ネルケのアトリエですが、人がたくさん増えてきて毎ターン皆に何を作ってもらうか考えるのに苦労してます。
なるべくキャラ崩壊みたいなのはしないようにしているつもりですが、キャラの言動等おかしかったりしないですよね?
さて、次は時計屋さん。この人の話は何をするか予め決めていたので、こんな形となりました。それでは続きをどうぞ。
「あーもうテス姉ったら!なんであんなこと言うかなぁ!まったくもう!」
久々に会ったテス姉は昔と変わらず俺をからかってきた。しかもソフィーのベッドの匂いとか洒落になってねぇっての!
「...随分と荒れてるわね。昔は一緒のベッドで寝たこともあったんでしょ?そこまで動揺しなくてもいいじゃない?」
「確かにあったけどさぁ...。流石に状況が違いすぎるだろ。俺だって一応健全な男子の部類だし?それになぁ。」
ソフィーの家でモニカと話をした時にいくつか写真を見せてもらった。そこに写っていたソフィーは昔の明るさはそのままに以前よりもずっと可愛くなっていたのだ。意識するなって言うほうが無理ってものである。
「はぁ~...。」
「まったくもう。ほら、しゃんとしなさいよ『お兄ちゃん』。次の所に着いたわよ。」
モニカの言葉に顔をあげると見えてきたのは時計屋の看板だ。ここの主人は元々は仕事熱心な時計職人だったのに、街を離れる時はサボり魔と化していた人物だ。でもソフィー達のおかげで元の真人間に戻ったらしいんだけど...実際に見てみないことには信じられないよね。
「すぅー...はぁー...。よし。気を取り直して次行ってみよー!」
からんころん
「失礼しまーす。」
店に入ると部屋のあちこちから、正確には壁にかかっている時計から、一定のリズムで刻まれているチクタクチクタクという音が耳に入ってくる。人の声が全くないこの空間は、まるで時に支配されたような感覚になる。子供の時に初めてここに入った時は、まさしく異世界に紛れ込んだように感じたものだ。
「ハロルさーん、いますかー?」
「...なんだモニカか。時計なら昨日見たばかりだろう。」
モニカの声に返答した声は、正面のカウンターではなく、奥の作業場から聞こえてきた。作業場を覗いてみると、机に向かって小さな時計をいじっている一人の男性の姿があった。
「うわっ、ホントに真面目に仕事してる。」
「なんだ、随分と口の悪い連れがいるな。友達は選んだ方がいいぞ。」
「ちょっとマナス!ごめんなさいハロルさん、作業中に。」
「あはは、ごめん思わず口にでちゃった。」
「マナスだと...?」
俺の名前を聞いて、ようやく作業を中断し顔をあげる時計屋の店主ハロルさん。昔はよくソフィーと俺の面倒を見てくれた人だ。今の印象はパッと見なんだか冴えない大人な感じだが、実は物凄く俺達のことを気にかけてくれる優しい人なのを俺達は知っている。それでもちゃんと仕事してる姿を見たのは衝撃的だったが。
おもむろに立ち上がり、俺に歩み寄るハロルさん。昔も思ったけど背が高いなぁ。
「ふむ...確かにマナスだ、久しぶりだな。」
「えぇ、ご無沙汰してますハロルさん。」
「...。」
「...。」
なんだこの無言の間は。めっちゃ気まずいんだけど。
「え?それだけ?なんかこう、もっと反応してくれてもいいじゃない?」
「なんだ、涙ながらに感動してむせび泣く姿が見たかったのか?」
「いや、そこまでやって欲しい訳じゃないけどさ。」
というかそんな姿のハロルさん全く想像できないわ。
「あぁそうだ。お前に一つ頼みがある。」
突然ハロルさんからお願いごとが飛んできた。まぁもちろん聞きましょう。できる範囲であるならば引き受けるし、恩返し的な意味でもやってあげたいし。
「ん、なんでしょうか?」
「ちょっとそっちの壁まで行って、こっち向いて立ってくれ。」
なんか予想してたお願い事となんか違うけど、まぁいいか。言われた通りに壁に背中をくっつけて気をつけの姿勢で立つ。
「えっと、こう、でいいの?」
「ああ、そしたら目を瞑ってくれ。俺が3つ数えるまでは目を開けるなよ?」
「えっ?ちょっとハロルさん?まさかアレをやる気なんです?」
「もちろんだ。」
ねぇアレって何かな?すっごい怖いんですけど。もう目を瞑ってるから二人がどんな顔をしてるかもわからないから余計に怖いんですけども。
「ちょっとなんか不穏な会話が聞こえたんですけどー!」
「安心しろ、気のせいだ。」
絶対に気のせいじゃ無いと思うんですけど。さっきから頭の中の警報器が鳴り響いていて困ってるんですけど!
「さて、それじゃあ始めるぞ。絶対に目を開けるなよ。」
「わーったよ。絶対に開けないっての。」
「それじゃやるぞ、いーち」
パァァァァン!!!
「ぐほぁ!?」
突然鳴った音と共に鳩尾になんか凄い勢いで当たってめっちゃ痛いぃぃぃ!!!!!
しばらく床をゴロゴロしたのち、ちょっと痛みが引いたのでハロルさんの方を見ると、銃を持っているハロルさんの姿が。なるほどあれで撃たれた訳ね。
「あの、マナスは大丈夫なの?」
「ゴム弾だ、死にはしない。」
「うぉぉぉぉ...めっちゃいてぇ...。でも一つ言わせてくれ。2と3はっ!?」
「そんな数字は知らないな。」
「さっき自分で3つ言ったよなアンタ!?」
3つ言うから心構え的な意味で備えようとしたら予想外の一撃だったよ!?物理的よりも精神的にかなりのダメージ入ったよ!
「ふん、皆を心配させた罰だ。ありがたく受け取っておけ。痛みが引いたら、さっさと次の所に行くんだな。俺もそろそろ作業に戻らないと間に合わなくなる。」
そう言って作業場に戻っていくハロルさん。むぅ、もう少しちゃんとした会話がしたかったんだがなぁ。でも仕事が忙しいのは本当みたい。さすがに仕事の邪魔になることはしたくないので今日のところは帰ることにする。
「もう動いても大丈夫なのマナス?」
「あぁ問題ない。邪魔にならないうちに次の所に行こうぜ。」
そう言って店の扉に手をかけて一時停止。伝え忘れたことがあったのでハロルさんに声を投げかける。
「あ、そうだハロルさん。俺しばらくソフィーの家にいるから、何か必要なものがあったら言ってね!」
「それじゃハロルさん、失礼します。」
からんころん
「...やれやれ、やっと行ったか。」
いきなりホントに仕事してる!?とか言われて少しカチンときたが、まさかマナスだとは思わなかった。もしも帰ってきたならば、いろいろと言ってやろうと思っていたのに、実際に顔を見たら安心感やらなにやらで言葉を紡ぐことができなかった。
だが、言葉がでなかった代わりに、思い出したことがある。マナスの奴が行方不明になってから一度だけ、ソフィーが今にも泣き出しそうな顔でウチに来たことがあった。
『ハロルさん...マナス、生きてるよね?』
『...あぁもちろんだ。悪運だけは強いマナスだぞ。そう簡単にくたばるわけないだろう?』
『...そうだよね!マナス、生きてるよね!』
『もちろんだ...時間も遅い、さっさと帰るんだな。』
『聞いてくれてありがとうハロルさん!おやすみなさい。』
その次の日、街で見かけた彼女は昨日の姿が嘘のように、いつも通りに明るく振る舞っていたが。
それでも、一度でもソフィーにあんな顔をさせた罰ぐらいは受けてもらおう。ついでに俺の分も。
そうして思いついたのがソフィーが此処を旅立つ一年前。非殺傷の銃弾というものを作った時に、これだと確信。実験台になってもらうことにした。
結果はさっきの通り、なかなかのリアクションをくれたのでスッキリした。これで心置きなく作業に集中でき...ん?
「さっき、ソフィーの家にいるとか言っていたか...?」
確かアイツが前に住んでた家は売り払っていたから、もう別の人達が住んでいたんだろうが、よりにもよってソフィーの家か。
「ふむ...一応、変なことをしてないか様子を見に行くとするか。」