絶対無敵のヒーローアカデミア   作:DestinyImpulse

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 遅れてしまい申し訳ありません。




イレギュラー介入

「ナイトアイ!アイツ等は大丈夫なのか!?」

 

 龍悟達を先に行かせ薄暗がりの通路を全速力で走り抜けるナイトアイ達。先頭を走るナイトアイに続く刑事が声をあげる。アイツ等とは瞬間移動で治崎を追った龍悟達の事だろう。

 

「強い事は理解しているがさっきのヴィラン連合みたいな隠し戦力があるかも知れねぇ!!」

 

 そう、ナイトアイ達は先程ヴィラン連合の二人の奇襲にあい浅くない損害を受けた。他のメンバーがいる可能性も、それ以外の戦力が控えてる可能性もある。

 

「アイツ等なら心配ないですよ」

 

 しかしそれでも問題ないと語る相澤の表情は、この数ヶ月龍悟達を生徒として見てきた教師の顔だった。

 

「その通りです。先を急ぎましょう」

 

 

 

__________

 

 

 一方でその龍悟達はナイトアイや相澤の言葉通り目立った外傷もなく治崎達を追い詰めていた。

 

 瞬間移動で治崎の元へたどり着いた龍悟達はすぐに治崎達の確保に動いた。勿論治崎達も反撃してきたが龍悟達や通形に勝てる筈もなく護衛の三人は撃破され治崎も外傷が目立つ。

 

 普通に見れば治崎には勝ち目はないが治崎の顔に浮かんだのは反省でも諦めでもなく、純粋なまでの怒りだけだった。その怒りは龍悟達と言うより……響香一人に向けていた。

 

「腸が煮えくり返る思いだ…!予定通り進まない事も、こんな手に出ないといけない所まで追い込まれている事も!何度も汚い手で触れられた事も……!何より……お前のような小娘に全てが崩されたのが!!!!」

 

 

 確かに龍悟達は治崎達を追い詰めたが損害はあった。護衛の一人の"個性"は【強制的に喋らせる】モノだった、これでエリが響香によって保護された事がばれてしまった。

 

「…………ウチはタダ…助けてって手を伸ばしたエリちゃんの手を握っただけ」

 

 睨まれつつも平然と言い放つ響香。オール・フォー・ワンに囚われていた彼女にとっては微風程にも感じないだろう。

 

「ふざけるなよ!そんな力を持っているから、そんな台詞を吐けるのか?病気だよ…お前も、隣のガキも、どいつもこいつも…………!!」

 

 

 怒号と共に治崎の指が地面に触れる。

 

「だから治してやるんだよ!この全てを!戻してやるんだ、この世界を!!俺の、手で!!邪魔をするなァ!!」   

 

 部屋中の地面と壁の表面が粉々に砕け散る。直後、部屋中から無数のトゲが、石柱が、ところ狭しと現れる。

 

 治崎の"個性"は【オーバーホール】

 対象を分解して修復が可能なこの力を使ってこの空間の物質を好きなように作り替えたのだ。

 

 迫りくるトゲや岩柱、しかし……

 

「ハートビートファズ!!」

 

 響香のイヤホン=ジャックから放たれた心音衝撃波が全ての攻撃を破壊した。

 

「………アンタが何をしようと、どう言おうがウチは知らない……アンタを倒してエリちゃんを安心させる事には変わりないから!!」

 

「くっ………!」

 

 響香の威圧感に圧され後退る治崎。周りの環境を作り替え攻撃する治崎の攻撃方法では、周囲に心音衝撃波を叩き込み破壊する響香の【ハートビートファズ】との相性は最悪……

 

「勝負あったな」

「もう諦めろ!!治崎!!」

 

 加えて龍悟と通形も居る。どう足掻いても治崎に勝ち目はない。

 

 しかし、龍悟達は油断はしていなかった。龍悟はスカウターからの通信でヴィラン連合が居ることを知り誰かが介入する事を警戒して気で周囲を気を探り。

 通形も追い詰められたヴィランが何をするのか、考えられるケースを予測して警戒していた。

 

 

 しかし、気づけなかった。

 

 

 

「フフフ、素晴らしい憎悪だ」

 

 

 

 別世界からのイレギュラーに……

 

 

「っ!?ドミグラ!!」

 

 突如として現れたドミグラに龍悟達は驚愕する。通形は未知なるイレギュラーの介入に唖然とし、龍悟と響香はトワと同じく歴史の改編者の登場に驚愕する。

 

 如何に龍悟(ゴジータ)とて別世界から介入には気づけない、いつかくることは予測していたがまさかこの状況で介入するとは……

 

「このまま終わらせるには勿体ないのでね、私が面白くしてあげよう」

 

 そう言って杖を振るうドミグラ、変化は治崎に現れた。

 

 

「……あああアアアァァァ!!!!!」

 

 

 治崎が禍々しい気を発し黒いオーラを纏っている。ヴィラン連合襲撃の時にトワがやった強制強化の魔術だ。

 

「っ!?何を!!」

「トワと同じ強化魔術!!」

 

 始めての現象に通形も動揺している。一方で経験のある響香は警戒を強めていた。

 

「同じか………それは芸がなくていかんな」

 

 するとドミグラは側で倒れていた護衛達を治崎の側に移動させ。

 

 

 彼等四人を破壊した。

 

 

 

「え?」

「なっ!?」

 

 鮮血が飛び散り治崎の上半身が消え他の三人は跡形もなく消えてしまった。あまりに常軌を逸脱した光景に響香と通形は唖然とし龍悟も目を見開いていた。

 

「フフフ、"個性"と言うものは面白い。工夫次第でこうも変わるか」

 

 ドミグラは治崎を魔術で操作して治崎(自身)と護衛の三人を破壊して……

 

 

「融合させた……!?」

 

 

 現れた治崎は身体中に黒い模様が浮かび両腕は歪になり背中から四つの異形な腕が生えており、まさに化物と化していた。

 

「フフフ、面白い光景であるが……余所見はいけないなゴジータ」

 

 

 

 ドミグラがそう言ったその時、龍悟の足元に魔方陣のようなものが浮かび上がる。相手はトワすらも超えた、神にもっとも近い魔神。流石の龍悟も治崎の変貌に気をとられていては気づけなかった。

 

「っ!?しまっーー」

「龍悟!?」

 

 

 魔方陣が輝き龍悟を飲み込む、光が消えると……そこに龍悟の姿はなかった。

 

「なっ!?龍悟君が消えた!」

「ドミグラァァ!!」

 

 消えた龍悟。間違いなくドミグラが何かしらしたことは明らか、あっちの世界の事を知る響香や始めてあった通形でもそれは理解した。

 

 響香は究極化となってドミグラへ気で形成した剣を振り下ろす。

 

「龍悟を何処へやった!!」

「彼が居てはすぐに終わってしまうからな。アッチの世界へと行ってもらったよ」

 

 それを杖で受け止めるドミグラ。そのまま鍔迫り合いが続くが……

 

「避けろイヤホン=ジャック!!」

「!?」

 

 通形の声に反射的に反応して下がるとさっきまで居た場所に異形と化した治崎がその強靭な腕を振り下ろしていた。

 

「では私は失礼しよう。さようなら」

「待て!龍悟を!!」

 

 響香がそう言うが聞く筈もなくドミグラはこの世界から消えた。

 

「………………きっと龍悟君なら大丈夫だ。耳郎ちゃん、これが終わったら詳しく聞かせてくれ」

 

 通形の言う通り龍悟は飛ばしたと言ったらならば生きている。

 そして龍悟と響香がドミグラと面識があることは先程のやり取りでバレてしまった。言い訳はできない。救いは通形が信用できる人間と言う事だろう。

 

「………わかりました、まずは!!」

「あぁ!コイツを片付ける!!」

 

 

壊理(エリ)を返せェェェエ!!!!」

 

 

 ドミグラの洗脳は解けたのだろうが強制強化により汚染された精神から発せられる言葉はおよそ人の言葉ではなかった。

 

「さっきよりも速い!!」

「それだけじゃない!怪我や疲労も回復……いや、修復されている!!」

 

 治崎の攻撃を回避しながら冷静にこの混沌と化した状況を理解する。

 化物と化した治崎の攻撃は先程よりも圧倒的に速くさらに六つに増えた腕で手数も増えている。更に触れられたら先程見た光景のように分解されてしまう。

 

「だけど、先程よりも単純だ!!」

 

 透過を駆使して攻撃を無力化して懐に踏み込んだ、そして人体の急所である脇腹に鋭い一撃を叩き込む。

 

「ーーーぐっ!!」

 

 しかし、治崎は少しも怯みもせず逆に通形が表情を歪ませる。再び振るわれた拳、それを響香が剣で切り裂き距離をとる。

 

「………厄介ですね」

「あぁ、動きは単調、技術も稚拙。だけど、単純に強くて固い」

 

 攻撃は一発一発が肝を冷やすレベルの威力、究極化した響化でもマトモに喰らいたくない。そして攻撃を打ちこんでも怯みすらしない堅牢さもある。

 

 すると治崎に変化が現れる。背中の腕が翼へと姿を変えたのだ。その翼で飛ぶ治崎は響香達に翼を向ける、すると翼からトゲが現れ降り注ぐ。"個性"で翼の一部を分解してトゲに修復して攻撃している。

 

 響香は剣で弾き、通形は透過で無力化する。しかし、空中に居られては通形は手出しはできない。

 

「ウチがいきます!!」

 

 舞空術で空を飛べる響香が治崎へと接近して剣を振るう。治崎も黙って見ている筈なく無数のトゲや石柱を放ち打ち落とそうとする。

 

「カオスフレア!!」

 

 それに対して剣を持っていない左手に気を圧縮させ放ったビームが迫りくるトゲや岩柱を飲み込み治崎に迫る咄嗟に両腕をクロスして防御するが光が皮膚を焼き爆発がおこる。

 

 大きく吹き飛ばされる治崎、それを見逃さず剣を振るう響香。それに対して治崎は異形と化した腕で迎え撃つ。次々と閃く剣閃が異形の腕と激突し火花を散らす。

 

 この戦いにおいて武器の使用は響香にとって必須であった。少なくともこうして距離を詰めての攻防をするならば素手では不利だ。

 

 普通のヴィランならば究極化せずとも素手で倒せるだろう。

 

 しかし、あの合宿移行、普通ではない敵との対立で素手では力不足だと悟った。

 

 如何に格闘センスを磨いても少女の腕では力不足。いつか一方的にこちらの拳や足が砕かれるのが目に見えていた。

 

 だからこそ、究極化を得て気のコントロールを習得してからは龍悟から習った事を基礎に武器や気功波の修行をした。

 

 そうしてできたのが今のスタイルだ。故に直接はぶつからない。治崎の拳には武器を合わせる。

 

 強度や威力、リーチで優位に立つ響香。打ち合いで砕けていく治崎の腕だが次の瞬間には修復されていた。21号やフィン程ではないにしても再生能力はやっかいだ。

 

 故に一撃できめる機会をうかがっていた。

 

 

 一方で強制強化で精神を汚染されても自我を保っている治崎は苛立っていた。一刻も速くエリを見つけ出し、取り戻し、計画を復活させなければいけないのに目の前の小娘一人倒せない現実に……

 

「ふざけるなァァァ!!!!」

 

 翼からトゲの雨を放ち引き剥がす。

 

「っ!ハートビートクラッシャー!!」

 

 それに対して足の増幅器にイヤホンジャックをさし音波衝撃を放ち撃ち落とす。しかし、響香は目を見開いた。治崎が先程よりも速いスピードで迫ってきたのだ。

 

 

「どいつもこいつも大局を見ようもしない!!!!」

 

 降り圧される腕を剣で防ぐが先程よりも重い一撃に表情を歪める。翼を最初の四つ腕に戻し計六つの腕が響香に叩き込まれる。

 

「俺が崩すのはこの"世界"!!その構造そのものだ!!」

「くぅ!」

 

 剣だけでは防ぎきれず表情に余裕がない。

 

「しまっ……!?」

 

 そして遂に治崎の豪腕が響香に叩き込まれ吹き飛ばされる。究極化して力を高めている状態なのでダメージは深くはないが決定的な隙がうまれてしまった。

 

「耳郎ちゃん!!」

 

 通形が叫び響香は体制を立て直そうとするが……既に遅い。

 

 

「目の前の小さな正義だけの……感情論だけのヒーローきどりが………俺の邪魔をするなァァ!!!!」

 

 

 治崎は自身の四肢を分解して一つの巨大な異形腕へと復元して響香へと叩き込んだ。その巨躯に見合わない速度で、異形の腕は轟音を立てながらそこにある全てを巻き込み壊していく。

 

 そして響香は巨大な腕に飲まれて消えた。

 

 

 耳をつんざくような轟音を鳴らしながら、地面を揺るがす衝撃と共に壁へ深くめり込む。ゆっくりと腕が引き抜かれたそこには…瓦礫の山だけが残っていた。

 

 

「耳郎ちゃん!?」

 

 

 余りの絶望的な光景に通形の怒号が響くと、それに応えるよう治崎が姿を戻し姿勢を向けた。

 

「馬鹿なガキだ。あんな呪われた奴の為に死んだ」

 

「なんだと!?」

 

「知っているのだろう…壊理(エリ)の呪われた………人間を巻き戻す"個性"を」

 

「……………………」

 

 龍悟が見たエリの記憶や治崎の研究資料からエリの"個性"についてはわかっていた…………その危険性も含めて。

 

「使いようによっては人を猿にまで戻す事が可能だろう。触れる者全てが「無」へと巻き戻される。俺に渡せ!俺にしかアレは使いこなせーー!?」

 

 

 その時だ、治崎の背後から"ナニか"が飛んできて串刺しにしたのだ、突き刺された痛みを感じながらその正体を知る。

 

 それは響香が持っていた紫の美しい剣だった。目を見開く治崎、串刺しにした剣が一人で動き……主の……響香の手の中に戻る。

 

「耳郎ちゃん!無事だったのか!」

「な、なんとか…」

 

 安堵する通形に苦笑いを向ける響香、ボロボロで外傷も多いがまだ戦えるようだ。

 

 

「お前も知っている筈だ…壊理(エリ)の呪われた"個性"を!?」

 

「だから何?アンタは知らないけどね、エリちゃんはアンタが言う呪われた"個性"でウチの怪我を治してくれた」

 

 脳裏に過るのはある日の出来事、インターンで怪我をして帰っきた響香を見たショックで始めて龍悟達の前で個性を使った、そして気づいた時には響香の怪我は消えていた。響香の体を怪我をする前に巻き戻したのだ。

 

 今でも覚えている、治してくれてありがとうと言った時、大泣きしたエリの事を………始めて言われて嬉しかったのだろう、"個性"を使って感謝されたのが。

 

 

「あの子の価値をお前の一人で決めつけるな!!」

 

 響香の背後にある光輪が、スパークを撒き散らしながら輝きを強くした。同時に彼女の手に持つ剣の輝きが強まり、その威力を桁違いに跳ね上げていく。

 

「さぁ、第二ラウンド始めようか」

 

 そう言い放つと響香は地面を砕く程に踏み込み風の如く治崎に迫る。

 

 

「…壊理(エリ)の価値もわからんガキがァァア!消えろォォォオ!!」

 

 

 治崎は再び巨大な異形腕へと復元して今度こそ叩き潰そうと響香へ放つ。

 

 それに対して響香は自身の持つ剣に気を集中させる。気が高まり剣の中では抑えきれない、溢れる気が紫水に強く、美しく、激しく輝き……聖剣の名に相応しい姿となる。

 

 そして迫りくる虚悪に響香はその聖剣を突き刺した。

 

 

 

勇気よ勝利へと突き進め(ヴィクトリーブレイブ)!!」

 

 

 

 ぶつかり合う両者、しかし紫水の流星と化した響香の突きが治崎の一撃を確実に砕いていく。己が敗北する未来を予感した治崎が声をあげる。

 

 

「なんなんだ!!お前は一体!?なんなんだ!?」

 

「そんなに聞きたいなら教えてあげるよ。ウチはヒアヒーロー、イヤホン=ジャック!!」

 

 そして遂に響香の一撃が治崎の一撃を打ち破り、懐に踏み込んだ。

 

「あの子の……エリちゃんのヒーローだ!!」

 

 狙いをつけて拳を振りかぶる、いつの間にか聖剣は消えており、剣に集まっていた気、剣を形成していた気が響香の右腕に集まり強く輝いていた。

 

 あのまま突き刺しても良かったが、やはりこの男を一発ぶん殴らないと気がすまない。譲ってくれた通形や庇ってくれた切島、飛ばされた龍悟の分。何よりエリの分を拳を乗せ……

 

 

 

「メテオインパクト!!」

 

 

 

 

 まさに流星と言っても差し支えない輝きを放つ拳を治崎の顔面に叩き込んだ。そんな響香のフォームは龍悟のそれと瓜二つだった。

 

 

 

 ぶん殴られ、陥没した地面の中心に治崎が突き刺さりピクリとも動かない。

 

 響香は勝ったのだ。

 

 生きて、帰る。

 

 あの子の元へ。かわした約束を、果たす為に。

 

 

 

「約束だもんね………エリちゃん」

 

 

 

 

END

 




【カオスフレア】

 片手で放つ威力重視の気功波。イメージは片手かめはめ波。
 

【ハートビートクラッシャー】

 増幅器で強化された心音を放つ衝撃波。足から攻撃を放つとかスーパーロボット感が強い技。


勇気よ勝利へと突き進め(ヴィクトリーブレイブ)

 剣に膨大な気を集中させて敵を貫く大技。今回みたいに別の技へのコンボに繋げる事もできる。

【メテオインパクト】

 右拳に気を集中させて相手の顔面に叩き込むえげつない大技。これからも使うと思う。




 遅れた分見ごたえよくしようと思ったら長くなりました!最後まで読んでくれてありがとうございました!!

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