割と話が動きます。
あといつの間にかお気に入り500件超えてました。本当にありがとうございます。これからも頑張ります。
「その人は無罪だよ。
私、見てたもん」
目の前に現れた白いワンピースを着ていた髪の長い少女は、驚くほど綺麗で、美しかった。
その瞬間少年は言葉を失う。
当然だ
いきなり少女の腹から歪な刃が生えてきたのだから。
少女の白いワンピースは、腹から吹き出した血によって真っ赤に染まる。
辺りは阿鼻叫喚に包まれる。街に現れた異形達は、刺す、叩く、引き裂くなどの行為によって次々と人を殺めていく。
男の声が聞こえる。
「おい!!しっかりしろ...目を開けてくれ、
〇〇!!!.........〇〇!!!」
「ありがとう...愛していたわ、〇〇〇...」
その男は細い目をいっぱいに開けて、目の前にいる女を抱き抱えていた。その女は先程腹を刺された少女とどことなく似た顔つきをしている。
男に抱きかかえられた女は糸が切れた人形のようにガクリと崩れ落ちる。
「ふざ...けるな......なぜだ...なぜだ!」
男は半狂乱になって叫ぶ。
「私が...私が...!!」
男は何かを決意したようなを目をすると、
その身体を街に蔓延る異形と同じような姿に変える。
「万能の力を...私の手に!」
異形は雄叫びを上げると、そのまま他の異形たちのもとに突っ込み、そして...
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「.....うわぁ!!!」
と剣崎は飛び起きる。彼は過呼吸気味になった自分の呼吸を整える。
そして冷静になると
「何だったんだ...今の...」
と一人つぶやく。彼は夢の内容を思い出す。
「あれ...アンデット、だよな...」
夢の中で現れた異形-それは剣崎が倒すべき敵-アンデットだった。それらが街の人々を虐殺する光景を彼は夢で見ていた。
ただ夢で見た事だからか内容はぼんやりとしか思い出せない。
「いや、タチの悪い夢だ。そうに決まってる」
といい剣崎は立ち上がって時計を見て驚愕する。
時刻は9時10分。
「やっ、やばい!!」
というと剣崎は急いでバッグを背負うと走り始めた。
今日は五つ子たちの家庭教師が午前9時から入っており、すでに10分の遅刻だった。
剣崎はヘルメットを被るとブルースペイダーに飛び乗り、彼女らが住むマンションへと急いだ。
そしてマンションにつきオートロックを解除して部屋へと向かう。
「み、みんなすまん!寝坊した!!」
「そんなこと見なくてもわかるわよ!
まったく...寝癖くらい直してから来なさいよ!」
と部屋に入った瞬間二乃に怒られてしまった。まぁ今回に関しては10:0で剣崎が悪いので仕方がない。
「ご、ごめん。今から始めるから...
っとそうだ、一花。ちょっといいか?」
「え?私?」
と剣崎に呼ばれた一花は声を上げ、剣崎に手を引かれるままについて行く。
他の姉妹たちは怪訝そうな目でこちらを見ていたが、今の剣崎にはどうしても心にひっかかっていることがあった。
「まずは、その...キャンプファイヤーの件、ごめん」
と頭を下げる剣崎。
「そ、それはもういいよ。フータロー君は『仮面ライダー』なんだから仕方ないよ」
と頭を上げさせる。
「悪い...
話を変えるけど実は一つ聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「ああ。最近...っていってもいつのことかよく分からないんだけど
この国のどこかで怪物が大量に発生して、人が大勢殺された...そんな事件、聞いたことあるか?」
剣崎はとても深刻そうな顔でそう告げる。
「え?そんな事件、今まで1度も聞いたことないけど...」
「そ、そうか。ならいいんだ」
『そうだ。あれはタチの悪い夢だ。そうに決まっている』
「よし、なら今日も授業開始だ。修学旅行でできなかった分を取り戻すぞ!」
と剣崎は意気揚々に語る。
そしてリビングからベランダで話す剣崎と一花の姿を、三玖はじっと見つめていた。
もはやその奥が見えないくらい濁った紫色の瞳で。
勉強は概ねプラン通りに進んだ。林間学校が原因で一度は悪化しかけた剣崎と五つ子たちの関係も少しずつ修復しつつある。
そして今日予定していた課題は全て終了した。
一花は仕事に出かけ、三玖は少し出かけてくると言い家を出ていった。
今部屋には剣崎、二乃、四葉、五月の四人が残っている。
他愛もない会話を交わし、さぁ帰ろうという時だった。
剣崎の携帯がまるで平和な時間の終りを告げるかのように鳴り出した。
画面を見ればアンデットサーチャー。剣崎はすっと立ち上がり、「悪い!急用が入った」というと急いで部屋を出てバイクの停めてある駐車場へと向かった。
「匂うわ...」
「え?」
突然の二乃の発言に少し驚いたような声を上げる五月。
「に、匂うって何がですか?」
「う、ううん。なんでもないわ。なんでもない...」
と二乃らしくない態度に困惑する五月。
すると二乃は俯きがちになりながら自室へと戻って行った。
そこでボフッとベッドに寝転がると腕を頭に載せる。
二乃は感じてしまったのだ。剣崎と一花の関係の変化を。今までの教師と家庭教師では収まらないようなさらに濃い関係になってしまっているような気がした。
「私、疲れてるんだわ」
とボソッというと二乃はそのまま目を瞑る。
ありえない...私の想い人はカズマ君ただ1人なんだから!
と心の中で呟き、徐々に意識を手放していった。
一方その頃剣崎は駐車場のブルースペイダーのエンジンをかけて、再度サーチャーでアンデットの出現場所を確認していた。
そこで彼は一花と三玖にメールを送った。
今この街にまた怪物が現れているから用心してくれ、との内容だ。
そして剣崎はバイクに乗るとサーチャーの示す場所へと向かった。
街にあるビルの前にたどり着いた剣崎は辺りを見回す。近くにいた人間は全員避難していたようだった。そしてそこには♠︎10 スカラベアンデッドが現れていた。
スカラベアンデッドは一定範囲の時を止めるという恐ろしい能力を持ったアンデットである。事実、この能力の前に剣崎は追い詰められ、始の協力がなければ封印することは不可能だった。
そんな強敵が剣崎の前に現れていた。
剣崎を視界に捉えたアンデットは彼に襲いかかる。
剣崎はそれを躱すとバックルを腰に装着した。
「変身!!」
TURN UP
剣崎はオリハルコンエレメントをくぐり抜け仮面ライダーブレイドへと変身し、アンデットに急接近し格闘戦をしかける。
ブレイドの格闘に対応できず、サンドバックのように殴られたアンデットは体制を崩し倒れてしまう。
ブレイドは大きな違和感を感じていた。
『おかしい...なぜ時を止めてこない?』
アンデットは先程からブレイドに襲いかかるもののその固有能力である時止めをしてこない。
スカラベアンデッドは時を止める能力が強力であり、身体能力そのものは並以下である。
それではライダーとしての経験を積み身体能力も高い剣崎には到底適わない。
剣崎はブレイラウザーで連撃をかけ、アンデットをズタズタにする。だがいくら追い詰められようともアンデットは時を止めてはこなかった。
そしてブレイドはアンデットを蹴り飛ばすと、カードホルダーを展開し三枚のカードを取り出しラウズする。
KICK
THUNDER
MACH
《ライトニングソニック》
「ウェイ!!」
とブレイドは掛け声とともに、アンデットの腹部を蹴り抜く。アンデットは抵抗出来ずまともにくらい爆発した。
そしてブレイドはアンデットに封印のカードをなげ封印した。
カードにはTIMEと刻まれた。
特にダメージなどは負うことなく難なく終わった戦闘。
だが剣崎の中では拭いきれない違和感が残った。
そして剣崎は試しに今手に入れたTIMEのカードをラウズしてみることにした。
TIME
とそれに準ずる電子音は流れたもののなぜか時が止まっているような感覚はない。どうやらブレイラウザーの故障などではなさそうである。
「おっかしいなぁ...」
とブレイドは腕組みをする。
だが考えるブレイドの後ろから
「フータロー君!!」
と声がかけられた。
「い、一花!?どうしてここに...」
「いやそれがさ、近くにまた怪物が現れたって聞いたものだからもしかしたらフータロー君に会えるかなぁって思っちゃって」
と舌を出す一花。だがブレイドは変身を解除し、上杉風太郎の姿に戻ると呆れたような顔になりながら口を開く。
「今回は何も無かったから良かったけど次はこんなことするなよ。もしお前が軽い気持ちで来て、お前が傷つくなんてことがあったらどうするんだ」
と諌めるように言う。
「ご、ごめんね!次はそんなことないようにするから!
でも.....フータロー君に怪我がなくてよかった。さっすが、私の『仮面ライダー』♡」
と心底安心したような顔を見せると剣崎にギュッと抱きついた。
「お、おい!一花!」
と顔を少し赤らめる剣崎。
そして幸せそうに彼に抱きつく一花。
そんな二人を三玖はビルの影から見つめ、絶望したような顔で座り込んでしまった。
先程アンデットが現れたことを知った時、三玖は剣崎を助けるために自身もアンデットの発生場所へと向かった。
だが三玖が既に着いた頃にはアンデットはブレイドによって封印されており三玖が出る幕は無かった。
どう剣崎に話しかけようか考えていたところだった。
そんなところに一花が現れたのだった。
彼女はブレイドのことを『フータロー君』と呼んだのだった。
その発言こそが、三玖の心の最後の砦をまるで硝子のように粉々に壊してしまったのだった。
三玖は剣崎の正体が仮面ライダーであることを自分しか知らないと思い込んでおり、それが唯一の彼女の心の支えであった。
そして三玖は自身がレンゲルになってしまった時、闇を受け入れてしまったことに絶望しながらも、もし自分が彼を守れたらということを考え、彼女はレンゲルとして戦うことを決めた。
だが闇に侵食され尽くされた三玖の心の中でもほんの小さな光が残っていた。
それが剣崎の仮面ライダーの秘密である。ほかの姉妹と違って何も持っていない自分に、唯一与えられた大切なもの。
だがそれすらも、一花に取られてしまった。
「今の私.....なにもなくなっちゃった」
と呟く三玖にまたあの声が聞こえた。
───────────────────────
『もうなーんにも無くなっちゃったね、『私』』
.....
『全部全部一花に盗まれちゃったね。哀れな『私』』
うるさい!うるさいうるさいうるさい!!!もう喋らないでよ!もう出てこないでよ!!もう私の事なんて...放っておいてよ...
『そんなこと...できるわけないでしょ』
と紫色の瞳の三玖は、青い瞳の三玖を優しく抱きしめる。
えっ?
『だって、 ...私は『私』。『私』は私なんだよ。『私』は私のことをいちばんよく分かってる。今でも諦めきれないんでしょ、フータローのこと』
.....そうだよ。でももう私になんて...
『ううん、振り向いてくれるよ。
だからそのためには
邪魔者を消さなきゃ』
邪魔者を...消す.......?
『うん。フータローと一花の二人の関係をめちゃくちゃに引き裂いちゃえばいいんだよ』
どうやって?
『私になら、分かるはずだよ。だって私と一花は、五つ子だもん』
.....!!!
───────────────────────
あの戦いのあと一花は仕事に戻り、剣崎は自宅へと帰った。
さぁ明日の家庭教師のために復習をしようと腰を畳の上に下ろした時、らいはが小さな小包をもって来た。
「お兄ちゃーん」
「ん?どうした、らいは。ってかその箱...」
「お兄ちゃんにお届けものだって。ハンコは私が押しといたから」
「俺に届けもの?まぁいっか。ありがとな、らいは」
と剣崎はらいはの頭を撫でる。らいはは嬉しそうな顔をして夕飯の準備を始めた。
剣崎は受け取った箱を眺める。
「何か頼んだっけな...いやそもそも俺通販とかの使い方なんて知らないし...まぁとにかく開けてみるかぁ」
と剣崎は部屋のカッターナイフを使って小鼓を開ける。
そして彼はその中身に驚愕するのだった。
「こ、これは!
ラ、ラウズアブゾーバー!?」
と剣崎はそれを手にして驚きの表情を隠せない。
剣崎は一瞬のうちに頭を回転させる。だが存外簡単なことだと剣崎は思った。恐らくだが、あの電話の人物-仮面ライダーレンゲルの変身者が送ってきたに違いない。
だがそれはそれで余計に訳が分からない。レンゲルは林間学校の前に一度ブレイドに敗れた。林間学校では煮え湯を飲まされはしたものの、このタイミングで敵に塩を送る理由は全く想像出来なかった。
「でもまぁ...くれるっていうなら貰うに越したことないか」
と独り言で呟き、それをポケットに入れた。レンゲルの目的は全く持ってわからないが、敵が強くなってきていることは事実。レンゲルに上級アンデッド。彼らを倒すために、ラウズアブゾーバーを手に入れておくことは決して悪いことではなかった。
わざわざ送ってくる辺り、これも敵の思うつぼのだろうが、今は仕方ないと諦めた。
とにかく今の自分は五つ子たちの家庭教師である。いくら仮面ライダーとして戦うとはいえ、自分の仕事をないがしろにしてはいけないと考え、教科書を開こうとしたところで携帯がなる。
そこにはつい先ほどと同じようにアンデットサーチャーが表示されていた。
「またか...!」
と剣崎は歯噛みすると急いで家の外に出る。
「ちょっと!お兄ちゃん!どこ行くの?」
「悪いらいは!なるべく早めに戻る!!」
「夜ご飯までに帰ってきてねー!」
と剣崎に手をふるらいは。そんな彼女に最低限の平静を装い彼はブルースペイダーに飛び乗りサーチャーの示す場所へと急いだ。
小さな公園だがそこにアンデッドの姿はない。どこだと辺りを見回す剣崎に
「フータロー君」
と声がかけられた。
「い、一花!!ここは危険だ!!今ここに...」
「アンデッドのことなら心配はいらないよ」
「な、なんでそんなことが分かって...
というか今お前、アンデッドって」
「うん。だってさっきフータロー君の携帯がなったのは、私がアンデットを解放したからだよ。
じゃあ、フータロー君。見てて」
すると一花はポケットからあるものを取り出す。それは装着者を仮面ライダーレンゲルに変身させる、レンゲルバックルであった。
それに彼女はカテゴリーAを装填する。カテゴリーAを装填されたレンゲルバックルは自動的に一花の腰に装着される。
「い、一花!!それは!!!」
一花は手を顔の前にかざす。そして紫色の目で剣崎を見据えると、
「変身」
OPEN UP
と呟き手を降ろす勢いでレンゲルバックルを開く。
そこから現れたスピリチュアエレメントは一花の体に自動的に接触し、
彼女を『仮面ライダーレンゲル』へと変身させた。
〜剣崎がレンゲルと出会った1時間後の病院〜
「そうか、ラウズアブゾーバーを渡してくれたか。すまないね、勇也。
.......それはまだ話すことではないよ、では」
というとマルオは電話を切る。
彼は手元のカテゴリーA スタッグビートルアンデッドを見る。林間学校のあと勇也は律儀に礼を言ってバックルとカテゴリーAを返却してきたのであった。それに郵送物を装ってラウズアブゾーバーを渡すなどあまり勇也らしくない行動に僅かな笑みが漏れる。だがそこで彼は一つ気になることを言っていた。
「ブレイドに姿を変える、謎のライダー...か」
どうも勇也はマルオですら認識できていないライダーと出会い共闘をしたらしい。
マルオは諦めたように目を閉じる。何事にもイレギュラーは付き物だ。それが計画の支障にならない以上、一々気にしていても仕方がない。
すると後ろの扉が開かれ、執事を務める男-江端が入室してきた。
「お疲れ様です、旦那様」
「あぁ」
「とうとう三玖様が...」
「あぁ。彼女の融合係数が1500を超えた」
モニターには先程の三玖の変身時の融合係数が記録されていた。そこに映し出される融合係数最高値:1566という数値。
「私は確信したよ。彼女ならいずれ成し遂げられる。カテゴリーKと融合し、その力を最大限に引き出すキングフォーム。
そしてそれを超える力。
同スートの13体のアンデットとの同時融合を、三玖くんならきっと」
「ですが、そのためには」
「分かっているさ。まずは...♣︎のカテゴリーK、それを封印しなくてはいけないからね。
本当に惜しいことだよ。レンゲルではなく、ブレイドかギャレンを渡せていれば、比較的スムーズに彼女にカードを揃えさせることが出来たというのに。
それこそ私か江端が封印されればカテゴリーKは確実に渡すことが出来ていた」
「左様でございます」
「それは仕方ないだろう。スパイダーアンデッドは人の闇に付け入ることを得意としている。やつが三玖くんに惹かれたのは必然というものだ。
だがあの老人が私たちに素直に封印されるとは思えない。
江端、いざと言う時は」
「承知しております、旦那様」
そういうと江端はその姿を異形に変えた。
「私のような頼りない剣でよければ、なんなりとお使い申し上げください」
彼は恭しくマルオの前にに跪くのだった。
♠︎10 スカラベアンデッド
時間を止めるというアンデッドの中で最強クラスの能力をもつ。
ただしその能力は、特別な白い布を身につけることで無効化される。(キングとスカラベアンデッドは、常にその布を身につけていた)
今回スカラベアンデッドくんが時止めを使わなかったのはちゃんと理由があります。これも物語の終盤に分かることなので気を長くして待って頂ければ幸いです。
ここ最近投稿が滞ってしまい申し訳ありません。
理由としては何個かあるのですが、主に挙げられるのは3つ。
勉強、趣味の楽器、艦これです。 主に1:5:4くらいの割合で時間を割いていました。
これからも投稿ペースが落ちてしまうと思われますがご了承ください。