絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
君を救いに…
連絡を受けた龍悟は相澤と共に急いで皆が運ばれた病院へと向かった。飯田の言う通り大怪我を負った者は居ない。だけど……響香は居なかった…
「クソ!俺が……俺が居れば…!」
「龍悟君……」
龍悟は滅多に感情を表には出さない……だけど、誰よりも優しい人間だと言う事は誰もが知っていた。その龍悟の怒りの表情を飯田達は見た事がなかった。
「なぁ、相澤先生………仲間を助ける事は罪なのか?」
「孫、お前…!」
相澤は理解してしまった…龍悟は響香を助けに行くのだと……だが、相澤には……守る事ができなかった雄英には止める権利はない。
「別にヒーローになれなくなってもいい……俺は後悔を重ねる生き方はしたくねぇ」
そんな時だ……
「失礼します」
サー・ナイトアイが現れた。
「ナイトアイ…どうして此処に…!」
「先程の話は聞かせてもらった…」
「止まるつもりはないぞ」
龍悟の覚悟を決めた目を見てナイトアイは静かに答えた。
「ふっ、オールマイトそっくりだな……君なら絶対に救出に向かうだろう……私が進言した、ヒーロー協会は今回の人質救出に“ゴジータ”が参加するのを認めた」
『!?』
ナイトアイの言葉に誰もが驚愕する。心当たりがある相澤が尋ねる。
「…………孫の瞬間移動ですか?」
「えぇ…君達A組は孫君が頻繁に使うからわからないかもしれないが転移“個性”は本来は非常に希少価値が高い“個性”だ…」
だからこそ敵連合にワープ“個性”の黒霧がいる事を重く見たのだ。
「奴等はヒーローと警察の信頼を地に落とした。今回の事件はヒーロー社会崩壊のきっかけになるかもしれない…なんとしても耳郎君を救出しなくてはならない今、瞬間移動が使える君が救出できる可能性が最も高い…体育祭優勝、ヒーロー殺しの逮捕、I・アイランドのテロ鎮圧……実力は十分過ぎる」
ナイトアイの説明に轟が異を唱えた。
「俺は!俺達は駄目なんですか…!」
「……………残念だが」
ナイトアイの言葉に轟達は悔しがる、そんな彼等に声をかけたのは……
「轟君……どうか抑えてくれ」
「通形先輩…!」
「怪我をしなくて良かった…心配したよ…」
「波動先輩…」
龍悟達の先輩である通形と波動だった。
「俺達も耳郎君の救出に参加する」
「先輩が…!」
「君が行くのに私達が行かない訳ないでしょ…」
通形は轟の肩に手を置き…波動は麗日と拳籐を抱きしめる。
「気持ちは痛い程わかる、だけど……後は俺達に任せてくれ…!」
「辛いよね…苦しいよね……良いんだよ、泣きたい時に泣いたって」
先輩からの言葉に轟は静かに涙を流し。麗日と拳籐は泣き叫びながら波動に抱きついた。
「相澤先生……」
「………耳郎を連れて…必ず帰ってこい!」
「あぁ!!」
決意を固める龍悟にナイトアイが重く言った。
「この事は君のご両親にも伝えてある……しっかりと話し合うべきだ」
「…………そうだな」
龍悟はナイトアイに連れられ自宅…カプセルコーポレーションに戻って来た。ナイトアイは外で待機しており龍悟は家に入る。リビングには父の翔、母の愛実。
そして……
「おじさん…おばさん…」
響香の両親の耳郎響徳…耳郎美香が居た。龍悟が参加する事を聞いた両親が呼んだのだろう。
「龍悟…」
愛実が龍悟を見る……龍悟はコスチュームを着ていた。わかっていた…息子は助けに行く事に…
「おばさん…響香は生きてる」
龍悟は確信した様に言った。美香は先程から顔に手を当て涙を流し続けていたが龍悟の言葉に顔をあげる。
「俺には確信がある…響香は無事だ……俺は行くよ……響香を助けに…!」
暫く龍悟を見つめていた響徳が懐かしむ様に頭を撫でる。
「いい漢になったね、龍悟君……娘を響香を頼む…!」
「あぁ…!約束する……必ずアイツを連れて帰る…!」
そう答え龍悟は背を向けて両親に言った。
「すまねぇな…心配かけてばかりの親不孝な馬鹿息子で…」
それを聞いた翔が言った…息子の無事を祈って。
「待ってるからな…響香ちゃんを連れて…必ず…必ず帰ってこい!!」
龍悟は少し振り返って笑って答えた。
「あぁ、俺の家は此処だからな…」
家を出た龍悟…決意の目を見て全てを悟ってもナイトアイは尋ねる。
「本当に、いいんだな…後戻りはできないぞ」
「あぁ…!」
龍悟はナイトアイの車に乗り急ぎ神野区の集合地点へと向かった。
その頃、神野区にある敵連合が潜伏するアジトの一つ……警察の護衛を吹き飛ばしバスを襲い響香を連れ去った張本人…オール・フォー・ワンは自室でドクターと話をしていた。
「“お姫様”はどんな調子かな?」
「じっとしておるよ……首飾りを握りしめながらな……全く、お陰で何もできやしない」
誘拐した響香に彼等は何もできなかった………彼女がつけていた首飾りが発光して守っているからだ。その為今は薄暗い部屋に閉じ込めている。
「彼も保険をかけていたと言う事か……それでも“餌”として最低限利用させてもらうよ…トワを失ったのは痛かったけど…駒は大量に増えたし、彼女は近い内に僕達を裏切る積もりだったし…手間が省けたと喜ぶべきか」
オール・フォー・ワンは愉快そうに画面に映る紫色の生物が入ったカプセルを見ていた。
そして薄暗い部屋に響香は閉じ込められていた。体は恐怖で震え時には涙を流しながらも…その目には光があった。
彼女の手には虹色に輝く四つ葉のクローバーの首飾りがあった。思い出すのは入学祝いに二人で遊びに行った帰り道。
『響香、入学祝いだ』
『え、何これ…奇麗』
『ソウルパニッシャーの結晶』
『へ〜………ソウルパニッシャーの結晶!?』
『ヒーローって副業必要だろ…ソウルパニッシャーを結晶にしたら儲かると思って…』
『………本当に何でもありだね……ありがと、大事にするよ』
『……そいつがお前を守ってくれるさ。必ず…』
龍悟は決意を胸に…響香は奇跡を祈る。
「
END
虹色の四つ葉のクローバー
龍悟が響香に入学祝いに渡した物……将来の副業の為に練習した物だと言って渡したが…本当は彼女の身に危険が迫った時に自動で彼女を守る最終防衛具【アヴァロン】
肉体的、または…トワの魔術の様な精神的攻撃が命に関わるものだった場合に彼女の気を媒体にソウルパニッシャーの膜を彼女に纏わせる。攫われた時は危害は加えられなかったので発動しなかったが、響香の精神が攫われた事により危険域に到達した為に発動した。精神の浄化や肉体の回復等もできる。
元ネタはFateで衛宮士郎に埋め込まれたアヴァロン
龍悟は雄英に行く為に響香と特訓を始めた頃から並行して制作しており…完成に数年かかってる。故に量産は不可能。