五等分の運命   作:電波少年

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ゼロワン面白いですね

ジオウは個人的にめちゃくちゃ好きな作品でした。

平成ライダーは最高です。


第34話:決意の『引鉄』

「何のつもり...?

 

あなたたちは誰なの?

 

なんで私の邪魔をするの?」

 

 

 

レンゲルは自身を妨害したボウガンを構える赤いライダーを睨む。

 

 

 

ブレイドも隙を見て何とか立ち上がると、近くにあった木に寄りかかる。

 

 

 

 

「私の邪魔をするなら...消えて」

 

 

 

レンゲルがラウザーを構えて三人のライダー達に突撃する。

 

 

 

 

 

それを見て真ん中にいたライダー-『グレイブ』がようやく口を開く。

 

 

 

 

「『ランス、ラルク』。君たちはレンゲルを。『ブレイド』は僕が抑える」

 

 

 

「...了解」

 

 

 

「分かったわ」

 

 

 

グレイブの言葉に緑のライダー-『ランス』は渋々と、赤のライダー-『ラルク』は淡々と頷く。

 

 

 

「オラァっ!」

 

 

 

ランスが勢いよく長槍-『ランスラウザー』を振り下ろす。

勢いよく突進したレンゲルと激しくラウザー同士がぶつかり合う。

 

 

 

そこをラルクがボウガンで地面を撃ち、レンゲルを牽制する。

 

 

 

ラルクとランスがレンゲルと戦う一方で、グレイブは気にもたれかかっているブレイドの元へと向かっていた。

 

 

 

「やぁ。仮面ライダーブレイド

 

 

いいや、上杉風太郎くん。まさかこのような形で相見えることになるとはね」

 

 

 

「...誰だアンタ」

 

 

「そうか、この姿では分からないか。

 

では、変身を解かせてもらうよ」

 

 

 

そう言ってグレイブはグレイブバックルを閉じる。

 

スピリチュアルエレメントがグレイブの体をくぐり抜けその体を元の姿へと戻した。

 

 

 

そしてそこに立っていたのは

 

 

 

「これで分かってもらえたかな?上杉風太郎くん。」

 

 

 

上杉風太郎と同い年くらいの男だった。

 

 

髪は綺麗な金髪であり、端正な顔立ちである、まさに好青年と呼ぶに相応しい男だった。

 

 

 

「お、お前は...」

 

 

「思い出してくれたかな?

僕の最高のライバル、上杉風太郎くん」

 

 

 

 

 

 

「だ、誰だ?」

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

戦っているレンゲルたちを他所に金髪の青年とブレイドの間では一瞬だけ気の抜けた空気が流れた。

 

 

 

「ふ、ふざけるな!武田だ!『武田祐輔』だ!

 

学校の成績ではいつも1位を競い合ったライバル同士だろう!?」

 

 

 

「そ、そうだっけ?

 

おっかしいなぁ...人の名前は必ず覚えるようにしてたんだけど...」

 

 

 

 

場の空気に似合わぬやり取りを繰り広げる2人に、レンゲルと戦闘を続けているランスが叫ぶ。

 

 

 

 

「おい武田!いつまで漫才やってんだコラ!

 

早くそいつを連れていかねぇと...」

 

 

 

 

「余所見しないで!」

 

 

 

 

一瞬何かを言いかけたランスに、レンゲルの一撃が降り注がれる。

 

だが何とかラルクがそれをカバーする。

 

するとランスは再びレンゲルに向き直り槍戟を浴びせる。

 

 

だが武田もランスの言葉を聞いて冷静さを取り戻したようだった。

 

 

 

「おっと僕としたことが。

 

こんなおしゃべりなら君を連れて帰ったあとでいつでも出来ることだ。

 

まずは先にやることをやらなくてはね」

 

 

武田はまたグレイブバックルを取り出すと、カテゴリーA-『ケルベロス』を装填し、腰に装着する。

 

 

 

「『変身』」

OPEN UP

 

 

 

彼は再び仮面ライダーグレイブの姿に戻る。

 

 

 

「話はあとだ。まずは君に来てもらわなくてはならない」

 

 

 

グレイブはブレイドへの距離を詰めていく。

 

 

 

 

「ま、待ってくれ!俺は今ここを離れる訳には行かないんだ!」

 

 

「なにか特別な理由でもあるのかい?」

 

 

 

グレイブは一旦歩みを止める。

 

 

 

 

 

だがその時だった。

 

 

 

 

「グオッ!」

 

「キャア!」

 

 

 

 

ブレイドとグレイブの間にランスとラルクが吹き飛ばされてきた。

 

 

 

彼らが飛んできた方を見ると、そこにはジャックフォームとなったレンゲルの姿があった。

 

 

 

 

「...邪魔しないで。

 

彼は私が守るの。彼を連れていくだなんて...絶対許せない!」

 

 

 

レンゲルはその巨腕を用いてグレイブを攻撃する。

 

 

 

「そうかい。だがこちらも引き下がる訳には行かなくてね!」

 

 

 

グレイブはそれを躱すと腰からグレイブラウザーを引き抜き、レンゲルに斬り掛かる。

 

 

 

レンゲルはその剣戟を片腕でガードする。

 

 

 

レンゲルとグレイブの間で激しい攻防が繰り広げられる一方、

 

 

ブレイドは目の前にいるライダー-ランスとラルクと向き合っていた。

 

 

 

「ッ...」

 

「...」

 

 

2人のライダーは言葉を発することなく、だがどこかやるせないと言った様子でブレイドを見つめている。

 

 

 

「た、頼む!俺の話を聞いてくれ。

 

 

さっきここにカリスというライダーが攻めてきたんだ。

 

次にあいつが来たら、今度は俺以外の人間に危害が及ぶかもしれない...

 

 

だから俺はここで...

 

 

 

 

 

「ハァ!!」

 

 

 

 

そうブレイドが言いかけたところでランスが鋭く槍を突き刺そうとする。

 

 

ブレイドはすんでのところで回避に成功した。

 

 

 

 

「...俺達だってな......

 

やりたくてこんなことやってるわけじゃねぇんだ...」

 

 

 

「な、なら!」

 

 

剣崎はどこかで聞いたことのあるような声の主を説得しようと試みた。

 

だが

 

 

 

 

「けどよ...

 

こっちにもお前と同じで守らなきゃいけない人がいる...

 

 

だから大人しく捕まりやがれ!」

 

 

 

 

ブレイドの声はランスに届くことは無かった。

 

それでもブレイドは諦めず、次にラルクの方に訴えかける。

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

ラルクのボウガンは既にブレイドを捉えていた。

 

 

 

 

 

「そうよ...

 

 

私にも守らなきゃいけないものがあるの...

 

 

何よりも大切なあの子たちを......

 

 

私は......!!!」

 

 

 

 

『MIGHTY』

 

 

 

 

ラルクは『MIGHTY』のカードをラルクラウザーにラウズした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのために私は...この道を選んだのよ!」

 

 

 

 

 

そう告げて引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

「なにっ...!」

 

 

 

 

 

 

ボウガンから放たれた高エネルギー弾はブレイドに直撃し、その体は壁に叩きつけられた。

 

 

 

そしてブレイドは強く頭を打ち、その変身は解除されてしまい、剣崎は力なく地面に横たわった。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

『俺は...俺は...』

 

 

 

剣崎の意思は既に暗闇の中に沈みかけていた。

 

 

 

視界はぼやけ、体に力は入らない。

 

 

 

彼は目の前の『光』に必死に手を伸ばそうとする。

 

だがその手は決して『光』に届かない。

 

 

 

 

 

『俺は...守らなくちゃ...いけないんだ...』

 

 

 

 

 

どこかも分からない真っ暗闇の中で、目の前に映る『光』に手を伸ばし続けた。

 

 

 

 

『俺は...人間として...仮面ライダーとして...みんなを、守らなくちゃ...いけないんだ...』

 

 

 

 

そしてその手が落ちそうになったその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かが『剣崎』の腕を掴んでいた。

 

 

 

 

 

 

『選手交代だ。

 

 

これから少しの間だけだが、アンタは休め』

 

 

 

 

『剣崎』はその声の主を見る。

 

 

 

視界はぼやけているが、その輪郭をうっすらとだが捉えることが出来た。

 

 

 

 

それは既に見慣れた姿だった。

 

 

 

目の上で切りそろえられた黒髪に、長身痩躯なその輪郭は、『剣崎』がこの世界で誰よりもハッキリと認識できるものだった。

 

 

 

 

そして『剣崎』の意思は今度こそ本当に暗闇の中に落ちていった。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと同時にラルクはボウガンを手から落としてしまう。

 

 

 

「私は...私は...」

 

 

 

ラルクは両手で自身の顔を覆う。

 

まるで今自分が行ったことを見ないようにするかのように。

 

 

 

「あ、あぁ...あ...」

 

 

 

そしてラルクがブレイドを撃ち抜いた所を見ていたレンゲルはワナワナと震え出す。

 

 

 

次の瞬間レンゲルは無言でラルクの元へ突っ込んでいた。

 

 

 

ジャックフォームの剛腕がラルクを襲う。

 

しかしその前にランスが背後から槍を叩きつける。

 

 

だが

 

 

 

「邪魔!!」

 

 

 

「ガハッ!」

 

 

 

 

レンゲルに鬱陶しげに吹き飛ばされた。

 

 

 

 

「ッ...不味い...!」

 

 

 

グレイブがカバーに入ろうとするが間に合いそうもない。

 

 

 

 

 

ついにレンゲルがラルクを打ち倒そうとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

どこからが放たれた銃弾がレンゲルを襲う。

 

 

 

 

「......誰」

 

 

 

 

 

レンゲルが辺りを見回す。

 

ほかのライダー達もその銃撃がどこから放たれたのか分からなかった。

 

 

 

 

 

「悪いがここは引き分けだ。

 

お前ら全員早く退け」

 

 

 

 

 

何者かが地面に降り立っていた。

 

 

 

 

 

「君は一体?

 

見たところ僕達と似たような力を持っているようだが...」

 

 

 

グレイブが剣を構えたまま問いかける。

 

 

 

 

 

問いかけられた者は手に持っていた銃を畳んで腰に戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺か?俺は

 

 

 

 

 

 

通りすがりの『仮面ライダー』だ。

 

 

覚えておけ」

 

 

 

 

 

 

 

その名は『仮面ライダーディケイド』。

 

 

 

この世界に再び『世界の破壊者』が訪れたのであった。




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