名前 マナス.アウフヴァッヘン
年 1話の時点で18歳
格好 黒のズボンに深緑のコートのようなものを羽織
る。
ベルトを巻いてそこに薬品等を引っ掻けてい
る。
ズボンもコートもポケットが多くついておりい
ろんなものを詰め込めるようになっている。
師匠が用意してくれた一品。
親と共に自分の生まれ故郷に帰る途中、魔物に襲われ、一人生き残ってしまった男の子。
キルヘン.ベルでは両親といる時間と同じぐらいソフィーとソフィーのおばあちゃんと一緒にいる時間があり、錬金術の考え方もソフィーのおばあちゃんの影響が大きい。
モニカやオスカーも含めて、街の人達からは『いつもの四人組』などと呼ばれていた。
歩き続けて3000里、ではないけれど。『師匠』の元を離れてから数年間。ようやっとたどり着いた。まだ距離はあるけれど、街のシンボルとも言える教会の鐘がある塔がここからでもよく見える。
「キルヘン.ベル。懐かしいな。」
緑があふれ、教会の鐘が響き渡る小さな街。幼い頃にソフィー達と過ごした俺の第2の故郷だ。
行き交う行商人達の中に混じって俺も街中へ入っていく。街に入るための大きな門、カフェや八百屋さん等お店が建ち並ぶメインストリート、さっきも言ったが街のシンボルでもある教会と噴水広場。いやぁホント懐かしい。たまに街の人の視線を感じたが今はスルー。今はどーしても優先すべきことがあるので、挨拶はまた後で。
広場を通って街の外れへと向かう。街の高台に続く階段を一段、また一段と登っていく。幼い頃に何度ここを登り降りしたことか。昔は少々苦労したが、今はまったく感じない。俺も成長してるということか。
階段を登りきり、少し歩いていくと、趣ある木造建築の家が見えてきた。そう、ここがソフィーの家、ソフィーのおばあちゃんのアトリエだ。
ちょっと振り替えって街の方を見てみる。ここは高台にあるので街を一望できるのだ。
「...変わらないね。」
街で一番大きな教会を中心に建ち並ぶ色とりどりの屋根。昔とほとんど変わらない景色がそこにあった。
「...。」
いつまでも景色をみてるわけにはいかないのでソフィーの家に向かう。扉の前に立ってノックをする...手が止まる。訳ありだったとはいえ何年も連絡一つせずにいたので、なんて顔をして二人に会えばいいんだろうか。
「まぁあれだ。なるようになるしかないか。」
コンコン
「...。」
んー?そういえばやけに静かすぎるな。どっか出掛けてたりすんのかな。タイミングまずったか?どうするか、先に街の方を巡ってみるべき?宿の確保のほうが先か...?
「すみません。今この家の主は留守なので誰もいませんよ?」
この後の予定を考えていると後ろから声をかけられた。
「あぁ知ってる。今ノックして反応が無かったからな...っ!?」
振り返って声の主を見やる。雰囲気からしてわかる良家の娘というイメージ。とても綺麗な金髪ロングヘアーの髪に整った顔には眼鏡がかかっている。。服は白い履き物に緑の礼服のようなものを着て、腰には細剣が。
でも何より俺が驚いた理由は、眼鏡をかけていても、その顔に幼馴染の面影をみたからだ。
「...?あの、私の顔になにか?」
俺が驚いてるのを見て首を傾げる彼女。あちらはまだわかっていない様子。俺はわかったのにちょっと寂しい。
ただ名乗っても面白くないので自分で気づいてもらうとしよう。
「いや、そうじゃなくてな。振り向いてみたら目の前に知った顔があったから驚いただけだ。」
「私達、会ったことあります?」
「あぁ、もちろんあるぞ、『モニカ.エルメンライヒ』さん。」
「私の名前...。うーん...。」
結構深く悩み始めたモニカさん。なんか悲しくなってきた。いやね、さすがに8年も会ってないから忘れられてるーとかも考えたけどさ。流石に幼馴染に忘れられるのはどうかと思うのですよ。
「やれやれ、俺の事忘れられてるなんて。皆の『お兄ちゃん』としては悲しい限りなのですよ~ぐすん。」
「えっ!?」
俺の『お兄ちゃん』発言にモニカの顔がもう一度俺に向いた。そして、その口から俺の名前が飛び出した。
「もしかして...マナス、なの?」
「ふふん、おうとも。『マナス.アウフヴァッヘン』地獄の底から舞い戻ってやったぜ!」
「はい、どーぞ。ソフィーほど上手くはできないけど。」
「いやいや、淹れてもらえるだけでもありがてぇよ...うん美味しい。」
モニカに自分の正体を明かしたら、思考がまとまらなかったのか少し思案したのち、
「とりあえず、中に入って落ち着きましょうか。」
という提案が飛んできたので、ソフィーの家でモニカに紅茶を淹れてもらっている。
「さて、と。久しぶりだなモニカ。元気だったか?」
「元気だったか?じゃないわよ!皆、貴方の村が無くなったって聞いて、死んじゃったって思われてたのよ!?私もその...貴方がとても生きてるとは思えなくて!」
「あははっ!確かになぁ。俺としてもよく生きてたと思うよ。悪運だけは強いマナスってのが、いよいよ証明されてきたな。」
「もう!そういうことじゃないのよ!」
声を荒らげるモニカ。うん、それだけ俺の事心配してくれてたんだな。まぁ今は落ち着いてもらおう。おちおち話も聞けやしないし。
「どうどう、紅茶でも飲んで落ち着きなよ。あぁそうだ。俺が作ったクッキー食べる?」
モニカは確かお菓子が好きだったはず。ならばコイツで機嫌が治るはず!
「む、いただくわ...あら、美味しい。」
「クッキー作りだけならソフィーに負けない自信がある。」
なんせソフィーにお菓子作りで負けたくないがために師匠達に無理やりゴホン、お願いして試作品を作っては食べてもらってたからな!
「なんでクッキーだけなのよ...ふー、少し落ち着いた。」
紅茶を飲んで一息ついたモニカに、俺は此処に来てからずっと気になってたことを聞いてみる。
「ところでモニカ。ソフィーとおばあちゃんが留守ってどっかに出掛けてるのか?」
「あ、そっか。貴方はまだ知らなかったのね。そうね、とりあえずまずは、ソフィーのおばあちゃんの事についてかしら。その、ソフィーのおばあちゃんはもう...。」
「え?」
教会の裏手の森にて。
「おばあちゃん。訳ありだったとはいえ、来るのが遅くなっちゃってごめんなさい。モニカから話を聞くまで、俺なにも知らなくて。
ソフィーには、いつか必ず直接会って、自分の無事を知らせたいと思います。どうか安らかにお眠りください。」
「...。」
ソフィーの家で俺のいなかった間に起きたことを簡単にだけど説明してもらった。
ソフィーのおばあちゃんの死亡。
一人で錬金術を始めたソフィー。
不思議な本のプラフタ。
知識の大釜とルアードという錬金術師。
公認錬金術師になるために旅に出たソフィーとプラフタ。
まぁ正直信じられないような話ばかりだけど、モニカが嘘をつくことなんてほとんど無いから全て本当なんだろう。俺も錬金術師だ、錬金術の不思議な可能性は師匠見ていてよくわかるし。
「もういいのかしら?」
「あぁ、いつまでもここにいるわけにはいかんからな。というかおばあちゃんに追い返されそうだ。」
おばあちゃんがもういなかった事はショックだったけど、立ち止まるわけにはいかない。それにソフィーに会いに行くっていう目的は変わらないしな。
「ふふ、そうかもしれないわね。そういえば街の皆にはもう会ったの?」
「いんや、まだ。最初にソフィーの家にまっすぐ向かってたからな。誰とも会ってないんだ。」
「そうなの。それなら私もついていっていいかしら?」
「ん?そりゃあ構わねぇけど、教会の手伝いとかしてるんだろ?」
俺の挨拶回りに付いてきてくれるのは結構助かるけど、大丈夫なのだろうか?
「それなら問題ないわ。元々、今日はソフィーの家の管理で一日お休みにしてもらってるから。」
「なるほど。確かにモニカに任せておけば全然問題はないわな。」
昔っからしっかりものだったモニカだ。ソフィーもモニカだから家を任せたんだろう。
「それに、私だって貴方の話もっと聞きたいし。」
「そうだな、俺も皆の話もっと聞きたいしな。」
「それじゃ、いきましょうか。どこから回る?」
「じゃあメインストリートから。通ったときに視線を感じたし。」
主に八百屋さんの方面から視線を感じたので、まずはそこからかな。