不思議な行方不明の錬金術士   作:カエル帽子

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それとお知らせが一つあります。三月の最後の一週間と四月の最初の一週間、仕事と家の事情でSSが更新できない状態となります、ご容赦ください。


音楽の街ウィーレン いざ北の森へ!

「さてさてさーて、皆さん準備はよろしいですかい?」

 

「こちらは準備万端です。」

 

「私もいつでもいいわよ?」

 

クレアさんから正式に調査の依頼を受けてから三日後、街の北側の門の前で落ち合った俺達。コルネリアは仕込み手甲を、レオンさんは綺麗な槍を、そして俺は身の丈ほどの長さの杖を携えている。

 

「最初に会った時にも見たけど、コルネリアの武器は珍しいな。仕込み手甲だろ?それ。」

 

「よく知ってますね。大体の人達は知らないって言うですけど。」

 

「ただの偶然だよ。行商の人が仕込み手甲を売ってたのを見たことがあってね。」

 

最初に見たときは、何だこれ?って感じだったからなぁ。だいぶ印象に残ってたから、見てすぐに思い出せた。

 

「レオンさんの槍はすっごい綺麗というか、お洒落?」

 

「いい武器っていうのは美しさを兼ね備えているものよ?」

 

美しさかぁ。でも見かけ倒しとか見た目だけの代物もあったりしないだろうか?

 

「それと、珍しいって言うなら貴方の杖もそうなんじゃない?」

 

「そうかなぁ?」

 

レオンさんに言われて自分の杖を見てみる。

持ち手の部分は金属製で先端の部分には手の平サイズの宝石が付いており、叩いたりしても割れないよう、その周りにも金属の細い棒で丸くカバー。イメージは鳥籠って言えばわかりやすいか。ほら何もおかしくない。

 

「いや、待ちなさいよ。その宝石が杖の両端に付いてることが珍しいのよ。」

 

「ソフィーさんのは一つだけでしたし、何か理由でもあるです?」

 

そういうことね。錬金術師イコール杖イコール後衛みたいなイメージが二人にはあるんだろう。

 

「俺は確かに錬金術師だけど、棒術の心得もあるんだよ。だから錬金術が使えて尚且つ、武器として振り回すなら左右対称である方が扱いやすいんだ。」

 

師匠に錬金術を教えてもらった時に、同時に棒術も教えられた。周りに頼れる仲間がいるならともかく、一人の場合は自分で自分の身を守らなきゃいけないと、護身のためにやらされたのだ。あー叩かれた時はめっちゃ痛かったなぁ。ついでに池に放り込まれたり、土に埋められたり、懐かしいなぁ。

 

「マナスさん?何処か遠い目をしてますが大丈夫です?」

 

「ん、問題ないぞ。ちょっと昔を思い出しただけだから。」

 

「大丈夫なら、そろそろ行きましょう?もたもたしてたらアイツが何処かに飛んでっちゃうわよ?」

 

おっと、おしゃべりしすぎたか。

 

「そうだな。そんじゃま、出発だ!」

 

「「おー!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道中襲いかかってくるモンスター達をあしらいながら森を進む。コルネリアもレオンさんも物凄く戦い慣れていた。

 

コルネリアは素早い動きで相手を翻弄しながら手甲とその中に仕込んだアイテムで戦うスタイル。

レオンさんは戦いに置いても一挙一動が華麗で、それなのに無駄の無い動き。まるで舞踏をみているようだ。

二人のおかげで錬金術やアイテムを使うのが物凄く楽でホント助かる。一人の時はこうはいかないからなぁ。

 

ちなみに俺の基本スタイルは遠い敵には遠慮無く爆弾を投げつけ、近づいてきた相手に対しては棒術で対応し、体勢を崩した所に作った爆弾等をプレゼントする感じだ。あくまでも棒術は護身用、自分は錬金術師なのである。

 

しばらく進んでいくと、問題の場所が見えてきた。

 

「これが問題の霧ね。」

 

「確かにこれでは進行方向なんて、わからなくなってしまうです。」

 

森の奥地へと続く道、その途中から白い霧が立ち込めていた。二、三メートルも見えれば充分なぐらいの濃さで、これじゃあ真っ直ぐ進めてるかどうかなんてわからないよねぇ。

 

「それで、マナスはこれをどうする気?」

 

「とりあえずはーっと。これだな。」

 

鞄から対霧ように作った試作品4号を取り出す。

 

「それは...爆弾です?」

 

「そうだね。爆弾だけど、殺傷力はほとんど無いやつ。爆発すると風が吹き荒れるだけの代物だよ。近くにいたらぶっ飛ばされるかもしれないけど。」

 

今回作ったのは風の爆弾『ルフトアイゼン』のレシピをちょっといじったものなので、威力というか風の勢いはかなりある。霧の範囲とかその辺がわからなかったので、とりあえず今回はこれを用意してきたけど、たぶんいけそうだな。

 

「あぁそれと、二人にこれを先に飲んでいて欲しいんだ。」

 

そう言って二人に液体の入った小瓶を渡す。

 

「これはなんです?」

 

「それは鱗粉の影響を抑えるための薬だ。飲んだあと数時間ぐらいなら粉を多く吸っても問題なく動けるはずだ。」

 

もう少し時間と材料があれば、もっと効果のあるやつを作れたかもしれないけど、まぁ仕方ない。

 

「それなら遠慮無くいただくわ。あら、甘いわね。」

 

「一応だれでも飲めるようにはしてあるからな。」

 

「助かりますです。苦いのはちょっと苦手なので。」

 

俺も一本飲んでおかなきゃ。二人とも飲んだのを確認したら瓶を回収。ポイ捨てはやめましょうね?

 

「それじゃ、実験してみようか。」

 

二人には俺の後ろに下がってもらった。さてさてどーなるかなぁっと。

 

「大きく振りかぶって...おーこらカラーボールbaaaaan!!」

 

 

 

 

 

 

 

勢いよく投げた爆弾は霧の中に突っ込んでいき、カチッと何かに当たった瞬間、

 

ゴオウッ!!!

 

「ぐおっ!?」

 

「わぷっ!?」

 

「くうっ!?」

 

とてつもない風の衝撃が飛んできた。遠くには投げたので吹き飛ばされはしなかったけど、これはもうちょい威力は下げるべきだったなぁ。

 

「す、すごい突風なのです。飛ばされるかと思いました。」

 

「ちょっと!?もう少し弱くはならなかったの!?」

 

二人とも風で乱れた髪を直しながらのコメント。いや、これでも少しは威力抑えてはいるんだよ?

 

「あはは...これでも最初作ったのよりかは威力少ないんだよねぇ。」

 

「えぇ...。」

 

改良してるとはいえ元は爆弾。最初のなんて小さいけど地面抉れたからなぁ。それ考えれば実験は大成功なんだけど。

 

「あのぅ。」

 

と、ここでコルネリアから声がかけられる。

 

「投げる前に実験と言ってたですけど、もしかしてそれ試してなかったです?」

 

「マナス?」

 

「...さぁ!霧も無くなったことだし進もうかぁ!」

 

「あ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

レオンさんからの視線をガン無視して歩きだす。霧もさっきので無くなったみたいだし、さっさと行こうじゃないさ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の奥地は少し入りくんではいたものの、進むこと自体は問題なかった。そうして進んでいくと木々があまり無く、青い空が見える拓けた場所にでた。どうやらここが最奥地っぽいな。

 

「一番奥に来たっぽいですが...。」

 

「肝心のモンスターがいないわね。ハズレだったかしら?」

 

「いや、そうでもなさそうだ。」

 

ちょっと進んでいくと舞い上がる土埃。杖に少し力をこめて錬金術で風を起こすと、土埃に混じってキラキラのなにかも舞い上がる。

 

「街で見たのと一緒です。」

 

「じゃあやっぱりマナスの予想は間違ってな...うん?」

 

変に途中で言葉を切るレオンさん。俺もコルネリアもすぐに言葉を切った理由を把握し得物を構える。

 

バサッ、バサッ、

 

何かが羽ばたいてる音が俺の耳にも届く。でも遠い。何処だ?何処に?

 

バサッ、バサッ、

 

だんだんと近づいてきてる。でもまだ姿が見えない。警戒を続けていると、視界にチラッと光る粉が見えて...!

 

「上かっ!そぉい!」

 

「キュオオオオオオンンン!?」

 

音の発生源から、勘でさっきの爆弾を放り投げてみると大当たりだ。巨大な何かが地面に落ちてくる、が。ソイツは地面にぶつかる寸前で背中の鮮やかな赤、橙、黄の四枚の羽を羽ばたかせ体勢を整える。

 

「キュオオオオオオオ!!!」

 

そうしてこちらに向き直った全長四メートル程な『蛾』のモンスターは辺りにキラキラの鱗粉を撒き散らしながら戦闘体勢になっていた。

 

「これが街の人達を苦しめた元凶で間違いなさそうですね!」

 

「あちらさんはやる気満々ね、もちろん私もやる気満々だけど!」

 

「街の皆もそうだが、ここにいる『皆』も困ってるんだ。悪いけど退治させてもらうぞ!」

 

 

 

 

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