絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
それではどうぞ!!
「あらかた片付いたな…」
工業エリアの敵を片付けた推薦枠チーム。骨抜が辺りを見渡しながら、他のエリアに行く事を提案し、八百万も賛同しようとしたその時…
「!、伏せろ!!」
何かに気づいた轟が叫ぶ。
「ふぅきィィィィィ飛べぇええっっ!!!」
その言葉と共に吹き荒れる豪風が轟達を襲う。瞬時に展開した氷でガードし何とか吹き飛ばされずにすんだ。
「ありがとうございます、轟さ……ッ!」
八百万が礼を言おうとしたが、言葉が出なかった。上を見て佇む轟の目は悲しみに満ちていた。そしてその轟の視線の先には……あの夜嵐が居た。
「やっと見つけたッスよ。アンタは俺の手で倒したかった。“エンデヴァー”の息子…俺はアンタ等が嫌いだ…!」
夜嵐からは明確な敵意を感じる。そんな夜嵐の目を轟はよく知っている。
「アンタ等がヒーローなんて…俺は認めねぇ!!」
だってそれは…かつて自分が父親に向け続けていた目なのだから……夜嵐の事は骨抜のお陰で思い出せた。
推薦枠の実技試験で轟と夜嵐は例年を遥かに凌駕する成績をおさめた。
『やぁった、勝ったぞ!!でも次はわかんないな!あんた凄いな!アンタってエンデヴァーの子供か何か!?凄いな!』
『黙れ…試験なんたがら合格すればそれでいい。別にお前と勝負してる積りもねぇ…』
笑いかけてくれた夜嵐を……
『邪魔だ』
自分は……切り捨ててしまった。
「俺はァ、あんたら親子をヒーローとは…認める訳にはいかないんスよぉ!!」
そう叫び、轟に敵意をぶつける夜嵐……八百万が援護しようとするが轟が止めた。
「悪い……ココだけは俺がやらなくちゃいけない事だ…下がっていてくれ」
「ですが…!」
引き下がるか迷っている八百万の肩に骨抜が手を置いた。骨抜が首を横に振っている、八百万は心配そうに下がった。
「っ!、なんであんたが!エンデヴァーの息子だろ!!今更、誰かを見てんじゃねぇ!!」
夜嵐が突風を轟にぶつける、轟も【火竜の咆哮】で迎え撃つ。灼熱のブレスと風の爆発がぶつかり、衝撃が生まれる。
「火竜の煌炎!」
間髪入れずに轟は左手に巨大な火球を作り、投げつける。夜嵐も風の弾丸を放ち相殺される。
夜嵐は気に入らなかった…今日会った轟は、笑っていた。自分をあの時、否定した癖に……まるで初めから誰かを見ていたかの様に……ふざけるな!!
「見せてやる。アンタ等親子を超える為に編み出した…この技を!!」
夜嵐が風を纏う。その密度はどんどん濃くなっていき、夜嵐の姿さえ見えなくなってきた。
「一気に決めてやる!」
風の鎧を纏った夜嵐が突撃してくる、そのスピードは格段に速く轟に迫ってくる。轟も迎え撃つ為に肘からブースターのように炎を噴射して打撃力を高め、その勢いのままパンチを放った。
「火竜の炎肘!」
しかし、夜嵐の纏う風に弾かれてしまう。巧く着地し今度は右手を掲げる。
「アイスメイクーー
造り出された槍は一斉に夜嵐に飛んで行きくが……
「無駄だ!!コレは常に外に向かって吹いている!」
夜嵐の纏う風に弾かれて届かない。轟とは相性が悪い…八百万が飛び出そうとするが骨抜が止める。
「骨抜さん、このままでは轟さんが!!」
「気持ちはわかる!だからこそ信じてやれ!アイツの強さは八百万が一番知ってるだろ!!」
骨抜の言葉に踏み止まった八百万は轟を見る。轟の目は諦めていない…
「コレで終わりだぁぁあ!!」
夜嵐が両手を突き出し今までより大きな暴風を放つ、轟もシールドを展開して防御するがあまりの勢いにシールドは崩壊し轟は吹き飛ばさてしまう。
「轟さん!!!」
八百万の悲鳴が響く。夜嵐の放った暴風は工業エリアを崩壊させ、その中に倒れ伏す轟があった。コレで終わりだと思った夜嵐は次の瞬間、目を見開く。
轟が立ち上がったのだ……体中に傷を負い、フラフラになりながらも。そんな轟の目はあの時は違う……その目の奥には熱い炎があった。
「なんで……どうしてだよ!なんで変われたんだ!?」
夜嵐はエンデヴァーが嫌だった。あの遥か先を憎む様な目だけは……そして、あの時の轟はエンデヴァーと全く同じ目をしていた。
自分の中に沸き上がった感情がわからなかった。一番嫌いな何かが溜まっていくのが嫌だった。
だから雄英を諦めた。あの目をした轟と一緒に居ては自分まで嫌だったモノになってしまいそうだった……いや、もうなっていたのかもしれない……だから逃げて、誤魔化して、見ない様にして。でもやっぱり夢は諦めたくなくて…だから士傑高校に入学した。
それなのに……
「なんでだよ!!」
その様子を観客席で見ていたA組の皆にはある光景と重なった……雄英体育祭で龍悟と轟の試合に……今の夜嵐はまるであの時の轟だ。
その事は轟が一番わかっているだろう……ボロボロになりながらも轟は一歩も引かずに言い放った。
「確かにあの時の俺は……何も見る事のできねぇ、孤独を演じた馬鹿野郎だった」
轟は左手を胸に当てる。今までの出来事を思い出す為に…自分の胸の炎を感じる為に。
「そんな俺に手を差し伸べてくれた…」
『進むか、止まるか…決めるのは自分自身だ』
「こんな俺を仲間だと言ってくれた…」
『もう、轟もウチ等の一人なんだから』
「こんな俺を見てくれた…!」
『それは決して前に進む事を諦めていい理由にはなりませんわ!諦めないからこそ…更に向こうへ行ける!それを轟さんが教えてくれました!!』
轟の左側から炎が溢れ燃え上がる。
「だから、俺は…俺の意識を見つけた!仲間と生きる道の上を歩いてるんだ!!」
やがて炎は轟を包み込み、エンデヴァーの炎とも、茶毘の青い炎とも違う美しい真紅の炎へと変わった。
「綺麗…」
八百万はその炎に見惚れる、夜嵐もエンデヴァーのとは全く違う事をわかっていても……認める事ができなかった。
「ふざけんな!お前が…お前等親子が俺の熱さを奪った癖に…!ふざけるなぁぁ!!」
夜嵐が風を纏いながら轟に突撃する辺り全てを吹き飛ばしながら突っ込む夜嵐に対して轟は強く左拳を握り締める。
力だけではけして破れない壁がある事を轟は知った…そしてそれを打ち破る力があるとすれば……
「轟さん…勝ってください!!」
それは、思いの力。
「滅龍奥義!!」
それは、龍の鱗を砕き、龍の肝を潰し、その魂を狩りとる…轟が完成させた究極技…
「紅蓮鳳凰劍!!」
それは轟版【龍拳】。轟の纏う真紅の焔は不死鳥に姿を変え夜嵐の暴風とぶつかり合う。
「轟ぃぃぃいっ!!」
「夜嵐ぃぃぃいっ!!」
ぶつかり合う2つの力……しかし、不死鳥の焔が暴風をも焼き付くし、焔を纏った轟の拳が夜嵐の顔面に突き刺さった。
吹き飛ばされ倒れ伏す夜嵐…体には焼跡があり、もう起き上がる事は難しいだろう。フラフラになりながらも夜嵐に近づく轟。
「今更、こんな事を言う資格なんて俺には無い事はわかっている。だが、許されなくても構わない……すまなかった」
「……謝んなら俺の方だろ…!俺の心の狭さが…!!」
「…………それでも、俺が撒いた種だ。俺は償いたい、だからーー友達になってくれないか」
轟は手を差し出す。あの時の自分にしてくれた龍悟の様に……夜嵐は涙が止まらなかった。
「…………まいった……俺の…負けだ…」
夜嵐は轟の手をとった。
(コレでイイんだよな……龍悟)
微笑む轟には、かつての憎悪はもうなかった。
END
次回は耳郎達の番です。
活動報告の方もよろしくお願いします。