今回は誰かの視点から見る、という形で書いてみました。
イルメリアのイメージはこんな感じだったと思う...!解釈不一致でしたらごめんなさいです。
お気に入り、評価、感想を入れてくれた方ありがとうございます!
こんなスローペースなSSですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
side イルメリア
最近、町の東側の山道で魔物が人を襲うことが増えてきて困っている、助けてほしい!と町長さんから頼まれたのが数日前のこと。
すぐにでも討伐に向かいたかったけど問題があった。
襲われてケガをした人達の中には、それなりに戦闘の経験のある人達もいたことだ。
まず死人がでなくてよかったと思う一方で、これはちゃんと準備しないと大ケガは免れないと思ったアタシは少し準備の時間が欲しいと町長さんに伝えた後、すぐに薬や爆弾の準備にとりかかった。
こういう時、フィリスがいてくれたら心強いんだけど・・・いや、今いないあの子の事を考えても意味はないか。今より状況が酷くなる前に準備を進めなきゃ。
そうして後もういくつか爆弾を作ろうと釜をかき混ぜていたところに一人の来訪者が現れた。
けど相手をしてる暇はない。追い返すってわけじゃないけど、時間が無いからお引き取りしてもらおうと魔物のことを伝えたら、その魔物達に襲われた上、全てを返り討ちにした、という返答がきたもんだから戸惑った。
とりあえず今作ってる物が出来上がるまで目を離すことができないので一時間ほど待ってもらうことにした。
そうして釜をかき混ぜること一時間。無事に完成したのを確認した後、待たせていたお客さんと話を始めたわけだけど・・・名前を聞いてあれっ?とは思ったけど、まさかソフィーさんの探し人だとは思わなかったわよ。
今でもはっきりと覚えてる。アタシたちが公認錬金術士となったあの日、手紙を握りしめて大泣きしたソフィーさんの姿を。
自分よりも年上の人が人目をはばからずに泣く姿はあまりにも衝撃的だった。まぁアタシよりもフィリスの方が大きかったかもしれない。
ソフィーさんにとって、それほどまでに大きな存在である『マナス』という人物。早い内に再会できることを祈ってはいたのだけど。
「まさかアタシの方が先に会うことになるなんてね。」
彼には服が出来上がるまで、この街に留まってもらうことになった。
さらには錬金術士として、街の人の依頼も手伝ってくれるという。依頼は大きいものから小さいものまで、いくらでもでてくるものなので、その申し出はありがたく受けることにした。
「よお、いらっしゃい。そこに座ってくれ。飲み物は紅茶でいいか?」
「ええ、大丈夫よ。ありがと。」
あれから二週間。マナスが元々どんな人なのか聞いていたのもあって、彼とはすぐに打ち解けた。
向こうもアタシの事知ってたみたいだし。今はマナスのアトリエテントにお邪魔しているところ。
あぁ、最初は『さん』付けで口調も丁寧にしてたんだけど、最初の時みたいに話してくれていいと言われたので呼び捨てでいつも通りにしゃべることになったわ。
「うーんと、あれ?茶葉どこ置いたっけ・・・あったあった、焦ったわ。」
ただ待ってるのもつまらないから、流し台の側でカチャカチャと準備しているマナスの背中を眺める。
彼の錬金術士としての腕は間違いなく一流ね、それもアタシと同じ努力家タイプの。
アトリエに置いてある今までの作った物の記録の本の数をみればよくわかる。
さすがにフィリスみたいな突飛な発想は持ち合わせてないようだけど、その分、一人旅でよく使う薬の類はすぐに作れるし、物の修理に関してはお手の物。
中でも風や空気が関わる物に対しての考え方はアタシよりも上ね。自分で風の錬金術士というだけのことはある。今度、少しばかり教えてもらおうかしら?
アタシは炎の錬金術に関してはそれなりに理解があると自負してる。そこに風の要素も加われば、さらに面白いことができそうね。
・・・ここまでは普通だった。そう、ここで終われば腕のいい錬金術師という評価で終わったのよ。問題は魔物と遭遇した時。
素材を集めに街から少し離れたところの森に行ってきたのだけど、今思い出してもちょっと信じられない光景よ。
アタシは完全な後衛タイプ、ドロッセルさんみたいに武器をぶんぶん振り回すような真似はできないから前衛はマナスに任せることになったのだけど、あなた本当に人なの?と疑いたくなったわ。
プ二のブレスは杖を前面で回して風を巻き起こして散らして見せた。
鳥型の敵は空に逃げた所をで飛び上がり、さらに上から杖で叩き伏せてみせた。自分の土俵のはずだった空から叩き落されるとは夢にも思わなかったでしょうね。
獣型の敵なんて、奇襲してきた連中を、最初から全部わかってたようにカウンター。杖を顔面に叩きつける。仕舞いには後ろから襲い掛かるやつに対して一切後ろを見ずに爆弾を放り投げて当てる始末。
なんで奇襲に気づけたのかと聞いてみたら、
『風が教えてくれるからだよ。』
なんて言われるし、まったくもってよくわからない。
つまり、アタシが何を言いたいのかというと。
「あぁ、これはソフィーさんの知り合いだわ。」
というのが、アタシのマナスへの評価だ。
「マナスは公認錬金術士にはならないのかしら?」
雑談に一区切りをつけた所で、気になっていたことを聞いてみた。
「公認ねぇ、俺は自分の錬金術で周りにいる誰かを笑顔にしたいだけ。そこに公認の肩書は関係ないだろ?」
もちろん、あって損するものじゃないのもわかるけどね、と付け加えて紅茶を飲む。
「・・・。」
「なんだ?なんか変なこと言ったか俺?」
「あぁ違うわ。アナタ所々で仕草が普段より奇麗というか上品というか、そういう所が見えるのよ。今の紅茶の飲み方もそう。」
本当に少しだけ、ふとした時に見えるその仕草は、貴族のような人達がするものだった。そう、アタシがまだ実家にいた頃に見た大人達の振る舞いに時々被って見えるのだ。
「あー、たぶん『ウィーレン』にいた時の影響だな。いろいろあってお偉いさん方と話をする機会が多かったからなぁ。無意識に染みついたのもあるかも。」
苦笑いをしながら、どこか遠い目をして話すマナス。今も、あいつ等俺を売りやがって、マジであの時何言ったかわかんねぇんだぞ、などなど呟いている。
どうやらまずいことを思い出させたようなので話を切り替えよう。
「脱線したから戻すわよ、公認錬金術士の資格だけど。アナタ自身はともかくとして、周りの人のが問題なのよ。」
アタシみたいに、ある程度マナスの事がわかってる人なら別にいいけど、錬金術をあまり知らずに公認錬金術士の資格があることを知ってる人の場合。
こうなると判断基準は資格を持ってるかどうか、という話になる。そうなると、どうしてもマナスの評価は資格を持ってる人と比べて下に見られてしまう。
それはマナスの実力を知ってるアタシとしては、ちょっと面白くない状況だ。なので、できれば公認の資格は持っていて欲しい。
・・・まぁ別の理由もあるけど。強いて言うなら、そっちの方が一番というか。
「なるほど。作った物に関わらず、俺の知らない所で悪口言われる可能性もあるか。」
「あくまで可能性よ。アナタの作った物を見れば、そんなこと言ってくる人なんていないでしょうけど。」
正直、そんな人はでてこないと思う。マナスの作る物は一般に出回ってる代物なんかより出来が全然違うし。逆に文句付けるやつを見てみたいわね。
「んー。でも俺自身は、それぐらい気にしないけどね。どうせやることは変わらないし。」
少しばかり考えた後、軽く笑ってカップに口をつける。考えても仕方ない、という結論がでたようだ。
とはいえ、話の流れ的にそうなりそうなのはわかってた。
だから、とっておきの言葉を用意してある。幼馴染であるオスカーさんの言葉が真実なら間違いなく動く。満を持して、言ってみましょうか。
「問題はソフィーさんがそれを聞い」
「それはダメだわ。」
「!?」
早っ!?というか怖っ!?今までの返しのの中でも一番早かったし、声のトーンまで下がったわよ!?
マナスはソフィーに対しては甘いから、大体ソフィーの名前出せば文句言いながらも動いてくれる。なんて言ってたけど、ここまでとは。
「うん、そうなると推薦状が三つ必要になるけど・・・前に会った公認錬金術士に頼んでみるか。そういや試験日には・・・まだ間に合うかな。最悪はエーデルさんに頼むのもあり・・・?」
いつの間にかメモ帳まで取りだして日程を調べ始めてる。なるほど、これは確かにオスカーさんの言うとおりだ。どこか『リアーネ』さんに近いものを感じる。
「なぁイルメリア。近くに二人ぐらい公認錬金術士に知り合いいるか?」
む、もしかしてアタシのこと忘れられてる?ここまで話したのに抜けてるところは抜けてるのね。
「目の前にいるアタシを誰だと思ってるの?」
「そりゃぁもちろんイルメリア・フォン・ラインウェバーだろ?・・・あ。」
どうやら気づいたみたいね。
「なったばかりではあるけど、アタシだって公認錬金術士なの。推薦状だって書けるけど、どうする?」
ま、答えは決まってるでしょうけどね。
「よろしくお願いします。」
「わかったわ。じゃ明日にでも課題を渡すから、それができたらあげるわね。」
課題なんてやらなくてもマナスの実力は充分なんだけど、だからといってタダであげるのも間違ってる気がするし。彼に見合った課題を考えましょ。
イルメリア編は次で終わりとなります。たぶんあっさりと終わります。自分的に次のお話に向かわせたいですし。
というより、このペースだとソフィー再会まで後どんだけ長くなるのか、という感じでして、えぇ。
もちろんワタクシのいたらなさが招いた結果ですともわかっていますごめんなさい。
タイミングは既に決めてますので、その時まで首をキリンよりも長くしてお待ちくださいませ。
次回は少し短めかもです。また、彼女の出番になるかもしれません、お楽しみに。