
「ああ……来るぞ!!」
直後、氷壁に拳大の穴が次々と空き、のっぽとチビが現れた。龍悟達は身構える。
「お前等タダのガキじゃねーな?何者だ!?」
チビの体が大きくなり毛に覆われた。理性はある様で龍悟達に問いただす。
「通りすがりのヒーロー予備軍だ!!覚えておけ!!」
「だったらそのまま…通りすぎてろ!!」
のっぽの敵が巨大な手を振り回す、龍悟達はその場から移動する。直後、奥にあった木の幹に抉られた痕ができた。
「俺がのっぽを相手する。チビだった方は頼んだぞ」
龍悟は瞬間移動でのっぽの近くに移動し蹴り飛ばした。獣の敵は見た目が弱そうな響香に殴り掛かるが響香には当たらない。的確な判断で攻撃を避け続ける。
「クソ!当たれ!!」
苛立ち大振りの攻撃をして隙が生じた。それを響香は逃さない。響香は後ろ回し蹴りを喰らわせオーバヘッドキックを2連激を敵に叩き込んだ後、顎を蹴り上げた。
「龍爪演舞!!」
だが、異形型のタフさもあるのだろう…まだ、動けるようだ。それを想定していた響香は右後ろに移動する。響香と入れ替わる様に轟が飛び出した。左の腕から炎が溢れ翼の様な形になる。
「火竜の翼撃!!」
炎を纏った左腕を薙ぎ払うように振るい攻撃する。顎を蹴り上げられ動きが遅くなった敵はモロに喰らってしまった。敵の悲鳴が聞こえ。爆発があがる。次第に敵が見えてきた。
「この……ガキがぁぁあ!!」
どうやらまだ戦える様だ、雄叫びをあげながら迫る。だが、そんな獣の敵に何かがぶつかった。それは仲間の敵だった。のっぽの敵を殴り飛ばした龍悟はそのまま響香達の所に移動し三人はそれぞれ構える。
「「「トリニティーーかめはめ波ぁぁぁぁぁああ!!」」」
放たれた極大の光は敵を容易く飲み込み先にあったエレベーターをも破壊した。
『ボス、あいつ等はタダの子供じゃありません!雄英高校ヒーロー科……ヒーロー予備軍です!!』
管制室では龍悟達のパーソナルデータがモニターに映し出されていた。眼鏡の男からの報告に会場のウォルフラムは取り立てて焦る様子もない。
「ガキ共の目的は、恐らく警備システムの復旧だ。100階から200階までの隔壁を全て上げろ」
『え?』
「言うとおりにしろ」
龍悟達の狙いが読まれている。冷静に指示を出したウォルフラムにオールマイトは焦燥に駆られていた。
その頃、龍悟達は120階の通路を駆けていた。
「なんかラッキーじゃね?さっきからシャッターが開きっぱなしなんて」
「うち等のこと見失ったとか?」
「恐らく違う」
「私達、誘い込まれていますわね」
「ああ」
上鳴と麗日の疑問に響香達が答える。拳藤も真剣な顔でひたすら走る。
「それでも行くしかない!」
130階まで上がってきた龍悟達は最上階への通り道であるフロアの扉の前で罠を発見した。実験場である其処には、警備マシンがうじゃうじゃ居た。
「なんて数なん……!」
ドアの窓からこっそり覗いた麗日がその数に驚く。70体は居るだろう。
「やっぱり捕まえる事に方針を変えたか」
「私等が雄英生って事を知ったんだろう」
轟と拳藤は状況を把握し八百万が強気に微笑んだ。
「でも、そうなる事はこちらも予測ずみですわ」
「予定通りでいこう。龍悟君!」
「ああ、いっちょ行くぜ!!」
超サイヤ人・フルカウルに変身した龍悟は空を飛び両手を構える。
「スターダストフォール!!」
放たれた光はいくつにも別れ、星屑の様に降り注ぐ。そして一瞬で全ての警備マシンを粉砕した。
「よし、先に行くぞ!」
『ボス、警備マシンのセンサーに障害が!ガキ共を見失いました!』
「狼狽えるな。恐らくガキんなかに聴覚の鋭い“個性”持ちがいるな……」
135階の非常階段の踊り場で響香がイヤホンジャックを突き刺しながら周囲の音を探る。
「下の階から警備マシンの駆動音多数」
「上から音は?」
龍悟の問いに響香は確信をもって簡素に答えた。
「ない。大丈夫」
響香の情報を得て走り出す。そしてやって来たのは大型コンピュータが何台も置かれた巨大なサーバールームだった。最上階へと駆けていた龍悟達が何かに気づいて立ち止まる。奥の扉が突然勝手に開き始めたのだ。その中にはぎっしりと並んだ警備マシンがいた。その数は実験場の比ではない。一斉にランプが点灯し起動すると龍悟達に向かって前進してくる。聴覚に鋭い“個性”持ちが居るとふんだウォルフラムが龍悟達が近づいてくるまで警備マシンを起動させなかったのだ。
「くっ……罠か!」
「この程度!!ビックバン「待って!ここのサーバーに被害が出たら警備システムに影響が出るかも……」…くそったれ!」
その時、上から音が聞こえ見上げると天井近くのタラップから警備システムが次々と落下してくる。
「どんだけいんだよぉぉお〜!!」
峰田が絶望して叫ぶ。一斉にマシンが襲いかかってきた。響香が叫ぶ。
「龍悟、メリッサさんを連れて別のルートを行って!」
叫ぶ響香にマシンが襲いかかるが……
「火竜の鉄拳!!」
「レシプロ・エクステンデッド!!」
赤い炎を纏った轟の拳と青い炎を纏った飯田の蹴りに粉砕された。
「此処は!!」
「僕達に任せろ!!」
「…………メリッサ、頼む」
駆け出す龍悟の後を追ってメリッサが駆ける。
「一佳ちゃん!龍悟君とメリッサさんの事お願い!」
「お茶子……わかった!!」
その後を拳藤も追った。襲いかかるマシンを前に構えながら響香は笑った。
「悪いけどあんた等は…ウチ等と踊ってもらうよ!!」
END