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本編どうぞ
「分かった...話す気がないならそれでいい。
ただ、他の姉妹には何があっても手を出すな。
もし危害を加えるなら...俺がお前を倒す」
『俺が必ずみんなを守る。そして必ず一花をカテゴリーAの呪縛から解放してやる』
そしてそれだけ一花に言うことをいって剣崎は屋上を立ち去ろうとした。
「フータロー君...私、どうすればいいの...」
一花はその場に座り込んで泣くことしか出来なかった。
最愛の人に見限られたことは今の彼女にとって、あまりにも辛すぎた。
「待ちなさい!!」
そして剣崎が屋上を出ようとした時、目の前に二乃が立ち塞がった。
二乃の後ろに三玖、四葉、五月も付いてきている。
「アンタ、何してんのよ...」
「二乃には...関係ない。どいてくれ」
「どかないわ。ちゃんと説明してもらうから。私たちの姉を泣かせたことを含めてね」
二乃の顔には『怒り』の二文字がハッキリと書かれている。
「何があったの?答えなさいよ」
「頼む。聞かないでくれ」
二乃と目も合わせようとしない剣崎。
「アンタ、男でしょ!?ウジウジしてんじゃないわよ!」
そんな彼の態度に激昂した二乃は剣崎の頬を強く張った。
「ッ......」
だが剣崎は答えない。答えられない。
この姉妹たちに全てを告げてしまえば、彼女は過酷な『運命』に巻き込まれる。それだけは何としても避けなければならない。
「何かいいなさい!」
そして再度剣崎の頬を叩こうとした時、三玖がその腕を強く掴む。
「なっ...み、三玖!離して!」
「...出さないで」
三玖は二乃を腕をさらに強く掴む。
「いっ...痛い!」
「フータローに...手を出さないで」
「ちょっ、ちょっと三玖!」
四葉が慌てて三玖と二乃を引き剥がす。
「四葉、邪魔」
三玖は冷たく四葉を振り払う。
「アンタ、随分と強気になったじゃない」
二乃は掴まれた腕を抑えながら三玖を睨む。だが三玖はそんな二乃をまるでゴミを見るかのように、『紫色』の瞳で見据える。
「そう?でもそんなことはどうでもいい。
もし次にフータローを叩いたりでもしたら...私、あなたに何をするか分からないから」
すると二乃はその三玖を見てブルリと震える。本能的な恐怖が二乃の体を支配する。
「...行くわよ、一花」
二乃、四葉、五月は一花を立ち上がらせるとそのまま4人で部屋に戻る。
だが帰り際剣崎に言い放つ。
「アンタ、もう明日から来ないで」
「に、二乃!」
「黙ってなさい、五月。私はもう二度とこいつにうちの敷居を跨がせるつもりはない。
結局、あの日に私に話してくれたことは嘘だったのね」
「ッ...!」
それだけいうと二乃たちは部屋へと戻っていく。屋上には剣崎と三玖だけが残される。
「三玖...おれは...」
「大丈夫」
そういうと優しく三玖は剣崎を抱きしめる。
「前にフータローは私を守ってくれたでしょ?だから次は私がフータローを守る番。
たとえみんながフータローを拒絶したとしても、私だけはあなたの味方でいるから」
「み......く......」
「だからフータロー。
今は私を頼って。私だけが、あなたの心を支えるから」
剣崎は泣きそうになったが、それを堪えた。
自分の心を支えると言ったこの少女を、自分が『運命』の魔の手から守らねばと決意したから。
〜どこかのビルの屋上〜
あの後三玖は剣崎と別れた。あの温かい体から離れるのは名残惜しかったが、彼にも帰る家がある。
仕方なく三玖は剣崎を話したのだった。
「フータロー温かったなぁ」
そういって妖艶に微笑む三玖。今の彼女は底の見えぬ濁り切った紫色の瞳をしている。
髪留めは蜘蛛の糸の意匠をあしらったものを付けており、着ているセーターはいつもの水色のものではなく、瞳の色と同じ濃い紫色である。
そして三玖はゆっくりと目を閉じる。ここで三玖の意識は完全に途切れ、その意識と身体はスパイダーアンデッドに乗っ取られる。
「こそこそと隠れるな、出てこい」
そしていつもの三玖らしからぬ強い口調で話す。
「どうだい?三玖くんの身体は。中々居心地が良くなっただろう」
「フン、悪くは無いと言っておこう」
そういって三玖は後ろを振り向く。そこには三玖の義父、『中野マルオ』の姿があった。
「気に食わんな。早くその化けの皮を剥いでやろうか?『カテゴリーK』」
「その名前で呼ばれるのも私としてはあまり嬉しくないのだがね、カテゴリーA-『スパイダーアンデッド』」
「フッ...アンデッドともあろうものが呼ばれ方に気を遣うとは...らしくないな、
カテゴリーK。いや......
『ギラファアンデッド』
貴様は俺にとって邪魔な存在だ。消えてもらう」
すると三玖に憑依したスパイダーアンデッドはレンゲルバックルを取り出す。するとそれはまるで生きているかのように三玖の腰にひとりでに巻き付く。
「『変身』」
OPEN UP
その言葉と共にレンゲルバックルが勝手に開かれ、その姿を『仮面ライダーレンゲル』へと変身させる。
「ほう...もはやバックルに触れることなくレンゲルへの変身を可能にしたか。これは融合係数が2000台に届くのも夢ではないね」
「...減らず口を...死ねぃ!!」
レンゲルはレンゲルラウザーをマルオの身体に叩きつけようとする。
だが
ガギン!!という鈍い金属音と共に、その刃はマルオの身体に到達する前に盾のようなものに阻まれる。
そしてレンゲルとマルオの間に、中野家の執事、『江端』が割って入っていた。
「旦那様には手出しをさせるわけにはいきませんな」
「すまないね、江端」
「き、貴様は!」
レンゲルが距離を取ろうとするがその前に江端はレンゲルラウザーを掴み、逃がさない。
そして江端はその姿を異形へと変える。
「やはりお前か...カテゴリーK...『コーカサスビートルアンデッド』!
ガァ!」
コーカサスビートルアンデッドは右手の剣を振るい、一撃でレンゲルを吹き飛ばす。
「フフフ...カテゴリーKが2体か。面白い、かかってこい!『最強のライダー』であるこのレンゲルが相手をしてやる!」
「待ってくれ。今私たちは君と争うつもりはない。私は君と三玖君に一刻も早く強くなって欲しくてね、これは私からのプレゼントだ」
マルオはある物をレンゲルへ投げ渡す。
「それはレンゲル専用の『ラウズアブゾーバー』だ。カテゴリーJとカテゴリーQは既に君は所持しているはずだ。
それを使えばジャックフォームの力が手に入る」
レンゲルは怪訝そうにそれを見つめるがそれを腕に装着する。
「いずれ貴様らは後悔する。俺がキングフォームの力を手に入れれば貴様らなど一瞬にして封印してやる」
「ならば君がキングフォームになるその日を楽しみに待っているよ
さらばだ」
そういうとマルオとコーカサスビートルアンデッドは一瞬のうちに姿を消した。
「余計なネズミがもう1匹紛れ込んでいたようだな...」
「おっと、気づかれてたか」
そういって姿を表したのは黒いスーツに身を包んだ眼鏡の女である。
「まずは自己紹介だ。私は『下田』。
まぁお前には『カテゴリーJ』って言う方が分かるだろうな」
「何が目的だ。まさかただ通りかかったという訳ではあるまい」
「おお!よく分かってんじゃねぇか!なら1度しか言わねぇから耳の穴かっぽじってよーく聞きな。
今すぐその嬢ちゃんの体から出ていけよ、クソ蜘蛛野郎が...
その子はてめぇみたいな薄汚いゴミが取り付いていいような子じゃねぇよ、消えな」
女らしからぬ汚い口調でアンデッドを罵る下田。
「にしても『零奈』さんも浮かばれねぇなぁ。まさか旦那が自分の娘を目的のために道具のように使うようなやつだったとは...
いくら愛していたとしても...これじゃああまりに『零奈』さんが可愛そうだ」
「なんの話しをしている?その汚い口を閉じろ、『ウルフアンデッド』。そもそも貴様が俺を攻撃すればその痛みを受けるのはこの娘だぞ?」
「んなこたァ分かってるよ。その腰に巻いてるものをぶっ壊せばいいってこともな」
「ほう?やってみるがいい。まずは貴様がこのジャックフォームの犠牲になれ」
口汚いやり取りを終えると、下田はその姿を♥J-ウルフアンデッドに変える。
そしてレンゲルは2枚のカードを取り出すとラウズアブゾーバーにセットしていく。
ABSORB QUEEN
FUSION JACK!!
するとレンゲルの体に♣︎J-エレファントアンデッドが融合させられる。そしてレンゲルの胸にはエレファントアンデッドの紋章が刻まれ、腕には巨大な手甲、『オリハルコンタスク』が装備され、さらなる巨躯を手にする。
「来い、薄汚い獣め。寝言はカードの中で吐かせてやる」
「そうかい。ならお前はその子の身体から離れて一人で吐きな」
今、新たな力を手にしたレンゲルとウルフアンデッドの戦いの火蓋が切って落とされた。
〜上杉家〜
剣崎は三玖と別れたあと一人で家路についていた。家に帰っても何も食べる気もおきず、夕飯を食べずに一人部屋に寝転がっていた。
らいはは少しでも食べるように進めたが、剣崎はそれを頑なに拒否した。
勇也はそれに対して何も言わなかった。
『俺は今...何をすればいいんだ』
もはや剣崎は周りのこと全てが信じられなくなっていた。守ろうとしていた少女自身が、自分を傷つける敵だったのである。
そしてそれを問い詰めるのに強引な手を使ったせいで、もう二度と修復できないであろう亀裂を自分と中野姉妹の間に作ってしまっていた。
『最低だ。俺は...みんなを『笑顔』にさせるなんて言ったのに、結局俺は昔から何も変わっていなかったんだ。
きっとこれは俺への罰だ。この『上杉風太郎』の姿を借りて、人間を演じた俺への罰なんだ』
自責の念に刈られた剣崎はもはや目を瞑ることしか出来なかった。
何もやる気が起きず、ただ剣崎は目を瞑るだけである。
だが『運命』が彼を逃がさなかった。剣崎の携帯が震え出す。そこにはアンデッドサーチャー、『カテゴリーK』の出現を示していた。
「カテゴリー...K!」
剣崎飛び起きると勇也にもらいはにも声をかけず直ぐに家をとび出る。
そしてサーチャーで場所を確認すると直ぐにバイクを走らせた。
〜ビルの屋上〜
「チィっ!!」
ウルフアンデッドはレンゲルの攻撃を躱す。大振りな一撃だが当たれば紛れもない致命傷となる。レンゲルのジャックフォームは飛行能力がない代わりに、エレファントアンデッドの力で攻撃力、防御力共に凄まじく向上する。
ウルフアンデッドはかなりのすばやさを持つアンデッドだったが、ジャックフォームの防御力の前に有効打を欠いていた。
「どうした、カテゴリーJ。そんなものか」
「余計なお世話だ、蜘蛛野郎」
口では強がるものの実際にダメージを与えるどころか怯ませることすらも出来ずにいる状況にウルフアンデッドは歯噛みする。
『仕方ねぇ...なんとか一瞬だけでも隙を作って、その間にバックルだけを壊すしかなさそうだな』
そう考えたウルフアンデッドはとにかく素早く動き回り、レンゲルを翻弄する。そしてビルの鉄柵を破壊すると次々にレンゲルに投げつけていく。
「フン!」
しかし鉄柵だけではレンゲルには傷一つつけることは出来ない。うっとおしく感じたレンゲルは鉄柵を弾き飛ばす。
だがその動作が隙となった。ウルフアンデッドはその膂力を活かして一瞬のうちにレンゲルの懐に飛び込むと、バックル目掛けて鋭い爪を伸ばし、バックルを破壊
「やめて...下田さん。苦しいよ...助けて」
「え?」
出来なかった。スパイダーアンデッドは卑怯にも三玖の声で下田に語りかけたのだった。三玖の声でその動きを止めてしまったウルフアンデッドの腕をレンゲルがジャックフォームの握力を以て左腕で思い切り掴む。
「イッ!?」
あまりの激痛にたじろぎ腕を引き抜こうとするもジャックフォームとなったレンゲルの握力は凄まじくとてもではないが引き抜くことは出来ない。
「かかったな、獣め」
「て、テメェ....」
レンゲルはラウザーを地面に突き立てると、カードリーダーに2枚のカードをゆっくりと通す。
SCREW
BLLIZARD
《ブリザードゲイル》
電子音とともに、レンゲルの右腕が冷気を纏う。
「喜べ...貴様が最初にこのジャックフォームに封印されるのだ」
そう言葉を投げかけるとレンゲルは右ストレートをウルフアンデッドの腹に思い切り叩き込んだ。
「かひゅ......」
口から肺に残されていた空気と、血を吐き出す。
ジャックフォームにより圧倒的な威力を誇るブリザードゲイルが、ウルフアンデッドを文字通り一撃で叩き伏せたのだった。
♥J ウルフアンデッド
スート・ハートのカテゴリーJに属する、劇中におけるオオカミの始祖である上級アンデッド。人間の死体にウイルスを流し込んで狼人間にして操る事が出来る。
下田さんとは五等分の花嫁の原作の7巻にでてきた、口の悪い先生です。一応いい人なのでこのゾンビを生み出す能力を使うことがないと思います...
剣でいう虎姐さんポジです。
あと江端さんが変身したコーカサスビートルアンデッド、マルオの正体であるギラファアンデッドははまたちゃんとした戦闘の際に後書きに詳細を載せます。
三玖がまじでやべーやつになってしまっていますが、これも全て薄汚いアンデッドであるスパイダーアンデッドのせいです。
三玖ファンの皆様、本当に申し訳ありません。