不思議な行方不明の錬金術士   作:カエル帽子

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メクレット、アトミナ編の続きです。

※caution!こーしょん!

リディー&スールにおけるネタバレが発生します。これからプレイする方は今すぐにブラウザバックを推奨するのです!


告げられる今代の『風詠み人』 ※ネタバレ有り注意!

「...っ!」

 

何だ?体が揺れてる。

 

「...ろっ!」

 

む?誰かいるっぽい?でももうちょい寝かせてくれよな。

 

「マナス!起きろっ!」

 

「うぉっ!?」

 

誰かに近くで大声をだされて意識が覚醒した。

 

「ぐぉぉぉ...耳元で叫ぶんじゃねぇよ!?」

 

「仕方がないだろう、起きる気配が無かったんだから。これで起きなきゃフラムを叩きつけるところだったんだけど。」

 

「...まぁ起こしてくれてありがとうよ。」

 

目の前にいるのは銀髪で黄色い瞳の少年だ。しかもイケメン、滅べ。じゃなくて通りすがりだろうか?

まぁいい、とりあえずまずは状況整理か。周囲をぐるっと見渡してみる。

青い空に白い雲。風が吹いて気持ちいい。つまりはそういうことだ。え、わからない?家というか小屋というかが倒壊してるということだ。ってそういえば二人はどこいった?まさかまだ埋まってるんじゃ...!?

 

「なぁおい!俺以外に二人ほど見なかったか!?」

 

「いや?倒れてたのはぼく達だけ...あぁそうか。君は多分勘違いをしているね。」

 

「勘違いだぁ?」

 

「うん、勘違い。だって此処には初めからぼく達しかいなかったじゃないか。」

 

ん、ん?コイツは何を言ってるのか。初めからってどう見ても初対面だろうに。

 

「うん、なに言ってるんだコイツ。と言いたいのはわかるよ、だから自己紹介しようか。ぼくは...うん、ルアードだ。」

 

「...はい?」

 

いやちょっと待て。ルアードはメクレットとアトミナ二人合わせた人間の名前だろうに...ん?そういやさっき、『初めからぼく達しかいなかった』と言ったか。何で最初から俺達が此処にいることがわかってる?そこから考えられる結論は。

「...合体した?」

 

「表現的には間違ってないとは思うけど、せめて元に戻ったと言ってほしいかな。ぼくは物か何かかい?」

 

「悪い悪い。とはいえ突然の出来事すぎて、ちゃんと受け入れるのにはもう少し時間が欲しいところだ。」

 

だってなぁ、錬金術失敗したら人形が人間になりました~なんて普通あり得んでしょーに。まぁ普通あり得ないの『普通』をぶっ壊すのが錬金術って代物なんですけどね。

 

「ま、仕方ないか。かくいう自分も結構とまどっているしね。君の無事も確認出来たことだし、とりあえず、だ。」

 

ルアードは俺の様子を見て問題が無いのを確認した後立ち上がり、周囲を見渡す。

 

「片付けから始めよう、君も手伝ってくれるかい?」

 

「しゃあねーな、やってやんよ。」

 

ルアードから差し出された手を取って立ち上がる。あーあー見事に倒壊してやがる。大きな瓦礫に木材や道具の破片、これはこのまま素手で触るのはちと危ないか。

 

「ルアード、一旦離れるぞ。」

 

「ん?あぁわかった。」

 

現場からちょっと離れた所に移動して、無事だった異次元鞄から杖を取り出す。

 

「何をする気だい?」

 

「このままだと小さな破片とかも刺さって危ないから、そういうのだけ先に巻き上げる。」

 

さて集中。自分の周囲の風とつながる感覚。よしいける。

 

「集え、世界を巡る優しき風よ。」

 

今回は力加減がミソだ。弱すぎず強すぎず、そして散らかさず。

 

「我が求めに応えたまえ!」

 

杖の宝玉を碧に輝かせ、小さな竜巻を瓦礫の包むように召喚。小さな物や塵芥を巻き上げていく、これで後は竜巻を別の所に移動してゆっくりと解除。竜巻が消えた所には塵芥や小さな何かの破片の山が出来上がる。うん、パーペキってやつかな。

 

「へぇ、見事なものだね。」

 

「まぁね、風の錬金術には力を入れてるからこれぐらいは。ほら、掃除を始めようぜ。夕方まで終わらなくなる。」

 

「ああ、そうだね。」

 

こうして始まる大掃除。あ、道具は俺の鞄の中から出しました。今までの旅で、いろいろと詰め込んでいるからな。

瓦礫を運んで、木材をへし折り、時には二人で持ち、片している時にふと思う。

 

あのとんでもな爆発音で街の人達は驚いたりしてないんだろうか?

 

確かに街の外ではあれど、聞こえない距離じゃないと思うしなぁ。後で街の人達にも確認してみるか。不安がってるかもしれないし。

次はあの石を運ぶか、そうして手を伸ばして、

 

『さっき向こうの方で音がしなかったか?』

 

『あぁ、聞いた聞いた。爆発音っぽいよな。』

 

『魔物の仕業?だとしたら怖いわぁ。誰か見てきてくれないかしらぁ?』

 

「うぉっ!?誰!?」

 

掴もうとした瞬間に俺の耳にいきなり誰かの声が届く。すぐに周囲を見渡せど、いるのはルアード少年、後は風が吹いただけだ。

 

「今、変なこと考えなかったかい?」

 

「まっさかぁ?なぁルアードは今の声聞いたか?」

 

「声?ここにはぼく達以外に誰もいないだろう?」

 

「いやそうなんだけどさ。うーん?」

 

「...ふむ。」

 

ルアードに聞くと何も聞いてないと言う。でもさっきのを聞き間違いとか気のせいで済ませるには、ちょっとなぁ。はっきりと聞こえたのに何でルアードは聞こえなかったのか。わからん。

 

それから声は聞こえることはなく、なんとか瓦礫の処理は終わった。中にあったルアードの私物もいくつか回収は出来たけど、ほとんどはダメになっていた。

 

「元々期待はしていなかったから問題はない。むしろ大丈夫な物があっただけ喜ぶべきだ。」

 

ほとんど無くなったことを嘆くかと思ったが、そこまでショックではないらしい。いや、この場合は諦めに近いか?

 

「そういえば、さっき声が聞こえたとか言っていたね?」

 

「ん?あぁうん。爆発音はなんだったのか?って不安がる声だったな。」

 

「なるほど。声を聞いた時、他に何か感じなかったかい?」

 

「他?んーいや特には。せいぜい風が吹いていたぐらいだろう?」

 

「風か...可能性はありそうか。」

 

一人で考え始めたルアード。なんだか心当たりがありそうだ。

 

「君は『風詠み人』というのを知ってるかい?」

 

んぉ?まさかルアードの口からその単語を聞くことになるとは。あぁでも逆か、ルアードだからこそ知ってて当然なのか。

 

「あぁ、知ってるぜ。少し前に『風詠み人』の遺跡を見てきたばっかりだ。確か『風の声を聞き、民を導く』とかってやつだろ?」

 

カルドさんと一緒に調査した時を思い出す。あの後も少し調べてはみたものの、カルドさんから聞いた以上のことはわからなかったのよな。

 

「そのとおり。マナス、もしかすると君は今代の『風詠み人』かもしれない。」

 

「...はい?」

 

俺が風詠み人?一体全体何の冗談よ?

 

「ぼくも直接『風詠み人』と会ったのは二人だけだったけど、さっきの状況を鑑みるに、風が『声を運んできた』んだろうね。」

 

「風が声を運ぶ?風にも明確な意識があるってのか?」

 

「ある、と思いたいところかな。でも君程の錬金術師なら『素材の声』についても知っているだろう?そこにある木や、採取した草花達が願いを持っているのなら、風にだってそういうのがあっても不思議では無いんじゃないかな?」

 

「...確かにな。言われてみると納得できる話だ。でも、そうだとして何であのタイミングで俺に声が届いたんだ?」

 

ルアードの説明に俺は頷くしかない。でもそうなると今度はどうして運んでくれたのか、が問題だ。俺は特にお願いしたわけでもないのに。

 

「ぼくが会った『風詠み人』は風に語りかけるタイプだったが...君はあの瞬間に何か考えたりしたかい?」

 

「あの時は確か...あ、そうだ。あの爆発音が街の人達の所まで聞こえてたりするのかなーって思ってたぞ。」

 

街に戻ったら警備の人か誰かに話そうとは思ってたけど...まさか。

 

「たぶんそれかもしれないね。君の思いに風が応えてくれたのかも。ふふっ、君はだいぶ風に好かれているようだ。」

 

「うーん、そういうものか?」

 

「断言はできないけれど、状況証拠から考えられる結論はこんな所だろう。」

 

思いがけず『風詠み人』の情報が舞い込んできた。他にも知ってることがありそうだし、もっと聞かせてほしい、と頼んでみる。

 

「ああ、話をするぐらいなら構わない、構わないんだが、一つボクの頼みを聞いてくれないかい?」

 

「頼み?叶えられる範囲でなら大丈夫だぞ?」

 

「そう難しい問題じゃないんだが...。」

どうにも歯切れが悪いルアード。次の言葉をまっていると、ゆっくりと口を開いた。

 

「...ぼくをキミの所にしばらく置いてもらえないだろうか?」

 

「...あーそうか。爆発しちまったもんな。」

 

ついさっき片付けたばかりだし。あれ、ということはルアードって今はほぼ無一文な状況か?

 

「今日だけでもいい、明日以降は自分でどうにかする。何か要求があれば後払いにはなってしまうが必ず応えよう。...どうだろうか?」

 

「いいぞ。」

 

「そうか、やっぱりいきなりこんな頼みっていいのかい!?」

 

「構いやしねぇよ。何なら1日と言わず、ある程度の道具が揃うまではいてくれて構わないさ。」

 

「ぼくとしては嬉しい限りだが、それだと今度はぼくの気が収まらなくなる。」

 

「んー、そうだ!それならルアード、錬金術を教えてくれよ。」

 

「なんだって?」

 

「ほら、俺って師匠の所を離れてからは一人でやってきたからさ、結構効率が悪いことやってたりするかもしれないんだよね。そうゆうの教えてくれる人がいなくてさ。悪い条件じゃないでしょ?」

 

「...くくっ、あはははははは!!!!」

 

俺の提案を聞いた途端、急に笑い始めたルアード。どこかおかしな所あったかな?

 

「君はボクを誰だと思ってるんだい?私利私欲のために世界を滅ぼそうとして、君の大事な人達を傷つけたヤツだぞ?それでもそんな頼みごとをキミはぼくにするのかい?」

 

「ああ。するよ。ルアードは充分に信用に値する人物だと思ってる。」

 

そりゃあ出会って一ヶ月も経ってはいないけれど。それでもルアードが話に聞いた力に溺れた時のような悪人では無いことは感じ取れた。

それに何より、錬金術の爆発で気絶してた俺のことを診ていてくれた、この事実があれば充分だ。

 

「...やれやれ、君達は本当にお人好しだな。いいだろう、少しの間だけ先生役を引き受けよう。ただし、教えるからには泣き言は許さないからね?」

 

「え?その辺はお手柔らかに頼みたいんだけども?」

 

「うん、却下だ。」

 

「なんでさっ!?」

 

こうして、しばらくの間ルアードがウチに住むことになりました。あぁでも指導は優しくしてほしいなぁ。師匠みたいなスパルタはもうこりごりなんだよぉ!

 

 

 

 

 




と、いうわけでメクレット、アトミナ編というよりはルアード復活編でした。
リディー&スールでは大がかりな錬金術の事故、としか語られていなかったのでこんな形でまとめてみました。

さて、次ですが、変態おじさんか超一流の大天才錬金術師の話になると思います。
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