不思議な行方不明の錬金術士   作:カエル帽子

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どーも、買い物に行っただけで暑さにやられてダウンするカエル帽子です。

それでは今度こそ彼女のお話でございます。どうぞお楽しみくださいませ。

皆さんも熱中症にはお気をつけください。


それは、いつもの人助けの光景

side ソフィー

 

「ん~!風が気持ちいい!綺麗なところですね先生!」

 

「そうだね、日差しもちょうどいいかも。木陰があったらうっかり寝ちゃいそうだね。」

 

先頭を行くフィリスちゃんが声をあげる。この前までは荒野を歩いてたから、余計に空気が美味しく感じるのかも?

 

「それならここで一度休憩を・・・おや?」

 

「どうしたのプラフタ?」

 

何かを見つけたらしいプラフタ。その方向に視線を向けると数台の荷馬車が停まっていた。

 

「あれは行商の荷馬車のようですね。でも何か様子が変?」

 

「少し話を聞いてみようよリア姉?」

 

「お二人もよろしいですか?」

 

フィリスちゃんの言葉に対してリアーネさんが確認を取ってくる。

 

「うん、困ってるなら助けないとね。」

 

「私も問題ありません。」

 

「わかりました。」

 

皆が賛成したので荷馬車の所まで近づいてみる。やっぱり何かあったみたいで何人かの男の人が難しい顔をしている。あ、一人こっちに気づいたみたいで近づいてきた。

いかつい顔をした男の人だ、近くで見ると迫力あるなぁ。

 

「すみません、何かあったんですか?」

 

「んぁ?旅人か。いやなに、ちょっと魔物と鉢合わせてな。なんとかここまで撒くことはできたんだが、車輪がぶっ壊れちまったんだ。応急処置するにしても一日は此処で足止めだなぁ。」

 

なるほど、確かに一台、綺麗に後輪の部分が無くなっている。これじゃあとても移動なんてできない。

 

「ライルさん、どうですじゃ?」

 

「すまんなベルグさん、一日はここで足止めになっちまう。俺らを頼ってくれたってのに申し訳ねぇ。」

 

「お気になさらず。これぐらいのトラブルなんぞ若い内に何度も経験しておるわい。」

 

厳つい顔の人はライルさんと呼ばれ、後から現れたおじいさんはベルグさん。どことなくジェントルマンな雰囲気を持っている。

 

「その車輪が直ればいいんですか?」

 

「ん?まぁそうだな。車輪さえどうにかできれば、次の街までは持つとは思うが・・・。」

 

「それならアタシが直しますよ?」

 

「嬢ちゃんが?」

 

「先生はすっごい錬金術士ですから!大船に乗ったつもりで任してください!」

 

「うーん・・・。」

 

アタシ達の言葉に唸るライルさん。いきなり現れた見ず知らずの人に自分の大事な商売道具を預けるのは難しい話だよね。

 

「ほぅ、オヌシ達も錬金術士なのかい。ふむ・・・。」

 

と、そこへ錬金術士という言葉を聞いて、ベルグさんがじっとアタシの事を見つめてくる。なんだろう、何かアタシの顔に変なの付いてるのかな?そして何か納得したのか笑ってライルさんに声をかける。

 

「うむ、ライルさんや。任せてみてもええんじゃなかろうか?」

 

「む・・・わかった。どのみちこのままじゃどうしようもないんだ。嬢ちゃん達、頼めるかい?」

 

一瞬悩んだものの、ベルグさんの言葉にうなづくライルさん。

 

「ええ、お任せください。ばっちり直して見せますから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、どうぞ。大きさも元のを参考にしてるので大丈夫だとは思うんですけど・・・。」

 

「おぉ!ホントにできてやがる!形も歪じゃねえし、これなら一時間もあれば組み直せる!野郎共!すぐに直せ!」

 

「あいあいさー!」

 

砕けた車輪の破片といくつかの木材で、元の物となるべく同じように作ってみた。なるべく短い時間で作ったので不備が無いか確認もしてもらったけど、大丈夫そうでよかった。

 

「いやー疑って悪かったな嬢ちゃん達。俺らは錬金術士様とは縁が無かったもんでなぁ。」

 

「気にしないでください。知らない人がいても不思議じゃないですから。」

 

今までもいろんな場所に行ったけど、街に一人いればいい方なレベルだから、知らなくても無理はない。

 

「そう言ってもらえると助かるぜ。じゃ俺も荷馬車を見てくるわ。何かあったら声かけてくれや。」

 

どうもライルさんは、この団体のリーダーっぽい。アタシ達から離れてすぐに、あっちへこっちへ指示を出して回っている。

 

「そういえば、ベルグさんは錬金術士の人に会ったことがあるんですか?私たちが車輪を直すのをすぐに賛成してくれましたけど?」

 

「うむ、ここにあるいくつかの日用品は一人の若い錬金術士が作ってくれたものでな。孫が生まれたお祝いにとわざわざ用意してくれたのじゃよ。もっと材料があればいろいろと作れたんだけど、なんて言っておったが、絵のお礼も兼ねてるとはいえもらいすぎたくらいじゃ。」

 

へぇ、同じ錬金術士として、こういう話を聞くとちょっと嬉しく思う。同時に自分も負けてらんないなーなんてちっちゃな対抗心も、ふふっ。

 

「あとは、そうじゃな。赤髪のお前さん、ソフィーと言ったかのう?」

 

「はい、そうですよベルグさん。」

 

「オヌシは特にあやつに似ておるのでな。任してもよいと思ったのじゃ。これでも目利きには自信があるのでな、ほっほっ。」

 

アタシに似てる、かぁ。時間を割いて、いろんな品を作った若い錬金術師、ちょっと気になる。

もう少し、その人について聞こうとしたところでフィリスちゃんがら提案が飛んできた。

 

「ねぇ先生!わたし達も、お孫さんのために何か作ってあげませんか?」

 

「あ、うん!いいアイデアかも。さっすがフィリスちゃん!」

 

「えへへー!」

 

一応、荷馬車が動く所までは見ておきたいし。待ってる間に簡単な物ならできるかも。

 

「でも何を作ろうか?」

 

「ぬいぐるみとかどうでしょう?フィリスちゃんも昔はよく抱いて寝てましたし。」

 

「ちょ、ちょっとリア姉!?」

 

可愛いフィリスちゃんの昔話は今度聞くとして、ぬいぐるみ、ね。よし、すぐに取り掛かろう!

 

 

 

 

 

そして一時間が経って。

 

 

 

 

 

 

「でっきたー!」

 

即席だったから少し小さめだけど、お子さんが抱くにはちょうどいい大きさに仕上がったと思う。

 

「可愛いカメさんですね。触り心地もいいし、これなら気に入ってくれそうです。」

 

リアーネさんも褒めてくれたことだし、早速持っていこう。

 

 

 

 

 

「ベルグさん、アタシからもこれをどうぞ。お子さんに気に入っていただければいいんですけど・・・。」

 

「例え孫が気に入らずともワシらが大切にしますじゃ・・・おやこれは。」

 

ぬいぐるみを受け取ったベルグさんが少し驚いた顔をした。皆にも確認してもらったけど何かダメな所あったかな?

 

「問題でもありましたか?」

 

「いや、とても可愛いぬいぐるみじゃと思うてな、ありがとうよ。これはお礼じゃ。」

 

そう言って差し出されたのは少し変な形をした茶色い小瓶だ。具体的に言うと小さな翼が生えてる天使みたいな?

ラベルは張ってあるものの、劣化しすぎて何か書いてあっただろうに、なにか紙が貼ってある程度しかわからない。

 

「あ、ありがとうございます・・・これ、中身は何でしょう?」

 

「うむ、これはワシが若い時に旅人からもらったものでな。」

 

そうして語られたのは、珍しい物を探して街から街へと渡り歩く若いベルグさんの話。

 

蒐集癖があり、骨董品や絵画の話を聞くたびに実物を見に街を飛び出すような生活。

ある日、旅の途中で転落事故に合い、足の骨がとんでもないことになったことがあり、もう死ぬんだろうと思った所でに二人組の旅人が現れた。

痛みですぐに気を失ってしまったが、目が覚めたらベッドの上、物凄い脱力感はあれど何故かボロボロなはずの両足が治っている。

現状が全くわからずにいると、助けてくれただろう二人組の男女がいて、近くの街まで運んだことと足を治したことを説明された。

だが目覚めていきなりそんな説明なぞされても混乱するばかり。そして頭の整理がつかない内に彼らは、いくつかの薬を置いて名前も名乗らず出て行ってしまった。その後、彼らを探し回ってみたものの、ついぞ見つからなかった。

 

「これが、その時の薬というわけですか。」

 

「うむ、死にかけのワシを治した薬と同じ物と言うておった。結局、その後は危ない目には遭わずに生きることができて、これだけ残っておったのじゃ。」

 

「でも効果が本物なら、とんでもない代物ですよ!?さすがに受け取れないですって!」

 

「お主らはこれからも旅を続けるのだろう?ならば老い先短いワシなんぞよりも、お主らの方が有効活用してくれるじゃろうて。」

 

そう言ってベルグさんはアタシの手に薬の小瓶を握らせる。

 

「そこまで言ってくださるなら、大事にさせていただきます。」

 

お礼として受け取った薬の小瓶。一応、どんな成分で出来ているか調べてみるのもいいかもしれない。

できれば薬をくれた旅人の話も聞きたいけど、昔の話。聞いたところでどうしようもないか。

 

「おう、ここにいたか嬢ちゃん達!ベルグさんも!」

 

話している内に荷馬車も修理が終わったのかライルさんがやってくる。明るい声色と笑顔を見るに荷馬車の修理が終わったみたい。うまくいってよかったよかった。

 

「修理が終わったぜ。これで取引の時間に遅れないで済む。嬢ちゃん達のおかげだ、ありがとうよ。」

 

「いえいえ、困った時は助け合いですよ。」

 

「かぁ~!こんな優しい若者に会えるなんざ久しくねぇなぁ!もっと若い時に会ってたら惚れてたぜ嬢ちゃんよ!」

 

「ぴぇ!?」

 

突然のライルさんの言葉に変な声がでちゃったよ!?

 

「ちょっとライルさん!?先生には、ちゃんとお相手がいるんです!そういうこと言わないでください!」

 

フィリスちゃん!?アタシを守ろうとしてくれるのはわかるけど、何を言ってるのかな!?

 

「おぉ?そっかそっかぁ、ちゃんと青春してんだねぇ!」

 

玩具でも見つけたかのように楽しそうな顔をするライルさん。見た目に反して、だいぶいい性格をしているようだ。

 

「クハハ!安心せい、俺には、もったいないぐらい世界一大好きな女房がいるんでな!嬢ちゃんを取ったりなんかしねえよ!」

 

「当たり前です!」

 

いや、うん、気持ちは嬉しいけど。なんだろう、なんか違うような気もする。

 

「さて、もうちっと楽しみたかったが、そろそろ行かねえとな。ベルグさん、準備を頼むぜ。」

 

「了解じゃ、それではの。旅の無事を祈っておるぞい。」

 

「俺からもだ、よい旅を!」

 

「そちらもお気をつけて!」

 

準備を終え、走り出す荷馬車の姿に安心しながら手を振ってお別れ。

最後の方はちょっとからかわれたけど、楽しい人達だった。またどこかで会えたらいいな。

 

 

 

 

あ。ベルグさんにいろいろと物を作った若い錬金術士の話、聞きそびれっちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーむ。」

 

ソフィーさんからもらったカメのぬいぐるみじゃが、こうして『並べる』とよう似ておるなぁ。

小さいのはソフィーさんの物。大きい物は『ざわめきの森』を気に入ったのであろう、あの若者の物。

ワシらのためにいろいろと用意までしてくれた『あやつ』と何処か似たものを感じたが、二つのぬいぐるみを眺めていると、まるで兄妹のような、はたまた・・・。

 

「ほっほっほっ!ワシの目はまだまだ衰えてはおらぬらしいの。」

 

どうか若者達の未来が明るいものでありますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。

キャラが増えると、どうしても喋る人と喋らない人がでてきちゃうなぁ、んーむ難しい。

次回からは、またマナス側のお話です、残ってるのは傭兵のおっさんかな?あー後はロジーさん達をどうするか。
でもロジーさんキルヘン・ベルにいたわけですし、ここも会わせたいかも。

これからもきまぐれマイペースに進みますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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