さてさて、メクレットとアトミナの話ですが、オリジナル要素入ってます、それでも良い方つづきをどうぞ。
「なるほど、そういう見方もあるか。やっぱり自分以外の錬金術師の人達の話には新しい発見がいっぱいだな。」
俺が始めた小さなお茶会はソフィー達の話から始まり、二人の旅路、そしてソフィーとの再会、弟子のフィリスという子の話に続き、今は錬金術師談義へと移っていたのだが、さすが500年近くを生きる人だ。話が弾む弾む。
「それはこっちも同じことさ。ほぼ独学みたいなものだろうに、よくやってこれたね?」
「んー、独学というかまぁ錬金術師の人に話を聞きまくった結果というか助けられてきた結果というか。まず俺一人だけじゃ、そこな『エリアルブーツ』だって作れなかっただろうし。俺だけだったら、ここまでやってこれなかったよ。」
東に錬金術師あれば足を運び、西に錬金術師あれば走って向かい、とにかくいろんな人と接してきたし、何度も助けられた。皆がいなかったら、ここまで錬金術も上達なんかしなかったと思ってる。
「ふふっ。その辺りは謙虚なのね。でも、もう少し胸を張ってもいいんじゃないかしら?」
「うんうん。確かに最初は助けられたり、手伝ってもらったりはしたかもしれない。でも、その経験を生かしてきたのは紛れもなくキミ自身だ。それは自信を持って良いことだとボクは思うよ。」
「俺は事実を述べているだけなんだが...まぁうん、そう言ってくれると嬉しいかな。」
依頼で礼を言われることはあれど、錬金術を誉められるのはいつ以来だろうか?
師匠に言われた時ぐらいだし、7年は前か。
なんだかんだで随分と時間が経ったもんだな。今頃師匠達は何処を旅してるかな。
「ねぇメクレット...?」
「うん、わかってるよアトミナ。マナス、もう少し雑談もしていたいところだけど本題に入ってもいいかい?」
「ん、あぁもちろんだ。頼みごとなら可能な範囲で引き受けてやるよ。」
ホントはまだまだ二人の話を聞いていたかったが仕方ない。
さて、お仕事モードに切り替えましょうかね。
「ありがとう。キミにはいくつか作ってもらいたいものがあるんだ。」
そう言ってメクレットは俺に何枚か紙を渡してきた。恐らくはレシピなんだろうが、開けて読んでみる。
えっと、なになに...。ふむ、確かに出来なくはなさそう、かな?
「あのブーツを作れるキミなら作れるハズだ。頼めるかい?」
「まぁ、大丈夫だとは思う。でも時間はくれよ?パッと見でも、いろいろと作ったり材料も用意しないと厳しいのはわかったし。」
「それを見ただけでレシピの構想が浮かぶなんて、さすがはソフィーのお兄さんね。」
「あくまでも大雑把な予想だ。こっからちゃんと骨組み立てて考えていかないと。あとお兄さんだからってのは違うんじゃねぇか?」
ソフィーと一緒におばあちゃんの錬金術を見てたってのはあるけど、だからと言ってその褒め方はなんか違う気がする。
「ああ、時間は気にしなくていいよ。ボクらもいろいろと準備しなきゃいけないからね。」
「準備?そういやこれ、何に使うつもりなんだ?」
「それは秘密。出来上がったら教えてあげてもいいわよ?」
道具の使い道が気になったので聞いてみると、アトミナがどこか挑戦的な顔でそんなことを言ってきやがった。そういう風に言われると、何が何でもやってやろうと思うよね。安い挑発だが受けてやろう。
「お、言ったな?絶対教えてもらうからな、待ってろよ?」
「えぇ待ってるわ。」
「それじゃボクらはそろそろ行くよ、紅茶とクッキーご馳走さま。」
「どっちも美味しかったわよ。」
そう言って外へ出ていく二人。あ、肝心なこと聞き忘れたわ。
「ちょっと待った!」
「ん?どうしたんだい?」
「クッキーなんだけど、ソフィーの作ったお菓子とどっちが美味しかった?」
そういや一年前に会ってるんなら、お菓子食べるタイミングもあったはず。どうしてもこれだけは、はっきりさせておきたい。
「それ、ワタシ達を呼び止めてまで聞くことなのかしら。」
「当ったり前じゃん、何もおかしいことなんかないぜ。」
「えぇ...。」
どこか呆れた表情のアトミナ。なんでそんな顔をされなきゃならんのか、ちょっとわかりませんね?
「まぁまぁアトミナ。ボクらも人形の体だから普通の人と感じ方は違うけど、そうだね...ボクはソフィーの方が上だと思うな。」
「クッキーが美味しかったのは本当だけど、どっちかと言われたらソフィーかしらね。」
な、なんだと!?レヴィさんともいい勝負が出来たクッキーなのに、これでもソフィーに勝てない、だと!?
「...ふ。」
「「ふ?」」
「フハハハハハッッッ!!!いいだろう!いいだろう!今度こそソフィーよりも美味いクッキーを作って見せるぅぅぅぅぅ!!!!」
そうとなれば早速レシピの見直しだ!やってやんよぉぉぉぉぉ!!!
「ねぇメクレット。彼に頼んで大丈夫だったかしら?」
「腕は確かだし、大丈夫じゃないかな...たぶん。」
そして年月は流れ、てはいないな。せいぜい三週間が経った頃。奴らがまた現れた。
「やぁ。そろそろ出来上がった頃だと思ってきたんだけど、どうだい?」
「それがまだできてねぇんだよなぁ...クッキーのレシピ。」
結構考えてはいるんだけど、どうにも思い付かないんだよなぁ。変にレシピいじると味が完全に変わっちゃうしなー。
「いや、そっちはいいから。ワタシ達が頼んだ方の物はどう?」
え、違う?むー、俺としてはこっちの方が大事なんだが、しかたない。
「ああ、それなら出来てるぞ。ちょっと待ってな~。」
依頼品用に用意したボックスの中から頼まれた三つの道具を取り出す。
「ほら、この三つだ。出来は悪くないと思うけど...どうだ?」
「ふむ...うん。問題は無いかな。ありがとう、助かったよ。」
よかった。さすがに初めて作る物だったから良し悪しがわからなかったけど、問題は無かったようで一安心。
「これが依頼の報酬よ、受け取って。」
「確かにもらったぜ。それで、コイツらは何に使うのさ?」
「これは...そうだね、実際に見てもらう方が早いか。マナスは今時間あるかい?」
「あぁ問題ないぞ?」
「それじゃあついてきて。」
「あ、待って待って。ちょっと準備させてくれ!」
慌てて鞄やらメモ帳やらを引っ張りだして俺は二人の後を追った。
二人に案内されるがままに付いていくと、一つの建家に案内された。
「さ、中に入ろうか。」
メクレットに促され中に入ってみると、俺と同じぐらいの背丈の大きな釜が部屋の中央にあり、そのままだと中身をかき混ぜることができないため、そのための足場が組まれており、横にはかき混ぜる用の大きな杖、さらに床には魔方陣っぽいものが書き込まれていた。
「なぁにこれぇ。」
「あはは、確かに普通ならここまでしなくても問題はないからねぇ。気持ちはわかるよ。」
思わず口にでてしまった言葉にメクレットがフォローしてくれた。でもこれは誰だって言いたくはなる。
「それで、これは何かの儀式場か?」
「違うわ。やるのは錬金術よ。ちょっと大がかりで特殊なんだけど。えっとね...。」
二人がいろいろと説明してくれたが、説明は長ったらししくなるのでカット。とりあえず今からする錬金術に必要だということさえわかってればいいだろう。
「それじゃ、早速始めようか。」
「えぇ、わかったわ。マナスはそこにいてちょうだい。」
「あいあいさー。」
二人の邪魔にならないよう、部屋の隅に置いてあった椅子に座る。
さて、二人の錬金術をゆっくり観察しましょーか。
始まった二人の錬金術。さすが五百年近くを生きるだけあって手際がいい。素材を入れる順番にも迷いは無いし、釜の温度調節もしっかりしてる。
「後はかき混ぜるだけだね。温度は任せるよアトミナ。」
「えぇ、わかったわ。」
どうやら後はかき混ぜる作業のようだ。やはり二人いると作業効率いいよなぁ。
しかしメクレットとアトミナ、二人が並んでいる所を見ると我が弟子達を思い出す。
『トウカー!そこのやつ取ってくれない!?』
『むー今トウカちゃんはパンを食べるのに忙しいのだ~。』
『いや俺は手が離せないから...ってなんか釜が変!?』
『おぉ~見事にボコボコ言ってますなぁ、退避たいひ~。』
『ちょ、おまっ!?』
ドッゴオォォォン!
『...ゲホッ。』
『アレンく~ん、死んでる~?』
『生きてるわっ!何で死んでるって聞いてくるんだよ!?』
『あははっ、アレン君顔が真っ黒~(笑)』
『聞けよっ!?』
あいつら元気かなー。もう一年は経ったし釜を爆発させたりはしてないだろうな?あー考え始めると気になってくるな。今度手紙でも送ってみようか。
ミシッ
「ん?」
弟子達のことを考えていたら急に変な音が聞こえてきた。錬金術で発生するような音じゃ無いし、どこから?
ミシッ
また聞こえた。音はどうにもメクレット達のところからだ。なんか嫌な予感がする。二人に一端止めてもらうか?と考えているうちに事態は動いてしまった。
ミシミシミシミシィィィ!!!!
足場として組んでいた木材が折れて、一気に崩れだす。もちろん上にいたメクレット達も落ちてしまう...のだが。
「わっ!?」
「きゃっ!?」
ザッパーン!!!
「ちょ!?」
二人が落ちた先はなんと釜の中だった!え、え!?どうしよ!?さすがにこんな状況は初めてで、どーしたらいいかわからんぞ!?
ボコボコボコボコ!!!!
音だけ聞こえてきてるけど超やばい、早く逃げないとマズイけど、二人を置いてくわけにもいかず、そうこうしてるうちに、
「ボコボコボコボコボコボコボコボコッッッッ!!!!!!」
「あーあれだ...爆発しますッ!!!」
ドッゴオォォォン!!!!
一瞬にして視界が真っ白になり、俺の意識はそこで途絶えた。
書いてたら思ってたより長くなったので、もう1話だけ続きます。