絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
時は龍悟達が突撃する前……響香はオール・フォー・ワンに部屋から連れられ、ある場所へと連れてこられた。薄暗いその場所にあるのは機材の数々。それとチューブに繋がれた何十個もの長方形の鋼鉄のケース。
その中にあるのは……脳無だった。震える体で歩く響香の呟きが響く。
「悪趣味……」
「ははは、手厳しいね…耳郎響香君……見せたいのはこの先だよ」
そう言ってどんどん奥へと進む。一番奥だと思わしき場所へとたどり着く。それを見た時、響香が息を飲む。
「…何、コレ…!」
「いい反応だよ」
明らかに他の脳無とは違う…厳重なカプセルに入れられたソレは明らかに異質だった。紫の小柄な体……見た感じ脅威には見えないが…響香は感じ取る。圧倒的な力を……
「この子は“フィン”…僕とトワが孫龍悟を…ゴジータを抹殺する為に共同開発した存在」
「龍悟を……殺す…!」
それを聞いた響香はオール・フォー・ワンを強い瞳で睨む。オール・フォー・ワンはそれを楽しそうに見ていた。
「ふふふ、やっぱり強い子だね君は……その首飾りが君に勇気をくれるのかい?」
響香に手を伸ばすオール・フォー・ワン。響香の頬を一筋の汗が流れた……その時ーー
【THOOM!!】
突然、轟音と共に地面が揺れ始めた。
「!」
助けが来る事を信じていた……今しか無いと響香は脱出を開始しようとイヤホン・ジャックで足場を破壊しオール・フォー・ワンのバランスを崩すが……
「ははは、お転婆なお姫様だ」
空中に浮かぶオール・フォー・ワン……響香を拘束しようとするが……
「龍悟……ごめん!」
響香は首飾りを投げる。イヤホンジャックを首飾りに突き刺し破裂させる。ソウルパニッシャーの光がオール・フォー・ワンに迫る。流石のオール・フォー・ワンもソウルパニッシャーを喰らえば無事では済まない。
「くっ!」
咄嗟に個性を組み合わせてソウルパニッシャーを防ぐがそれでもダメージが響く。やっとソウルパニッシャーが消えたその時には………響香は脱出していた。
「ヒーローか………全く何時もいい時に現れる。忌々しい……」
オール・フォー・ワンは自身の後ろにある“終わり”の封印を解く。
「さぁ、いよいよ君の出番だよ……フィン!」
アジトを全速力で走る響香、オール・フォー・ワンが追ってくる気配は無いが少しも安心できない。後、首飾りを壊した事を後悔していた。
「ごめん…龍悟」
走っていると辿り着いたのは先程の脳無保管庫だった。しかし壁は破壊され脳無は無様に倒れ伏し…其処には何人ものヒーローが居た。スーツを着たシャチの“異形型個性”のヒーロー…【ギャングオルカ】が響香に気づく。
「居たぞ、誘拐された生徒だ!!君が耳郎響香で間違いないか?」
「は、はい!」
「そうか……怖かったろう、もう大丈夫だ」
ギャングオルカは優しく響香の肩を叩く。それでも響香はこのアジトでオール・フォー・ワンが行っている事を話す。
「此処に敵連合のボスが居るんです!そいつはこの奥で脳無より遥かに恐ろしい者を作ってるんです!!」
すると首元までジーパンを着ている【ベストジーニスト】が尋ねる。
「十分だ、ありがとう…虎!チームメイトと共に彼女を連れて先に行け!」
「あ、あぁ!さぁこっちへ…警察も居る…早くご両親に連絡をーー」
その時だーー奥の方から放たれた紫色のエネルギー弾が…後ろに控えて居た機動隊を吹き飛ばした。
「な!?」
突然の事態に若手ヒーロー【マウントレディ】が唖然とする中…ギャングオルカは此方に向かってくる存在に気づく。
「来るぞ!!」
それと同時に現れた者は……紫色の体をした小柄な異形……だけど放たれるプレッシャーはプロヒーローですら冷や汗が止まらない……それはさっきのカプセルに入っていた“フィン”だった。
「どうかな耳郎響香君……これがフィンだよ」
同時にオール・フォー・ワンが現れた。ジーニストはすぐ様衣服を操りオール・フォー・ワンを拘束する。
「耳郎君、早く逃げるんだ!!虎・マウントレディ!!彼女を!!」
それと同時にギャングオルカがオール・フォー・ワンに突撃する。虎は響香を掴み急ぎ離脱を試みるがーー
「それは困るな……フィン」
オール・フォー・ワンは拘束など関係ない様に動きフィンに命令する。
「ギャギャギャ!」
フィンがこの世の者とは思えない声で叫びながら。響香達に迫る。
「やらせるかっての!!」
マウントレディが強大な拳を振り下ろすがフィンは凄まじい速度でそれを避けマウントレディを顔面にエネルギー弾……気弾をぶつける。痛みでバランスを崩したマウントレディにフィンは関節など知らないと言わんばかりに自身の体を丸めてボールの形になる。そしてマウントレディに突き刺さった。
「ガハァ…!」
マウントレディの巨体があっけなく崩れ去り。フィンは次は虎に気弾を放つ…攫われたチームメイトであるラグドールを背負っていた虎は我が身を盾にするしかなく気弾の爆発に吹き飛ばされた。
「そんな…!」
プロヒーローを容易く倒すフィン……まるで分離する前の21号の様な絶望感。
「どうかな…フィンの力は?凄いだろう」
オール・フォー・ワンの声が聞こえる、視線を向ければ倒れ伏すジーニストやギャングオルカ…そして無傷のオール・フォー・ワンだった。
「これが君が目指す者の末路だよ、耳郎響香君…それでも君は目指すのかい?」
もう立って居るのは響香だけ……絶望しかないこの状況でも…響香の目には光があった。
「……それでも、ウチは信じてる……絶望に輝く光を…ウチの絶対無敵のヒーローを!!」
それは6年前……まだ響香や龍悟が小学生だった頃…その日は遠足だった…目的地は何処だったか覚えてないがあの日を忘れる事はないだろう。自分達を乗せたバスが…“鳴羽田”を通っていた時だーー
ーー突然、敵が現れたのだ。
まだ、広まってはいなかったが…最近、鳴羽田では突然一般人が敵に変貌する事件が起き始めていた。その敵は道路で突然暴れだし、車を次々となぎ倒していた。そして響香達が乗っていたバスにも襲いかかりバスは転倒。同級生や教師は気を失い、響香は運良く意識を保っていたが…
『ひぃッ!』
敵は大きなバスを目標にしたのかバスに迫ってくる。まだ小学生の響香には動ける勇気はなかった。
『助けて……助けて!ヒーロー!!』
その時だ、光の柱がまるで響香を守る様に突然現れたのだ。光が消え其処に居たのは……超サイヤ人に変身した龍悟だった。周りより少し大人びている響香は無口な龍悟と話が合い、その頃から彼等の仲は始まった。
『確か、こう言うんだっけな………もう大丈夫!何故ってーー』
『ーー俺が居る!!』
そうして龍悟はあっという間に敵を倒してみせた。響香にはそんな龍悟が輝いて見えた…自分もあんなふうになりたいと……それから響香は龍悟と今まで以上に関わる様になり……龍悟も楽しそうに響香と青春を過ごしていた。
そして中学の時……彼女は迷っていた。両親が大切にしている音楽の道、自分が憧れているヒーローの道。どちらも大切だった。そんな自分の悩みを龍悟は自分の事の様に真剣に考えくれた。だからこそ、響香は龍悟がどんな人間なのかわかった。
不器用で誰よりも優しい、星の様に輝く人だと…
だから…
「どんなに遠くても…目指すんだ…ヒーローを!…その為に前に進み続ける。それがウチのーー」
「オリジン!!」
歩み続ける…
それをオール・フォー・ワンは愉快そうに笑った。
「いいね、その輝き…実に美しいよ。でも、ヒーローじゃなく、そろそろお姫様に戻ってもらうよ…フィン」
オール・フォー・ワンの言葉に反応してフィンが手を響香に向け気弾を放つ……当たるかと思われたその時…
世界の時が…止まった。
「え?」
唖然とする響香…オール・フォー・ワンもフィンも止まったまま…此方に向かってくる気弾も止まっており唯一動ける響香は訳がわからなかった。
「耳郎響香さん…」
背後から声が聞こえ振り返ると……
「女神…様…!」
其処にはピンクの肌にオレンジ色のロングヘア…高貴な服を着て背後には時計の針を模したような光輪があった…その神々しい姿は正に女神だった。
「あ、貴方は…!」
「ごめんさい、それは言えません……耳郎響香さん、単刀直入に言いましょう……力を与えます」
「単刀直入過ぎません!?」
確かにいきなり力を与えると言っても疑問しかわかないだろう…女神は笑いながら答えた。
「ふふふ、貴方達に迷惑をかけたお詫びですし……ゴジータ君の隣に立ちたい恋する女の子を応援したいだけですよ」
「龍悟の知り合い?」
女神は頷きながら手を開く…その手の平には美しい宝玉が存在していた。
「貴方に進む覚悟があるのなら……貴方に力を…」
響香は暫く考える様に見つめたが……覚悟を固めた目をして宝玉を手に取る……前に彼女の時が止まった。
「よし!此処まではバッチリね……後はお願い、おじいちゃん!!」
響香が止まった事を確認した女神はさっきの威厳は何処へやら幼い喋り方を始めた。
「全く…何でワシまでこんな事を…」
そう言われ出てきたのは女神と似た格好をした老人だった。面倒臭そうに言う老人に女神……時の界王神は言う。
「今回の事件は私達の不甲斐なさが招いたのが原因よ…これ位の事はして当然よ……そう言う事をちゃんとしないからベジータ君に界王神は無脳だって言われるのよ」
「わかった、わかった」
時の界王神に言われ老人……老界王神は響香の前に立つ。
「しかし…べっぴんさ「変な事したらゴジータ君に言うからね」……す、する訳ないじゃろ!じゃあ始めるぞ。……フンフンフーン!フフフのフーン!」
何をするのかと思えば…突然、奇声をあげてのダンスである。しかし顔を見れば老界王神は至って真面目そのものだ。
何故、響香まで止めたかと言うと彼女に与える力の一つは老界王神が別世界の悟飯に施した潜在能力解放…またの名を究極化である。しかしその為には儀式が5時間、能力の解放には20時間を要する。 龍悟ならともかく響香には無理だ…だから彼女の時間を止めたのだ。
しかし、25時間も待ってられないので時の界王神は老界王神の時間を早める。早送りの如く動く老界王神……僅か5分で終了した。
「ありがとう…おじいちゃん」
「ヒーヒー……じゃあ先に戻っとるぞ」
そう言って老界王神はあっちの世界に戻った。そして彼女の時間を動かし…さっきの威厳で語りかける。
「どうか…貴方に幸せがあらん事を…」
そう言って…時の界王神は消え…宝玉は響香の中に沈んでいった。
そして時は動きだす……
フィンが放った気弾が迫ってくるが響香には恐れはなかった。感じる…自分の中に新しい力がある事を…
「はぁぁぁぁあっ!!」
気合を入れ己の力を開放する…その時、膨大な気が響香を包み込みフィンが放った気弾を吹き飛ばした。
「なんだと!?」
余りの事態、オール・フォー・ワンも驚きを隠せない。そして彼女は“変身”した。彼女の身長は波動と同じくらいでスタイルも波動に勝るとも劣らない…紫色の美しいロングヘアで背中には時計の針を模したような光輪が展開されている。何より彼女から放たれる気は分離する前の21号に匹敵する。
唖然とするオール・フォー・ワンに響香は言った。
「見せてあげるよ……“ウチ”の新しい力を…!」
究極化を果たした響香は静かにフィンに歩み寄る。落ち着きを取り戻したオール・フォー・ワン。
「……ふ、ふふふ…流石に驚いたよ……フィンのテストには丁度いい…フィン、遊んで来なさい」
「ギャギャ!!」
オール・フォー・ワンの言葉に喜ぶフィン。だが、その隙に響香は蹴り飛ばした。
「なっ!?」
「勘違いしないでくれない…ウチは、遊ぶつもりなんてない……倒すつもりだ!」
響香は自身に流れる力を放つ。究極化をした事で響香も気を使える様になったのだ。そのまま気を固定化し紫と黒の長身の日本刀を生み出した。
龍悟と違い響香はイヤホンジャックや衝撃波で器用に戦い、接近戦もできるスタイルだったので武器を使うのはいい考えだろう。右手で日本刀を持ち牙突の構えを取る。
「ウガァァア!」
瓦礫に突っ込んだフィンが怒りの表情で響香を見る。次の瞬間、腕を伸ばして来た。
「生憎…それは21号で経験済み!」
そのまま日本刀でフィンの腕を切り裂き…そのままフィンに突っ込む。フィンが口から気弾を放つ…品が無いと呟きながら日本刀で切り払い…フィンを空高く蹴り飛ばした。
「アアアアアアアア!!」
フィンも一筋縄ではいかない…腕を再生し響香に次々と放つ。響香も気の斬撃を飛ばしながら応戦する。まだ力の扱いになれていない響香だが…それは動き出したばかりのフィンにも言える事…
しかし…響香は所々被弾してしまうが、フィンは当たっても直ぐに再生してしまう。
(21号と同じ…一気にケリをつけるしかない…!)
舞空術で空を飛びながら多少の被弾は無視してフィンの所まで来た響香は日本刀を振り下ろす。それをフィンは自身の体を変化させ盾に変えて受け止める。しかも日本刀にくっつき…離れない。
「クッ!」
「ギャギャア!!」
そのまま響香を振り回し地面に叩きつける。起き上がった響香が見た光景は…巨大な禍々しい気の玉を振り下ろそうとするフィンの姿だった。
「ウギァギャ!!」
これで終りと思ったのだろうか…嬉しそうな声をあげるフィンだったが……
「ふっ、正直…まだ制御、上手くないんだよね……力押しの方がありがたいよ!」
響香の目は死んでなかった。日本刀に気を集中させ…一気に斬撃として放った。
「ヴィクトリースラッシュ!!」
放たれた2つの斬撃はVの形をしてフィンが放ったダークパニシングボールとぶつかり合い爆発……フィンは爆発が消えたら追撃しようとするが……
「はぁぁぁぁあ!!」
響香が爆発の中を突っ切って来たのだ。
「ギャギャ!?」
「これで!!」
続けて下から斜め切り上げと上から斜めの切り下げの2つの斬撃を放ちフィンを閉じ込める。
「デルタスラッシュ!!」
最後に横一文字に放たれた斬撃が決まり3つの斬撃はΔの形になり爆発…フィンを飲み込んだ。
「はぁ、はぁ……っ!?」
爆発の中を突っ切って無茶をして消耗した響香に衝撃波が襲いかかる。ギリギリ防ぐが消耗が激しく地面に降り立つ。そんな響香をオール・フォー・ワンが手拍子して称賛していた。
「いやはや…素晴らしいね、だけど僕が居る事を忘れちゃあ困るよ」
そのまま、響香に手を向けるが響香は笑っていた。
「アンタこそ…忘れてない?ウチのヒーローを……」
「何?」
響香は感じていた。彼が近くに居る事を…だから叫んだ……ヒーローの名を。
「来て!龍悟!!」
それに答える様に光の柱が聳え立つ。まるで響香を守る様に。そして聞こえた大好きな人の声が。
「聞こえたぜ響香……お前の声が」
其処には響香の絶対無敵のヒーローが居た。
END
究極・耳郎
耳郎が老界王神に潜在能力解放をしてもらい…時の界王神の力の一部を与えられた事により覚醒した。
これにより気を操る事ができ、気を固定化し生み出した日本刀を武器に戦う。初めての戦闘なので出でいないがまだ秘密がある様だ。身長も高くなり胸も大きくなった。やったね!
背中には時の界王神と同じ様に光輪がついている。
元ネタは超次元ゲイムネプテューヌのパープルハート。
究極・耳郎「おお…これは…!」
進化した胸部装甲
究極・耳郎「か、勝てる!負ける筈がない!ウチは今、究極のパワーを手に入れたのだ!!」