絶対無敵のヒーローアカデミア 作:DestinyImpulse
エリ達と別れてから 龍悟達は警察やヒーロー達と合流し改めて自分達の役割を確認し、警察の人から渡された八斎會の構成員リストをチェック。最後の打ち合わせを済ませた。
そうして遂に午前8時30分に八斎會突入作戦が開始された。
しかし、相手もバカではない、これだけのヒーローと警官隊に囲まれているのだ。奇襲の一つでもしてくるだろう。
そして実際に八斎會はするつもりだったのだが……
「スターダストフォール!!」
龍悟が放つ星屑の気弾が……
「ハートビートファズ!!」
響香の心音衝撃波が………
「超銀河エクスプロージョン!!」
麗日の流星群が………
「グリングウェイブ!!」
波動の衝撃波が………
中庭にいたヤクザ達を一掃した。
結構乱暴かもしれんが相手は小学生にも満たないエリに非人道的な実験を繰り返して来た連中だ。情けをかけるつもりはさらさらない。制圧した玄関の警護を麗日や波動達、【リューキュウ事務所】が担当し……
「行け!行け!!まっすぐ最短で
龍悟達は屋敷へと突撃する。時々出で来るヤクザ達を殴り飛ばしながら突き進む。
「怪しい素振りどころやなかったな!!」
「俺ァだいぶ不安になってきたぜオイ!始まったら進むしかねえがよ!!」
ファットガム達の言う通り治崎はぶん殴るつもりだったが組一丸になって抵抗するとは思わなかった。
「盃を交わせば親や兄貴分に忠義を尽くす。この騒ぎ…そして治崎や幹部が姿を見せない。今頃地下で隠蔽や逃走の準備中だろうな」
「忠義じゃねぇ!そんなもん!!子分に責任押し付けて逃げ出すなんて!!」
「よう言ったレッド!!」
そうして屋敷の中を突き進むとナイトアイの制止を求める声を受けて、ある掛け軸の前で全員の足が止まる。手早くそこに置いてあった花瓶を横へずらし、ナイトアイは板敷きに手を押し当てる。
「この下に隠し通路を開く仕掛けがある。板敷きを決まった順番に押さえれば━━━━」
ガチリという音が聞こえると同時。掛け軸の掛けてある壁が音を立てて横へとずれていく。
聞いた話によれば龍悟達が待機している間に偶然ナイトアイが組員を捕まえ、予知の力で地下室の入り方やら構造やらをある程度知ることが出来たそうだ。
「…………バブルガール!!」
隠し扉が開ききろうとした時。センチピーターが強い口調でバブルガールの名前を呼ぶ。すかさず構えたバブルガールの前にヤクザが怒鳴り声をあげながら突っ込んできた。
「一人頼む!」
スーツから覗くセンチピーターのムカデ手足が伸びる。二人のヤクザは抵抗する間もなく、ムカデな腕に巻き付きつかれ拘束された。残った一人はバブルガールに泡で目潰しされた後、関節を綺麗に極められて仕留められた。
「追ってこないよう大人しくさせます!先行って下さいすぐ合流します!」
バブルガールの声に止まっていた足が再び駆け出す。ナイトアイを追い掛ける形で地下室へと続く階段を降りていって直ぐ、予定ルートが壁で防がれていた。
龍悟はすかさずスカウターを起動させる。スカウターには渡された屋敷地下の地図データがある。確認してもも通路は存在してる。スキャンしてみると壁の先に空洞がある。
「ビッグバン・アタック!!」
龍悟が放つ【ビッグバン・アタック】が壁を粉砕すると情報通り通路が見える。
「先に進むぞ」
いきなりの事に唖然とする突撃チームだが龍悟の言葉で再び駆け出そうとした時………通路が粘土みたいに歪んだ。
「道がうねって変わってく!!これは、治崎じゃねぇ…逸脱してる!考えられるとしたら、本部長『入中』!」
警察の人が口にした人物に覚えはある。スカウターが表示したデータには自らが入り込んだ物を自在に操る【擬態】の個性。
「これもう擬態ってレベルじゃあないですよ!!」
「かなりキツめにブーストすれば……できない事はない。地下を形成するコンクリに入り込んで【生き迷宮】となってるんや!」
響香の最もな疑問にファットガムが答える…が……
「っ!?避けろ響香!!」
「え……!?」
何かに気づいた龍悟が声を張り上げるが既に遅かった。右側の壁が突然一気に盛り上がり響香に迫る。左側には穴が空いており一人ずつ分散するつもりだ。
避けられないと悟った響香を切島が突き飛ばした。
「っ!?レッド!!」
「切島!?」
響香は無事だが変わりに切島が穴に押し出される。
「俺なら心配すんな!!龍……いや、ゴジータ!!イヤホン=ジャック!!俺の分まで、殴っーーー」
最後まで切島の声は聞こえなかったが…………
「あぁ、勿論だ!」
「切島の分もぶちのめすから!!」
その思いは伝わった。しかし、刻一刻と歪んでいく通路。このままでは通路を自由に変えられ治崎に逃げられてしまう。
「ゴジータ!治崎は!?」
「見つけた!何時でも行ける!!」
ナイトアイの言葉に指を額に当てて答える龍悟、既に治崎の気をとらえ瞬間移動できる。
「こうなってはスピード勝負だ!イヤホン=ジャック、ルミリオン!!ゴジータの瞬間移動で治崎を捕縛しろ!!我々も後で追う!!」
突撃チームのブレーンであるナイトアイの指示はこの状況では最善の策だった。すぐに
「いくぞ…!」
「うん!」
「あぁ!」
そして、龍悟達は治崎の元へ瞬間移動した。
ーーーーー
「ハァ…!ハァ!……イテェな…!」
一方で分散されてしまった切島は放り込まれた部屋の壁にめり込んでいた。腕から血は流れ息が荒く負傷しているのが見てわかる。
「ははっ!すげぇなお前!!よく立ってられるぜ!まだ行けるよな!?」
そんな切島に上機嫌に近づく男。顔全体を覆う系の鳥の嘴マスクに筋肉が浮かび上がるぴっちぴちのシャツを始め、ガタイの良さや拳に装着されたグローブをみれば明らかに近接戦闘よりの奴だと理解でき彼が切島を吹き飛ばしたのだろう。
(………
筋肉質の男……『乱波』の弾丸のようなラッシュに
切島は乱波の隣に立つ和服を着た、目を瞑る嘴マスクを見る。あの男の個性はバリアを張ることができ、それで防がれてしまった。
(あのバリアを破るには……【二重の極み】しかねぇ)
龍悟に教えてもらった破壊の極意なら確実にあのバリアを突破できる。
しかし、問題は放つために拳の間合いに入らないといけないこと、そしたら乱波のラッシュを受け続けなければならない。更に【二重の極み】でバリアを破壊できても中にいる二人は無傷。再びバリアが張られる前に盾役の『天蓋』を倒し乱波とのタイマンに勝利しなくては勝ちにはならない。
(やるしかねぇ……下手すりゃ死ぬがーーーーーやらなきゃ確実に死ぬだけだ!!)
腹を括った切島は気合いの雄叫びを上げて乱波に突っ込む。
「オラァーーーー!!」
「いいぞ!!お前!!」
そして始まる嵐のような打撃。すぐに喰らった拳の数も分からなくなり聞こえるのは拳圧が巻き起こす風の音。体に感じるのは拳を叩き込まれた痛みだけ。
それでも切島は一歩ずつ確実に迫って来ていた。
「馬鹿な!?防ぎきってるというのか!?」
(んな訳ねぇだろ…!めちゃくちゃイテェわ!!)
天蓋の言葉を心の中で否定する。
(だがよ………
非人道な実験を何年もさせられ続けていたエリの痛みは計り知れない。
ならば自分が今受けている数秒の痛み等痛いの内には入らない!!
そして遂に切島の射程圏内に入った。拳を振りかぶる切島を見て盾役がすぐさまバリアを張る。
「バリアは!?」
「出すに決まってるだろう」
乱波が天蓋に抗議の声を出すが涼しい顔で受け流す天蓋。自分のバリアは破られないと慢心した天蓋を笑いながら切島は破壊の極意を放つ。
「二重の極み!!」
バリッ!!そんな鈍い音と共に切島の拳が天蓋のバリアを破壊した。
目を見開く天蓋、破られるとは夢にも思ってなく決定的な隙をさらした。
「!?まさかっ、我がバリアをー「
すかさず切島の拳が天蓋を撃ち抜き天蓋の意識は途切れた。動かなくなった天蓋を部屋の隅に放り投げ、残った乱波に拳を向ける。
「ハァ…ハァ…!後はお前だ!!」
「……っつははっ!すげぇな!!最高だぜ!!本当に、たまんねぇ!!お前!!!!」
仲間が倒されてもお構い無し……いや、一人になってからのほうがやる気に満ちている。
「やっと大好きなタイマンになったんだ!!すげえ血だらけでもイケるなよな!?」
乱波の言う通り、切島は殴られ割られで全身から血が流れている。それでも切島は笑っていた。
「ヘッ!逆に感謝してるぜ、条件揃えてくれてよ!」
次の瞬間、切島の体は"赤い何か"がを纏った。
きっかけはA組の皆で特訓をしていた時だ。切島は血を流してお構いなしに特訓をしていたが不意に気づいたのだ………流れている血が硬化している事を。
切島の個性【硬化】は自身の体を硬化させる皮膚や筋肉だけでなく骨や内臓も……ならば血も硬められる。これなら止血になると思ったが、同時にある事も考えた。
もし強敵と戦い全身あちこちで出血しまったらすぐに血を硬めて止血しよう。そして同時に全身についた血を硬化するば……それは【鎧】になるのではないかと。
「
それは身体についた自身の血を硬めて作られた真っ赤な鎧。鎧の中に笑い切島は拳を構える
「さぁ……第二ラウンドだ!!」
「ははっ!良いぜ、ぶっ殺してやる!!しっかり受け止めろヒーローさんよぉ!!」
再び乱波のラッシュが始まるが切島はビクともしない。
ラッシュを受けながらも切島はお構いなしに乱波を殴り飛ばす。鎧を纏った拳を喰らえば無事ではない、しかし乱波もお構いなしに殴りかかる。
切島は次で終わりにするために拳を振りかぶる。思い出すのは憧れの漢気ヒーロー“
『俺はヒーローだから人々を守る!』
龍悟が希望のヒーローならば自分は守れるヒーローになると決めた!
「俺のこの手が真っ赤に染まる!!」
『一度心に決めたなら、それに殉じる!!』
そうだ、心に誓ったらな決して退くな!!
「一歩も退くなと轟き叫ぶ!!」
『ただ後悔のねぇ生き方!それが俺にとっての漢気よ!!』
もう、後悔をしたくないのなら!!!
「轟破!!」
それは誰でもない切島自身が悩み、考え、編み出した技。守護と破壊をあわせ持つ矛盾の一撃。
「レッドブレイク!!」
轟音が空間中に響き渡った。
切島の拳を叩き込まれた乱波の姿は一瞬で部屋の端の壁にまで吹き飛び、拳圧で巻き起こった砂埃がそれを隠してしまう。
やがて姿が見えたがそこにはピクリとも動かず気絶した乱波の姿があった。
それを見て戦闘が終わったことを理解して今頃敵の頭と戦っているであろう龍悟達に聞こえなくても言った。
「…………勝てよ!」
END
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