五つ子たちって、なんかみんなさり気ない一言とかで闇堕ち回避してる感ありますね。4巻の三玖とかあのまま放っておいたらどうなってたんだろう(期待)
あの後、剣崎は二乃、三玖、四葉、五月と共に街にある大型ショッピングモールに買い物に来ていた。
そして剣崎に林間学校に来ていく服を選ぼうということになった。
まずは四葉が選んだ。キャップ、動物が描かれたファンシーなシャツとかなり派手だ。
「上杉さんは地味目なお顔なので派手な服をチョイスしました」
「さすがに子供っぽすぎないか?」
次に三玖。the 和服だった。
「フータローは和服が似合うと思ってたから和のテイストをいれてみた」
「テイストってか、もう和そのものだな!」
その次は五月。ドクロの描かれたノースリーブシャツ、チェーン付きのダボダボとしたズボン...
「私は男の人の服がよくわからないので男らしい服装を選ばせて頂きました」
「いくらなんでもアウトレイジすぎる...」
最後に二乃。青と紺のストライプ模様のシャツ、ジャケット、Gパンだった。ちなみにジャケットは昔剣崎がBOARDから支給されたものによく似ていた。
「おお、これはいいな」
「あ、二乃本気で選んでる」
「ガチだね」
「あんたたち真面目にやりなさいよ!」
と彼女らはカードでその服を購入した。
そして5人はショッピングモールで欲しいものを粗方買い尽くした。
「ふー、買ったねー」
「三日分となると大量ですね」
「にしてもすごい量だな...しかも洋服に万単位って...」
「こんなの安い方よ」
「はいフータロー。お金はいいから」
「まぁ本当はこっちが払いたいところだけど、今回もお言葉に甘えさせてもらうよ」
と剣崎は三玖から二乃が選んだ服が入った紙袋を受け取る。
「林間学校もいよいよ明日ですね」
「まだ買うものあるわよ」
「にしてもこんなに大勢で買い物なんてしたの久しぶりだよ。ありがとな、みんな。楽しかったよ」
と笑いながら言う剣崎。彼は買い物と言っても、あまりみんなで行くというようなことをしたことがなかった。
この『上杉風太郎』という青年になってから、剣崎にとっては初めての経験ばかりだった。味のないつまらない高校時代を過ごしてきた剣崎にとっては、買い物という些細なことですらとても楽しいものだった。
剣崎の笑顔を見た四人は自然と心が暖かくなるのを感じた。
そして二乃と五月は残りの買い物を済ますと言って、先に行ってしまった。お返しに剣崎が選ぼうかと進言したがどうも残りの買い物とは下着のことだったらしく、剣崎は慌てて発言を撤回し待つことにした。
「そうだ、上杉さん。明日が楽しみでもしっかり眠るんですよ」
「もちろんさ」
「しおりは一通り読みましたか?」
「そりゃもうたくさん読んだよ」
と興奮気味に寄ってくる四葉。そして笑顔で
「最高の思い出を作りましょうね!上杉さん」
と言う四葉。
「あぁ、もちろん!俺も心ゆくまで楽しむよ」
と笑って返す剣崎。
だがそこで剣崎の携帯が鳴る。電話番号が表示されており出る剣崎。
「はい、上杉です。あ、妹がいつもお世話に...え?
らいはが倒れた!?分かりました、すぐ帰ります!!」
と剣崎は駆け出す。
「ま、待ってください上杉さん!らいはちゃんがどうかしたんですか?」
「すまん!説明はあとだ。みんなには先に帰ったと言っておいてくれ!」
と自宅に急ぐ剣崎。
『待っててくれ、らいは!』
剣崎はとにかく走る。そして人通りのない通路に差し掛かったその時、剣崎の横にあった建物の壁が崩れその破片が剣崎を襲う。
なんとか飛び退き破片を躱す剣崎。アンデッドかと思ったが
「やぁ、上杉くん」
と禍々しきオーラを放つ『仮面ライダーレンゲル』が立っていた。
「どけ!レンゲル!今はお前に構っている暇はない!」
「悪いがそういうわけにはいかないのでね。今君の実力を確かめておく必要がある」
「いいからどけ!」
「君が来ないならこちらからいかせてもらうよ」
とレンゲルはレンゲルラウザーで斬撃を放つ。それをすんでのところで回避する剣崎。
そしてそのままバックルを付ける。
「クソっ!やるしかないのか...
変身!!」
と剣崎は仮面ライダーブレイドに変身した。襲いかかるレンゲルラウザーの刃をブレイラウザーの刃でガードする。
両者は鍔迫り合いのような形になる。
「何なんだお前は!何故俺の邪魔をする!何が目的なんだ!」
「何を言うんだ上杉くん。私は君に感謝しているのだよ。君のおかげで私の悲願は果たされようとしている」
とレンゲルは錫杖を上にあげて、ブレイドをよろけさせる。そしてそこに鋭い突きを放つ。しかしブレイドはそれを横っ飛びで避け、ブレイドも勢いよく突きを放つ。ガードするレンゲルの錫杖の刃に当たり、火花が上がる。
そして両者はカードを使用する。
BEAT
ブレイドの右手が青く光る。
SCREW
BLLIZARD
《ブリザードゲイル》
レンゲルの右手も冷気を纏う。
そして突き出した両者の拳がぶつかり合う。
「ウェア!!」
とブレイドが押し負け吹き飛ばされる。
「どうした、立ち上がりたまえ。ここで君が負けるようでは私の計画は台無しだ」
とレンゲルは錫杖をブレイドに叩きつける。
「ガっ!」
ともろに食らうブレイド。そしてもう一度錫杖を振り上げるレンゲル。だがその動作を隙と見たブレイドはレンゲルに蹴りを入れる。
「ぐっ!」
と体勢を崩すレンゲル。ブレイドは一旦距離を取る。
そしてカードホルダーを展開し、カードを取り出す。だがレンゲルはその隙を見逃さなかった。
「甘い!」
REMOTE
とレンゲルはいち早くラウズする。レンゲルラウザーの穂先から紫色の光が剣崎の取り出したカードに照射される。
だがその光を浴びたカードは何も起きず地面に落ちた。
「何...グハッ!!」
とブレイドは困惑するレンゲルに体当たりを食らわせる。
「なぜリモートが...まさか!」
とレンゲルは地面に落ちたカードを見る。だがそこにはアンデッドが封印されていないブランクカードが二枚あるだけだった。
「そうだ、これは囮だ!まんまと騙されたな、レンゲル!!」
と言うと、ブレイドは素早くカードをラウズする。
KICK
THUNDER
MACH
《ライトニングソニック》
だがレンゲルも負けじとカードを使う。
BITE
BLLIZARD
《ブリザードクラッシュ》
レンゲルは飛び上がると、足から冷気を放ちそれをブレイドに浴びせる。だがブレイドはマッハのカードの力でとてつもない速さを得ていた。冷気に凍させられるよりも、レンゲルの挟み蹴りが当たるよりも先に雷のエネルギーが凝縮された右足をレンゲルの胸にクリーンヒットさせた。
「カハッ...」
と喘ぐと、レンゲルは建物の裏に吹き飛ばされた。
「逃がすか...!」
とレンゲルを追うブレイド。だが建物の裏には人っ子一人存在しなかった。
「どこに逃げた!レンゲル!」
叫ぶも当然レンゲルは現れない。だがこんなことをしている場合ではないと気付いた剣崎はすぐに自宅へと走り出した。
そして息も絶え絶えに自宅へとたどり着いた剣崎。
「らいは!大丈夫か!?」
と剣崎はドアを開ける。そこには布団を敷いてそこに寝るらいはがいた。彼女は弱々しい声でつぶやく。
「うん...お出かけの最中にごめんね...なんか熱みたい...」
「今は無理するな、色々買ってきたから」
と剣崎は解熱剤やゼリー飲料、スポーツドリンク、額に貼る冷たいシートなどを袋から取り出す。
「お薬飲ませて」
「ああ」
「汗拭いて」
「任せろ」
「あと学校の宿題やっといて」
「それは自分でやろうな」
と剣崎はらいはの汗を拭くと、解熱剤とスポーツドリンクを飲ませた。
「...ありがと」
「親父は明日まで帰れないそうだ。だから俺がらいはの面倒を見るよ」
「でもお兄ちゃん、明日は林間学校...」
「気にするな。可愛い妹が辛い思いをしている時近くにいてやるのがお兄ちゃんの仕事さ」
と笑う剣崎。
「もう、お兄ちゃんったら...
と困ったように笑うらいは。
「でも、ダメだよお兄ちゃん。明日はちゃんと旅行行って、帰ったら楽しいお話いっぱい聞かせてね...」
剣崎は一瞬黙りこくると
「わかった。だから今はゆっくり休め」
とらいはを寝かしつけた。
そして次の日。
「ハァハァ...」
と息を荒らげ、そして右脇腹を抑えながら勇也は上杉家の階段を登る。
『クソっ...久々すぎて、感覚鈍ってたぜ...』
そしてなんとか階段を登りきる。
「らいは!生きてるか!」
「親父。静かにしてくれ。らいははまだ寝てる」
「看病してくれてたのか...ってもう林間学校のバス出てんじゃないのか!?」
「そんなこと今はどうでもいい。まずはらいはが良くなる事の方が大切だ」
と言い切る剣崎。
実の所、剣崎は林間学校に行くことを恐れていた。その恐れの原因はアンデッドである。もし自分が町にいない間に東町にアンデッドが出現したら、どうするのか。そのことを考えた剣崎は昨日の夜に林間学校への欠席を決意した。
だが勇也は来派を見守り続ける剣崎に対し、ぐちゃぐちゃになり付箋まみれの林間学校のしおりを剣崎に差し出す。
「らいはのことは俺に任せろ」
「いいや、俺は残る」
「どうしてだ、俺も今日は仕事を休んだ。らいはの面倒は俺が見る」
「ダメだ」
と意地を張る剣崎。そんな剣崎に対し、勇也は困ったような顔をする。
そんな張り詰めた空気の中、いきなり剣崎の携帯が鳴る。剣崎は一旦外に出て、通話ボタンを押した。
「やぁ、上杉風太郎君。先日はどうも。予想以上に君が強くなっていて、私も驚いたよ」
と加工された低い声が聞こえる。
「やはりお前がレンゲルだったのか...」
「その通りだ。そして君にひとつ朗報だ」
朗報?なんの事か気になる剣崎に男はつづける。
「君が林間学校に行っている間は、この東町にアンデッドは現れない」
「な...そんなこと信用できるか!」
「これに関しては本当のことだ。君が私を倒したことに対しての褒美だ」
「なぜだ...お前は一体何を企んでいる!」
「それは今話すときではないよ。それではまた会おう、上杉風太郎君」
とプツリと電話は切れる。剣崎は歯噛みすると一旦家の中に戻る。そしてらいはの寝る部屋に行こうとしたそのとき、勇也が剣崎の前にくちゃくちゃになり付箋まみれの林間学校のしおりを差し出す。
「行ってこい、風太郎」
「でももうバスも既に出た。今から行ってもムダだ」
その時剣崎と勇也の横にいたらいはが
「あー!!お腹すいた!」
と元気そうな声を上げながら起きてきた。
「らいは!?熱は...」
「私はもう大丈夫だから!お兄ちゃんは林間学校行ってきて!」
とらいはも剣崎を林間学校に行くよう促す。
だがもうバスは出てしまった。
その時、
「上杉さん!」
と横から声がかけられる。そこにいたのは五月だった。
「五月...!?なんで...」
「すみません上杉君をお借りします」
というと五月は剣崎の手を取り、引っ張る。
「お、おい!ちょっと...」
「行ってらっしゃーい!お兄ちゃーん!」
とらいは五月に手を引っ張られる剣崎を見送った。
「五月...バスは...」
「見送らせて頂きました」
「なんでうちに?」
「私しか上杉さんの家を知りませんから」
と剣崎は五月にある場所に案内される。そしてそこには黒塗りの高級車、その前に一花、二乃、三玖、四葉がいた。
「おそよー、フータロー君」
「ったく何してんのよ」
「よかった...フータロー来てくれた」
「こっちですよ、上杉さーん!」
「上杉さん。あなたは前に言いましたね、私たちに『笑顔』でいて欲しいと。もしあなたがあの言葉が嘘でないと言うなら、大人しく林間学校に来てください。あなたがいれば、きっと私たちは『笑顔』でいられますから」
と優しく微笑む五月。その言葉を受けた剣崎は次第に目頭が熱くなるのを感じる。
「い、五月...一花、二乃、三玖、四葉...
みんな...みんな本当にありがとう!
俺、みんなの家庭教師になれて...本当によかった!」
と最高の笑顔になる剣崎。その笑顔をみた五つ子達も自然と笑顔になる。剣崎がいるだけで、彼女達は笑顔になれる。剣崎の存在は、いまや五つ子達にとってなくてはならないものとなっていた。
「もうフータロー君ったら!そういうストレートなのちょっとずるいぞ!」
「ほんっとあんたって筋金入りの馬鹿ね」
「フータロー...私もあなたに会えて良かった...」
「う、上杉さん!私も上杉さんが家庭教師で良かったです!」
「なら決まりですね。行きましょう、上杉さん」
と姉妹たちも喜びを隠さない。
だがそこで二乃は地面に学生手帳が落ちてるのを発見し、それを拾い上げると金髪の少年の写真を見る。
「ねぇ、この写真っていつ撮ったの?」
「え?ええっと、5年前くらいかな?」
と適当を言う剣崎。
「ふーん...5年前ね。やっぱりこの子、どこかで見たような...」
というと二乃は剣崎に手帳を返した。
そして車の前では一花と三玖が何やら話している。
「三玖、昨日言ってたキャンプファイヤーの話、本当に私でいいの?」
「うん。私がその場しのぎで決めちゃったことだから」
「そっか。なら私が女子代表としてフータロー君の相手をしちゃおうかな」
今の『上杉風太郎』は同学年の女子の間でもちょっとした人気があった。今までの無愛想さは何処へやら、よく笑うようになり困っていると助けてくれて、それに加えて高身長で頭がいいばかりでなく、運動も人並み以上にこなす。そんな彼に人気が出ない訳ではなく、林間学校のキャンプファイヤーでも剣崎と踊りたいという女子が少なからず存在していた。
だがそんな女子達も剣崎のダンス相手が一花となれば諦めるだろう。
三玖は一花に譲ったことを後悔していなかった、後悔しないようにしていた。そして車に乗ろうとする三玖に再びあの『声』が聞こえる。
『一花と踊らせていいの?』
......え
『本当は独り占めしたいんだよね?ならしちゃえばいいじゃん。一花からフータロー、取っちゃいなよ』
そんなことしない!私たちは何でも五等分だから、今回は一花に譲ってあげるだけ...
『いつまでそうやって自分に嘘をつき続けるの?』
...え?う、嘘なんか...
『認めちゃいなよ。こっちが本当の私、上杉風太郎を自分だけのものにしたい、こっちが本当の『中野三玖』だって』
ち、違う!違うの...私は、本当の私は...
「...!...く!...三玖!どうしたの、聞こえてる?」
「えっ、あ、ご、ごめん。ちょっとボーッとしてたみたい」
三玖は我に返ると車に乗り込む、
三玖は心でつぶやく。
『大丈夫。一花なら心配ない。きっと一花はフータローを独り占めなんてしない』
だが一花の心中は違うものだった。
『三玖が言うならいいよね。それにフータロー君のことを仮面ライダーって知ってるのは私だけ。私だけがフータロー君の秘密を知っいる』
この二人のすれ違いが、いずれ姉妹や剣崎達の仲に大きな亀裂を入れることになるのをこの時はまだ誰も知らない。
「みんな乗ったー?」
「ちょっと詰めて」
と剣崎と五つ子全員は車内に乗り込む。
五月は隣にいる剣崎を見つめる。
『上杉さん。あなたのおかげです。あなたのおかげで私たちは前よりずっと仲良くなれました。だから、今回の林間学校、絶対に楽しんで頂きますから!』
と五月は決心する。
「上杉さん!乗り心地はどうですか?」
「ふわっふわで最高だよ」
「なら良かったです!」
『任せてください、上杉さん!私がこの三日間をあなたの最高の思い出にしてみせます!』
四葉も五月と思いは同じだった。
「それでは...しゅっぱーつ!!」
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半日ほど前
「やぁ...江端...少し帰るのが遅れてしまって悪かったね...」
「だ、旦那様!」
と江端はフラフラになったマルオを支える。
「大したものだよ、彼は。いくら一日で二戦目とはいえ完敗だ。私が変身するレンゲルでは最早彼を抑えることは不可能だ。それほど彼は強くなっている」
「よもやそこまでとは...。旦那様、レンゲルバックルとカテゴリーAは?」
「あれは私の元を去った。新たなる依代、『三玖』君のもとにいずれ現れるはずだ。そして彼女はきっとその力を最大限に引き出せるはずだ。
そういうとマルオは自分の椅子にドサッと座る。そして彼は口元ににじみ出た『緑色の血』をハンカチで拭くと、ゆっくり目を閉じ休み始めた。
次回は家に帰ってくるまで勇也が何をしていたのかを描く19.5話をやる予定です。
コメントに関してですが、時間の関係もあり返信が必要だと判断した質問等以外には返信しないことにします。ですがコメントを頂けることは私としても非常に嬉しいです。これからもドシドシコメント&評価をお願いします!