ソードアート・オンライン~黒の剣士と灰の剣聖~ 作:カノン・キズナ
2022年11月5日 土曜日
ある男の研究室に一人の少年が訪ねる
以前はナーブギアの試験運用のためによく訪れた場所へ
「すまないね、急に呼び出して」
「べつにいいですよ、特にすることもなかったし。でもいいんですか?明日から稼働で忙しいんじゃ…」
「それについては気にしなくてもいい、すべての作業は終わっている。あとは…」
「計画通りに…ですか?」
「そういうことだ。君を呼んだのはね一つお願いがあったからなんだよ」
その少年は少し驚いた顔をした。なぜなら今まで仕事関連で長い付き合いだが彼からそんなことを言われるのは初めてだったからだ
「珍しいですね、あなたがそんな事を言うなんて。ちなみに何度言われてもあなたの計画には賛同出来ませんよ」
「それは分かっているさ、だからこそ君に頼みたいことなのさ…計画を知っている君にね」
そう言うと男は少年にヘッドギア型のゲーム機と1本のゲームソフトを渡した
そのソフトの名は【ソードアート・オンライン】通称【S・A・O】
そのソフトを見た瞬間少年は少し顔を歪めた
「僕にもデスゲームに付き合えと?あなたに少しでも加担した報いだとでも?」
少年は少し語気を強めてそういった
「そうではない、前にも言っただろう私は私の作ったあの世界で、"システム"に制御されたあの世界でそこに
囚われた人々がどんな可能性を見せてくれるかを知りたい」
「僕もその人々の中に含まれると?」
「君なら私への反抗心で面白いものを見せてくれそうだからね」
「あなたのその好奇心のために何人が犠牲になるかもわかった上で言っているんですか?」
なんの罪もない大勢の人たちがこれから命がけの時間を過ごそうとしているのに
結局は自分の思い通りに物事を動かそうという男に苛立ちを覚えた
「間違ってもらっては困るな、これは決して何度死んでも生き返ることのできるような遊びではない」
「仮想現実であろうと、そこで生きて日々を全うする以上それは現実と何ら変わることはない」
「そこで暮らし、唯一つの命を燃やす現実だ」
少年は少し考え込むように俯き男の目を見てはっきりと言い放った
「そこまで言うならわかりました。やりましょう」
「もう一つ私からの贈り物をナーブギアに入れておいた」
「なんですか?」
「一部GM権限を行使できるスーパーアカウントのデータだ」
「先生知ってますか、チートを使ってやる遊びほどつまらないものはありませんよ」
「もちろん分かっているさ、君がそういう物を使いたがらないのはな。だからこその保険だこれは」
「保険?」
「これを、君が使わなければいけない状況、己のためか、他社のためかいずれにせよそこに興味があるのさ」
「また先生の好奇心ですか。まあわかりましたそんな状況にはならないと思いますけどね」
「それはよろしく頼むよ、綾人くん」
「それではいずれゲームの中で会いましょう、茅場先生」