五等分の運命   作:電波少年

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今回は一応戦闘はありますが、消化不良で終わります。
すみません。


第10話:さらば『休日』

上杉風太郎という青年の体に生まれ変わって初めての日曜日が来た。今日は丸一日休みだ。剣崎はこの時間がある日曜日だからこそ、家庭教師としての勉強をするいい機会だと思い、基礎復習をしていた。

 

正直今日に至るまでの道のりは長かった。

二乃に自分のことを話した次の日に、家庭教師のために姉妹のマンションを訪れたが二乃には当然のように邪険に扱われた。しかも一花は仕事の埋め合わせ、四葉はバスケ部の手伝いということで席を外しており、また三玖と五月だけにしか教えることが出来ない形になってしまった。

しかもその次の日、その日は家庭教師がオフの日であり久々にゆっくり落ち着いて、基礎復習が出来ると思っていたらアンデッドが現れそれどころではなかった。

まぁ特に苦戦することも無く封印し、♠︎4 TACKLE のラウズカードを手に入れた。

 

結局何やかんやで剣崎の気が休まる日はなく、家庭教師とアンデッドとの戦いを経て今日に至る。

 

「おっと、こんな余計な考え事してる場合じゃない」

と教科書に目を戻す。

「この公式...中々使いやすくていいな。高校の教科書にはないけど教えてみるか。

お、これは中々解きやすい問題。これなら四葉でも出来るはずだ。

ん?ほぅほぅ、あの合戦にはそんな裏話が...

これは三玖にでも話してあげれば喜ぶだろうな」

と次々におもったことをノートに書き留めていく。

「なんか俺...めっちゃ家庭教師してるな」

とキメ顔で自画自賛する剣崎。

っていかんいかん。集中力が続かないのは剣崎の悪い癖である。剣崎は今まで勉強面では努力という努力をしたことがない。今復習しているところも当然のように理解している。だからすぐにほかのことを考えてしまう。

「集中、集中」

自分の頬を両手で叩くと、再度ノートに向き直る。

 

だがそこで玄関からピンポーンというチャイムの音が鳴らされた。

誰だ?剣崎は玄関へと向かう。そこで玄関の扉を開けるとそこにいたのは五月だった。

「上杉さん。おはようございます」

「おはよう、五月。日曜日なのにどうしたんだ?」

「実は、あなたにお渡ししたいものが...」

そこまで言いかけたところで

「ただいまーって、あ!五月さんいらっしゃーい」

とらいはの元気な声が聞こえてきた。

「あら、らいはちゃん。おはようございます」

五月がらいはに返す。剣崎は

「おかえり、らいは。五月もこんな所で立ち話なんてのもあれだし、とりあえず上がりなよ」

と五月を家にあげた。

 

らいはが冷たい麦茶を持ってきてくれたところで3人で四角いテーブルを囲んで座る。

五月は「ありがとうございます、らいはちゃん」と言い、麦茶を口にした。そこで剣崎が口を開く。

「そうだ五月、渡したいものって?」

「それはこれです」

と言うと、五月は鞄の中から『給与』と書かれた茶封筒を取り出してテーブルの上に置く。五月は「父から預かった上杉くんのお給料です」と封筒の中身を告げた。

 

らいはが嬉しそうに剣崎に話しかける。

「すごーい、頑張ったね」

「とは言ってもなぁ、俺は今月は2回しかろくに授業できてないし。期待しない方が...」

と言いかけ、封筒の中身を取り出したところで、手が止まる。そしてその手がわなわなと震え出す。

「一日五千円を5人分。計二回で五万円だそうです」

と告げる。

 

「お母さん、お兄ちゃんがやりました」

らいはが写真の母親に向かい手を合わせる。

「すっげぇ...これなら借金も...」

このペースなら上杉家の借金もすぐに返済できるだろう。そう思った剣崎だが、一瞬何かを考えたあと、封筒にお札を戻すと、

「このお金は受け取れないな」

と言い、封筒を机に置いた。

五月は

「え?」

と間の抜けた声を出す。

「確かに俺は君たちの家に家庭教師として2回訪れた。でも俺はまだ君たちにろくに勉強を教えられちゃいない。」

剣崎は五万円というお金の重みを十分に理解している。剣崎は初めてライダーになってからもよく金欠に苦しめられた。さらに給料を払ってもらえず、銀行の残高が27円になったこともある。

 

しかも剣崎が働いていた仮面ライダーは命をかける仕事だ。だがその割には給料は少なかった。それでも剣崎はその仕事に命をかける価値は十二分にあると感じていた。

 

だが剣崎はこの家庭教師という仕事においてはまだなんの成果も出せていない。それなのにこんな大金を貰うのはおこがましいことだと考えたのだった。

 

だが五月は「そうでしょうか。セクハラしてたじゃないですか」と告げ、らいはは「お兄ちゃん?」と怒ったような顔をで剣崎に詰め寄る。

剣崎は困った顔で、「あの誤解は解けただろ?!」と叫ぶ。

 

だが五月は優しく微笑み

「それに何もしてないなんてことはないと思いますよ。

上杉さんの存在が五人の何かを変え始めています」

と嬉しそうに剣崎に告げる。

「みんな上杉さんに出会ってから、嬉しそうにすることが多くなりました。私には...いや、姉妹のみんなもそれに気づいてきていると思います。

だから返金は受け付けません!どう使おうが上杉さんの自由です!」

と剣崎の返金を突っぱねた。

 

そう強く言われては仕方ない。剣崎は考えるような動作をしたあと

「らいは、何か欲しいものはあるか?」

と妹のらいはに尋ねた。

 

 

 

そして1時間後。

剣崎、らいは、五月は巨大なボウリングのピンのオブジェが屋根に置かれているある大型アミューズメント施設を訪れた。

店内はゲームの筐体の音や、人の声で随分とガヤガヤしている。

「わー!こんなところがあるんだ!」

と目をキラキラとさせる。

「別に五月にここまで付き合ってもらわなくてもよかったのに」

「べ、別に上杉に付き合おうとした訳じゃありません!」

と1時間前のことを思い出す。

 

剣崎に何が欲しいか問われたらいはは

「私、ゲームセンターに行ってみたい!

五月さんももちろん行くよね?

 

ダメ?」

とうるうるとした瞳で五月におねだりするのであった。

 

そして今に至る。

「別に無理する必要は無かったのに」

「あの目を見て断れる人がありますか?

可愛すぎます!」

「それはわかる!」

そんなコントをする剣崎と五月にらいはが

「お兄ちゃん、これやろ!」

と射的ゲームに誘う。

「よし、やるか!お兄ちゃんの腕前を見せてやるぞ〜」

剣崎は腕を回しながら気合十分といった感じだ。

 

10分後

「くそ!もう1回、もう1回だ!」

「お兄ちゃん!もうやめとこ!」

自信満々にゲームを始めた剣崎だったが、景品は1つも落ちていなかった。実は剣崎、射撃はかなり下手である。橘さんに一応は教わったもののこれは完全にセンスの問題だった。兄としての面目が丸つぶれである。

しょんぼりとした剣崎は五月に頭を下げる。

「五月、頼む...俺の代わりに...」

「わ、私ですか?

そう言われてもあんな小さなもの...」

「大丈夫、俺が支えるから」

と剣崎は五月の銃を握る手に、自分の絵を添える。

五月は手を重ねられたことにびっくりしてつい引き金を引いてしまった。

「わぁっ」

「どこ打ってるんだ、五月!」

「あはははは!」

あたふたする2人をらいはが腹を抱えて笑う。

 

その後も3人はエアホッケー、UFOキャッチャーなど様々なゲームを楽しんだ。

「次こっちだよー」

「らいはちゃん。前を見ないと危ないですよ」

小走りするらいはを五月が追いかける。

そんな五月に剣崎は

「なんか悪いな、付き合わせちゃって」

と謝り、言葉を続ける。

「らいはも年頃の女の子だ。きっと沢山やりたいことがあると思う。

それなのにらいははそれを全部我慢して家のことを手伝ってくれる。

だから俺はあの子が望むことを全て叶えてあげようと思ってる。

多分それが俺のやらなきゃいけないことなんだ。」

 

らいはが上杉風太郎という兄のことが大好きだということに剣崎はすぐに気づいていた。

そしてこの上杉風太郎も同様にらいはのことを妹として、大切な家族として愛していたであろうということを。

剣崎は「俺なんかにはできすぎた妹だよ」と頬を掻きながら苦笑した。

「お兄ちゃん、五月さん

最後に3人であれやってみたいな」

らいはが指をさしたのはプリクラだった。

 

剣崎は「よし、やるか!」と随分乗り気だ。

五月から見ても、妹の望みを叶えてあげたいという剣崎の思いに嘘偽りは見えなかった。

 

『モードを選択してね』

と筐体から音が流れる。剣崎はどれを押せばいいかなんて分かるはずもないのでとりあえずプリティモードというのを押した。

『素敵な笑顔でキメちゃお☆

カメラを向いてね』

と筐体から音が流れる。

 

もじもじする五月に剣崎は

『頼む、五月。らいはのためだ』

と目で語りかける。剣崎はらいはの左手を、五月は右手を握る。

『3、2、』

 

「なんかこれ、家族写真みたいだね」

 

『1』

 

パシャっという音と共にシャッターが切られた。

 

らいはが写真にラクガキやスタンプを押して、写真が現像された。

 

そこにはニッコリとしたらいは、そして驚いたような顔をした剣崎と五月が写っていた。

 

「おい!五月!なんだよこの顔!」

「う、上杉さんだって!なんですかこの間抜けな顔!」

と言い合う2人に、

「はい、これ五月さんの分」

とらいはが写真を渡してくる。

五月はなんだかんだ言いながらも

「い、一応受け取っておきます」

と満更では無さそうだ。

 

「お兄ちゃんもありがとう。

これ一生の宝物にするね!」

と満面の笑みで答えた。

 

それを見た剣崎は

「五月、今日は来てくれてありがとな」

と伝えた。

「ただ、日曜日が潰れちゃったな...

でもまだ夜があるか...

五月、お前達も夜は勉強しろよ」

と言う剣崎だったが、五月は少しバツが悪そうな顔をすると

「...あ、わたしはここで...」

と逃げようとする。

「...どうした五月、なんか怪しいぞ。

宿題は出したよな。ちゃんと終わらせたのか?」

「わーっ!ついて来ないでください!」

そこでらいはが

 

「お兄ちゃん、五月さんが4人いる」

と後ろを指さす。五月が4人?!ま、まさかドッペルゲンガーとかいうやつか...?

 

恐る恐る後ろを向いた剣崎の視線の先には

 

 

浴衣を身に纏い、顔のよく似た4人の姉妹がいた。

 

 

三玖は突然の遭遇に驚いたような顔をする。

一花は

「あちゃー、デート中にごめんねー」

と謝り、二乃は

「五月!なんでそいつといるのよ!」

と疑惑の目を向ける。

四葉はらいはに

「わー!上杉さんの妹ちゃんですか?

これから一緒にお祭り行きましょう!」

と誘う。

「お、おい。でもお前達宿題は...」

と言いかけたところで

「お兄ちゃん...ダメ?」

「フータローも一緒に行こ?」

とらいはと三玖が見つめてくる。

 

剣崎は諦めたように

「も、もちろんだ!」

と告げた。

 

「だーけーど、1つだけ条件がある」

 

そして

 

 

「もう花火大会始まっちゃうわよ...

それなのに...

 

なんで私たち家で宿題してんのよ!」

と二乃が文句を言う。剣崎は

「週末なのに宿題終わらせてないからだろ!

だからあれほど計画的にやっておけと言ったのに!」

と言い返す。

「悪いけど片付けるまでお祭りはお預けだ」

と言ったところで剣崎の携帯が鳴る。

そこには剣崎が最も見たくなかったであろう、アンデッドサーチャーが映りアンデッドの居場所を剣崎に知らせるのだった。

 

「ッ!!

みんな、すまん急用が入った!宿題は終わらせたら1箇所にまとめておいてくれ!

用が済んだらすぐら向かうから代わりにらいはを連れて行ってあげてくれ!」

 

と剣崎はバックルを持ったことを確認し、アンデッドの元へ向かおうとする。

みんなは「はーい」と返事し、らいはは「すぐ来てね、お兄ちゃん」と手を振る。

そして玄関まで来たところで、追いかけてきた三玖に「待って!」と呼び止められる。

リビングからは「おっ?」と面白そうなものを見たような一花の声が聞こえた。

 

振り返った剣崎は三玖の不安そうな顔を見る。三玖は小声で

「フータロー、絶対戻ってきてくれるよね?」

三玖は心配して剣崎に聞く。

剣崎は笑って

「安心しろ、三玖。必ずすぐに済ませて向かう。約束だ」

と右手を三玖の頭にのせ、ワシャワシャとその頭を撫でる。三玖は「ひゃう」と思わず声を上げた。

そして三玖の頭から手を離すと剣崎は玄関のドアをあけブルースペイダーが停めてある駐車時へと向かう。

 

三玖は

「フータロー...絶対に...戻ってきてね...」

と1人呟き、リビングへと戻った。

 

だがすぐさま一花は

「どうしたの〜三玖?

なんかやけに焦ってたけど?」

といたずらっぽく聞く。

一花以外の三姉妹もみんな三玖に興味津々だ。だが三玖は落ち着いた声で

「なんでもないよ。早く宿題終わらせちゃお」

と言って座り、再びペンを持った。

 

 

剣崎はアンデッドサーチャーが示す方へと向かう。そしてバイクに乗ったままバックルのレバーを引っ張り

 

「変身!」

 

の掛け声とともに仮面ライダーブレイドへと変身する。

 

そしてたどり着いた公園に♠︎9 ジャガーアンデッドを発見する。

 

剣崎はバイクを降りるとすぐさま右手にブレイラウザーを構え、

「ウェェェェイ!」

と叫び、アンデッドへと突っ込む。

 

だがジャガーアンデッドはその驚異的な脚力を活かし、難なくブレイドの剣戟を躱す。

 

そして縦横無尽に動き回りブレイドを翻弄する。

「クソっ!ちょこまかと!」

ブレイドは剣を振り回すもアンデッドには当たらない。そしてアンデッドはブレイドの背面に回ると、鋭い牙でブレイドに噛み付こうとする。

 

だがそれを読んでいたブレイドは横に転がって回避する。

そしてカードホルダーを展開するとカードを1枚取り出し『THUNDER』のカードをラウズし、切っ先からアンデッドへと電撃を放つ。

 

ジャガーアンデッドはそれをジャンプで避けると、一旦体制を立て直すべく、茂みへと逃げ込んだ。

「待て!」

ブレイドは茂みへと追いかけるがそこにアンデッドの姿はなかった。

 

「クソっ、逃がしたか!」

地団駄を踏むブレイドではあったが、そんなことをしていてもアンデッドが戻ってくる訳では無い。

ブレイドはバックルのレバーを引っ張り、変身を解除する。

 

剣崎はすぐに三玖との約束のために再びバイクに跨る。そして今日はアンデッドはもう現れないでくれと心から願うと、花火大会の開催場所に急いでバイクを走らせた。

 

 




♠︎9 ジャガーアンデッド
壁をも駆け上る驚異的な脚力を持ち、鋭利な牙は鋼鉄さえ噛み砕く。
また、左腕の鉤爪と、右腕に隠したナイフで暗殺者のように獲物を仕留める。
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