絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
少しのシリアスと多めのギャグ回です。
それではどうぞ!
「ハァ、ハァ…ハァ!」
薄暗い細道理を白い少女が走っていた。苦しさに顔を歪ませ必死に走る、まるで何かから逃げるように…
(だれか…)
少女の脳裏に過る自由もなくただ身を切られる日々、彼女は限界だった。だから思わず逃げ出したのだ。しかし、行く宛もなくすぐに連れ戻されてしまう。
(だれか…!!お願いだれか…!いやだ…!)
薄暗い細道理に差し込む光、思わず手を伸ばしながら走る。
だれか…!!
細道理から大通りへと出た少女が目にしたのは……
「女神の力、見せてあげる!!」
何時も画面越しで見ていた紫水の輝きを身に纏う綺麗な女神の姿だった。
________
龍悟達が屋敷に侵入した同時刻、響香と通形は近辺のパトロールをしていた。
その時である…
「「「キャアアッ!」」」
突如として街中に女性の悲鳴が響く。それも複数人の悲鳴だ、明らかにただ事ではない。
「事件!?」
「向かうよ、イヤホン=ジャック!」
通形と響形は悲鳴の方へ急行すると、犯人らしき人物たちの姿を見つけた………見つけたのだが…
「…………先輩」
「うん…………
顔を顰める二人の視線の先には
「フハハハハ!オールマイトが消えたこの時代!」
「再び我等が走り出す!」
「そう!我等!!」
「「「
真っ昼間だというのにサングラスを身につけた黒づくめの3人組の不審者が道路を滑るように走っていた。しかも、最後尾にいる太った男、三兄弟の三男と思わしき彼は女性用の下着を頭に被ったりしてどこをどう見ても変態だ。
「変態だ、間違いなく変態だ!」
できれば見間違いであってほしいと思っていた響香は目の前の変態達を認識し追いかける。詳しくはわからないが飯田と同じ移動系の"個性"だろう。
「疾風怒濤三兄弟?何処かで聞いたような………おもいだした!確か五年くらい前に鳴羽田に現れたって言う下着泥棒を繰り返していた変質者たちだ」
鳴羽田……六年前の無差別
遂に何かが切れた…サイヤ人なら間違いなく伝説の戦士に覚醒する程に…
「…………先輩、アイツ等の"個性"って何ですか?」
「え?確か3人とも『滑走』って"個性"だったと思う」
確かに奴等は地面をまるでスケートリンクのように滑っている。響香は人混みから飛び出して一番前を滑る恐らく長男を蹴り飛ばした。
「グハァッ!?」
「「あ、兄者ーー!?」」
長男が蹴り飛ばされ次男と三男は足を止めた。そんな彼等を峰田と同じく養豚場の豚を見るような絶対零度の瞳で睨む。そんな響香の放つプレッシャーは通形すら一歩下がらせる程であった。
「先輩………ウチにやらせてください」
「えっと……やり過ぎないでね」
「ええ…大丈夫です」そう笑う響香だが、目はこれっぽっちも笑ってない。龍悟君でも止められないなと感じた通形は見守ることにした。
「くそ!不意討ちとは卑怯だぞ!何もノォッ!?」
蹴り飛ばされた長男が立ち上がり叫ぶが会話をするつもりは欠片もない響香のイヤホンジャックが飛んできて慌てて避ける。
「おい、あれの子って……耳郞響香じゃないか!?」
「あの英雄祭で優勝した!」
様子を伺っていた野次馬達が響香に気づく。響香は龍悟と並び今、最も注目を浴びているヒーロー候補生。そんな響香を生で見れたことに歓声を上げる。
だが、それは変態達も同じだった。
「フハハハ!まさかあの雄英生、しかも上玉!いくぞ兄弟達よ!!」
「おう!兄者!!」
「喰らえ我等の奥義!!」
「「「ジェットストリーム脱衣!!」」」
それは長男が捲り、次男が抜き取り、三男が纏う。峰田が見れば弟子入り間違いなしであろう神技だ。
縦一列になって響香に迫る三兄弟、しかし響香のヒーローコスチュームはスカートではなくズボンだ、これでは無理ではないかと思ったそこの君、侮ることなかれ、なんとこの次男ジーパンの中にある下着を抜き取ることができるのだ。
「フハハハ!もらった!!」
長男が捲ろうとしたその時、響香は長男の頭を踏みつけ飛び上がった。しかし彼は何処を捲るつもりだったのだろう……
「お、俺を踏み台にした!?」
そのまま腕の増幅装置にイヤホンジャックを差し音波攻撃を次男に叩きつける。
「耳がー耳がーー!?」
防御不可の音波攻撃を喰らいバランスを崩した次男は踏み台にされた長男に激突、最後に三男の後頭部に回し蹴りを叩き込み着地した。確かに彼等は某おっぱいドラゴンのような一流の変態だが、その戦闘力は素人とほぼ同等なのである。
「素顔もさらせない奴にウチのパンツはやれないわ」
彼女の言葉に感激を受けたのか野次馬の女性達から拍手喝采が巻き起こる。
しかし
「まだだ!」
三兄弟が立ち上がったのだ!
「全国の変態、電波男、チェリーボーイ、妄想スキー達が俺達の帰りを待っているんだ!」
「そうだ、彼等の声が俺達に力を与えてくれる。お前達に聞こえるか?」
「疾風怒濤三兄弟よ頼む!希望を分け与えてくれ!どれでもイイ!ただ一枚のパンツさえあれば明日も生きていける、前を向いて胸を張って歩いていけるだ!!」
「「「そんな彼等の声が聞こえるか!!」」」
なんと彼等、奪った下着をモテない男達に配っていたのだ。「このパンツはまさか!」と野次馬から聞こえてきたが気のせいだろう。
「こんなところで負けるわけいかん……のだ……」
「あ、話終わった?」
しかし、響香はそんな彼の叫びを無視し完封なきまでに叩き潰すために究極化をして次々と光の戦乙女を作り出して彼等を囲んでいる。神話の物語のような光景に誰もが目を奪われる。
「女神の力、見せてあげる!!」
響香の言葉に反応して戦乙女達は手に持つ光の槍を構える。
「
放たれた無数の光が三兄弟を包み込んだ。
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「いや~峰田みたいなのが他にもいるとは」
響香にボコボコにされた三兄弟が警察のお縄になるのを見届けている響香はそんな事を呟いた。
「これがプロの世界」
「違うからね、俺もあんな変態は初めてだからね。まぁ一応サーに報告しよう」
通形の言葉に頷き移動しようとした時、グイグイと服が引っ張られる。
「?」
不思議に思い視線を向けると…白い髪の少女がいた。
それなら然程珍しくはないしもしかしたら響香のファンかもしれない。
しかし、その格好が異質だった。入院患者が着るような、飾り気のない無地のワンピース。袖や裾から覗く手足には肌が見えなくなるほど包帯が巻かれて、足には靴すら無かった。
そして何よりもその子の目を響香は知っている。オール・フォー・ワンに拐われて何をされるかわからない恐怖に震えて……それでも龍悟が助けに来ると信じていた。
絶望の中に希望を求める、その瞳を……
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きっかけは単純だ、少女を利用する奴が少女が逃げないように玩具を与えて警戒心を解こうとするが失敗、ならばと動画サイトを渡したのだ。
そこ時に見せたのが響香の動画だった。
キレイだった。紫水の輝きを身に纏い刀を振るう響香が綺麗だった。画面に映る響香は"ヒーロー"候補生だとコメントで知った。
候補生が何かはまだ少女はわからないが"ヒーロー"はわかる。助けを求める人に手を差しのべ助けてくれる人だと。
でも、その響香は画面の先……やっぱり自分は救われないと思った…諦めた。
しかし、その響香は目の前にいる。それに気づいた少女は無意識に彼女の服を引っ張った。
そして震える口を動かし言った、言いたかった言葉を…聞いてほしいかった言葉を………
「助けて…!」
数秒の沈黙を破り膝を織り少女と視線を合わせた響香は少女の肩に手を置く、そして微笑みながら…
「うん、助けるよ」
帰ってきた言葉は何よりも暖かく、とても優しいモノだった。気づいたら少女は抱きつていた涙をながしながら辛かったモノをさらけ出して。そんな少女を抱きしめながら響香は言った、龍悟が自分に言ってくれた言葉。
「もう大丈夫。ウチがいる」
その言葉ともに流れてくる優しさを感じながら少女は意識を手放した。
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「と言う訳なんです」
そして現在、事務所で合流した龍悟達は通形の説明を聞きながら響香の膝で眠る少女………エリを見ていた。
「恐らく治崎の目的の中核をなすのが彼女なのだろう。そして奴はあの実験場で彼女を……」
ナイトアイがこれまでの情報を整理する中、龍悟はエリの頬をなでる、その表情は暗いモノだった。
「辛かっただろうな」
「うん、安心したのか今はぐっすり眠ってる。ねぇ、龍悟……ウチは!」
エリを起こさないくらいには抑えているが十分に怒りが伝わってくる。
「ああ、わかってる。絶対に許せねぇ…!」
龍悟は窓を見つめながらその先にあるであろう死穢八斎會の屋敷を睨む。
こうして龍悟達の長いインターン活動が始まった。
END
・疾風怒濤三兄弟
ヒロアカの外伝である『ヴィジランテ』に出て来る変態ヴィラン。黒い三連星のようなコンビネーションを繰り出す。
・ヴィジランテ
ヒロアカ原作の5~6年前、個性強化の薬物「トリガー」によって当然一般人がヴィランになってしまう鳴羽田を舞台に非合法ヒーロー『ヴィジランテ』が活躍する物語。
このssの耳郞は小学生の時にその無差別