不思議な行方不明の錬金術士   作:カエル帽子

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ごめんなさい、タイトルいいやつ思いつかなかったんです(泣)

今回はフィリスのアトリエ内で一番お気にいりのキャラのご登場!お気にいりすぎて難産になってしまった。

お気に入り登録してくれた方ありがとうございます!こんな気まぐれSSですが、どうぞよろしくお願いいたします。


今をときめく、超一流の大天才錬金術士

「うーん...。」

 

絵の世界の探検からはや1ヶ月、いろいろと『ネージュ』さんについて自分なりに調べてみたものの、あまり有益な情報は入ってこなかった。

そもそも、今でさえ錬金術師という存在自体が珍しいのだ。それがずっとずっと前の時代の人物となれば、そんじょそこらで簡単に見つかる方がおかしいのである。

やっぱり大きな図書館とかでないとわからんか。

しかし俺が知ってる大きな街で情報が集まりそうなのは『ヴァイスラーク』か『ライゼンベルグ』、あとは可能性として『フルスハイム』辺り...?

 

でもなぁ、今から来た道戻りであそこまで戻るってのもあまり現実的ではない。いや、空飛べるから帰ろうと思えば帰れるけどさ。

まぁ無理に調べる内容でもない。もしかしたら、これから訪れる場所に調べられるとこが見つかるかもしれんし、この件は行き当たりばったりでいこうという結論に落ち着いた。

 

で、だ。俺が今、何に困ってるのかというと。

 

「どうしたらもっと道具を簡単に取り出せるかねぇ。」

 

実はさっき、山道を歩いていたら結構な数の魔物と遭遇して、ちょっとばかし危ない状況になったのだ。

幸い、棒術で無理やり隙を作って鞄から爆弾を取り出し殲滅したけど、親分的な奴にコートの右手部分を破かれたのが辛い。あ、ケガはなかったよ?というか、これ以上に右手に傷痕ついてたまるか。

 

師匠がくれた中身異次元、重力すら無視するわけわからんトンデモ仕様の錬金術師ご用達鞄だけど、中から物を取り出す間は致命的な隙だ。

仲間がいれば時間を稼いでくれそうだが、生憎と俺は一人旅、自分で何とかしなければならないのである。

 

「なんかこう、名前出したらポンっ!って手の平に乗せられないかなぁ。」

 

これでもあちこち旅してきた身の上だ。それなりに珍しい素材はコンテナの中に貯まっているので、後はアイデア勝負...だと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、悩んではいても歩みを止めるわけではなく、『風詠み』で人のいる方へ進んでいたら、馬車で移動中の行商に会い、有益な情報を得ることができた。

なんでも、これから進む先にある街には同業者である錬金術師が住んでいるとのこと。

ただ、若い金髪の女の子ということでソフィーでは無いようだ。ちっ、ぬか喜びさせやがって!

だが同業者の話を聞くのはいい刺激になるので、とりあえず会いに行こう。

変人でないことを祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

というわけでやってきました噂の錬金術師のアトリエっ!どんな方なのか早速、突撃してみたいと思いますっ!

 

「それでは失礼して...ん?」

 

ドアノブを開けようとしたところ、何かプレートのようなものがかかっているのに気づいた。書いてある文字は『close』。タイミングをミスったか?

だがこれが『open』になってたらなってたで、客でいっぱいになりそうなので結局入れない気もする。

よし、迷惑なのはわかっているが入るとするか。

 

「すみませーん!錬金術師の方いらっしゃいますかー?」

 

居れば御の字いなけりゃ聞き込み。果たして結果はいかほどか。

 

「今、手が離せないから勝手に入っていいわよー!」

 

居てくれたか、よかった。家主の許可も得たので遠慮なくぅ。

 

「ではでは、お邪魔しますよ~っと。」

 

家の中に入っての第一印象は、お洒落。本棚や錬金術の道具は綺麗に整頓され、尚且つ所々に可愛いぬいぐるみが置いてある。

特にヒヨコのぬいぐるみが多いような気がするが、まぁいいや。

ソフィーの奴は昔から整頓はできないからなぁ。さすがに多少はできるようになっていると願いたいが、実際はどうなのやら。

 

「悪いわね、見ての通り調合中で手が離せないのよ。このまま要件を聞かせてくれるかしら?」

 

釜の中身をかき回しながら、こちらを一切見ずに返答してきた金髪の女の子。おそらくは年下かな?

頭には明るい紫と白の大きなストライプのリボンをつけていて、服装もなかなかにお洒落。実はいいとこのお嬢さんなのでは?なんて思ったり。

 

「あぁ特別な用事は無いんだ。ただ同業者さんがいると聞いて、ちょっと見学したくて。」

 

「ふーん、なるほどね。まぁ見るのは構わないけど今忙しいのよ?これ作ったら魔物討伐にも行かなきゃ行けないし。」

 

「魔物討伐?」

 

「ええ、ここ最近、近くの山道で魔物がたくさん出たって話があってね。これ以上、通行人に被害が出ない内にどうにかしておきたいのよ。」

 

「近くの山道...。」

 

んー?なんか身に覚えのある話ですなぁ。主に右手が疼く...はいごめんなさいふざけました。

 

「そういうことだから、貴方に構っていられる時間は無いのよ。」

 

釜をかき混ぜながら答える女の子。いまだ視線はこちらを見ず。集中している証拠よな。

 

「なぁ、その山道ってのは街の東側にあるやつだよな?」

 

「えぇ、そうよ?」

 

「俺さ、その山道を通ってここに来たんだけどさ。」

 

「ふーん...ん?」

 

「結構な数の魔物に襲われて、全部返り討ちにしてやったけどさ。」

 

「アナタ、これが出来上がるまで待ってなさい。そこの椅子使って構わないわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっとできた!悪かったわね待たせちゃって...ってあなたケガしてるじゃない!」

 

「ん?...あぁ。」

 

あれから一時間。ただ待ってるのも退屈なので本棚の本を物色していると、ようやく終わったようで、今日初めて俺を見る女の子。

その視線は俺の右腕に。魔物に上着の右腕部分を千切られたせいで包帯部分がバッチリと見えてしまっている。

 

「コイツは子供の頃の時の古傷だから、薬はいらねぇよ。」

 

「そうなの?でも服がボロボロね...。」

 

「まぁ服や物も壊れる時は壊れる。また作り直せばいいさ。」

 

この上着、というか羽織か?師匠が錬金術で作ったもので気に入っていたのだが、もらった当時よりも体が大きくなり微妙にサイズが合わなくなってきた感はあった。

作り直すタイミングとしてはちょうどよかったのかもしれない。

 

「決めたわ。その服、アタシが直すわ。」

 

「おいおい、別にそんなことしなくても」

 

「いいえ。アタシの対応が遅れたせいでこうなったんだから、それぐらいやらせてちょうだい。人を危険な事に巻き込んでおいて何もしないなんて、このままだとアタシはアタシ自身を許せなくなるわ。」

 

やんわりと断るつもりではあったんだが、女の子は俺の言葉をぶった切る。可愛い見た目に反して、なかなかに芯の強い子らしい。

その目を見るに、これは何を言っても引かない感じだなぁ。

 

「...わかったよ。どうせ近い内にいじるつもりでもいたしな。あぁでも俺の意見も取り入れてくれよ?」

 

「えぇもちろん。貴方がちゃんと満足できるものを作って上げるわ。今をときめく、超一流の大天才錬金術師、『イルメリア・フォン・ラインウェバー』に任せなさい!」

 

自信満々に胸を張り、高らかに宣言するイルメリア嬢。自分のことを大天才なんて呼ぶやつは初めて見たが、先程までの錬金術を見るに絶対の自信があるのだろう。

周りに積んであった本を何個か覗かせてもらったが、どれもページを何度もめくったのだろう、折り目がついていたり、手の跡があったり、付箋がついていたりとしていた。

この子の自信は間違いなく、今まで頑張ってきた努力や経験からきてる。大丈夫だ、この子なら間違いなく信用できる。

 

「と、いけないわね。まだ貴方の名前を聞いてなかったわ。」

 

「そういやそうだ。俺の名前は『マナス・アウフヴァッヘン』お前さん風に言うなら、さすらう風の錬金術師!ってところかな?」

 

「へぇ、貴方もなかなか言うじゃない!ん?マナス...どこかで聞いた名前ね?」

 

俺の名前を聞いて首を傾げるイルメリア。その疑問はごもっとも。俺も名前聞いたら思い出したわ。

人数多くてちゃんと全員の名前を覚えられなかったけど、『ラインウェバー』の名前は有名な錬金術師の家系で、ライゼンベルグにいた時によく耳にしていたから忘れなかった。

まぁこれも何回もしてるやり取りで焦らすのも疲れたし、もう答えだしちゃうか。

 

「たぶんソフィー辺りから聞いたんじゃねぇの?」

 

「ソフィーさん...そうよ!アナタ手紙の人じゃないっ!?」

 

あっ、あなたがあの...!っていう反応はわかるけど、まさか手紙の人とは...また変な呼ばれ方をされたなぁ俺。

 

 

 




と、いうわけで。今をときめく大天才錬金術師のイルメリア・フォン・ラインウェバーさんのご登場。
いやー可愛いですよねぇ。最初のエンディングは迷うことなくイルメリアを選びました。
リディー&スーもなぁ、なぜダウンロード仕様だったのぉ!?

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