ちなみに本当にただのネタ要員なので同名の空似だという設定でお願いします。
第11話:
「やっと終わったー!」
「みんなお疲れ様ー」
喜ぶ四葉たちにらいはが労いの言葉を送る。
宿題をやっていなかった5つ子たちはそれを終わらせるとようやく花火大会の開催場所へと来たのだった。
「花火って何時から?」
「19時から20時まで」
「じゃあまだ一時間あるし屋台行こー!!」
姉妹らはそんなやり取りをする。だが五月だけは
『上杉さん...いつになったら来るんでしょう』
と1人浮かない顔をしている。そしてそれに気づいた三玖が優しい声で
「大丈夫だよ、五月。フータローは必ず来るよ。だって...私と約束してくれたもん」
と諭す。五月は
「だといいのですが...」
と不安げだ。
だがそこに
「みんなー!遅くなってごめーん!」
と剣崎が手を振りながら走ってきた。
「あ、フータローさーん!こっちでーす!」
「遅いよ〜、フータロー君!女の子を待たせるのは感心しないぞ〜」
と四葉と一花が笑って手を振る。
「別にあんたなんて来なくてよかったのに...」
と二乃は不服そうだ。
「そう言うなよ、二乃。俺だってめちゃくちゃ走って...」
と言いかけたところで五月が
「上杉さん!」
と剣崎に声をかける。
「もう用事はお済みになったのですか?」
と剣崎に問いかけた。剣崎は「ん?あぁ...まぁ...」と否定も肯定もしない。
「ていうかお前...五月...だよな?」
「?そうですけど?」
「いやごめん...みんな顔似てるし髪型が変わるとどうもな...」
「...!別にどんなヘアスタイルにしようと私の勝手でしょう!」
と五月が怒る。
「女の子が髪型変えたらとりあえずもっと褒めなきゃ。フータロー君て私たちのことちゃんと見てるようで意外と見えてないよね〜」
と一花が剣崎に告げる。
「そ、そうか?」
「そうだよ〜」
と2人のやり取りを三玖は黙って見つめていた。
「あ、そうそう。フータロー君、浴衣は本当に下着を着ないのか興味ない?」
「えっ?!いや、さすがにそれはないだろ!」
焦る剣崎。
「本当にそうかな〜?......
...なーんて冗談でーす!どう?少しはドキドキした?」
剣崎はガクッと肩を下ろし
「あんまり人をからかうなよ、一花!」
と一花に文句を言う。剣崎は今まで異性との関わりが少なく、そういうことへの免疫がイマイチ育っていなかった。
だがそこで一花のスマホが鳴った。
「一花、いつまでそこにいんの?
はぐれちゃうわよ?」
二乃が一花を心配するが
「ごめーん。ちょっと電話」
と一花はスマホを耳に当て離れていく。
「あれ?どうしたんだ一花。どこかに向かってるのか?」
「別にあんたには関係ないでしょ。
ったく今日は5人で花火を見に来たのに...
本当になんであんたがいんのよ」
散々な言われようだ。
「俺はらいはに頼まれたから来ただけだよ」
とらいはを見る。
「らいは。あんまり離れると迷子になっちゃうぞ。ここ掴んでな」
とらいはを袖に掴まらせる。
「あ、そうだお兄ちゃん見てみて!
四葉さんが取ってくれたの!」
と袋に入った大量の金魚を見せてくる。
「おいおい...もうちょい加減できなかったのか?」
「あはは...らいはちゃんを見てると不思議とプレゼントしたくなっちゃいます」
「うん、それは分かるぞ四葉」
四葉の言葉に即同調する剣崎。
「あ、そうだ。これも買ってもらったんだ」
とらいはは花火セットを剣崎に見せる。
「あ、花火セットか」
剣崎は懐かしい思い出に刈られる。昔ハカランダという喫茶店の前で、虎太郎、広瀬さん、そしてその喫茶店を親子で切り盛りする栗原親子と花火をしたのを思い出す。花火を持って楽しそうにする天音ちゃんを始が優しい目で見守っていたことも、もちろん剣崎は忘れていない。
「でも今日花火大会に来たのに...それいるか?」
「だって待ちきれなかったんだもーん」
「まぁ後で時間を見つけてできたらいいな。
それとちゃんと四葉のお姉さんにお礼は言ったか?」
と剣崎はらいはに問いかける。
らいはは
「四葉さんありがと!大好きっ」
と四葉に抱きつく。四葉はきゅんとして
「あ〜んらいはちゃん可愛すぎます。私の妹にしたいです〜
待ってくださいよ...私と上杉さんが結婚すれば合法的に義妹にできるのでは...」
と真剣な顔で考え出す。
「自分で何言ってるか分かってる...?」
と二乃がツッコミを入れる。
そしてその矛先が剣崎に向く。
「ちょっと!四葉に変な気起こさないでよ!」
「んなことあるか!」
と言う剣崎だが二乃に迫られバランスを崩してしまう。そして隣にいた三玖に肩を組むような形になってしまう。
「あっ、三玖ごめん。大丈夫か?」
剣崎は三玖から体を離す。
三玖は頬を赤くすると剣崎にしか聞こえないような声で
「だ、大丈夫。それよりフータローこそ大丈夫だった?」
と恐る恐る聞く。そこで剣崎は先程アンデッドと交戦したが逃がしてしまい、アンデッドがまた現れるようならもう一度行かなければならない旨を伝えた。
三玖はまたも心配そうな顔をするも
「そ、そうだよね...フータローは人々を守る仮面ライダーだもん...
だ、大丈夫。心配しないで」
と剣崎に言う。剣崎は安心した顔になると
「しっかし人多いなぁ。これじゃあろくに動けやしない。
これだと花火も落ち着いて見られないぞ...」
だが
「二乃がお店の屋上を借り切ってるからついて行けば大丈夫」
と三玖に言われ、改めてその金持ちぶりに驚く剣崎。
「まぁそれなら大丈夫か。ならさっさと行くか」
「待ちなさい」
と二乃に呼び止められる。
「せっかくお祭りに来たのにアレも買わずに行くわけ?」
「アレ?」
「そういえばアレ買ってない...」
「アレやってる屋台ありましたっけ」
「あ、もしかしてアレの話してる?」
「早くアレ食べたいなー」
みんながいうアレとはなんなのか、気になる剣崎。そして5つ子たちは声を揃える。
「せーの...」
「「「「「かき氷
焼きそば
リンゴ飴
人形焼き
チョコバナナ
!!!!! 」」」」」
「...」
「全部買いに行こーっ!」
「お前達本当に5つ子なのか...?」
と疑わしく思う剣崎であった。
そして各自が各々の食べたいもののために屋台を回った時。
五月は頬をふくらませ、ぶすっとしている。
「機嫌なおしなよー」
「思い出しても納得がいきません」
「まぁ面白かったし良かったじゃん」
先程の人形焼き屋での記憶が蘇る。
「へい、いらっしゃい!うちの人形焼きはそんじゃそこらの人形焼きとは人形焼きが違うよ!!見てよし!嗅いでよし!!くってよし!!!さぁ買った買った!」
陽気そうな関西訛りの若い店主に五月が注文する。
「すいません。ひとつ頂けますか?」
「へい!300円だよ!毎度あり!」
と15個入り300円で五月に手渡す。
だが問題は次に起きた。一花が注文した時だ。
「すみませ〜ん、私もひとつ下さい!」
と注文する一花。すると店主の若い男は一花の顔を見ると、
「べっぴんさんだねぇ〜!!!はい、サービス!」
と15個入りの袋にギリギリいっぱい詰めて手渡す。
そして
「ついでに俺も持ってって!!」
と一花の手を握ったところに
「こらー!!!」
という声とともに気の強そうな関西訛りの強い女性から店主の顔に小麦粉の袋が投げつけられる。そのせいで店主の顔は真っ白になってしまう。
「み、みち!!」
「何やっとんあんた!!綺麗な人見るとすぐ手ぇだして!!あんたにはガツンと1発言ったらなって前から思っとったんや!!
ちょっと来!了!!」
「ま、待ってくれ!!勘弁してくれ、みち〜!!!」
と耳を引っ張って連れていかれてしまった。
剣崎はちょうどその場にいなかったのであとから話を聞いただけなのだが...
なんだかその店主...前に1度どっかで会った気が...
とそんなことを考えた剣崎だった。
「複雑な5つ子心...」
「ほらこれ食べて元気だして」
「らいはちゃん!次は輪投げしよっか!」
「わー!らいはD〇欲しい〜」
「あんた達遅い!!」
と思い思いのままに動く姉妹たちに怒る二乃。
「二乃のやつ、いつになく気合入ってるなぁ」
と二乃を見る剣崎。
「それにみんな随分とテンション高いし、花火大会って別に今年だけなわけじゃないだろ」
と不思議に思う剣崎。そこに三玖が静かに告げる。
「花火はお母さんとの思い出なんだ...
お母さんが花火が好きだったから毎年揃って見に行ってた。
お母さんがいなくなってからも...毎年揃って
私たちにとって花火って、そういうもの」
そうか。だから二乃はあんなに...
三玖の話で納得した剣崎。
そして張り切る二乃だったが人の波に飲まれかけていた。
「ったく鬱陶しいわね...
あんたたち...ってあれ?四葉と妹ちゃんは...?」
そこでスピーカーからアナウンスが入る。
『大変長らくお待たせいたしました。
まもなく開始します。』
それを聞いた人々はいっせいに動き始める。
二乃は急に激しく動き始めた人混みの中でもみくちゃになってしまった。
「痛っ、足踏んだのだれよ!
ちょっとみんなどこ!?四葉!一花!五月!三玖!......
フ...」
「大丈夫か?二乃。危ないから掴んでろ」
と剣崎が二乃の手を取った。
「何よ...」
「ここじゃあ花火をみるどころの騒ぎじゃない。まず予約した店ってのに向かおう。」
と二乃に提案する剣崎。
「あんたなんかお呼びじゃないわよ」
「ったく...行くぞ、二乃。5人揃って、花火みるんだろ」
二乃はそれを聞くと剣崎の手を強く握りしめた。
そして
「やっと抜けたわ!
あんたが道を間違えるから遅くなったじゃない」
「だから悪かったって」
2人は何やかんやありながらも予約した店にたどり着く。
「ここの屋上よ、きっともうみんな集まってるはずだわ」
と階段を駆け上がる二乃。
「お、おい二乃。走ると危な...」
と言いかけたところで二乃が後ろにバランスを崩す。それを見た剣崎はすぐに二乃を支える体勢をとる
「「あっ...」」
そして二乃は、人生で3度目のお姫様抱っこをされながら今年初めての花火を目にすることになった。
「だから走ると危ないって言おうとしたのに...」
「あ、ありがと...って早く下ろしなさいよ!」
とじたばたする二乃。剣崎は「分かったよ」と言いながら二乃をおろす。
頬を膨らませる二乃だったが誰もいない屋上を見ると、顔を青ざめさせた。
「どうしよう...よく考えたら今年のお店の場所、私しか知らない...!」
「えっ...」
二人の間に沈黙が流れた。
だが剣崎は直ぐに踵を返す。
「ど、どこ行くのよ」
「決まってるだろ?俺がみんなを探してくるよ」
「べ、別にあんたにそんなことしてもらう義理はないわ!」
「義理はなくても俺がそれをしたいだけさ」
と剣崎はそのまま階段を降りていく。
「あんた、格好つけてるけど何か探す目処はたってるの?」
そこで剣崎がピタリと足を止める。そして前を向いたまま首を横にブンブンと降る。
二乃は「はぁ...」とため息をついたあと、1回こっち戻りなさいと剣崎に手招きする。
剣崎はそれに従うと、二乃は人混みの一点を指さす。
そこには一花と思われる後ろ姿があった。
「今ちょうど四葉からメールがあったわ。
らいはちゃんと一緒に時計台にいるそうだから私はその2人を迎えに行く。
だから...あんたに一花は任せたわよ」
と言うと、剣崎はサムズアップして
「任された」
と言うと走って階段を降りていく。
その姿を見た二乃は
「何よ...かっこつけちゃって...
それにさっき人に走るななんて言っておいて自分も走ってるじゃない」
と悪態をつくと、四葉とらいはを迎えに行くために自分も動き出した。
人混みに再度入った剣崎。だがある程度場所の目処は立っていたためすぐに一花を発見出来た。一花は耳にスマホをあて誰かと話しているようだった。
「後でかけ直します」
一花は電話を切る。
「おーい、一花。早く店に行くぞ」
と一花の肩を叩こうとする。そこで何者かが剣崎の伸ばした手を掴み、「君、誰?」と剣崎に問いかけた。
だが剣崎はすぐにもう一方の手でその自分の右腕を掴んだ手を払い飛ばした。
そして臨戦態勢をとる。まさかこいつがあの電話の人物か?そんなことを考える剣崎。
だがその男は剣崎に
「一花ちゃんとどういう関係?」
とさらに質問する。だが剣崎はそれにすぐ答える。
「俺は一花の家庭教師だ。あんたこそ何者だ」
男が口を開こうとする。
だがそこに
「フータロー?」
と剣崎に呼びかけ三玖が現れた。だが三玖に気を取られた隙に男と一花は姿を消した。
「あれ...あいつどこに...
てか三玖!よかったよ見つかって」
「うん、フータロー背高くて目立つから...」
「そうだ!一花を追いかける!付いてきてくれ!」
「あ、待って!
痛っ」
その声に気づき剣崎は三玖の方を振り向く。よくみると三玖の足の甲が青くなっていた。
「三玖、その足...」
「足踏まれちゃって...フータローは先に行ってて」
という三玖。だが剣崎は三玖に背を向けてしゃがみ出す。
「フ、フータロー?」
「歩くの大変だろ?乗ってくれ、三玖」
剣崎は三玖をおんぶしようとした。三玖は一瞬驚いたような顔をした。
「ほ、ほんとにいいの?」
「あぁ、もちろんさ」
そう言われた三玖は幸せそうに微笑むと剣崎の背中に乗った。
「三玖、一花は見えるか?」
「一花...?見えないけど...
まさかこのまま追いかけるつもり?」
「あぁ、でもその前に」
というと剣崎は三玖を背負ったまま歩きだす。そして一旦人混みを抜けると側にあった階段に三玖を座らせる。そして三玖に「少し待っててくれ」というとちょうど近くにあった薬局で包帯を買ってきた。
「三玖、1回草履脱がすぞ」
と三玖の足を触る。三玖は「あっ...」と湿った声を漏らす。
「い、痛かったか?」
「ううん、だ、大丈夫」
そう言われたので剣崎は三玖の足に手早く包帯を巻く。これもライダー研修時代の応急処置訓練の賜物だった。
「これで少しはマシになったか?」
「う、うん。ありがと...フータロー...」
というと三玖は俯いてしまう。三玖は先程自分の足に直に剣崎が触れた感覚を思い出し、体が火照ってしまう。
「どうした、三玖?どこかまだ痛むのか?」
「え!いや、もう大丈夫だよ...本当に大丈夫」
危なかった。もしこんなことがバレたらフータローに気持ち悪がられてしまうかも...だが三玖は首をブンブンと横に振って思考をリセットしようとする。
そして剣崎が三玖の隣に腰をおろす。
剣崎に三玖は問いかける。
「そ、それで...一花を見かけたのは本当?」
「あぁ...俺に気づいたはずなんだけど髭のおっさんとどこかに行ってしまった」
剣崎はおもいだす。というかあの髭のおっさん、なんかどこかで見たことがある気がするんだけどなぁ...
とりあえず三玖にまず色々と聞くか。
「三玖、あの二人の関係に心当たりはあるか?」
「ううん、あっ...
前に一花が髭の人の車からでてきたの見たかも...」
「おいおいそれって...なんかアヤシイ関係だったりしないだろうな
まぁ今はそれはいいとして、花火が終わるまであと40分...
このままだと5人集まる前に花火が終わってしまうかもしれない」
剣崎は歯噛みする。三玖はそんな剣崎に尋ねる。
「どうしてフータローはそんなに私たちのことを心配してくれるの?
私たちってただの家庭教師と生徒だよ?」
「どうしてって...これは二乃にも話したんだけど、お前達5人にいつまでも笑っていて欲しいからだよ。
それにお前達5人の思い出を今年で途切れさせたくないんだ」
剣崎笑う。そして笑顔のまま「ちょっとクサイかもしれないけど俺本当にそう願ってるからさ」と告げる。
三玖は視線を落とす。そして
「そうなんだ...二乃にも、同じ話したんだ...
あ、いや!なんでもない、なんでもないよ...やっぱりフータローはみんなに優しいんだね...」
私...今何を言ったんだろう。別にフータローが姉妹の誰と話そうが、私が気にすることじゃない。
気にすることじゃないのに...
今の胸が締め付けられるようなこの苦しい気持ちは...
一体何...?
この時から三玖の心にとても小さい黒い何かが巣食い始める。
そしてその小ささ故に三玖自身もそのことににきづいていない。
そしてそんなことを知る由もない剣崎は三玖に
「歩けそうか、三玖?まだキツそうならもう一度俺がおぶるけど」
と言い手を伸ばす。三玖はそんな剣崎を見て優しく笑うと
「大丈夫、歩けるよ。フータロー」
そう言って剣崎の手を取る。さぁ一花を探しに行こうと歩き始めたその時若い女性2人組が2人に話しかける。
「すみません、花火大会に来られた方にアンケートをしているのですが...」
「すみません、今急いでいて...」
「答えていただけた方には100円分の割引券を差し上げていて...」
剣崎の動きがピタッと止まる。
「1つだけでいいので!」
ま、まぁ1つだけなら、そう思った剣崎は答えることにする。
「お二人はどのようなご関係ですか?」
2人は固まる。
だが2人組の片割れが
「そこはいいでしょ、この2人はカップルに決まってるじゃん」
ともう片方に告げる。
剣崎は「い、いやカップルではなくて、えーと」と的確な答えを考える。
だが三玖はたとたどしく、だがそれでもハッキリと聞こえる声で
「この人は...フータローは私を守ってくれる...
ヒーローみたいな存在です...」
と頬を赤く染めながら答えた。
2人組は「おおっ」と色めきだった声をあげると「ありがとうございました〜」といい、剣崎に割引券を渡して去っていった。
二人の間に沈黙が流れる。そこで剣崎がその沈黙を破ろうとしたが、その沈黙を破ったのは剣崎の携帯が受信した、
アンデッドサーチャーの音だった。
剣崎は
「み、三玖、おれ...」とアンデッドの所に行く旨を伝えるが
三玖は
「大丈夫、分かってる。フータローはヒーローだもん。行ってきて」
と優しい微笑を浮かべながら答える。
三玖は信じていた。剣崎なら必ず怪物を倒してすぐに戻ってきてくれると。だから今の三玖に迷いはない。
剣崎は一瞬呆気にとられたが、すぐに安心したような顔をすると「五月と合流して予約された店に向かってくれ」とだけ言い、サーチャーが示す場所へと走り出す。
そして運のいいことに、アンデッドが出現した場所と一直線の場所にブルースペイダーを停めていたのだ。
剣崎はブルースペイダーに乗り、アンデッドがいる場所を目指す。
そしてそこにたどり着くがそこには人っ子一人いない。一瞬サーチャーの故障を疑った。
だが剣崎はすぐに横に飛び退いた。その瞬間ジャガーアンデットが先程剣崎がたっていた場所を抉るように攻撃した。先程剣崎が倒し損ねたジャガーアンデッドは剣崎を暗殺しようと身を潜めていたがそれは失敗に終わった。
アンデッドはもう一度剣崎に飛びかかる。
だが剣崎はバックルを既に腰に装着していた。
そして
「変身!」
TURN UP
という叫び声のあとにオリハルコンエレメントが現れ、剣崎に飛び掛ったアンデッドを弾き飛ばす。
そして剣崎はオリハルコンエレメントに突っ込みそれをくぐると変身を完了させた。
だがジャガーアンデットは自慢の脚力を使ってブレイドをまたも翻弄する。
だがさっきと違い剣崎は落ち着いていた。
ブレイラウザーのカードホルダーを展開するとカードを取り出しラウズする。
BEAT
という電子音がなる。
だがその動作を隙と見たアンデッドはブレイドに飛びかかる。
しかしそれはブレイドの思った通りの行動だった。ブレイドはアンデッドの飛びかかる軌道を落ち着いて確認すると、『BEAT』のラウズカードによって強化された拳を勢いよくアンデッドの土手っ腹に叩き込んだ。
「グゲァ!!」
アンデッドはとっさの反撃に何が起きたかわからず昏倒する。
アンデッドを吹き飛ばしたブレイドはもう一度カードホルダーを展開し、二枚のカードを取り出し、1枚ずつラウズする
KICK
THUNDER
《ライトニングブラスト》
「ウェェェェイ!!!」
電子音とともにブレイドは一連の動作を決めると、昏倒するアンデッドにエネルギーが濃縮された右足を叩きつける。
アンデッドはまたも吹き飛ぶと爆発をあげた。そしてアンデッドバックルが二つに割れる。
ブレイドは倒れたアンデッドにブランクカードを投げる。ブランクカードには
MACH
と刻まれた。
戦闘が終わったブレイドは変身を解除する。
オリハルコンエレメントをもう一度くぐりその姿は仮面ライダーから上杉風太郎の姿へと戻った。
剣崎はバイクに跨るともう一度花火大会の場所へと向かう。
会場に戻った剣崎はバイクを降りる。幸い花火はまだ打ち上がっている。今すぐ一花を探さなくては。そう思った彼に後ろから声をかけた人物がいた。
「フータロー君」
「!? 一...ムグッ」
と剣崎はいきなり現れた一花に口を塞がれる。
「フータロー君...さっきのことは秘密にしておいて。
私はみんなと一緒に花火を見られない」
一花は微笑を浮かべながら剣崎にそう告げた。
本当は1話で花火回終わらせようと思ったのですが、さすがに厳しかったです...
あと一花が言っていた「さっきのこと」とは、剣崎が一花と一緒にいたヒゲの男に出会ったことです。
次回に続きます。