不思議な行方不明の錬金術士   作:カエル帽子

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ドーモ=カエル帽子デス。

新たに評価とお気に入り登録をしてくれた方々ありがとうございます!まさか評価バーに色が付くとは思わなかった。これからも楽しんでいただけたら嬉しいです。

話を先に進めるために少々駆け足となっております。ご了承ください。



音楽の街ウィーレン 別れがあれば出会いもある

異変解決から暫くが経った。雨を降らしたあの日から、体に異常が起きたという人が新たに出ることは無かったみたい。念のために薬を作ってはいたけれど、何も起きないなら、それが一番だ。

 

街の異変が解決したことで、街も徐々に活気が戻ってきた。道を歩けば何処からかピアノの音が耳に入り、広場にでて見ればバイオリンやらトランペットの演奏会が。なるほど、音楽の都と呼ばれる理由がわかった気がする。

 

町長...クレアさんのお父さんも復活したことで、延期されていた各行事も順次行われるようになった。

その中でも最大のイベントであるコンサートに、異変解決のお礼として俺達はお呼ばれされた。それも舞台の真正面という特等席で。折角のお誘いだし、本場のコンサートなんて今後見る機会なんてほとんど無いと思ったから二つ返事で了承したが、そのあとですぐ後悔することになった。

 

当日は『ドレスコード』があったのだ。今の服装で入るのは駄目だと言われ、クレアさんが服を用意してくれたわけなのだが、ド田舎育ちの俺はそういった服を着たことなんて無く。メイドさんに手伝ってもらいながら着させられて、レオンさんに顔が赤いなどと弄られてめっちゃ恥ずかしかった。

 

それともう一つ。コンサート前に街の異変を解決した恩人として俺達は舞台に上げられたのだ。この話は直前まで伏せられていたので俺達三人揃って驚いた。スタッフの誘導に流され、あれよあれよという間に舞台へと上がる。

見渡す限りの人ヒトひと。無数の瞳が一斉に自分に向いたあの瞬間、心臓が止まったんじゃないかと思う。いや止まってたと思う。

 

でも、大変だったのはこの後だった。司会役である町長さんに何か一言と求められたのだ。いやいや、こんなド田舎育ちのチキンハート野郎に何を求めるのかと。

ここはドレスコード経験者なレオンさんか、組織のボスであるコルネリアに任せた方がいいと思い、二人に声をかけようとしたら、いつ打ち合わせたのか知らんが、二人揃って一歩後ろに下がったのだ。

 

舞台に上がった俺達は三人並んで立っていた。そして二人が揃って一歩下がるということは、俺が二人の前に立っているわけで。

 

「それではマナスさん、一言どうぞ。」

 

と、いうことになる。

 

(ごめんなさいね、ここは任せるわ!)

 

(ふぁいと、おー!です。)

 

目でそんな感じのことを言っていたが、俺はとにかく叫びたかった。

 

(裏切り者おおぉぉぉぉぉぉ!!!!!)

 

結局。あの場で俺は何を言ったのか全く覚えていない。二人に聞いても、

 

「まぁ...よかったんじゃない?」

 

とか曖昧な言葉で濁されるばかり。なぁ頼むよ。俺はあの場で一体何を言ったの?ねぇ、ねぇってば!?

 

あぁ、コンサートはちゃんと聞きました。オーケストラはとても迫力があったし、歌手の人の歌は惹かれるものがあった。今まで触れなかった音楽という分野に初めて興味が沸いた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてコンサートが終わって数日も経たない内に、レオンさんとの別れの時が来た。

 

「もう行っちゃうの?」

 

「えぇ。いろいろあったとはいえ、ちょっと長居しすぎた方ね。もう行かないと次の依頼に間に合わなくなっちゃうわ。」

 

一つ仕事を終えたと思えば、すぐに街から街への移動とか、レオンさんも大変だなぁ。

 

「どうかお元気で。旅の無事を祈ります。」

 

「そっちもね。商売がうまくいくよう祈ってるわ。」

 

「はいです。」

 

レオンさんとコルネリアが握手を交わす。そして今度は俺に差し出される手。

 

「マナス、貴方との時間もなかなか楽しかったわ。ソフィーと早く会えるといいわね。」

 

「あぁ。ありがとうよ。そっちも気をつけてな。」

 

握手していた手が離れ、馬車に乗り込むレオンさん。馬車が動き出す直前に覗き窓の所からレオンさんが顔をだす。

 

「それじゃあね二人とも!また何処かで会いましょう!」

 

レオンさんを乗せた馬車は門をくぐり抜け遠ざかる。見えなくなるまで俺達は手を振り続けた。

 

「行っちまったな。」

 

「そうですね...マナスさんはこれからどうするんです?」

 

「暫くは此処に留まろうと思ってるよ。もう少し音楽の都を満喫したい。あと一応まだ異変の影響がホントに無くなってるか調査しておきたい。」

 

街中は大丈夫のようだが、外の影響がちょっと心配だ。

魔物の生態系とか崩れてなきゃいいけど。俺みたいな目に遭うやつがでないよう気をつけないとな。

 

「わかりました。もし人手が必要なら言ってください。採取にしても調査にしても大変だと思うので。」

 

「助かるよ。そっちもこれから頑張れよ。」

 

「もちろんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月日は巡る。と言っても二ヶ月しか経ってないけど。俺は錬金術師としてクレアさんから回ってきた依頼をこなす日々を過ごしていた。

依頼内容は日用品や薬が多いけども、時々、楽器製作や修理のための道具なんかもあった。

あのコンサート以降、音楽に興味が沸いていたため、渡りに船という状況だった。おかげさまで楽器にも結構詳しくなったし。今度クレアさんにいらない楽器もらってみようかなぁ。

 

今日も今日とて調合調合。ただ、ここ最近ちょっと困ったことがある。釜をかき混ぜながらチラッと窓を見る。

 

「...!」サッ

 

俺が顔を向けると窓から顔を隠す子供。じっと見続けていると、そろそろ~っと顔を出して俺と視線があったと思えばまた隠れる。三日前に気づいて以来、全く同じ時間に現れるのだ。まぁ害も何も無いんで放ってはいるけど、気にはなるんだよねぇ。

そろそろ何か声をかけるべきかなぁ、とか考えてみた次の日。

 

「...!」サッ

 

「...?」

 

分身してました。

 

 

 

 

 

 

嘘です冗談です。いつもの男の子と、初めて見る女の子がいた。ただ男の子と違って隠れようとはせず、俺と少しばかりにらめっこ。そしてすぐに男の子に無理やり肩を押されて窓から消える。またちょっとして窓を見ると、これまた同じように男の子が隠れて、女の子は後からゆっくり隠れる。その光景に思わず笑いがこみ上げてきた。

 

「くすくす...あ、やべ。」

 

ちょっと子供達に気を取られすぎて、釜がめっちゃグツグツいっていた。とにかく中和剤入れねぇと!確か中和剤は何処だっけ!?探してるうちに釜からの音がグツグツからボコボコに変わり、

 

「あーダメだなこれ(笑)」

 

ボォォォォン!!!

 

言い終わった瞬間、釜が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たはー。参った参った。」

 

結局この日は部屋の片付けと、爆発したことで駆けつけてくれたご近所の皆様に謝罪とお礼で一日の時間を使い果たした。次の日の朝イチで材料集めをして、すぐに調合に取りかかったので依頼の期日はなんとか守ることができた。いやぁ危なかった。

 

さて、これで依頼は一段落したので、そろそろ手を打つとしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

「離せぇ!」

 

「はなせー。」

 

捕獲してみた。

 

 

 

 

 

言葉で表してみると、やべー案件だけど、ちゃんとご近所さんには説明したから偉い人に捕まったりとかは起きないからね?

子供達がいつも来る一時間前辺りから、俺は自分のアトリエを監視していた。あんぱんをかじり、ミルクをちびちび飲んでいると例の子供達がやってくる。そしていつものように俺のアトリエを窓から覗きこんでいた。

 

そこへ気づかれないよう近づいて背後を取る。すると女の子がいきなり俺の方に振り向いた。まじか、気配消すの本気でやってるから気づかれないと思ったんだが、この子何者よ?

ただ、不思議なことに女の子は最初こそ驚いたものの、あとは特に何も騒ぐこともなく、ただ俺を見ているだけだった。ま、まぁ変に騒がれないだけ良しとする。

こうなると気になるのが男の子の反応だ。さて、どんな反応してくれるだろうか。

未だに俺に気づかない男の子の脇の下に手を突っ込み、一気に持ち上げる。

 

「わっ!?」

 

「よし、捕獲。」

 

突然持ち上げられて何が起きたのか理解出来て無いようだ。とりあえずこのままアトリエの中に運ぶとするか。

 

「離せぇ!お前も手伝えよ!」

 

「はなせ~。」

 

男の子は本気で暴れようとしてるので、ちょっと持ってるのが辛いんだけど、それより女の子。満面の笑みで、俺に引っ付いてきたが、力は全く入ってない。この子完全にこの状況を楽しんでやがる。

 

「すまないがドア開けてくれないか?」

 

「いいよ~。」

 

両手が塞がってるので女の子に頼んだら間延びした声で快く引き受けてくれた。

本気で暴れる気の強い男の子に天然なのかマイペースなだけなのかわからない女の子。

 

また暫くは、退屈しなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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