今回で林間学校編を終わりにします。
「ハァハァハァ...や...やりますね、上杉さん...」
「よ...四葉、お前もな」
「お疲れ様、二人とも」
と二人は互いに真っ白な雪の上に座りながら互いを讃え合う二人を、三玖が労う。
結局朝食の後、一花の体調がおかしいことに気づいた剣崎たちは彼女を無理やり部屋で休ませることになった。
一花は意地でも剣崎と滑ろうとしたが止まらない咳と赤い顔を見た剣崎はなんとか彼女を宥め休ませることが出来た。
その後剣崎は自身が一花の彼女の看病をしようとしたが、五月は
「一花のことは私に任せてください。それに、上杉さんと一花を二人きりには出来ません」
と進言し四葉もそれに賛成し、一花の看病は五月がすることになった。
当の一花は少し残念そうな顔だったが、剣崎は「スキーが滑れないからだろうな」と一人納得していた。
四葉と五月は間違いなくその一花の不満に気づいていたが。
その後三玖が剣崎と四葉の二人に合流した。本当は昨夜のこともあり、あまり行く気では無かったが、剣崎がゲレンデに行くということを知りその重い腰をあげたのだった。
そして剣崎、三玖、四葉の三人でゲレンデに来ていた。
「それにしてもお上手ですねー上杉さん。本当に初めてなんですか?」
「本当だよ。にしても話には聞いていたけどスキーって面白いな」
「でしょ~?なら次は上級者コースに行ってみましょー!」
とストックを持つ剣崎の手を引っ張る四葉。
「ま、待っ、あっ」
とその二人を呼び止めようとした三玖は派手に転んでしまった。
「だ、大丈夫か!?三玖」
と三玖に手を差し伸べる剣崎。三玖は「あ、たりがとう」と言いながら剣崎の伸ばされた右手を掴もうとした、その時
「ッ!!」
と三玖の手になにか電流のようなものが走ったようた気がした。三玖は剣崎の手に触れた瞬間、その手を引いてしまう。剣崎の右手に、手袋越しで触れただけなのに、なぜか三玖の身体が火照り始める。
きょとんとした剣崎の顔を見る三玖。それだけで彼女の心臓の鼓動はバクバクと脈打つ。
「お、おい、本当に大丈夫か?」
と心配そうな顔をする剣崎。
「だ、大丈夫。本当に大丈夫だから。心配しないで、フータロー」
と三玖は1人で立ち上がった。だがその時
「お、お待たせしました」
とスキーウェアに身を包んだ五月が現れたのだった。
「い、五月!?一花はどうしたんだ?」
「じ、実はそれが...」
と五月は剣崎達に事の顛末を話す。当初五月は一花の看病をしていたのだったが、窓からスキーをする生徒達を見つめた一花が急に五月も行くように進めてきたのだという。
当然五月は病人を残していくわけにはいかないと拒否したが、
「五月ちゃんにまで迷惑かけられないな。それに私は大丈夫。なんたって長女だもん!」
とゆっくり立ち上がると五月の背中を押しながら半ば無理矢理部屋の外に出してしまった。すぐに一花の部屋に戻ろうとした五月だったが一花は「行っておいで」と言うばかりで聞く耳を持たず、仕方なく来てしまったらしい。
「そういうことだったんだ。なんか本当に一花らしいです」
と苦笑する四葉。確かに一花は心配だが、一花の性格上妹たちが自分のせいで林間学校を楽しめなくなることが許せなかったのだろう。
「まぁそれなら仕方ないか。きっと一花も五月に楽しんできて欲しかったんだよ」
「そ、そうでしょうか」
「きっとそうさ。一花なら、絶対そう考えるさ」
と五月を慰める剣崎。すると四葉がその暗い空気を打ち壊さんとばかりに
「鬼ごっこしましょう!私が鬼です!皆さん早く逃げてください!
10~~9~~」
と提案し、カウンドダウンを始める。
五月は「わわわっ」と焦りながら条件反射のようにその場を離れる。
三玖も
「フ、フータロー...私と一緒に...」
と言い剣崎が振り向きかけその顔が見えたところで、
「ッ!!」
の再び電流が走るような感覚に襲われる。
「??どうした、三玖」
と不思議そうな顔をする剣崎に三玖は「何でもない」といいながら1人で滑っていってしまった。
仕方なく剣崎も滑り出す。
そして少し滑ったところで、ふと昨日のレンゲルのことを思い出す。
なぜか昨日会ったレンゲルは今までと違い一言も言葉を発しなかった。
それに、急に自身の頭を抑え苦しそうにした後、煙幕を貼って逃げてしまった。
それだけではない。レンゲルは何故か1度も剣崎を攻撃しなかったのだ。攻撃の手はすべてアンデットに向けるばかりではなく、アンデットに不意打ちをくらいそうになった剣崎を助けたのだった。
前にもレンゲルが剣崎を攻撃せずアンデットのみを倒したことがあったが、あの時とはどうも何かが違う気がした。
「何がどうなってるんだ...」
そう呟いた剣崎が前を向いたその時、
彼はコース外の積雪に突っ込んでいた。
周りに集まった生徒達がザワザワとしてくる。頭から突っ込んだらしくまだ誰が突っ込んだかは知られていない。
剣崎はすぐに立ち上がりフードを被るとその場を立ち去ろうとする。
だがその時後ろから
「あれ...この絆創膏...
カズマ君?」
と二乃に声をかけられた。
「えっ...ひ、人違いです!」
と剣崎はスキー板を取ると、その場から走り出す。
「ま、待って!逃げないで!」
と二乃に追いかけられる剣崎。
近くにあったレンガ造りの休憩所を曲がろうとした時、その前には四葉がいた。
「おっと、上杉さん見っーけ」
と四葉は剣崎に詰め寄ろうとする。
『や、やばい...四葉に捕まれば二乃にもバレる...かといって引き返せば...』
頭がクラクラとする剣崎。その時何者かが剣崎の手を引っ張った。
「カズマ君!」
「上杉さん!」
二乃と四葉は鉢合った。
「あれ?四葉じゃない?
そっちに金髪の男の子行ってない?」
「二乃こそ上杉さんを見てない?」
と二人は話しながらその場を立ち去って行った。
そこで剣崎は自分が雪で出来た空間-かまくらにいることに気づく。そして横にいる人物を見て思わず声を出した。
「三玖...」
「フータロー...」
と二人は見つめ合う。
「助かったよ...三玖、ありがとう」
「ううん、フータローこそどうしたの?」
と三玖は剣崎に何があったかを問おうとする。
「ちょっと色々あって二乃に追いかけられちゃってな...」
と言い頭を搔く剣崎。
「そう...二乃も...」
と三玖の顔は何故か暗くなる。
だがそんなことに剣崎は
「それじゃあ、俺一旦戻るから...」
と立ち上がろうとする。だがそんな剣崎を三玖は
「行かないで...!!
お願い、フータロー...
お願いだから...私のそばにいて!!」
といつもの三玖は思えないほどの強い口調で引き止める。
「み、三玖?」
とさすがの剣崎も三玖の様子が少しおかしいことに気づく。
「行かないで、フータロー...
このままだと私、おかしくなりそう...」
三玖は恐れている。あの『蜘蛛』の声がまた自分の頭の中に聞こえてくることを。
目の前の青年を自分だけのものにしたくなる衝動が段々と抑えがたくなってきていることを。
三玖の中に生まれてしまった小さな『独占欲』はもうその形を留めないほどに肥大化してしまっている。
「わ、わかった。わかったから、一旦手を離しくれ、な?」
と三玖を宥める剣崎。すると三玖はゆっくりと手を離す。剣崎はもう一度腰を下ろす。
「どうしたんだ、三玖。なんかいつものお前らしくないぞ」
「......わ、私...実は」
三玖は剣崎に全てを話そうとする。自分の中にもう一人の自分の声が聞こえてくること、自分が『仮面ライダーレンゲル』に変身してしまったことを。
だがその時、三玖が一番聞きたくなかったあの声が三玖の中に聞こえてくる。
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『余計なことしないでよ』
....!!!
と三玖はハッとする。目の前にはもう二度と見たくなかった紫色の瞳を持った『自分』がいる。
『よく考えなよ。もしあなたが時分が『仮面ライダー』だなんて伝えたらどうなると思う?きっとフータローは私のこと、嫌いになるよ」
え...い、嫌!フータローには嫌われたくない!!
『でしょ?なら今はその事はフータローに話さないで』
やめてよ...
『?』
やめてよ...!もう私に喋りかけないでよ!!
頭がおかしくなりそうなの...あなたの『声』を聞いたあの時から...
『うるさいなぁ。でも少なくとも今『仮面ライダー』のことを話せばきっとフータローは私のことを嫌いになっちゃうから、それだけは気をつけてね』
ま、待って...まだ話は...!
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「...?...!...く!
三玖!!」
「......あっ、え...わ、私...」
と三玖は目を白黒させる。そこには紫色の瞳を持った自分はおらず、愛おしきひと-『上杉風太郎』がそこにはいる。
「大丈夫か?三玖、お前も熱でもあるんじゃないか?」
「そ、そんなことないよ!ちょっと四葉に追いかけられて疲れたから、ボーっとしちゃっただけ」
と適当なことを言って誤魔化す三玖。
「そうか、ならよかった。にしても四葉のやつ、早いなぁ。本当...あの身体能力が少しでも勉強に向いてればもっと成績も上がるんだろうけどなぁ」
と話を切り出す剣崎。三玖はホッとし
「そ、そうだよね。私もここがなかったら捕まってた」
と話題に乗る。
「三玖だと四葉から逃げるのはちょっと難しいかもな」
と少し悪戯っぽく笑う剣崎を見て、「フータローの意地悪」とぷくっと頬をふくらませる三玖。そして少し考えたような顔をした後
「そうだ、四葉にハンデを貰えばいいんだ。なにか荷物でも持ってもらって、足の速さを平等に...」
「それはちょっと違くないか?」
と剣崎は三玖の言葉に挟むように口を開く。
「お前達五人はは元々頭脳も身体能力もほぼ同じだったんだろ?五つ子だし。
ってことは四葉はきっとあの身体能力は後から努力して身につけたものだ。
だから、その努力を否定するような事をするのは良くない」
とハッキリ口にする。
「あ......」
と三玖は声を漏らす。剣崎に言われて四葉の身体能力の高さの所以に気づいたということもあるが、本当のところは剣崎に否定されたことへのショックからだった。
「そんな悲しい顔するなよ。なんなら三玖は三玖なりの努力をすればいい。三玖が本当に自分がやりたいことを見つけて、それを努力するって気になったなら、俺は三玖の努力を応援する」
「フータローが?」
「あぁ。俺が三玖が満足するまで付き合うから、安心しろ。俺が付いてるさ」
とサムズアップし三玖に微笑みかける剣崎。
その笑顔を見た三玖。その瞬間三玖の身体はほぼ無意識に剣崎に抱きついた。
「お、おい!三玖!?」
と驚きの声を上げる剣崎。
「......とう」
「え?」
「ありがとう...こんな私なんかのそばにいてくれるって言ってくれて...本当にありがとう、フータロー。
私、努力するから。自分のやりたいことを見つけるから。
だからその時まで私のそばからいなくらないで、フータロー」
と三玖は涙を流しながら剣崎に抱きつき続ける。
「三玖...」
というと剣崎は三玖の頭に手を載せ、その頭を優しく撫でる。
三玖は願わくば、この時間がいつまでも続いてほしいと思った。彼の温もりはスキーウェア越しでも痛いほどよく伝わる。
この時間だけ剣崎の優しさが自分だけに注がれている、そんな感覚が彼女の体を包み込む。
『やっぱり私、フータローのこと大好きなんだ。ほかの全てをなげうってでも、彼だけは私のそばにいて欲しい』
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『「ほかの全てを失ったとしても、
例えそれが時を同じくして生まれた『姉妹』だとしても、私は......
フータローだけは私のものでいて欲しい」』
初めて二人の三玖の声が重なった。
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「お、おい三玖?その、ちょっと離れてくれないか?そのー...なんというか当たってるというか...」
と歯切れの悪そうに切り出す剣崎。事実、今剣崎には三玖の豊満に育った胸がスキーウェア越しでもその感触が伝わるくらいしっかりと押し当てられていた。
そう言われた三玖はすっとその身を離す。
「うん、わかった。
もう大丈夫。ありがとう、フータロー」
とニコリと笑う三玖。
「よし。それならここを出るとするか」
と剣崎はかまくらを出て、それに三玖も続く。
「じゃあ先言ってるからなー」と言い残し下の方へ滑っていく剣崎を手を振りながら見送る。
そして三玖はひとりでに呟く。
「私のやりたいこと...見つかったよ、フータロー。それは、あなたを私だけのものにすること。
そのためなら私は、『みんな』との絆を捨てることになっても構わない」
そう言った三玖の双眸は、禍々しい紫色に塗り替えられていた。
「ごめんね、一花。今日のキャンプファイヤー、フータローとは踊らせない」
小さな笑みを浮かべた三玖は、それだけ呟くと自身も滑り出した。
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『何を...するつもりなの』
それは『私』も分かってるでしょ
『.........』
止めないの?
『今の私は、自分が何をするべきか...分からない』
そう...なら私の勝手にするね。
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時間は経ち、辺りもすっかり暗くなったころ、生徒達はキャンプファイヤーの準備をしている。
当然剣崎もそれに参加し、丸太を割ったりするのを手伝っていた。
一花はその様子をベンチに座りながら眺めていた。彼女は風邪をひいていたが、一日寝ていたからかかなり体調は良くなっていた。
そして一段落着いたところで剣崎は一花の座るベンチの隣に地震も腰を下ろす。
「おつかれ、フータロー君」
「あぁ、ありがとう。一花は体調の方は?」
「平気。あー、早く始まらないかなぁ」
と一花は年甲斐もなく足をブラブラさせる。
だが一花は未だに気がかりなことがあった。
それは三玖のことである。三玖の『上杉風太郎』に対する恋心に気づきながら自分はそれを独り占めしようとしている。
もし今までの一花ならきっと三玖に譲っていたであろうが、現在の一花にそんな気は全くなかった。
それだけ彼女の心は剣崎に対する恋心で満ち溢れていた。
「開始まであと30分か」
と携帯の画面を見て時間を確認した剣崎。
そんなところに二乃が現れた。
「アンタ、ちょっと来なさい」
と言い二乃は剣崎の手を引っ張る。
「え、お、おい。ちょっと待てって」
「二乃、離しなよ。フータロー君、困ってるじゃん」
と一花は少し重みのある声でそう促す。
「別にそんなに時間がかかることじゃないわ。ちゃんとキャンプファイヤーが始まるまでには返してあげるから。約束するわ」
「......分かった。ならちゃんと戻って来てね、フータロー君。約束だよ?」
「あぁ、約束だ。なら二乃、ちゃっちゃっと済ませてくれよ」
というと二乃は剣崎をコテージの横に連れて行く。そこには誰もいない。
「で、何の用だ?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、その、アンタ...も、もしかしてなんだけど、『仮面ライダー』の正体、知ってたりしないわよね?」
「知らない知らないそんなことこれっぽちも知らないぞ」
とすぐさま首を横に振る剣崎。二乃は完全に『仮面ライダー』の正体を『カズマ』という金髪の青年だと信じ込んでいる。そんな彼女にまさか『仮面ライダー』の正体は自分ですなどとは口が裂けても言えない。
それを聞いた二乃は
「そ、そりゃそうよね。
あと!も、もう一つ聞きたいことがあるんだけど!」
「?」
「あの写真の男の子の連絡先とか知らない!?知ってるなら教えて欲しいんだけど...」
「ご、ごめん。連絡先までは分からないな」
「写真を持ち歩くぐらい仲良いのに?」
「結構昔に引っ越しちゃったんだよ」
とかなりバレバレな嘘をつく剣崎。
まぁ彼の人柄的に、嘘をついたりすることはとくいではないのでしかたがないことではあるのだが。
「...そう。ならいいわ。
もう行っていいわよ」
「悪い...力になれなくて」
「別にアンタが気にすることじゃないわよ
それに彼の心くらい、私一人で射止めてやるわ...」
「え?なんか言ったか?」
「な、なんでもないわよ!それじゃ!」
と二乃は走っていってしまったので剣崎はとりあえず一花のところに戻ることにした。
だがその時剣崎の携帯が震える。
それを見ると、そこにはアンデットサーチャーが映っており、アンデットの場所が表示されている。
「アンデット...ってカテゴリーJ!?」
カテゴリーJとはいわゆる上級アンデットに属するアンデットであり高い知能と戦闘力を持っている。
「行くしかない!すまない、一花...」
と剣崎は後ろ髪を引かれる思いをしながら一花に心の中で謝罪をすると、サーチャーの示す場所に向かって走る。
そして10分ほど走ったところでサーチャーの示す場所にたどり着く。剣崎は既にブレイドに変身している。
「どこだ、どこにいる!」
と辺りを見回すブレイド。
だがそこに♠︎J イーグルアンデッドがその鋭い鉤爪で強襲をかける。
「ウェア!!」
と吹き飛ばされるブレイド。だがそこで妙な違和感を覚える。
いま空を旋回しているイーグルアンデッドは上級アンデットである。
前にブレイドがこのアンデットと交戦した時は理知的な印象を受ける『高原』という人間としての姿も持っており、その見た目通りの性格だった。
だが今空を飛ぶイーグルアンデッドからは理性というものを感じられない。まさに戦うことのみを目的としているかのように。
「どういうことだ...あいつは上級アンデットじゃなかったのか?」
と考える剣崎に隙を与えんとばかりに再び急降下して鋭い鉤爪で攻撃を仕掛けるアンデット。
ブレイドはそれを右手に持った剣でガードする。
ガギンと鈍い音共に火花が散る。
アンデットはヒット&アウェー戦法をとり攻撃を与えては上空へと逃げるという行動を繰り返している。
前にブレイドが戦った時は、彼の親友-相川始がから飛行を可能にするラウズカード-『FLOAT』の力を使って自身も飛ぶことにより応戦することが出来たが、今のブレイドに飛行を可能にする力はない。
なら以前ローカストアンデッドを倒した時のようにカウンターを狙おうとしたブレイドだったが、そんなブレイドの考えを裏切るようにイーグルアンデッドの翼の羽が手裏剣のようにブレイドへと降り注いだ。
「何!?」
と驚きつつも回避するブレイド。
とどのつまりイーグルアンデッドは接近せずとも羽手裏剣で遠くから攻撃するだけでブレイドを倒すことが出来るのである。
「何か、なにか方法はないのか!」
とカードホルダーを展開するブレイド。そこで彼はあるカードに目をつけ、それを取り出す。
尚も羽手裏剣をブレイドに飛ばし続けるアンデット。
ブレイドはそれを躱して全てやり過ごし、そこでカードをラウズした。
MAGNET
その瞬間、アンデットの体がブレイドへと引き寄せられる。ブレイドはマグネットのカードにより磁界を操ったのだった。
アンデットは引き寄せられまいと翼をはためかせるがその体はどんどんブレイドに近づいていく。
そこでブレイドはさらに二枚のカードをラウズする。
THUNDER
BIO
電子音とともにブレイラウザーの切っ先から蔦がアンデットへと伸びる。
その蔦はアンデットを捕らえたその時、蔦に電流が流れ出す。
感電したアンデットはそのダメージにより無抵抗になる。そしてブレイドは一気にアンデットに近づくと、『BEAT』のカードをラウズし、青白く光る右拳をその腹に叩き込んだ。
「グゴァァ!!!」
と嗚咽を上げ、吹き飛ばされたアンデット。
ブレイドはそのアンデットにカードを投げ封印する。
カードには『FUSION』と刻まれる。
そしてブレイドは変身を解除した。
「ハァ...ハァ...」
と息も絶え絶えになる剣崎。携帯を見るとキャンプファイヤーまであと3分しかない。
今から走っても少し遅れてしまうが、一花が自分を待っている。
剣崎は疲れた身体に鞭打つと走り出す。
だがその時、
コテージに戻ろうとする剣崎の目の前に、
『仮面ライダーレンゲル』が立ち塞がった。
「レ、レンゲル...」
と剣崎は後退りをする。
するとレンゲルはおもむろにカードを一枚放り投げると、『REMORT』のカードをラウズする。レンゲルラウザーの穂先から紫色の光が放り投げられたカードに照射される。
そしてカードから♡3 ハンマーヘッドアンデットが解放され、剣崎へと襲いかかる。
剣崎はアンデットの突進を交わす。そしめブレイバックルにカテゴリーAを装填し、バックルを腰に装着すると、レバーを引っ張り叫ぶ。
「変身!!」
剣崎は本日2回目のブレイドへの変身を行った。
ブレイラウザーでハンマーヘッドアンデットに剣戟を浴びせるブレイド。
アンデットはその一撃をくらい怯む。
そこに追撃を浴びせようとするブレイド
だがそのブレイドの剣崎をレンゲルはレンゲルラウザーによって防ぐ。
レンゲルは自分からは攻撃せず、ブレイドの攻撃を受け流したりガードするだけ。
だがそれだけでブレイドの体力は削られていく。
「く、くそっ...このままだと時間が...」
何としてもキャンプファイヤーが終わるまでには一花のところに戻らなくては。
ブレイドは迫るアンデットに体当たりを食らわせると、そのまま突き飛ばす。
そして三枚のカードをラウズする。
KICK
THUNDER
MACH
《ライトニングソニック》
「ウェェイ!」
と電を纏った右足をアンデットに叩きつけるブレイド。
その一撃を受けたアンデットは爆発すると地面に倒れ込む。そこにブレイドは封印のカードを投げる。カードには『CHOP』と刻まれる。
だが後ろにいたレンゲルはブレイドを羽交い締めにする。
「離せ!お前の...お前の目的は何なんだ!」
と怒るもレンゲルは答えない。ブレイドは渾身の力で無理やり羽交い締めを脱出すると、剣戟を浴びせようとする。
だがレンゲルはそれを躱すとカードをラウズする。
GEL
電子音が流れたあと、レンゲルの身体は液状化する。ブレイドの剣戟は液状化したレンゲルに当たるがすぐにその体はくっ付いて再生してしまう。
『何なんだ...さっきからまるで時間稼ぎが目的かのように、一切攻撃はしてこない』
不審に思うも、レンゲルは一切ここを通す気は無いらしい。液状化した身体でブレイドにまとわりつき、彼の行動を妨害する。
「こんのぉ...離れろ!」
ともがくブレイド。だがレンゲルはひたすらにブレイドを足止めする。
GELの持続時間が終わりを告げ、レンゲルの身体が液状化を解かれた。
ブレイドは膝を着いたがブレイサウザーを杖のようにしてなんとか立ち上がる。
「何故俺を倒さない!?今の俺を倒すなんてお前にはわけないはずだ!」
と叫ぶも依然レンゲルは声を挙げない。
そしてレンゲルはブレイドをじっと見つめると、そのまま『SMOG』のカードをラウズしその場を去った。
ブレイドは追おうとするも足が動かない。
仕方なく変身を解除し、コテージに戻ることにした。
フラフラと覚束無い足取りでなんとかコテージにたどり着いた剣崎。
だがキャンプファイヤーの炎は既に消えており、嫌でもキャンプファイヤーが終わったことを剣崎に伝えた。
剣崎は倒れそうになる体を必死に2本の足で支えながらコテージの中に戻る。
そこには四葉がいた。
「う、上杉さん!!何してるんですか!」
と四葉は怒った顔をしながら剣崎に詰め寄る。四葉に詰め寄られた剣崎は思わず倒れ込みそうになる。
「あっ...ご、ごめんなさい、上杉さん...
でっ、でもとりあえずついてきてください!」
と四葉は剣崎の肩を支えながらある場所を目指す。
その場所とは二乃が泊まっている部屋の前だった。
そこでドアを開けると
「二乃!!!
本当のことを言ってよ!!!」
「だから!
知らないって言ってるでしょ!!!」
「ふ、二人とも...お願いだから落ち着いて...」
と物凄い剣幕で怒鳴り散らす一花と二乃とそれを仲裁しようもする五月の姿があった。
そして開かれたドアの外にいた人物を見て、部屋にいた面々は驚愕する。
「フ、フータロー君!どこ行ってたの!?」
と剣崎に駆け寄る一花。
「ご、ごめん、一花。実は...」
と剣崎は一花の耳元で小声でアンデットが現れそれを倒しに行っていたことを伝える。
「そ、そんな...」
「アンタどこ行ってたのよ!!
アンタがいなくなったせいで一花に質問攻めにされて大変だったんだから!!」
「だ、だって...あそこでフータロー君を連れ出したのは二乃なんだし、誰だって二乃が怪しいと思うじゃん!」
と二人ともかなりご立腹の様子だ。
「み、みんなごめん...俺のせいで、迷惑かけて...」
と落ち込む剣崎。
「みんなどうしたの、暗い顔して」
そんな声とともに、何故か満足げに微笑みながら三玖が現れた。
「そ、それが実は...」
と四葉が全ての事情を三玖に話す。
「そうだったんだ。でもフータローにはやらなきゃいけない事があったんでしょ?
なら仕方ないよ」
と三玖は剣崎を擁護する。
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ。私たちはこいつのせいで...」
「二乃もフータローを許してあげて。
フータローにも色々と事情があったんだよね?」
と剣崎に優しげな目で語りかける三玖。
「まぁ、そうだけど...でも俺...」
「ならもうこれで終わりにしよう。
一花も今回は残念だったけど、きっとまた次の機会に何かしらいいことあるって」
とあくまで優しく諭す三玖。
その後剣崎、一花、三玖、四葉、五月は浮かない顔をしたまま部屋へと戻っていく。
部屋に戻った三玖はベッドにごろりと横になり目を閉じる。
───────────────────────
『ねぇ...』
何?
『これも、私が望んだことなの?』
そうだよ?私がやっていることは全てあなたがほんの少しでも心の底で望んだことだけ。
本当に私はあくまであなたの思いを行動に反映しているだけ。
その証拠に『私』...
今すごいホッとしてるでしょ。
フータローが一花と踊らなくてよかったって。
『......私がそんなことを...』
大丈夫、安心して。これからもあなたが少しでも思ったことは私が全部やってあげる。
だって私は『私』だもん。『私』の悪い所は、私自身が一番よくわかっているから。
───────────────────────
「私の...本当の...心は...」
とそう呟くと三玖は静かに眠りについた。
そしてあっという間に最終日となった。
結局、今回の林間学校は剣崎や五つ子たちの仲に溝を作ったまま終わってしまった。
そして剣崎も三玖も他の姉妹たちも、まだ知らない。
自分たちが抗うことの出来ない大きすぎる『運命』の荒波に飲まれてしまったことを...
〜東町〜
「ッ...今度は一体...どこの世界に来たんだ?」
男は辺り一面を見渡す。
そこはまさに平穏そのものである。
「まぁいい。俺ならどこだろうと関係ない。
とにかくこの世界も、撮ってみるか...」
と男-『門矢士』は首から下げたのカメラを覗き込んだ。
♠︎J イーグルアンデッド(今回はレンゲルのREMORTで解放されての登場)
動体視力が物凄く高く、高速で空中を飛翔し、両腕の鋭い鉤爪で敵を切り裂く。離れた敵にも羽手裏剣を無数に生成して攻撃可能。高原の姿でも飛行能力と羽手裏剣を使える。
♡3 ハンマーヘッドアンデット(劇中未登場のため説明少なめ)
敵を頭に付いたトマホークで手刀の如く切り裂く
そして今回の話の一番最後に明らかにやばそうな世界の破壊者がいましたが、正直言うとあまりこいつは話の本筋には絡みません。
こいつが出るストーリーはあくまでサイドストーリー扱いで暇な時に書けたらなぁと思っています。