カリおっさん、ヒーローになる   作:名無しの錬金術師

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むっちゃ疲れた(一日で書き上げ)

ギャグ回です(多分)

微妙なとこは適宜改稿してます。


カリおっさん、傷を治す

 ──その少女は不気味だった。

 

 

 

 私はヴィランとの戦闘後、トゥルーフォームに戻って自宅へ帰る途中だった。

 さすがにこの骸骨男が「平和の象徴」だとは誰も思わないだろう。

 トゥルーフォームが「平和の象徴」として私のあるべき姿ではないということは分かっている。

 だが皮肉にも私が一個人として私らしくいられるのは、この姿なのだ。

 

 

 そんな時に彼女が現れた。

 彼女はあどけない仕草をしながら歩道を走っており、道行く人の目を引いていた。無論、私の目も。

 

 目を輝かせながら周りを見回すその姿は、どこか世間知らずのような雰囲気を感じる。

 ヒーローとしてここいらの案内をしてもいいのかもしれないが、この姿の私ではきっと不審がられるだろう。

 

 申し訳なく思いながら彼女を見ると、彼女もまた私を見ていた。

 

 私の後ろに何かあるのだろうか。多分私を見ているのではないのだろう。

 

 

 そんなことを思っていると彼女は此方にズンズンと近づいてきた。そして甘ったるい声で「ねぇねぇっ、そこのお じ さ ま ?」と囁いてきた。

 

 

 いやぁ、ビックリしたね。ビックリした拍子にマッスルフォームになりそうになったよ。頑張って抑えたけど。

 

「あなたの体にさ……」

 

 そして更に近づいて上目遣いをしてきた。

 周りの視線が痛いし、スマホに手をかけている人がいるし、このままだと私お縄にかかっちゃぅんじゃないかと気が気でなかった。

 

 

 そんな周り様子など気にすることもなく、彼女はニッコリと笑った。

 

 

「何個の魂があるのかな?」

 

 

 それを聞いた時に私は「何言ってんの」と極限まで心が素に戻っていた。

 だが言ったからには意味があるのだろうと考え直して、私は心当たりを探した。

 

 ……まさか、OFAを知っている!!?

 

 

「……君は何者かな?」

 

 

 震える声で私は問うた。仮にこの少女がヴィランだとすれば、今の私は瞬く間に殺られてしまうだろう。

 彼女は先ほどよりも小さく、私にd

 

「おーい。いつまでそれやってんだ?」

 

 

 

 

 

 私はキーボードを打つ手を止めて声の方へ向き直った。

 

「仕方ないだろう?この世界での君の身元を保証するための作業だからね。出来れば私もこんな面倒事は抱えたくなかったよ!」

 

「いいからこっち来てよぉ。秘密ぅ、バラしちゃうぞ☆」

 

「分かった!分かったから!」

 

 

 私はカリオストロ少女との邂逅についての報告文を上書き保存してパソコンを閉じた。

 私は彼女の身元保証人になることを決めたのだ。いや、決めさせられた。私の秘密をチラつかされて脅されたからね!

 その他にも今の私では美少女を攫った骸骨男という不名誉な称号を得かねない、という理由もあったが。

 

 塚内君には電話で異世界関連以外の事情を説明したけど……果たしてちゃんと信じてくれただろうか。後でしっかり完成させてfaxで送っておこう。

 

 

 

 

 

「で、何だいカリオストロ少女?」

 

「お前の身体、どっか傷んでないか?そうだな、呼吸器系辺り。後胃袋は造りもんだろ」

 

「!!?……その目かね?」

 

 カリオストロ少女はふっふーんと上機嫌に笑って「ご明察☆」と囁いた。

 さすがの私も耐性がついてきたからかそこまで動揺することはない。

 

「ちっ、もう少し見惚れてもいーんじゃねぇか?」

「さすがに私も耐性ついていたからね!No.1ヒーローは伊達ではないってことさ!」

「ならNo.1教師にもなれるように努力するんだな」

「う、ぐっ……」

 

 カリオストロ少女と同居してからもう一週間になる。

 彼女も心を許してきたのか、本来の性格で話すことが多くなった。

 これがいい傾向なのか悪い傾向なのかは私には判断がつかないがね!

 

 

 それはともかくカリオストロ少女は『錬金術』というものを扱えるそうだ。

 以前に「それは君の個性かね?」と聞いたことがあるのだが「個性じゃなくて魔法の一種。私はそれの開祖なんだよ☆」と返事が来た。

 仮に開祖だとしてこの少女は一体何年生き続けているのだろうか。私はとりあえず戯言と受け取ってその場を流したのだが……。

 

 

「さすがに見ているカリオストロもそれは痛ましいから治してあげたいんだけどぉ……☆」

「本当かねッ!?」

「うわぁっ!?急にムキムキになるんじゃねぇ!!」

 

 おっと、気が昂ってマッスルフォームになってしまったようだ。カリオストロ少女に謝りながらトゥルーフォームに戻り、事の詳細を聞いた。

 

「治すのにはオレ様が『キュアポーション』ってものを作る必要がある。ただの外傷ならお前の身体を部分的に再構築すればいいんだが……」

 

「何か突拍子もないワードが出てきた気がするんだけど」

 

「放置し過ぎたせいか、それがお前の中で正常な状態になってしまってる。だがポーションを作るにも材料が足りねぇ。そ こ で ね ?」

 

 

 ……彼女の言いたいことは分かった。その材料をどうにかして集めてこい、といったところだろう。

 エンデヴァーが見たらなんて言うかなぁ。中身が男とはいえ、見た目美少女に顎で使われてる私のことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 多分、オリジナルのオレ様ならもっと手早く上手くやれるだろうよ。

 どうしてこうも『キュアポーション』ごときに手間取っているのかと言われれば、それはオレ様がオリジナルの断片のような存在だからだ。

 

 ニグレド──賢者の石──を使ったオリジナルの最適化の際に「要らない部分」が発生してしまった。それがオレ様。オリジナルの断片っていう形容はそういう理由からだ。

 

 

 現在のオレ様は知識はともかく、技量は封印がかかっていた状態に近い。『スペルブック』もオリジナルの方にあるからコッチで一から作らなきゃいけねぇのが辛いところだな。

 

 

「で、『キュアポーション』があれば私の内臓も治せると?」

 

「ああ。呼吸器系はそれで大丈夫だ。胃袋の方はオレ様が錬成したやつを造りもんの代わりにはめ込むつもりだが……なに頭抱えてんだ?せっかく美少女錬金術師のカリオストロがぁ一宿一飯のお礼に身体を治してあげるって言ってるのに☆」

 

「錬金術、本当に何でも作れるのかい?」

 

「あったり前だろ?大抵のものは作れるし、この身体もオレ様特製のボディさ!」

 

「……もしかしなくても開祖っていうのは」

「本当だぜ?まさかとは思うが疑ってたってことは、ないよなぁ?」

 

 当たり前さ、と滝のように汗を流しながら言っても説得力が皆無なんだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後カリオストロ少女と他愛もない会話をしてから私は床につき、そして朝がきた。なぜだかいつもより調子がいい。

 カーテンを開けようと寝ぼけ眼を擦る。すると、ベッドの近くに置いてある小さめの机にカリオストロ少女が突っ伏していた。

 

 ノートがその傍らに落っこちているので夜遅くまで勉強していたのだろう。だが何故私の部屋で?

 

「んぁ……あぁ、起きたか俊典」

「何故ここに?」

 

 あぁ、と答えて彼女は少し伸びをした。

 

「キュアポーションの材料がたまたま冷蔵庫にあったからちょっとな」

 

「……なんて?」

 

 私は自分の身体を見た。あの忌々しい傷跡はすっかりと無くなっており、先程よりも呼吸がしやすいという実感が持てた。本当に治っているのだ。

 

「私に投与したのかね!?」

「いやー悪い悪い。自分でちょっと実験したから効能は間違いないと思ってくぎゅっ!!痛てぇじゃねぇか!」

 

 私はマッスルフォームになって超弱めにデコピンをしていた。確かに彼女がやったことは人助けだし、私自身感謝すべきことだろう。だがね?

 

「これからは許可を取るように」

「……分かったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜更にまた数日後〜

 

 

「塚内君、この後時間取れる?それとこの前のfaxで送ったやつの手続きの代行をお願いしたいんだけど──」

 

 俊典が誰かと電話をしている。確か携帯……じゃなかった、スマートフォンってやつだったか。魔法も使わずに遠方会話を実現するとぁこの世界の人間も侮れねぇな。

 もしかしたら『個性』の代わりに魔力を失ったのかもしれねぇが……まっ、今は考えるだけ詮無きことか。

 

「カリオストロ少女、出かけるぞ!」

 

「いいぜ、オレ様も出かけたいとこだったんだ。それで、どこ行くんだ?」

 

「警視庁」

 

「……ハァ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初にfaxもらった時は君を逮捕しなきゃいけないかなって思っちゃったよ?」

 

「HAHAHA!すまない、実の所、私も困惑しているからね」

 

 今オレ様がいるのは警視庁の応接室だ。俊典とオレ様が二人がけのソファに座って、机を挟んで正面に塚内直正って警部がいる。

 俊典はオレ様の事を塚内に「『個性』が『錬金術』の記憶喪失の少女が路頭に迷っていた」と説明したらしい。すごく無理やりな説明だと思ったが塚内は「そうかい。そりゃあ大変だったね」と流したそうだ。

 

 

「ま、裏があるような気はしないでもないけど君に限って後ろめたい事はしないはずだ。なんてったって『平和の象徴』だからね。特に根掘り葉掘りは聞かないでおくよ。後、処理が面倒くさそうなのもあるけど」

 

「助かるよ!あ、後これもよろしくお願いしていいかな?」

 

 俊典は持ってきた鞄からファイルを1つ取り出して机に置いた。

 

「ああ、faxのやつね。いいとも。そこまでめんどくさくないし。というか君がこういう手続きが下手なのは僕はよーく知ってる」

 

「いつもすまないね」

 

 塚内がファイル中のプリントを出した。んー、なになに?「養子縁組届」……?

 

「オイ俊典、どういうことだ!!」

 

 襟元を掴んでオレ様は俊典に凄んだ。まぁまぁ落ち着いて……?落ち着いてられるか!?どうしてお前とオレ様がお前の養子にならなきゃいけねぇんだよ!!身元保証人になって☆とは言ったが養子になるとは言ってねぇよ!!

 

「愉快なお子さんですねぇ」

「だろう?」

 

「いつオレ様が許可したんだ!!」

 

「だってこのままだと私も君もお縄にかかることになるぜ?なにせ不法滞在に誘拐犯(仮)だからね!身元保証人というよりかは養子になった方が探りを入れられる確率は低くなるんじゃないかな?」

 

 

 塚内によれば「カリオストロ」と呼ばれる少女の戸籍はどこにも存在せず、また『錬金術』という個性も日本の戸籍を洗ってみたがこれまたヒットしなかった。

 

 そんな彼女を警察が発見すればどうなるか?即逮捕とはならないだろうが、とりあえず事情聴取をされるなりなんなりと面倒なことが山盛りだ。だからこうしたというのだ。

 

「まぁついでに君への意趣返しというのもあるんだけどね。HAHAHA!!」

 

 してやったり、と俊典は勝ち誇っている。クソっ!オレ様としたことが……しかしこのままではオレ様は面倒な手続きを踏んで警察監視の元に動かなきゃならねぇ。

 仕方なくオレ様は了承した。

 

 

 

 

 

 その後名前が「八木 カリオストロ」では恐ろしく語感が悪いというオレ様たっての希望でとりあえずこの国に即した名前にすることにした。

 そういえばいつの間にかオレ様言語能力備わってたんだよな……。

 

 

「……開理 錬呼(かいり れんこ) 、でいいか」

 

「やっぱり『錬』は付けるんだね」

「この世界では名が個性を表してるみたいだからな。オレ様もそれに則ってみただけだ。まぁ私、開祖だし☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、私はなんで買い物に付き合わされているのだね?」

 

「私が可愛くなるためだよっ☆」

 

 私は塚内君の元で本人署名が必要な書類だけを片付けた後、カリオストロ少女と共にショッピングに来ていた。

 

 現在時刻は夕方五時。私はマッスルフォーム(カリオストロ少女たってのお願い)で彼女の服選びに付き合わせれているわけなのだが……視線が痛い。

 

「開理少女、これいつ終わるんだい?」

 

「違うよおじ様。カ リ オ ス ト ロ、でしょ?」

 

「シーっ!!おじ様なんて呼ぶんじゃありません!!」

 

「ん〜……じゃあパパ?」

 

 

 ニコッと微笑んだカリオストロ少女。私は不意に父性に目覚めそうになった。まだ結婚してすらいないというのに。

 

 あぁ、待て待つんだカリオストロ少女。そんな蠱惑的な瞳をコッチに向けないでくれ!!誘惑に負けてしまう!

 

 確かに私は君の養父になった!けど、断じて「カリオストロ少女超絶可愛い♡」とか思ったからじゃない。

 

 

 彼女に対するほんの意趣返しだ!下心なんてどこにもないぞ!本当だ!

 

 

 

 まずいな、このままでは彼女のペースに飲まれてしまう……。私は『平和の象徴』なのだ!!

 

 この程度の試練、いくらでも乗り越えてきたじゃないか。そうだ、思い出せ!思い出すんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 グラントリノにしごかれ、血反吐を拭ったあの時を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 お師匠と共に駆け抜けたあの日々を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 後輩達から向けられた羨望の眼差s「パパぁ、どうしたの?さっきからカリオストロの声を無視してさ」

 

 

 涙に濡れ、アメジストのようにキラキラと輝いた目が私のハートを捉えた。

 

「もしかして、カリオストロの事嫌いになっちゃったの?うぅ、しょんなぁ……☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後にオールマイトは取材でこう述べる。

 

 

 

 

 ──私の父性はもう、限界だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よぉ〜し!!パパ、カリオストロのために張り切っちゃうぞぉ!!」

「わぁ〜い☆パパ大好き〜!!」

 

 

 

 

 ──次の日のマスメディアはオールマイトの隠し子で持ち切りになったことは言うまでもないだろう。

 

 

 

 




お前がパパになるんだよ!!


この後二人は塚内君に大目玉を食らって、悪ノリし過ぎたと反省しました。

オールマイトがカリオストロを養子にしようと思ったのは臓器を勝手に治された辺りからです。

塚内君はオールマイトの報告文を苦笑いしながら読んでます。

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