原作である程度の情報が出揃ったのでこれからまたぼちぼちと上げていきたいです。
「と、まぁ今話したことが全てだ」
勇也は中野家のソファにどっかりと座りながら自身の秘密を赤裸々に四葉と五月に話した。
四葉は黙ったまま何も語らず、五月は何が何だか分からず混乱する頭を必死に整理していた。
先の戦いで気を失った剣崎は五月の部屋のベッドで寝息をたてている。
勇也が撃った『リカバー』のおかげで傷はひとつも残っていない。
「あの...勇也さん」
「ん、どうした四葉ちゃん」
話すことがなくなった勇也は四葉の呼びかけに応える。
「一つ、聞きたいことがあるんです」
「何だ?俺が答えられることならなんでも答えるぞ」
その言葉を聞いた四葉は大きく深呼吸をすると、その澄んだ瞳をもって勇也に問いかけた。
「私が...上杉さんの代わりになることはできますか?」
「......!四葉!」
五月が絶叫する。だが当然だ。今の四葉の発言はあまりに荒唐無稽すぎたのだ。
「だって...私たちに隠れていつも1人で上杉さんは傷ついてたんだよ!
それを私は何も知らないで...
家庭教師をしてる時に携帯がなった時の上杉さんの顔、五月だって覚えてるでしょ!」
「そ、それは...」
五月は言葉に詰まる。
家庭教師をしてくれている時はあんなに優しい笑顔を向ける剣崎は、アンデッドサーチャーという戦いの始まりを告げる鐘がなった途端に険しい表情を浮かべていた。
四葉や五月はその顔が何かを隠しているような気がしていても、それに対して一歩踏み入れて聞くことが出来なかった。
「もう...上杉さんが傷付くのを、見たくないよ。だから...私が...私があの人の代わりになる!」
四葉は急に立ち上がると剣崎が寝ている五月の部屋へと向かう。
「四葉!」
「四葉ちゃん!」
五月と勇也が静止しようとするも四葉は止まらない。
そして彼女ベッドの上で目を閉じる剣崎の元に辿りつく。
四葉はちらりと剣崎の顔を見る。
ついに四葉は五月の机に置かれていたブレイバックルとカテゴリーAを手に取る。
「これを、ここに入れれば...」
「四葉ちゃん!やめろ!」
勇也と五月が部屋の前に駆けつけた。
だが四葉は既にブレイバックルを腰に装着している。
「上杉さん、安心してください。もう、あなたに痛い思いはさせません!」
四葉は先程の剣崎を真似て、ブレイバックルのレバーを引っ張る。
TURN UP
「ぐっ...!?」
四葉を制止させようとした勇也だったがブレイバックルから展開されたオリハルコンエレメントに弾き飛ばされた。
「私も、上杉さんのように......!」
「だめ......だ...」
四葉の動きが止まる。
「う、上杉、さん...」
四葉の腕はベッドで横になっている剣崎によってがっしりと掴まれていた。
「四葉...それはお前がやることじゃない。
戦う選択をしたのは俺だ。四葉に背負わせる訳にはいかない」
剣崎はそう言うと四葉の腕を掴んだままベッドから立ち上がり、彼女の腰に巻かれていたバックルを取り外す。
そして剣崎はバックルをしまうと、ヨロヨロと部屋の外へと歩き出す。
「どこへ...行く気だ」
勇也が尋ねる。
「一花のところだ。今から探して謝らなきゃならない」
「上杉さん!」
「これは俺の問題なんだ!
彼女を傷付けたのは俺だ!一花に対してはっきり謝らなきゃいけないんだ!」
そういって剣崎はあてもなく部屋を飛び出る。
「まってください!上杉さん!」
四葉も剣崎を追いかけるように部屋を出ていった。
マンションには勇也と五月だけが残される。
「くっそ...俺ももう年かな...今ので腰打っただけでこのザマだ...」
「だ、大丈夫ですか?」
「一応な。にしてもあの畳...外側からぶつかるとあんなに痛てぇのか...」
勇也はそう言って力なく笑っていた。
〜エントランス〜
よろめきながらエントランスを出る上杉にようやく追いついた四葉。
四葉が部屋を出た時、既に剣崎はエレベーターに乗ってしまっていたため、四葉は階段を駆け下りて来ていた。
「ハァ...ハァ...ちょっと上杉さん!止まってください!
一花の居場所だって分からないのに、どうするつもりなんですか!?」
「なら駆け回って探すさ。四葉は部屋に戻っていた方がいい。
いつまたお前達の父親が俺を狙ってくるか分からないんだ」
「それでも...放っておくことなんてできませんよ!」
「四葉...でも俺は一花を探さなきゃ
「大丈夫だよ、フータローくん。私はここにいるよ」
剣崎と四葉は驚いたように右後ろを振り向く。
そこには天使のような笑みを浮かべて剣崎を見つめる一花の姿があった。
ただ、彼女の身を包むのはとても天使とは言い難い真っ黒なスーツだった。
「い、一花!よかった、俺、一花をさがしてたんだ!
この間は本当にすまなかった。俺が
「フータローくん、私のことを探してくれていたの!?」
「あ、あぁ。この間のこと、謝らなきゃって思って」
「ううん!もういいの、そんなこと」
剣崎は申し訳なさそうに、一花はそんなことどうでもいいように眩い笑顔で会話を続ける。
だが四葉はそんな一花に言いようのない不安感を得ていた。
確かに目の前の人物は一花だ。それは間違いない。
だが、彼女の中の大切な『何か』が決定的に欠けているような、そんな気がしていた。
「そ、そうか。でも一花に何も無くて本当に良かったよ」
「うん!私はもう大丈夫だよ!
それよりどうしたの?フータローくん。なんかすごい疲れているように見えるけど」
「いや、俺は平気だ。それより
「平気じゃないよ」
「!?」
思わず剣崎は慄く。
一花の表情は先ほどの眩いばかりの笑みとは大きく異なっていた。
それは『無』。今、彼女の顔には凡そ表情と呼べるものがなかった。
「やっぱりフータローくん、追い詰められてたんだ。
もう疲れたよね?もうやめたいよね?
だから、私と何処か遠くへ逃げよ?」
「ッ!?」
剣崎は言葉が出ない。
今目の前にいるのは確かに一花だ。
だが、彼女の中には本来あるべき『何か』が欠落している。
「な、なにを...」
「やっぱりだ。フータローくん苦してんでたんだ。
安心して。すぐに助けてあげるから」
一華は感情の篭もっていない笑みを浮かべながら剣崎に近づく。
「な、何言ってるんだ一花!俺にわかるように説明してくれ!」
「大丈夫。ちゃんと二人きりになれたら説明してあげるから、今は大人しく私と来て。
嫌って言っても......力ずくで連れていくから」
すると一花はスーツの懐に手を伸ばし、『あるもの』を取り出す。
「そ、それは...!」
一花の手に握られているもの。
それは紫と金を基調としたバックル。
レンゲルバックルだった。
「な、何故レンゲルバックルが!?
カテゴリーAは完全に封印したはずなのに...」
そして一花はレンゲルバックルを手から離す。
するとレンゲルバックルはまるで意思を持つかのように一花の周りをぐるりと回り、彼女の腰に装着される。
「さぁ、フータローくん。
ほんの少しだけ痛いかもだけど、我慢してね。
『変身』」
一花の目の前に現れたスピリチュアルエレメントは彼女に迫り
その身体は『仮面ライダーレンゲル』という鎧に覆われた。
「何で...何で...」
「フータローくん。動かないでね」
レンゲルは剣崎に1歩ずつ歩み寄っていく。だがそこから殺気は感じられず、ただひたすら不気味な雰囲気を纏っている。
「やるしか...ないのか!」
剣崎はブレイバックルを装着する。
剣崎は後ろを振り返り、目で四葉に隠れているよう促す。
四葉も剣崎と同様に思考が動転していたが、なんとか彼の意思を汲み取りマンションの近くの茂みに身を隠した。
それを確認した剣崎はバックルのレバーを引っ張る。
「......『変身』!」
TURN UP
剣崎は出現したオリハルコンエレメントに勢いよく突っ込み、『仮面ライダーブレイド』に変身する。
そしてその勢いのままレンゲルに組み付く。
「どうしたんだ一花!何があったんだ!答えてくれ!」
「だからそれは二人きりになれたら教えてあげるって」
「それは、できない...
俺には今、守らなくちゃいけないものがある!」
ブレイドは必死にレンゲルに組み付きながら訴える。
「そう.........
なら、こうするしかない!」
レンゲルは勢いよくブレイドを突き放すと、レンゲルラウザーでその身体を打ち据えた。
「カハッ......!!」
ブレイドは突然のことに受身も取れず、地面に突っ伏す。
「大人しく来てくれればこんなことせずに済んだのに......
悪いけど、少しだけ眠ってもらうね」
レンゲルは右手に醒杖を携えたまま地面に伏しているブレイドに歩み寄る。
ブレイドは立ち上がろうと四肢に力を入れるが、崩れ落ちてしまう。
『ダメだ......連戦のせいで、もう、体力が...』
度重なる戦いに加えカリスに怪我を負わされた今の剣崎に、最早戦う力はほとんど残されていなかった。
『...今ここで、倒れる訳には...』
レンゲルが倒れるブレイドにゆっくりと手を伸ばす。
だがブレイドは一向に立ち上がることは出来ない。
そしてついにレンゲルがブレイドを掴もうとしたその時、
どこからか放たれた銃撃がレンゲルを襲った。
否、正確には銃撃ではなくボウガンからの狙撃。
不意の一撃はレンゲルに直撃し火花をあげる。
思わずよろめくレンゲル。
ブレイドも何が起きたかわからず、倒れたまま後ろを振り返る。
そしてその視線の先にいたのは
「何だ...何なんだ!
あの、ライダーたちは!?」
剣崎がまだ見た事もない三人の『仮面ライダー』が立っていたのだった。