剣崎はトラックに轢かれそうになった少女を助けて学校へと向かう。その時まわりの生徒達が
「うそ、あの上杉が...」
「いや、あいつが人を助けるなんて何かの間違いだろ...」
「今の女の子誰だろう...可愛かったなぁ」
などと口々に話し出す。
この場に居にくくなった剣崎は人助けしたことを疑われるなんてこの青年はどんな人間だったんだろうと疑問に思いつつも、早足で学校に向かった。
正直に言ってしまうと高校の授業はあまり面白くなかった。
そもそもこの剣崎一真、勉強面において特に苦労したことがないのだ。彼はいわゆる天才というやつである。勉強も運動もそれらを上達させるのに努力という努力をしたことは無かった。彼が何かをやろうとすれば必ず平均よりさらに上のラインまで軽々と到達してしまうのだ。
彼が努力無しで出来なかったことと言えばライダーとして戦うことぐらいである。これに関しては1人前になるまでに多大な努力を要した。ひとえにこれも橘さんや虎太郎や広瀬さんなど周りの人間の支えがあったからこそである。彼は多くの人間との出会いによってライダーとして成熟していったのだ。
そんなことを考えていると社会科の頭の毛が薄い教師から
「こら!上杉!人の授業を他所を見ながら受けるんじゃない!」
と怒られてしまった。
それで剣崎は立ち上がり
「すみませんでした先生!」
と素直に頭を下げて謝った。
教師もクラスメイトも驚いたような顔でこちらを見ている。
剣崎は
「俺今...何か変なこと言っちゃいました...?」
と頭を掻きながら尋ねるのだった。
その後病的なまでに素直になった上杉風太郎に『悪霊が取り付いている』や『家族を人質にとられている』などのありえない根も葉もない噂が流れたのはまた別の話。
そして時が流れ昼休み。彼は1人で食堂へと向かう。それなりの広さもあり中々いい感じの食堂である。
剣崎はメニューを見ながら何を食べるか考え出す。
『ラーメンにカレー...全部美味しそそうだなぁ。とりあえずこの焼肉定食ってのにしてみるか』
と彼は心の中で呟き、焼肉定食を買おうとした。値段も400円と中々にリーズナブルである。
そして彼は財布を開けて驚愕することになる。なんとお金は200円しか入っていなかったのだ。
「え?!」
と思わず大きな声を上げてしまい周りから奇異の視線を向けられ思わず、イカンイカンと自身を戒める。
だがいくらなんでも200円はないだろう。今時の小学生でもせめて500円くらいは持ってるもんだろうと心の中で文句をいう。
ただ所持金が200円ではライスくらいしか食べるものがない。彼が呆然としていると食堂のおばちゃんが
「あぁ、いつものね」
と勝手に用意を始める。
俺は一体何が出てくるのだろうと年甲斐もなくワクワクしていた。
出てきたのはご飯に味噌汁、お新香だけだった。そしておばちゃんが「200円」と言いながら右手を出してくるので俺は仕方なく財布から200円を出して払う。
花の高校生がまさかの無一文になってしまった。
確かに剣崎はライダーになりたての頃は給料が少なかったのもあって、大した飯を食べれていたわけではなかった。
いやそれでも200円って...
ただぶつくさ言ってても始まらない。とりあえず今はちゃっちゃっと食べてしまおうと思い水を取りに行く。
水を入れ終わり席に座ろうと歩き始めたところで、剣崎はいきなり走ってきた生徒にぶつかられてしまった。
剣崎はその衝撃でコップの水を頭からかぶってしまう。
ぶつかった生徒は
「あ、ワリ」
と平謝りして去ろうとしたが
剣崎は
「いや、大丈夫だよ。これくらい直ぐに乾くさ。」
と笑いながら答える。
さすが剣崎、相手はいくらなんでも高校生、こちらこそ外見は高校生が中身は正真正銘の成人である。そのようなことで大人気なくいちいちカッカッしてはいられない。
ただそこでまた他の生徒からの視線が注がれ彼らは口々に
「あれ本当に上杉くん ?」
「彼があんな笑顔見せたの初めてだぞ...」
などと話していた。
本当にこの上杉風太郎、どんな人間だったんだろうと少し困惑しながら席につこうとした。
だがまたここでも運命のいたずらである。
席にトレーを置こうとした剣崎であったがもう一方からきた別のトレーとぶつかってしまったのである。
そこにいたのは剣崎が朝通学途中に助けた少女だった。
だがとりあえずぶつかってしまったのは謝るべきであろう。剣崎が「ごめん」と言おうとしたその時、少女は眉間に皺を寄せ
「あの!」
そう大きな声で言われ剣崎は朝のことで、なにか謝ったりでもするのかなと考えた。そこでそのようなことを言うなら「もう気にしないでいいよ」などと返すつもりであったが
「私の方が先でした。となりの席が空いているので座ってください」
などと言ってきたのである。
流石の剣崎もこれには黙っている訳にはいかない。
「あのなぁ、君。席のことだけならまだいいとして朝自分を助けた人に対してその言い方はないだろ!」
と少し声を荒らげる。
剣崎は別に感謝されたいとかなにか見返りを求めて助けた訳では無い。だが自分が助けた人にこのような高圧的な態度でこられては言い返しざるをえなかった。
だが少女は矢継ぎ早に
「私があなたに助けられた?何を言っているんですかあなたは。」
と返した。
剣崎は思わず「は?」と漏らしてしまった。
少女は続ける。
「人の席を取ろうとするだけではなく、今度はありもしない恩を売ってくるだなんて...
あなた自分が人として何をしているか本当にわかっているんですか?
そもそも食堂の席は早い者勝ちですよ?」
なんだこの女。助けて貰ったことすらなかったことにしようって言うのか?確かに見返りなどを求めたつもりはない。でもいくら何でもはこの言い方は許されるはずはない。いくら勝気で男勝りな広瀬さんでもこんな言い方はしないだろう。
ならこんなやつともう話す必要は無い。
「へー、早い者勝ちかぁ」
食堂はみんなのものだ。どこの席に座ろうと俺の勝手である。剣崎はこの悪女の一瞬の隙をつき元凶となった椅子に素早く座った。
「ならこれでこの席は俺のものだな!」
と勝ち誇ったかのように告げる。
そうすると少女「ちょっ」と言ったあと呆れたように前の椅子に座る。
俺は内心でよくこんな言い合いの後にその相手の前に座る気になったなとつくづく思う。
その後少女は俺と少し目を合わせたあと
「午前中にこの高校を見て歩き回ったせいで足が限界なんです」
と告げてきた。
そこでおれはこの少女がこの学校の制服とは違う制服を来ていたことに気づく。
ただそんなことは知ったことではない。剣崎は半ば無視するような形になりつつも食事を摂り始めた。そして一瞬チラリと彼女のトレーの上の天ぷらが沢山のったうどんとプリンを見てなんでこんなやつがこんないいもん食ってんだと心中でボヤいた。
とりあえず彼は制服のポケットに入れたままになっていたテスト用紙を広げてみた。
なんと100点満点である。自分もテストはほぼ毎回100点だったので驚きはしなかったがとりあえずこの上杉風太郎という青年が非常に学業面において優秀な生徒であることがわかった。ちなみにこの程度の問題なら自分でも簡単に解けるということもわかった。
だがいきなり目の前の少女は
「行儀が悪いですよ」
と注意してきた。
「人の行儀を注意する前にまず自分の性格を直せよ」と言いそうになったがそんなことを言えばまた喧嘩になるのは明白である。
剣崎は一言、
「ほっとけ」
と言い放った。
だが彼女は何を勘違いしたのか
「食事中に勉強なんて...余程追い込まれているんですね」
と言い、俺の(ものではないが)テスト用紙を取り上げたのだ。
彼女は鬼の首を取ったかのような顔をしてテスト用紙を見るが、その後すぐに青ざめた。
そして
「100点...」
と呟いた。
そこで剣崎は少し意地悪く、
「あー、テスト用紙みられちゃったなぁ〜
恥ずかしいなぁ〜」
とわざとらしく発した。まぁ自分が取った点数ではないのだが今はこの少女に無性に腹が立っていたのだ
彼女は悔しそうに頬を膨らませ
「悔しいが勉強は得意ではないので羨ましいです。」と呟いた。
たがすぐに「私いいことを思いつきました!」といい手をパンと叩いた。
「せっかく相席になったんです。」
「勉強 教えてくださいよ」
とお願いしてきた。
「どの口が言ってんだよ」
とだけ剣崎は告げ「ご馳走様でした」をして席を立つ。
だが彼女はなおも食い下がってきた。
「お昼ご飯 それっぽっちでいいのですか?
私の分少し上げましょうか?」
と尋ねてくる。
誰がこんなやつから施しなど受けるものか
剣崎はちらりと彼女を一瞥し、
「満腹だよ。そもそも誰がお前から...」
まで言いかけたところでお腹から『グゥ〜』と音が鳴った。
一瞬の沈黙のあと剣崎は
「本当に少し貰っていいのか」
とあっさり折れ、年上としてのプライドを捨ててこの満たされない食欲を少しでも埋めることに決めた。
約10分後
「いや〜悪いな。飯を分けてもらっちゃって。」
とお腹がある程度膨れ満足げになった剣崎は少女に言った。
少女も
「それなら良かったです。私も先程は少し言いすぎました...
助けてもらったというのはなんのことがわかりませんがとにかく申し訳ありません。」
と謝罪した。
......まぁ今朝の件は水に流すとしよう。こちらも100%善意でやったことだ。それを一々追求するのは野暮というものだろう。
それを言うと少女はこちらを少し見上げて頬を少し種に染ながら聞いてきた。
「あの〜先程の勉強の件は...」
と
「まぁそれに関しては俺でよければ少しは力になるよ。ただこっちも色々とやらなければいけないことがあるからいつでもという訳にはいかないけど」
と答えた。もちろんやることこは現場を理解することである。
そう告げると少女はパァっと顔を明るくし
「本当ですか!?あんなことを言ったのに申し訳ないです。」
「いや別にもう気にしてないよ。むしろ飯を分けてもらったからそれくらいはやらせてもらうよ。」
と告げる。
そして彼女は最後に
「ではまず自己紹介をさせてください。
私の名前は中野五月です。
お名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
と言われ
「あぁ。俺の名前は剣z...上杉風太郎だ。よろしくね、中野さん」
と握手を求めた。
「はい!よろしくお願いします!」
と五月もニッコリ笑って握手に答えた。
そして五月と別れたあと自分の電話が妹のらいはちゃんからの電話で鳴ったことに気付き、とりあえずトイレで出ようと思い、トイレの個室に入った。
「お兄ちゃん!お父さんから聞いた!?」
と耳をつんざくような声で話しかけてきた。
「ど...どうしたらいは
もう少し落ち着いて」
「あ、ごめんね。うちの借金なくなるかもしれないよ」
......は?借金......?
「え?らいは...借金って...」
「もう!お兄ちゃんとぼけないでよ!
お父さんがいいバイト見つけたんだ。最近引っ越してきたお金持ちのなんだけど娘さんの家庭教師を探してるらしいんだ」
といい、
「アットホームで楽しい職場!相場の給料の5倍が貰えるって!」
と興奮気味に伝えてくる。
...それ怪しい裏の仕事じゃないのか...
例えば家庭教師に行った途端不死の生物を封印をするハメになったりだとか
らいはが続ける
「人の腎臓って片方なくなっても大丈夫らしいよ」
「それ俺がやるの?!」
もうあんな悲しいだけの戦いはゴメンだ!
人の命の安全が脅かされるとかなら話は別だけど...
「うそうそ。成績悪くて困ってるって言ってたよ。でもお兄ちゃんならできるって信じてる!」
「ちょっと待て、やるとは一言も...」
「これでおながいっぱい食べられるようになるね!」
剣崎は満腹気味のお腹をさすりながら
「その娘ってどんな奴なんだ?」
とまだあまり話してもいない妹の笑顔のために仕事を受けることを決意した。
だがらいははその娘さんの名前を忘れてしまっていたようでその名前は聞くことが出来なかった。
午後の教室では
「午後から転入生くるらしいよ」
「あーそういえばそんな話しあったねー」
などと噂されていた。
そして担任が転入生を紹介します。といい後ろについてきた生徒に自己紹介させる。
それはつい先程自分に飯をくれたあの少女だった。
彼女は黒板に名前を書きその名前を告げる
「中野五月です。どうぞよろしくおねがいします。」
「女子だ」
「普通に可愛い」
「あの制服って黒薔薇女子じゃない」などと口々に話し始める。
まさかおれが教える予定の娘ってこの子のことなのか..., 。
とりあえずこっちに向かってきた五月に対して声をかけた
「やぁ、中野さん」
「あら!上杉さん!上杉さんもこのクラスだったのですね!知り合いがいて良かったです!」
と嬉しそうに告げてくる。
まぁ知り合いと言っても知り合って2時間程だが。
先程まではボソボソ程度の声量だった教室が一気に騒がしくなる。
「え?!中野さんと上杉って知り合いだったの?!」
「まさかあの上杉が?!」
ごめん。上杉風太郎くん。この剣崎一真はまた君の体で余計なことをしましたと心の中で謝った。
翌日昼飯(もちろん焼肉抜き焼肉定食である)を摂ろうと思った俺と中野さんはまた食堂で出会った。
「あ、中野さんもいまから昼食?」
「あら。上杉くんもですか?」
「そうなんだ。よかったらまた一緒に食べない?そのあと少し勉強を教えてもいいけど」
「本当ですか!?あ...でも」
と言葉を濁らせる。
そしたら後ろから
「五月ー!こっちだよー!」
と随分元気な声が聞こえてくる。
振り返ってみると数人の少女たちがすでに席を囲んでいた。
「すみません。上杉さん。私...」
なるほど中野さんはいまからこの友達と飯を食う約束をしていたのか。なら男の俺がいても邪魔なだけだろう。そう判断しと立ち去ろうとした。
だが振り向いた途端
「行っちゃうの?」
と呼び止められた。
そこにはショートカットの女子生徒がこっちを見上げていた。
「そりゃ中野さんが友達とご飯を食べるなら俺が邪魔するのは悪いよ。」
「席探してたんでしょ?私たちと一緒に食べていけばいいよ。」
「いや...でもなぁ...」
と言葉に詰まる。
「なんでー?美少女に囲まれてご飯食べたくないの?彼女もいないのに?」
「なんだよそんなこと関係ないだろ」
別に上杉に彼女がいたかどうかは剣崎には分からないが周りの反応を見る限りどうもその類は無さそうだと判断した。剣崎もなかなか失礼な男である。
とにかく俺はこの場を立ち去ろうとした。
だがショートカットの女子生徒は俺の前に立ちふさがり
「五月ちゃんが狙いでしょ
ん?」
と聞いてくる
「いや別に狙ってるとかそういうのじゃないよ。」
と正直に答えたものの
「ん〜???ほんとかなぁ〜???」
と絡んでくる
...中々面倒なやつだなこいつ
「じゃあ照れ屋な君のために私が呼んできてあげよう」
と彼女は五月に声をかけようとする。
だが俺は「待ってくれ」と遮り
「これは自分の問題だし自分でなんとかするよ」
と告げた。
そしていきなり
「なんだ中々カッコイイとこあんじゃん」
といい俺の背中を叩いてきた。唐突のことで思わず「うっ」と声が漏れてしまう。
「あ、でも」
なんだまだ何かあるのか
「困ったらこの一花お姉さんにそうだんするんだぞ♡何か面白そうだし」
と
(まぁ本当は俺の方が君より年上なんだけどな)などと心の中で呟くもそれを口に出すような馬鹿な真似はしない。
本当は午後からの家庭教師のためにすこしでも中野さんと話しておきたかったがまぁ仕方ないか。などと腕を組み考えていたら
「うーえすーぎさーん」
「ん?」
目の前に女の子の顔があった。
「近っ!」
と思わず後ろに飛び退いてしまう。
「あはは。やっとこっち見た」
などと言い笑っている。
「ではいきなりですが質問です!
あなたが落としたのはこの100点のテストですか?それともこの0点のテストですか?」
「.......100点の方だよ」
「あなたは正直ものなので両方差し上げます。」
「いや別に0点の方はいらないよ。そもそもこれ誰のテスト?」
「何を隠そう私です。」
「君かい!よくそんなん渡そうとするなぁ...」
思わずため息のように出てしまった。そういえばこの少女は俺の名前をなぜ...ってテスト用紙見たからかと1人合点していると
「それにしても100点なんて初めて見ました。引くほどすごいです。」
「俺は0点なんて滅多に見た事ないんだけどなぁ。」
「にしてもすごいですねぇ〜上杉さん。
見た目の割には社交的なところもあるしそれに加えて天才だなんて!」
おいおい見た目の割にはなんて失礼な子だなぁと思ったが、先程剣崎もこの上杉風太郎には彼女はいないだろうと勝手に判断したのでおあいこである。(実際に居ないのだが)
「でもまぁわざわざ拾ってくれてありがとう。」
と一応お礼を言っておく。
「はい!何かをしてもらったらありがとうと言えるのはとてもいいことです!
どういたしまして上杉さん!」
と二パっと笑いながらリボンの少女は剣崎に告げ、席に戻って行った。
そういえば中野さんはどうしよう。まぁ午後に会えるし最悪今は喋れなくても仕方ないか。と考えて中野さんが座っている席を見た。
剣崎はそこでなにか既視感のあるものを見た。五月にではい。剣崎から見て五月の右隣に座るヘッドフォンをつけた少女にだ。
剣崎は半ば無意識に彼女に近づいた。
「あの〜」
そういうと席に座っていた5人かいっせいにこちらを見る。
だがそれでも剣崎は口をとめず
「君、昨日の朝の子?」
と尋ねた。
だが髪を腰までおろした勝気そうな少女がこっちを見て
「なに言ってんのこいつ...気持ち悪!」
などと剣崎に言ってきた。
いきなりのことすぎて剣崎は声が出なかった。そこですかさず五月が声を上げる。
「ちょっと二乃!上杉さんに何を言ってるんですか!」
「何怒ってんのよ五月。本当の事言っただけじゃない!それとも何?あなたこの男が好きなの?」
「え?!いや!そういう訳じゃ...その...」
あちゃー。こりゃほんとに面倒なことになっちゃったな。自分に悪口を言われたことをすっかりわすれ言い合いをするふたりを眺める
するとヘッドフォンを付けた少女が小さな声で
「やめて」
と呟いた。
「この人が言ってることに嘘はない...。私は昨日この人に助けられた...」
とたどたどしく口にする
そこで驚いたような顔で五月が
「え?!あれ本当だったんですか?!なら私はなんてことを...」
「え?あ、いやべつに謝らなくていいよ。多分俺中野さんとそのヘッドフォンの子を間違えたんだと思う。こっちこそろくに顔を覚えてなかったのにごめん。」
「何よこれどういうことよ!」と先程中野さんに二乃と言われた少女は困惑する。
場が少し混沌とした所で
「ちょっといいー?その『中野さん』ってのやめてくれない?」
と自分のことを一花と名乗った子が声を上げる。
「あ、なんか俺不快な思いにさせちゃった?」
と剣崎は尋ねるが、一花は
「いや、そんなんじゃないよ
ただそれだと分かりにくいなってだけ
だって私たち......
5つ子の姉妹だから!」
この日から剣崎はさらに混沌とした日々に突入していくことになるがそれはもう少し先のお話。
〜ある車内〜
「江端」
「はい」
「例のモノは彼にすでに渡し終えたかい?」
「もちろんでございます」
「そうか、ならいいんだ」
男は「フッ...」と不敵に笑うと窓から外を見る
「見せてもらおうじゃないか上杉風太郎くん。これくらいの試練なら君は乗り越えられると信じているよ。」
そういうと男は大きな蜘蛛が描かれたカードに視線を戻し、もう一度不敵に笑った。
ここから更新まで少しあきます。
CSMのブレイバックル欲しかったなぁ...
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