絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
3日目。訓練内容は変わらず“個性”を伸ばす事に重点を置いている。そして夜は肝試しの時間だ。騒ぐ芦戸達赤点ジャーそこに響く無慈悲な声。
「その前に大変心苦しいが、爆豪以外の補習連中は……これから俺と補習授業だ」
逃げるんだ!と走り出す赤点ジャーの体に瞬時に巻かれる包帯。
「すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになってしまったので、こっちで削る」
「なんで爆豪はオッケーなんですか!?」
「補習…お前等が戻った後も一人残ってやってたからな……爆豪、今日は息抜きだ。しっかり休め」
「……わかった」
「それじゃあ行くぞ」
「うわぁ勘弁してくれぇぇ!!試させてくれぇぇ!!」
あえなく連行された。さらば赤点ジャー、また会う日まで…
「相手に直接攻撃しなければ何でもOK!個性を使って、個人の創意工夫を凝らして驚かせちゃおう!」
「多くの人を失禁させた組が勝利となる!!」
「辞めてください…汚い」
説明に龍悟の服を掴みながら突っ込む耳郎。ペアを決めるくじ引きだが――A組は5人が補習に行っているので残り15人。一人余るのだが……
「俺か…」
「クジ引きだから……必ず誰かこうなる運命だから……」
尾白の慰めが更に虚しさを増してくる。残念そうに見る響香と麗日。
((一緒に行きたかったな……))
この時は誰も思って無かっただろう……あんな事になるとは……
最後尾で順番を待つ龍悟が感じたのは――焦げ臭い匂いだった。
「何か燃えているのか!?」
その時飯田が森から煙が出ている事に気づく。そしてピクシーボブがピンクに輝き宙に浮かんだ。
「な、何!?」
「!、ビックバン・アタック!!」
いち早く気づいた龍悟が邪な気を感じる方向に気弾を放つ。着弾し手応えはある。だが……
「あら、よくわかったわね…」
舞い上がった煙から二人組が現れた。一人はトカゲの異形“個性”と見られ巨大な武器を背負い、何処となくステインに似た格好をしており、もう一人は巨大な棒を持っている大柄な男…さっきの言葉使いから見てオネエだろう。だが、問題は……
「脳無…!」
黒い脳無が現れ…一同は顔を険しくする。
(森にも仲間がいやがる……こいつ等の気だけさっきまで感じなかった……トワの魔術か!)
「ご機嫌よろしゅう雄英高校!我ら敵連合開闢行動隊!!」
「貴様等、偽物のヒーローを断罪する者だ!!」
「プッシーキャッツ!脳無の相手は俺がする、他の二人を頼む!!」
「!、わかった!!」
脳無の事は雄英から聞いている…自分達じゃあパワー不足だと判断した三人はそれぞれ行動する。
「あら、見た目通りいい男じゃあない!流石、最優先抹殺対象……脳無!!」
脳無が龍悟に向って拳を振るう。超サイヤ人Ⅱに変身した龍悟はそれを避け。ゼロ距離で気弾を放つ…ダメージはあるが回復スピードが相変わらず早い…
「時間掛けてらんねぇんだ!!」
右手を掲げソウルパニッシャーを生み出し脳無にぶつける。凄まじい爆発と共に脳無は沈黙した。
「う、嘘でしょ!!脳無が一瞬で!!」
「こ、これがステインを倒した実力…!」
「余所見を!!」
「するな!!」
呆然とする敵二人にピクシーボブと虎が攻撃を仕掛ける。あっちは任せても大丈夫だろう。マンダレイが辺り一帯にテレパスを送る。
《敵二名襲来!!他にもいる可能性あり!動ける者は直ちに施設へ!!会敵しても決して交戦せず、撤退を!!》
「飯田…皆を連れて合宿所まで戻れ…俺は皆を助けに行く」
「龍悟君……わかった!僕も直ぐに向かう」
皆を飯田に任せて龍悟は瞬間移動した…行き先はーー
一方その頃、森の近くにある崖上にある秘密基地に居た洸汰は、一人の敵と対峙していた。どんな運命の悪戯か――それは、ウォーターホースを……自分の両親を殺した敵“血狂いマスキュラー”であった。
「あ、おい。景気づけに一杯やらせろよ」
まるで遊びのような感覚で洸汰の命を奪いに来る敵。その恐怖に洸汰は動けない。
「パパ……! ママ……!」
だがその時…洸汰を庇うようにーー
「心配すんな……助けに来たぜ!」
瞬間移動で龍悟が現れた。いきなり現れた事にマスキュラーは驚くが…直ぐにいい玩具が見つかった子供の様な顔をして笑った。
「ははははは!お前孫龍悟って奴だろ…ちょうどいいよ。お前は優先して殺しとけってお達しだ」
そう言うと、マントを脱ぎ捨て腕が膨れ上がり皮膚が裂ける。そしてそこから赤い繊維が溢れ出していく。蠢きながら腕に絡みつき、脈打つように躍動する。マスキュラーの個性は“筋肉増強”自らの筋繊維を増幅したり体の内外に纏う事で筋力を増強するブースト系の“個性”。
龍悟も超サイヤ人Ⅱで応戦する。殴りかかってきた拳を受け流し脇腹に肘打ちをするが…
「ぐっ!…はは、スピードもあるしパワーもある……もっと遊ぼうぜ!!」
筋肉繊維の鎧がショック吸収程ではないが柔軟に受け止めていた……カウンターで放たれた拳、避ければ後ろに居る洸汰に危険が及ぶ。
「くっ……!」
「大変だな、ヒーローって奴は!そんなガキをかばわなきゃいけねぇんだからよ!」
故に回避はできず受け止めるしかできない。
(さっきの脳無よりずっと強いじゃねぇか…!)
龍悟も反撃するがイマイチ有効打にならない。
「どうして……」
自分を庇ってくれる龍悟に涙が止まらない洸汰。自分は拒絶したのに。つるむ気はないって言ったのに!なのに――!
「どうして!!」
「ふっ…決まってんだろーー」
龍悟の手足が赤みがかかった黒に染まる。
「ヒーローってのはな…命を賭して綺麗事実践するお仕事だ!!」
神龍拳・五星龍を発動させた龍悟はさっきの数倍の速度で拳を振るう
(さっきよりも!)
そのスピードにマスキュラーも反応が遅れる。
「
蛇の大群の如く放たれた連撃は次々とマスキュラーに命中し筋肉繊維の鎧の上からでもマスキュラーにダメージを与えていく。高速の連撃にマスキュラーは反撃ができない。そしてマスキュラーを岩肌に叩きつけた。
「や、やった!」
「いや…まだだ!」
龍悟が洸汰の言葉を否定したその時…瓦礫を吹き飛ばしてマスキュラーが現れた。禍々しい黒い気を身に纏いながら……
(トワの奴、魔術で強化しやがったな…)
その気はトワの気と同じ物だったのでトワによるモノだと直ぐに気づいた。他の連合も強化されている可能性がある……響香達なら遅れは取らない筈だが…不安が大きくなる。
(とにかく…コイツを片付けてトワ達を倒す!)
多彩な魔術を使うトワをこれ以上この世界に居させる訳にはいかない……龍悟はこの戦闘を終わらせる事にした。
「今のはかなり効いたぜ…遊びは終わりだ…お前強いもん、本気の眼だ…」
マスキュラーは今付けてる義眼を外し赤い義眼を付けた。
「下がってろ…」
洸太を後ろに下がらせて龍悟は構える。マスキュラーは全身に筋繊維を張り巡らせて筋繊維の塊となって突撃する。
「これで終いだ!孫龍悟ぉおお!!」
「それは……お前だぁぁぁあ!!」
龍悟は拳を放つがそれは当てる為ではなく飛んでいった拳は加速と方向転換をしながら自身の後方から迂回させた……黄金の気が巨大な蛇の形になりマスキュラーに飛び込む。
「
神速へとその速度を上げた極限の一撃が筋繊維の塊とぶつかる…だが筋繊維がどんどん引きちぎられマスキュラーがむき出しになった。
「…嘘だろ…」
そのままマスキュラーは凄まじい勢いで岩壁に叩きつけられ意識を失った。それを洸太は涙を流しながら見ていた。マンダレイの言葉を思い出す。
『あんたもいつかきっと出会う…命を賭してあんたを救う…あんたにとっての…』
目の前に見えるのはとても大きく何より輝いている背中…殴られて額から血を流していても自分を守る為に拳を握ってくれた……
「僕の……僕のヒーロー…」
END