また順次更新していくので、どうぞよろしくお願いします!
家の事情で初海外に行っていたのですが、言葉が通じないってやっぱ辛いッスね。
森で今回の騒動の元凶だったモンスターを倒した俺達は、倒した証明として羽を持ってクレアさんの元へと帰った。
「皆さんご無事でよかった!モンスターの方はどうでしたか?」
「バッチリ討伐してきたよ。これが証拠品。」
クレアさんにモンスターの羽が見えるよう袋の口を緩めて見せる。下手な衝撃を与えると鱗粉が舞うのでそっとだけれど。
「綺麗な模様ね...それで、これはどうするのかしら?」
「一枚はお医者さんの所へ。成分を調べれば今後の薬作りにも役立つ筈です。残りは自分が持ち帰ります。錬金術の素材として面白そうなので。」
「面白そう...?」
「はい、面白そうです!ふっふっふっ、いつか夢見た七色に光る宝石とかのレシピに使えそうで創作意欲マシマシって感じなのですよ!」ワクワク!
「マナスさん...?」
「はっ!?コホン...と、すいません。これはまた後で考えるとして、まだ異変は全部解決してないんですよね。」
やべーやべー。まだ見ぬレシピと調合の事を考えてたら熱が入っちまった。と、それよりも説明しなきゃ。
「どういうことかしら?」
「確かに元凶は潰したけど、だからと言って今までに街と周辺に積もった鱗粉までは消えてないってことです。大通りならまだしも、風が通らない所は積もったままでしょうから。」
人の手が届かない所って結構あるからなぁ。背が高い建物多いから、二階部分の壁とか看板等の装飾部分とかなぁ。
「なるほどです。そしたらどうするです?一つ一つ回るには、ウィーレンは広すぎますよ?」
「それについては案はあるんですけど。ただ、街全体ってなると規模が大きすぎてどうしたもんかなと。」
「とりあえず、その案というものをお聞かせもらえますか?」
「俺の案は、雨を降らすことです。放っておいても時期に降るとは思うんですけど、なるべく早い方がいい気もするので。」
「雨で全部洗い流しちゃいましょうってワケね。なかなかいいアイデアじゃない。」
「でも街全体を包むほどの物、錬金術で作るにしても、とてつもない量になっちゃうですよ?」
賛成してくれるレオンさん。そこへコルネリアからの発言。俺が気にしてる所をピタリと当ててきた。
「そこなんだよね。レシピ自体は大体纏まってるんだけど、規模が大きすぎるのがネックでなぁ。」
風で全部吹き飛ばすってのも考えたんだけど、それやると鱗粉どころか洗濯物から落ちてるゴミとかまで巻き込みそうだったからやめたんだよね。すぐにできる一番楽な方法だったんだが仕方ないね。
「あのー、発言よろしくて?」
「遠慮なくどうぞ。」
どうするかなぁ、と頭を捻っているとクレアさんが手を挙げる。こういう時は考え続けても思いつかないので、意見を出してくれるのはありがたい。
「無理に街全てに降らせる必要は無いのではなくて?例えば、いくつかのエリアに区分けして雨を降らせるとか?」
「「「それだっ!」」」
というわけで街を大きく9分割して、時間を合わせて同時に雨を降らせるという計画が出来上がる。俺は計画が纏まった、その日の内に行動開始。
必要なのは雨を降らせる物と、それを空に打ち上げる物の二つ。
とはいえ、材料はクレアさんとコルネリア商会の力で足りない分はすぐに用意できた。調合に関しては特に失敗することなく、両方とも時間をかけずに一個ずつ作ることができた。
打ち上げる方のは、霧をぶっ飛ばした非殺傷のルフトアイゼンを参考に、それよりも弱い威力のルフトを改良した爆弾を火薬代わりにした環境に優しい小型大砲だ。
ちなみに名前は『小型大砲』。そのまんまだ。
雨を降らす方のは大量の水を必要としたけど、これも二人から人材派遣してくれたおかげで調合に集中できた。
命名『雨降らしの種』
凝った名前を付けたかったけどダメだったわ。
そして作ったものはコルネリアの錬金術でいくつか増やしてもらった。
街に来たばかりの時に、コルネリアの錬金術について話を聞いていたんだが、なんとびっくり。人工的に出来た物であるなら全く同じもの、つまりは『複製』ができる、とのこと。
一般人なら、そこまで価値が見いだせないコルネリアの錬金術だが、俺達のような物を作る錬金術師なら話は別だ。なんせ同じものを大量に使い回さなきゃならないからなぁ。特に中和剤やインゴット系統はよく使うから、ホントに助かる。今回の戦いでも使った爆弾を補充してくれたしね。金はしっかりととられたけど。
ただ、コルネリアの錬金術は大きな代償があった。それが錬金術を使い過ぎると背が縮むという、ちょっと洒落にならないもの。少しすれば元に戻るらしいのだが、やり過ぎると元に戻らないという。一瞬コルネリア人形なんて頭に思い浮かんでしまったのは内緒の話。
まぁともかく、俺が作るのと同時にコルネリアにも複製してもらい、実験もして大丈夫なのを確認したのち、九セット用意することができた。
そして計画実行当日。クレアさんから、お触れを出してもらい、街の皆には計画実行の時間である正午には外に出ないようにしてもらった。これで安心して作戦ができる。
そうして九つに分かれたエリアの一角。このエリアの担当として俺は作戦の時間を今か今かと待っているわけなのだが。
「打ち上げるの楽しみね♪」
「いやなんでいるんですレオンさん。」
なぜか見学に来たレオンさんと一緒にいる。ちなみにコルネリアは別エリアの担当だ。
「なに?見たらダメなの?」
「そんなことは無いけど、仕事はどうしたんです?コンサートの開催までに服を作らなきゃいけないんじゃないの?」
俺達が準備をしてる間に、倒れた歌手の人も回復していたので、レオンさんには本来の自分の仕事をしてもらっていたのだ。元々彼女がここに来たのはそのためだったわけだし。
「心配はいらないわよ。ちょうどイメージが固まったところだったし。それに貴方に調合をお願いするかもしれないから、予め伝えておこうと思ったのよ。」
「そういうことね。それで何を作れば?」
「服を作る布を用意して欲しいのよ。量とかは後日改めて依頼しにいくわ。」
「りょうかいっと。さて、そろそろ時間かな?」
懐から懐中時計を取り出し確認すると、残り三分を切っていたので、すぐに爆弾に点火できるよう準備する。
「お、もうすぐなのね!なんかドキドキしてきたわ!」
「俺もドキドキしてきたわ。これはちゃんと実験したから不発なんてことはないんだけどね。あ、レオンさんもうちょい離れて。」
とはいえやはり不安はあるが、まぁその時はその時だ。
時計は秒読み体制カウント10秒前。
「カウント10.9....」
ここでふざけていいなら、ヒャア我慢できねぇ0ダァ!たかやるんだけどなぁ。
「3!」
「2!」
「1!」
ゴーン!ゴーン!
「点火ぁ!」
正午を知らせる鐘の音が鳴り響くと同時に、俺は導火線に火を付けて大砲から離れる。そして、
ドンッ!
という爆発音と共に『雨降らしの種』が勢いよく空へ。
「ぴかぴかに光ってろよぉ~。」
「いやどうやっても星にはならないわよね?」
的確な突っ込みをスルーしつつ、少しの間、空を見上げていると頬に水滴が一つ。と思ったら一気に雨が降ってくる。空は青いのに雨が降るってのは中々見ない光景だよね。こういうの天気雨って言うんだっけか?
「あはは!不思議な光景ね!」
目の前のレオンさんも、この光景を楽しんでいた。キリがよかったというより気分転換的なのがしたかったのかもしれないな。
なにはともあれ、これでようやく、今回の異変は解決したわけだ。今まで頑張った分、しばらくは街に留まってゆっくりしようかなぁ。