五等分の運命   作:電波少年

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数日ぶりの投稿となりました。申し訳ありません。

今回も戦闘パートがなく少し単調に感じられてしまう方もいるかもしれませんが、ご了承ください。

そしてお気に入り数が400件を突破致しましたことをご報告させていただきます。
閲覧者の皆様に心から御礼申し上げます。

こんな駄作を読んで頂き本当にありがとうございます。これからも精進を重ねていきますので応援よろしくお願いします。


第21話:蝕まれる『心』

「やっぱり...あの写真の...」

 

「何言ってるんだ?いいからこっち来い」

 

と二乃の手を引っ張る剣崎。だがその時、二乃のスカートが木の枝にひっかかりめくれあがってしまった。

 

「あっ...ご、ごめん!」

 

慌てて謝る剣崎。そして次に飛んでくるであろう罵声に備える。

 

だが二乃は顔を赤くしたままうんともすんとも言わない。不思議に思う剣崎に二乃がようやく口を開く。

 

「キミの名前、教えて!」

 

「な、名前?」

 

そこで二乃は前に写真を見た事を使える。

 

「それにしても驚いたわ、あいつがいってた知り合いに会うだなんて」

 

「あっ」

 

剣崎はようやく気づく。二乃が自分のことを前に見た誰かも分からない金髪の少年だと思い込んでいることに。

 

剣崎はすぐに正体を明かそうとする。もし自分が『上杉風太郎』だとバレたらどうなるか。恐らく二乃は恐ろしい剣幕で怒鳴り散らすに違いない。

 

だが剣崎は少年の名前を知らない。そこで剣崎は咄嗟に

 

「お、俺の名前は......えっと...カ、カズマ!」

 

と自分の本当の名前を名乗ってしまった。

 

「へぇ、カズマくんっていうんだ。かっこいい名前ね」

 

と褒める二乃。剣崎はなんとも言えない気持ちになってしまう。

そして二乃は「えっと...」と続ける。

 

「私、妹とはぐれちゃったの。一緒に探してくれないかな...?」

 

「も、もちろん!俺で良かったら一緒に探すよ」

 

「本当!?じゃあ、行こ!」

 

っと二乃は眩しいくらいに笑う。本来ならコテージまでのルートを教えて五月を探しに行ってもよかったのだが、というか二乃に正体がバレるリスクなどをかんがえたのなら確実にそっちの方がよかったのだが、ここにきて剣崎特有のお人好し属性が発動してしまった。

 

2人は暗い森の中を歩き始めた。

 

だがそこに会話はない。二乃は照れから、剣崎は余計なボロを出すまいとしたからだ。

 

だが二乃はこの『カズマ』と名乗る少年に何か親近感のようなものを感じていた。

 

『なんだろう...この、慣れた感じ』

 

今日初めてあったのに、何故か毎日会っているような感覚に襲われる二乃。だがそこで彼女はあることに気づく。『カズマ』の額に小さな傷を見つけたのだ。

 

「ちょっと、おでこ怪我してるじゃない」

 

「ん?あぁ、こんなん唾でも付ければ勝手に治るよ」

 

と返す剣崎。実際かなり小さなかすり傷であり気になるほどのものでもなかった。

 

「そんなわけにはいかないわ。よいしょっと...これでよし!」

 

と剣崎の額のキズにハート柄の絆創膏を貼った。

 

『二乃のやつ...いつもと随分態度が違うな』

 

とやりにくそうにする剣崎。

 

「待って、なにか声みたいの聞こえない?」

 

「ん?別に聞こえないぞ。いいから早く行くぞ」

 

と先導する剣崎。二乃も「あ、待って」と言いながらついてくる。そして道を歩くと二乃が

 

「この道の方が楽そうだわ。こっちから行こうよ」

 

と少しだけ開けた道に走り出す。

 

「あっ!そっちは!」

 

「え?」

 

 

 

と剣崎は手を伸ばす。だが既に時遅し、二乃の身体は崖から投げ出された。お互いに伸ばした手は届かない。

 

 

 

「くそっ!」

 

と歯噛みすると剣崎は自身も崖を蹴って飛び出す。そしてバックルを腰に装着すると

 

 

 

「変身!!」

TURN UP

 

 

とブレイドに変身した。

 

そして二乃を抱きしめ、そのままブレイドは二乃の下敷きになる形で地面に叩きつけられる。

 

 

「ガっ!」

 

「きゃあ!!」

 

 

剣崎は痛みのあまり声が漏れてしまう。いくらブレイドに変身していたとはいえ、それなりの高さの崖から落下し、それに二乃の体重もプラスされていたためかなりの衝撃だった。恐らく上が五月だったらこの程度では済まないだろう。

 

「ってぇ...大丈夫か?二乃」

 

だが二乃は固まっている。こっちを見たまま口をパクパクさせている。そしてようやく喋り出す。

 

「う、嘘でしょ...!?カズマくんが...『仮面ライダー』...!?」

 

 

しまった...と剣崎は思う。確かにこれは仕方がなかった。もしあそこで変身しなければ自分はともかく二乃にまで被害が及んでいたかもしれない。

 

一応、MACHのカードもあるので逃げようと思えばいくらでも逃げることは可能だ。だが彼女を完全にルートから外れてしまった森の中に取り残すことも出来ない。

 

 

「今見た事、誰にも言わないでくれよ」

 

「い、言うわけないじゃない!というか今でも信じられないわ!!じゃああの駅前の時も、レストランの時も...あぁ、神様って本当にいたのね...」

 

と二乃は興奮冷めやらぬ様子だ。だがそれも無理はない。自分のことを助けてくれた白馬の王子様と、一目惚れした青年がまさかの同一人物だったのだ。これは最早奇跡としか言い様のないものだった。

 

するとブレイドは足に力を込めると大きくジャンプし、崖の上に戻る。

 

そして『BIO』のカードをラウズし、蔦を二乃の身体に優しくまきつける。

 

「きゃっ」

 

突然のことに変な声をだす二乃。そして剣崎は蔦を手繰り寄せ、二乃も崖の上に戻してやった。

 

「怪我はないか?」

 

「え、えぇ。大丈夫よ」

 

すると剣崎はバックルのレバーを引いて変身を解除した。

 

「まぁ見られたもんはしょうがないか。ほら、行くぞ」

 

「ま、待って!怖いから...手、握って」

 

と手を出す二乃。だが直ぐに冷静になった彼女は自分が言ったことを理解し、手を引っ込めようとした。だが

 

「ほら、これでいいのか?」

 

と自分の手は目の前の青年に握られていた。

 

不安な時、誰かが手を取ってくれたら。剣崎は昔からこう思っていた。11歳にして両親が死に、剣崎は孤独になった。親戚の元に預けられてはいたものの、剣崎のそばに寄り添ってその不安を和らげてくれる存在は当時の彼にはなかった。

だから剣崎は不安や恐怖を覚える人がいるなら、それを取り除いてあげることが、自分ができることの一つだと認識していた。

 

人間は1人でも誰かがそばにいてくれれば、それだけで安心出来る。そのことを誰よりも深く理解していた剣崎は、二乃の手をとることに疑問を抱かなかった。

 

「あ、あああ...」

 

と二乃はまたも口をパクパクとさせる。そんな二乃の手を引き剣崎は歩き始めた。

ようやく二乃も落ち着き、剣崎に尋ねる。

 

「カズマ君、キミは明日もここにいるの?」

 

もちろん剣崎は明日もここにいる予定だ。だがそこにいるのは『上杉風太郎』であって、『カズマ』ではない。

 

「いや、俺は明日の朝には帰らなきゃいけない。ちょっとやることがあって」

 

「それって、『仮面ライダー』として?」

 

「...まぁ、そんなとこかな」

 

「そっか。それなら仕方ないか」

 

妙に物分かりのいい二乃に剣崎は少し驚く。

 

「私の知り合いにね、あなたにそっくりな人がいるの。あ、見た目の話じゃ...ってよく見たら顔まで似てるわね」

 

「...! そ、そうか?他人の空似じゃないか?」

 

二乃は「そりゃそうよね」と言うと話を戻す。

 

「そいつ本当お人好しっていうか、なんていうんだろ...バカ...そう!バカね!筋金入りのバカよ!

あっ、もちろんカズマくんはそいつとは違うからね!」

 

と二乃は閃いたような顔で言う。剣崎は「こ、こいつ...」と今すぐにでも正体を明かしてやりたくなるがその衝動をグッと堪えた。

 

「多分アイツならさっき私が落ちた時...ううん、私じゃなくても飛び込んでたと思う。たとえ相手が見知らぬ人でも、その人の命が危ないってならきっとアイツも行くとと思う。

 

 

それで自分が死ぬとしても」

 

「二乃......」

 

「なんでだろう。初対面なのに、何故か君とは初めてあった気がしないわ」

 

「そ、そりゃあ駅前の時とかに会ってるからな」

 

「そう...よね」

 

二人の間にはなんとも形容しがたい空気が流れる。剣崎は今からでも自分の正体を明かすべきか迷った。そんな時、近くの茂みから声が聞こえた。

 

「わぁぁぁん...二乃ぉ...どこ行っちゃったんですかぁ〜」

 

「い、五月!」

 

と二乃はようやく見つかった五月に駆け寄る。

 

「二乃!よかった〜...すっごい怖かったんですよ〜」

 

「あなたがビビって先に行っちゃったのが悪いんじゃない!」

 

「ご、ごめんなさい!それにしても、よく二乃は1人でいられましたね...」

 

そう言われた二乃は少し嬉しそうな顔になる。

 

「1人じゃないわ。ほらここに...

 

あれ?」

 

先程までいた『カズマ』と名乗る青年の姿はもうどこにもなかった。

 

 

 

 

剣崎と二乃が出会う数分前。

 

 

「み、三玖?」

 

一花は明らかにいつもと様子の違う三玖に何か嫌なものをおぼえる。

 

「昔から変わらないなぁ、一花は。そうやってすぐ人のものばかり欲しがって、いつも無理やり取っていって」

 

「そ、そうだっけ?」

 

一花はあまり身に覚えのない自身の過去の話を聞かされ一瞬戸惑う。

 

「そうだよ。昔っからそう。そして今回も。1人だけ抜け駆けして、フータローを自分だけのものにしようだなんて...やっぱり一花は一花だね」

 

とその語調は柔らかい。だが一花はもっと別の『何か』に恐怖を感じていた。

 

「あなた...本当に三玖?なんかいつもと様子違うよ!?」

 

「何言ってるの?私は...わ、私は...

 

うっ...何故...まだ認めないの...」

 

と三玖はいきなり頭を抑えて蹲る。

 

「ちょっ、ちょっと三玖!大丈夫!?」

 

「.........い、一花.........」

 

とフラフラになった三玖を一花が支える。

 

「どうしちゃったの三玖」

 

「へ、平気。一花、今のこと全部忘れて。あんなの私の本当の思いじゃない」

 

「み、三玖...うん。大丈夫、分かってる。とにかく今は一旦コテージに戻って休もう」

 

「うん...ごめん、一花」

 

「気にしない気にしない。こんなときこそ長女らしくしなくちゃね」

 

とウインクしてみせる一花。

 

一花は三玖に肩を貸したまま森を抜け、コテージに戻る。

 

「ごめんね、一花。迷惑かけちゃって」

 

「大丈夫。三玖もしっかり休んで」

 

と三玖をコテージにあるベンチに座らせた。

 

「じゃあ私、明日のキャンプファイヤーの準備の手伝いしてくるから!三玖はしっかり休むんだよ」

 

「......うん。ありがと、一花」

 

そう言葉を交わすと一花はキャンプファイヤーの準備に向かう。

 

 

───────────────────────

三玖の心の中。そこには紫色の瞳を持った三玖にそっくりの少女。三玖は初めて自分からもう一人の自分に話しかける、。

 

 

なんでこんなことをしたの!?私を操って...

 

 

『操ってなんかないよ』

 

...え?

 

 

紫色の双眸をたずさえた三玖はそう笑いながら告げる。

 

 

『これは全部あなたが思ったこと。私はその思いに素直になれるよう後押ししてあげてるだけ』

 

...う、嘘...そんなの信じない!

 

 

『もう、まだ素直になれないだなんて。そういえば『アレ』もそろそろきてるかも。取りに行かなきゃ』

 

というと紫色の瞳の三玖は、先程見た異形-スパイダーアンデットの姿に戻る。

 

『その体、少し使わせてもらう』

 

といいスパイダーアンデットの三つの眼が妖しく光る。その眼を見つめた三玖の意識は暗黒に落ちる。

 

───────────────────────

 

「よし」

 

というと三玖の体を乗っ取ったスパイダーアンデットはコテージの裏にある雑木林の中に入る。

 

「俺が乗っ取るだけではこいつを従い切らせるのは不可能か。やはり、こいつ自身の『闇』を利用する方が効率がいい」

 

そう呟きながら、草を掻き分ける。そしてスパイダーアンデットはあるものを見つける。

 

「あった、あったぞ!これさえあれば...」

 

と喜びながら地面に落ちていた『レンゲルバックル』を拾い上げる。

 

そしてすぐさま彼女の身体を彼女自身に返す。

 

「......えっ」

 

と三玖はなにが起こったかわからないと言った様子だ。

 

「今私...何を...」

 

と言いながら自信が右手に握っているものを見る。それが何かは分からない。だがそれから非常に危険な『何か』を彼女は感じていた。

 

───────────────────────

 

再び三玖とアンデットは三玖の心の中に現れる。スパイダーアンデットはまた紫色の瞳を携える三玖の姿に戻る。

 

 

『ねぇねぇ、フータローが私だけを振り向いてくれる方法、教えてあげようか?』

 

そんなものいらない。他人に協力してもらう必要なんかない。

 

 

『本当にいいの?このままだとフータロー、一花に取られちゃうよ?』

 

ッ......

 

 

『フータローはいつも顔も知らない人を守るために戦ってる。そんな生き方、私にはできっこない。そう思ってるんでしょ』

 

...だから何。別に私はそんな生き方を...

 

 

『違うよ。人を守るために傷つくフータロー。そんなフータローを、私が守ってあげればいいんだよ」

 

私が...フータローを...?そんなことできるわけ...

 

 

『できるよ、私なら。フータローが『人々を守る仮面ライダー』なら、私は『フータローだけを守る仮面ライダー』になればいい』

 

私が...仮面ライダーに...そんなことできるはずがない...!そもそも私はあなたの思い通りになんかなったりしない!

 

───────────────────────

 

意識をハッキリと取り戻した三玖は手に持っていた『レンゲルバックル』とスパイダーアンデットが封印されたラウズカードを再び雑木林の中に投げ捨てた。

 

そしてその場から急いで離れた。

 

「私は...負けない...自分の『闇』になんか負けない...!」

 

三玖はそう一人つぶやくと、コテージに戻る。

 

 

 

 

 

その頃剣崎は、二乃を五月と合流させたところで自身もコテージに戻り、肝試し用のコスプレを脱ぎ私服に着替える。彼は少し休憩したら、明日のキャンプファイヤーの準備の手伝いに向かう予定だった。

 

缶コーヒーを片手に椅子に座る剣崎。だがそこで何か焦った様子の三玖に出会った。

 

「あっ、フータロー...」

 

「どうした、三玖。なんか随分焦ってるみたいだけど、なんかあったのか?」

 

「う、ううん!なんでもないよ!」

 

「本当か?どこか具合が悪かったりしないか?」

 

「大丈夫、フータローがいるなら...私は大丈夫」

 

「? まぁそれなら良かったよ。じゃあ俺、キャンプファイヤーの準備の手伝い行ってくるよ」

 

「うん。行ってらっしゃい、フータロー」

 

三玖は手を振りながら剣崎と見送る。

 

 

 

「負けない...私は負けない...」

 

 

三玖は決意する。自分の闇に打ち勝つ決意を。

 

 

そしてその決意はすぐに打ち砕かれることになる。

 

 

 

「よいしょっと」

 

と剣崎は丸太を持ち上げる。剣崎はコテージから離れた倉庫に昨日の雪から一時的に避けていた丸太を運んでいた。

 

係達の頑張りもあり、倉庫に残されている丸太の数はかなり減ってきていた。そして剣崎は最後の一本を持ち上げようとしたとき、

 

「わっ、重」

 

と声がした。そこには自分が持ちあげようとした丸太を一緒に持つ一花の姿があった。

 

「あれ、どうして一花がここに?」

 

「そういうフータロー君こそどうしたの?」

 

「いや、おれはただの手伝いで来ただけだよ。別に一本くらい自分で運べるし、一花がわざわざ手伝ってくれなくても大丈夫だぞ」

 

「まぁまぁ、そう言わずに。一緒に運ぼうよ。明日私たちも踊るキャンプファイヤーなんだから、自分でも少しくらい手伝わないと」

 

「そうか。ならちゃっちゃと片付けるか」

 

と二人が丸太を持った時、一花が

 

「フータロー君...さっき三玖に会わなかった?」

 

と尋ねる。

 

「三玖?さっき会ったけど」

 

「本当!?三玖、なんか変じゃなかった?何か変な事言ってたりしなかった?」

 

と丸太を運ぶことを忘れ剣崎に詰め寄る一花。剣崎は一旦丸太を倉庫の壁に立てかける。

 

だがそこで

 

「これで全部かな?」

 

「疲れましたよー」

 

とこちらに向かってくる人の声がする。

 

すると一花は何故か剣崎と倉庫の端に隠れる。

 

「おい、別に隠れる必要ないだろ」

 

と小声で話す剣崎。だが一花は何も言わない。

 

 

その時、倉庫の扉からガシャン、ガチャ、という音がした。

 

「「ん?」」

 

二人して首を傾げ、目を見合わせる。そして状況を理解する。

 

「ま、まさか!」

 

と剣崎は倉庫の扉を押したり、ガンガン叩いたがビクともしなかった。一花を見る剣崎。そんな一花は「たはは...」と言いながら苦笑いをした。

 

二人は倉庫の中に閉じ込められてしまったのだった。




創動のラビットドラゴン買えました...
付属パーツはビートクローザーより交換用手首が良かったですw

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