五等分の運命   作:電波少年

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今回はこの世界の謎が解き明かされる超重要回のつもりなのですが...


自分が考えた内容を文字に起こすことが難しく非常に分かりづらくなってしまいました。

なので注意しながら呼んでもらえると幸いです。


第35話:世界の『真実』

今この場には、5人のライダーが対峙している。

 

 

 

自身の想い人、上杉風太郎を手に入れるためにその姿を『仮面ライダーレンゲル』に変えた中野家の長女-中野一花。

 

 

上杉風太郎を捕らえるために強襲をかけた『仮面ライダーランス』と『仮面ライダーラルク』。その2人を従える『仮面ライダーグレイブ』-武田祐介。

 

 

そしてその乱戦に割って入った『世界の破壊者』こと『仮面ライダーディケイド』-門矢士。

 

 

 

全員が黙って互いに警戒し合う。

 

 

少しの沈黙の後、その静寂を破るようにグレイブが問いかける。

 

 

 

「ディケイド...と言ったかな?

 

君はなんのためにここに?

 

それに、『世界の破壊者』というのは...一体どういう意味なんだい?」

 

 

 

グレイブの問いにディケイドは間髪入れず答える。

 

 

「俺がここに来た理由は一つ。

 

この世界の『歪み』を目にしたからだ。

 

 

そして俺は『世界の破壊者』だ。

 

それ以上でもそれ以下でもない」

 

 

 

ぶっきらぼうな答えにグレイブは再び黙り込む。

 

 

「とにかく全員ここは退け。

 

 

もしどうしても戦いたいってんなら...

 

 

俺が相手になってやる」

 

 

 

ディケイドはあくまで毅然とした態度でそう告げる。

 

 

それを目の当たりにしたグレイブたち新世代ライダーは1歩後ずさる。

 

 

ディケイドから溢れ出るオーラが、彼らの本能に警鐘を鳴らす。

 

 

 

 

こいつはどうやっても勝てる相手ではない。

 

 

 

 

「...さっきから言わせておけば、舐めてんじゃねぇぞコラ...!

 

そんだけやる気なら俺が

 

 

 

 

「待ちたまえ、『ランス』。」

 

 

 

 

槍をかまえディケイドと一戦交えようとしたランスをグレイブが制止する。

 

 

 

「ここは彼が言う通り、僕達は退くとしよう。

 

 

相手の出方が分からない以上、積極的な戦闘は避けるべきだ」

 

 

 

「当然の判断だな」

 

 

 

グレイブの言葉にディケイドは少し得意げに告げる。

 

 

 

 

「ま、待ちなさい。私は...

 

 

 

「『ラルク』。任務に私情を挟むのは頂けないな」

 

 

何かを言おうとしたラルクだったが、これもグレイブに遮られる。

 

 

 

 

『それに...今殺気立ってる『彼女』の注意を逸らせたのは大きい。

 

 

ここで彼女に暴れられると、こちらも無事では済まなそうだ』

 

 

 

 

 

そしてグレイブの思惑通り、自身の意思でこの場に現れた一花はこの場に現れたディケイドをじっと見つめている。

 

 

今にも襲いかからんとする様子で。

 

 

 

 

「さぁ二人共、撤退だ。」

 

 

 

グレイブの声と共に、新世代ライダーたちは去っていった。

 

 

ランスは悔しそうに、ラルクはどこかやるせない様子ではあるが、それでも心のどこかでグレイブの意見を認めているようだった。

 

 

 

 

そしてこの場にはレンゲルとディケイドの2人が残される。

 

 

 

だがどちらもその場を去ろうという気は無くまさに一触即発という状況である。

 

 

 

 

「お前はどうする?『仮面ライダーレンゲル』」

 

 

 

「決まってるよ。あなたを倒してフータロー君と遠くに行くの」

 

 

 

「つまり...

 

 

 

 

退く気はないってことか」

 

 

 

 

 

そしてそうディケイドが言い終わるその前に、レンゲルが飛びかかる。

 

その剛腕を振り上げ、彼を殴り飛ばすつもりである。

 

 

だがディケイドはその拳を落ち着いて避ける。

 

 

 

「いきなり殴りかかってくるなんてな。

 

俺としてはもう少しお喋りを楽しんでも良かったが...」

 

 

 

「あなたと話すことなんて何も無い。

 

 

早く消えて」

 

 

 

レンゲルはレンゲルラウザーを取り出し、突きを放つ。

 

 

ディケイドはその突きをライドブッカーのソードモードで受け流す。

 

 

そして離れ際にガンモードに切り替えると、正確無比な射撃を放った。

 

 

だが

 

 

 

 

「ダメージは特に無し...か」

 

 

 

着弾したレンゲルの体からは白煙があがるのみで身じろぎひとつしなかった。

 

 

 

『今の私には誰も勝てない。

 

 

 

フータロー君のことを想えば想うほど、このバックルは私の体に力を与える。

 

 

 

このバックルをくれた『お義父さん』もそう言っていた』

 

 

 

 

 

そしてレンゲルは腰のカードホルダーから3枚のカードを取り出し、ラウズする。

 

 

 

RUSH

BLIZZARD

POISON

《ブリザードベノム》

 

 

 

レンゲルラウザーの穂先に冷気が集まる。

 

 

レンゲルはラウザーを構えると、ディケイドにそれを向ける。

 

 

 

 

「これで終わり。

 

さようなら、ピンクのライダーさん」

 

 

 

レンゲルはディケイドに向かってゆく。

 

 

だがディケイドは腰のライドブッカーを落ち着いて開く。

 

 

 

「そうだな...これで十分か」

 

 

 

しかしディケイドはそれに対して焦ることも無くライドブッカーから2枚のカードを選ぶ。

 

そしてカードをドライバーに読み込ませて言った。

 

 

 

『KAMEN RIDE KABUTO』

 

 

 

音声の後、ディケイドはその体を『仮面ライダーカブト』に変える。

 

直後、もう1枚のカードをドライバーに挿入する。

 

 

 

 

『ATTACK RIDE CLOCK UP』

 

 

 

 

その瞬間、ディケイドを除いてこの世界の全てのものが動きを止める。

 

 

 

否、性格には動いてはいるが、ディケイドからしたらそれは止まっているも変わらない速さだった。

 

 

 

ディケイドはライドブッカーでレンゲルラウザーを叩き落とし、さらにその体に一撃を食らわせる。

 

 

それを食らったレンゲルはクロックアップされた時間の中でゆっくりと吹き飛んでいく。

 

 

 

 

ディケイドはすぐに壁の近くで倒れ付す風太郎の体を抱えあげる。

 

 

 

「悪いな。お前の想い人は少し借りていくぞ。

 

話したいことがあるなら今度ゆっくりと話してくれ。

 

 

 

あと最後に一つ。

 

 

俺はピンクじゃなくて『マゼンタ』だ。

 

覚えておけ」

 

 

 

 

レンゲルには届かない言葉を放つと、そのまま高速でその場から離れていった。

 

 

 

 

『CLOCK OVER』

 

 

 

どこからかそんな音が聞こえると、流れる時間は元に戻る。

 

 

 

「ッ...!?」

 

 

 

レンゲルはハッとする。

 

 

目の前のピンクのライダーを倒すために氷の槍を放ったはずだった。

 

 

 

だが気付くと、その手にラウザーは無く自身は吹き飛ばされ地面に倒れていた。

 

 

 

そして辺りを見回す。

 

 

そこにはディケイドも上杉風太郎の姿もなかった。

 

 

だがそこに

 

 

 

「一...花...」

 

 

 

四葉が現れる。

 

 

 

「四葉。

 

 

フータローくんがどこに行ったか知らない?

 

 

知っているなら正直に答えて」

 

 

 

レンゲルはバックルを閉じ、その姿は一花に戻る。

 

 

 

「ねぇ!!!

 

 

一花一体どうしちゃったの!!

 

なんで一花が上杉さんのように『仮面ライダー』になってるの!?

 

 

教えて!!」

 

 

 

四葉はいつもとは違い、物凄い剣幕で叫ぶ。

 

 

 

「そんなことはどうでもいいの。

 

フータローくんはどこ?」

 

 

 

だが一花は四葉を視てはいなかった。

 

 

その眼は四葉の方を向いているが、さらにその奥を見ている。

 

 

今の一花にとっては、『上杉風太郎』以外ののことは眼中になかった。

 

 

 

「...知らないならいいよ。

 

自分で探すから」

 

 

 

一花はそう言って去ろうとする。

 

 

 

「待ってよ!一花!!

 

私たちは五つ子でしょ!

 

お母さんも言ってた!私たちは喜びも悲しみも五等分だって!

 

 

 

「それが何?」

 

 

 

 

 

いつの間にか雨が降り始めていた。

 

 

 

一花は髪も着ているくろいスーツも濡れ、四葉も頭のリボンがくたびれてしまっている。

 

 

 

 

 

「何もかも五等分?

 

フフっ......馬鹿言わないで。

 

 

なんでこの想いまで五等分しなくちゃいけないの?

 

そんなに仲良しこよしがしたいなら、あなた達4人でやればいいのに」

 

 

 

「いち...か...?」

 

 

 

四葉の目から静かに涙が流れる。

 

 

だがその涙も、一花のスーツのように真っ黒い空から注がれる雨水で流されてしまう。

 

 

 

 

「それとも何?

 

フータロー君をバラバラにして五等分にでもする?」

 

 

 

「そ、そんなこと一言も

 

 

 

「なら、黙ってて。

 

 

私は自分がやりたいことをするから。

 

 

私は彼と二人だけで誰もいないところで暮らすの。

 

それを邪魔するなら...例え姉妹でも、

 

 

 

 

許さないから」

 

 

 

 

 

一花はそれだけ言うと、今度こそどこかに去っていった。

 

 

 

四葉は地面にへたりと座りこんでしまう。

 

 

雨水が彼女を容赦なく叩きつける。

 

 

 

そしてその雨水は、四葉の姉妹との楽しい思い出を、パリンパリンと脆い硝子細工のように砕いていってしまう。

 

 

 

 

「どうして......どうして......

 

 

 

こんなことに...なっちゃったのかな......」

 

 

 

 

 

四葉は『あの時』を思い出す。

 

 

 

5年前。

 

 

 

京都で家族とはぐれた時に出会った、あの金髪の少年。

 

 

 

今はあの時と比べ物にならないくらい快活な好青年になっていたけれども、浮かべる笑顔は『あの時』と変わらない笑顔を。

 

 

 

 

そして弱々しくか細い声で呟いた。

 

 

 

 

 

「...助けて。上杉さん...」

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

「...ここは」

 

 

 

意識はまだはっきりしないままだか、なんとか体を起こす。

 

 

 

 

「ようやく目を覚ましたか。

 

 

相当疲れが溜まってたみたいだな。かなり眠っていたぞ」

 

 

 

目の前には、茶髪の男がたっていた。胸からはピンク色のカメラを提げており、どこか尊大な態度である。

 

 

 

「アンタは?」

 

 

 

「俺は門矢士。『世界の破壊者』だ。

 

そしてお前は、『上杉風太郎』。

 

 

 

いや、『剣崎一真』と言った方が正しいか?」

 

 

 

 

「......!!

 

なぜその名前を」

 

 

 

「やはりな。

 

お前が『剣崎一真』なら俺のことを覚えているだろう。

 

あの時は随分とやってくれたな」

 

 

 

士は、一度剣崎一真と戦っていたことがあった。

 

だがその時の士は本調子ではなく、簡単に剣崎一真に敗北してしまった。

 

 

 

門矢士は当初こう予想していた。

 

 

 

自分が訪れたこの世界こそが、当時自分を倒した『仮面ライダーブレイド』。

 

剣崎一真が元いた世界だと。

 

 

 

『ただ、実態はそんな生易しいものじゃなかったみたいだな。

 

 

この世界は、既に大きく歪み始めている』

 

 

 

そのことを確信している士は地面に座り込む風太郎に向き直る。

 

 

 

「『剣崎一真』。本当のことを話せ。

 

お前はその体...『上杉風太郎』という男の体を借りてこの世界にいる。

 

そうだな?」

 

 

 

「...なるほど。

 

 

正解だ。大したヤツだな、アンタ」

 

 

 

「当然だ。この俺に分からないことがあるはずないだろう」

 

 

「だが、『今』は違うな」

 

 

「何?」

 

 

 

士は眉をひそめる。

 

 

 

 

「確かにこの体は『上杉風太郎』という男だ。

 

 

そしてこの体に、『剣崎一真』という男の意識が入っていることも正解だ。

 

 

ただ今の俺は、

 

 

 

体も意識も正真正銘『上杉風太郎』だ」

 

 

 

「...!!」

 

 

 

「俺の中の『剣崎一真』はいま深い眠りについている。

 

あいつの意識は今途絶えている。

 

 

俺は『ある日』突然『剣崎一真』という男の意識を体に抱え込むことになった。

 

まぁ全て俺が許可したからなんだが...」

 

 

 

 

 

風太郎は目を細めて思い出すように語る。

 

 

 

 

「その日から『俺自身』はずっと眠っているような状態だった。

 

俺の意識が目覚めるのは、この体に乗り移った『剣崎一真』が眠っている時や、極度に疲労している時、

 

つまり『剣崎一真』の意識が弱い時だけ、俺は『目覚める』ことが出来ていた。

 

ただ、自分の体を動かすことは出来なかったけどな」

 

 

 

「だが、今は『剣崎一真』の意識が完全に途絶えていることで、『上杉風太郎』本人の意識が表に出てきている、

 

そういうことだな?」

 

 

「ご明察だ」

 

 

「ならばお前は『剣崎一真』の記憶を...」

 

 

 

「あぁ。もちろん引き継いでいるさ。

 

相当ハードな人生を送ってきたみたいだがな。

 

にわかには信じ難かったが...」

 

 

 

風太郎はそう言って地面を見つめる。

 

 

 

 

「なら、俺から警告させてもらう。

 

今この世界は大きく歪み出している。

 

本来のこの世界の在り方がある事をきっかけに小さな歪みを産み、今それはとてつもなく大きくなった」

 

 

 

「世界の歪み?」

 

 

 

「そうだ。

 

その歪みによって、この世界は今に滅びようとしている」

 

 

 

「世界が...滅ぶ?」

 

 

「ああ。

 

間もなくな。恐らくこのままだと世界は3日持つか持たないか...ってとこだな」

 

 

 

「本当なのか」

 

 

 

士は沈黙する。

 

その沈黙は肯定を表すのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

「どうすればその歪みを直すことが出来る?」

 

 

 

 

「なぁに簡単だ。

 

歪みの原因を消してやればいい。

 

 

 

歪み原因が何か...知りたいか?」

 

 

 

「何だ。勿体ぶらず教えろ」

 

 

 

風太郎も士と同じようにぶっきらぼうに続ける。

 

 

士は「いいだろう」と言うと、あえて後ろを向き風太郎から視線を外す。

 

 

 

 

「この世界の歪みの原因。

 

それはこの世界に本来いたはずの『ジョーカー』が消えたことだ。

 

『ジョーカー』ってのは...まぁ『剣崎一真』の記憶を継承しているなら分かっているだろう?」

 

 

 

 

風太郎は答えない。

 

 

その沈黙は先程の士と同じように肯定を表す。

 

 

 

「この世界に『ジョーカー』がいない理由はひとつ。

 

 

 

それは『ある世界』に2人目のジョーカーが生まれたことで、本来この世界にいるはずのジョーカーの枠が無くなったからだ」

 

 

 

 

「......!!!

 

まさか、『ある世界』で生まれた『2人目のジョーカー』ってのは...」

 

 

 

 

 

 

 

「そう。

 

 

 

 

そのこの世界にあるはずだったジョーカーの枠を奪った、『2人目のジョーカー』。

 

 

 

 

 

 

それが、『剣崎一真』だ」

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

「報告は以上です」

 

 

 

「勇也が会った謎の『ライダー』がまた現れたか。

 

これ以上我々の邪魔をするならば対処する必要がありそうだ。

 

 

とにかくご苦労だった。

 

君たちは下がりたまえ」

 

 

 

『中野マルオ』は椅子に座り、机の上で手を組んだままそう告げる。

 

 

 

「失礼します」

 

 

 

短いやり取りを終えると3人の青年は部屋を出る。

 

 

 

 

 

「それにしても一体誰なんだろうね...

 

あのライダーは。

 

自分のことを『世界の破壊者』と言っていたが」

 

 

 

そういって青年のうちの一人、『武田祐介』は考え込む。

 

 

「キミはどう思う?『ランス』...

 

 

っと、もうその呼び方をする必要はなかったね。

 

『前田』くん」

 

 

「うるせぇな...

 

こっちはイライラしてんだコラ」

 

 

 

前田は右手に掴むランスバックルを睨むと、忌々しげに着ている服の内ポケットに突っ込む。

 

 

 

「俺は先に帰らせて貰うぜ。

 

この施設にいると窒息しちまいそうだ」

 

 

 

それだけ言うと前田はすぐにエレベーターを使ってビルから降りていく。

 

 

ここは街の一角にある大型のビル。

 

 

マルオが研究所と病院とは別に建てたものである。

 

 

 

「君はどうするのかな?

 

『中野二乃』くん」

 

 

 

武田が少し視線を下ろすと、そこには浮かない表情を浮かべて、両手に持っている『ラルクバックル』を見つめる二乃の姿があった。

 

 

「確かに上杉くんを撃ってしまったのは僕としても見過ごしがたいことだが、任務のためなら仕方あるまい。

 

 

僕自身もそこは割り切「うっさい!!!」

 

 

 

 

二乃が叫んだ後、廊下がシンと静まり返る。

 

 

二乃は肩を振るわせながら、目尻に涙を浮かべている。

 

 

 

そして何も言わず二乃は走って行ってしまった。

 

 

 

 

武田は困ったような顔になるが、彼も2人の後を追うように歩き出す。

 

 

 

『上杉風太郎...

 

 

君は変わってしまった。

 

 

まるで君がどこか遠く離れたところに行ってしまったように感じるね...

 

 

だが、彼には思い出して貰わなければ。

 

 

君の本当のライバルは、この武田祐介。

 

 

僕だけだということをね』

 

 

 

武田はグレイブバックルを一瞥すると、ビルにあるトレーニングルームへと向かっていった。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

二乃は1人で駅前を歩いていた。

 

 

 

別になにか目的があるわけでもなく、彼女はただ歩く。

 

 

 

『私は...どうすればいいの?

 

 

家族を守るために『アイツ』を撃って...

 

 

でも、結局みんなはバラバラのままで...

 

 

三久がレンゲルになってたことを聞かされたら、次は一花がレンゲルになってて...』

 

 

 

思考がこんがらがり、何をすればいいのかわからない。

 

 

 

「分からない...

 

 

前みたいに、解けない問題を教えてくれた時みたいに、私に教えなさいよ...バカ...」

 

 

 

そんな言葉が口から漏れたその時だった。

 

 

 

 

 

「キャーーーーッッッ!!!」

 

 

 

 

 

どこからか甲高い嬌声が響き渡る。

 

 

 

その声にハッとした二乃はすぐにその叫び声の元に駆けつける。

 

 

 

 

「ば、バケモノだぁ!!」

 

 

「助けてー!!」

 

 

 

人々は混乱し、駅前はごった返している。

 

 

 

 

するとそこには、カテゴリー4にしてハートスーツのアンデッド-『ペッカーアンデッド』がその鋭い刀と左指に装着されたナイフで人々を襲っていたのだった。

 

 

 

大人たちは我先にと逃げ出していく。

 

 

 

だが

 

 

 

 

「助けてー!ママー!!!」

 

「大丈夫!大丈夫よ!!!」

 

 

 

 

逃げ遅れてしまったのだろうか、小さな少女が母親に抱かれながら泣いて母に助けを求めていた。

 

 

 

娘を傷つけさせまいと母親は娘をぎゅっと抱きしめ、自身の背をアンデッドに向ける。

 

 

 

 

『助けなくちゃ!!』

 

 

 

 

二乃はすぐにポケットのバックルを取り出し、カテゴリーA-『ケルベロス』のラウズカードを装填しようとする。

 

 

だが

 

 

 

『な、何!?』

 

 

 

 

 

手が震えてしまって、思うようにバックルにカードを装填することが出来ない。

 

 

先程、剣崎を撃ち抜いてしまったという罪の意識が、彼女をライダーに変身させることを拒んでいた。

 

 

そうしているうちにも、アンデッドはギラリとした刃を親子に向け、1歩ずつ距離を詰めていく。

 

 

 

『お願い!動いて!

 

 

私は今戦わなくちゃいけないの!!!

 

 

私は......私は...!!!!!』

 

 

 

 

 

 

その時、二乃は初めて剣崎に助けられた日のことを思い出した。

 

 

 

アンデッドを前に何も出来ず、ただ尻もちをついて怯えていただけの自分を、その身を呈して守ってくれた『仮面ライダー』

 

 

 

『剣崎一真』のことを。

 

 

 

 

 

彼女は一度目を瞑ると、何かを決意したかのようにゆっくりと開く。

 

 

 

 

「そうよ!

 

私はあの時とは違う!

 

何も出来ずに怯えることしか出来なかったあの時...私を助けてくれた『アイツ』と同じ。

 

 

今の私は...『上杉風太郎』と同じ、

 

 

 

 

 

 

『仮面ライダー』よ!」

 

 

 

決意を固めた二乃は、ラルクバックルにカテゴリーAを装填するとそれを腰に装着する。

 

 

 

 

そして彼女は、誰かを守る覚悟を決めた『剣崎』と同じように、あの言葉を叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『変身』!!!」

OPEN UP

 

 

 

 

 

 

 

 

迫り来るオリハルコンエレメントにに自ら突っ込むと、右手に持ったボウガンでアンデッドを牽制する。

 

 

すぐに接近すると、アンデッドに蹴りを入れて吹き飛ばし、震える親子に優しく寄り添う。

 

 

 

「もう大丈夫よ。

 

 

早く逃げて」

 

 

 

「あ、あ...ありがとうございます!」

 

母親はそう言うと、娘の手を引いて逃げようとする。

 

だがその時、少女は『二乃』に

 

 

 

「ありがとう。かっこいいおねーちゃん」

 

 

 

とだけ伝えてその場を離れていった。

 

 

 

二乃は仮面の裏で微笑む。

 

 

だがアンデッドはすぐに立ち上がると、右手の刀をラルクに突き出す。

 

 

「ッ...!」

 

 

ラルクはそれを交わすと、突き出された右手をガッチリ掴み、膝蹴りを入れる。

 

 

怯むアンデッドの手を離さず、ゼロ距離でボウガンを連射する。

 

 

 

アンデッドはその一撃にたまらず吹き飛ばされた。

 

 

これ以上は不利だと判断し、飛んで逃げようとするペッカーアンデッドだったがラルクはそれを逃がすまいとラウズカードを使う。

 

 

 

「これで終わりよ!」

 

MIGHTY

 

 

 

 

ラルクは『MIGHTY』のカードを使うと、アンデッドに狙いを定める。

 

 

 

「そこ!」

 

 

 

 

発射されたエネルギー弾はアンデッドに直撃する。

 

 

「グガァァァァァ!!!」

 

 

 

アンデッドは叫び声を上げながら落下し、地面に叩きつけられる。

 

するとそのバックルが割れ、ラルクはブランクカードを投げる。

 

 

そこには『♢4 RAPID』と刻まれる。

 

 

 

ラルクは初めて『仮面ライダー』としてアンデッドを封印することに成功した。

 

 

中野二乃が『剣崎一真』と同じ『仮面ライダー』になった瞬間だった。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「何となく分かってたようだな」

 

 

 

地下道では、士と風太郎が話を続けていた。

 

 

 

「『剣崎一真』の記憶を継承した時になんとなく...だな。

 

彼が世界を破滅に導く不死生物になったってのは事実として知ってはいたが、それがこの世界に影響を及ぼしていたことまでは...」

 

 

「そりゃそうだろうな。

 

別に『ジョーカー』がこの世界にいなくなったことはあくまで歪みの発端だ。

 

その歪みが大きくなったのはちゃんと理由がある」

 

 

 

すると士はばつが悪そうな顔をして、またそっぽを向く。

 

 

「どうした?教えてくれないのか?」

 

 

「.........」

 

 

 

そう問かける風太郎に対して士は何も答えない。

 

 

 

「頼む。教えてくれ。

 

俺は今真実が知りたい。

 

この世界の歪みが大きくなった原因、それは何だ?」

 

 

「...お前に覚悟はあるのか?」

 

 

「...何?」

 

 

士は改めて風太郎に向き直る。

 

 

だがその顔はとても険しいものである。

 

 

 

「真実を受け止め、自分自身で決断をする...

 

 

 

その覚悟がお前にはあるのか?」

 

 

 

 

「.........」

 

 

 

風太郎は息を飲む。士に先程までの余裕さはなく、まさに鬼気迫る表情である。

 

 

 

「俺にその覚悟があるのかどうか...まだ分からない。

 

 

 

けどな、真実から逃げ続けても何も始まらない。

 

 

この世界があと3日しかもたないってなら、尚更だ」

 

 

 

「ほう...

 

 

そもそもお前、『剣崎一真』が自分の体に入るのに自分自身納得したと言っていたが...」

 

 

 

「それは本当のことだ。

 

 

ある日突然どこからか『誰かの声』がしてな...

 

 

『お前の身体に『ある男』の意識を移したい』ってな。

 

 

突然のことに、俺も何が何だかさっぱりだったんだが...」

 

 

 

 

 

風太郎はその時のことを思い出しながら話していく。

 

 

 

 

「『ある男』はとても危険な状態だ、だからお前の助けがいる。

 

 

『誰かの声』がそう俺に告げた。

 

 

そして俺は咄嗟に『わかった』って納得しかけちまった。

 

 

その瞬間俺の意識は無くなった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「...そうか。いいだろう。

 

なら全てを話してやろう

 

 

 

この世界は本来あるべき『ジョーカー』を失っただけではなく、もう1つある『矛盾』を抱えている。

 

 

 

 

 

 

その『矛盾』はお前だ。

 

 

『上杉風太郎』。

 

 

『剣崎一真』がお前の体に意識を移し、『上杉風太郎』となった。

 

 

そして今俺の前に立つ『上杉風太郎』の意思は本人のもの。

 

 

この世界に『上杉風太郎』が実質的に2人いるという形になっている。

 

 

だがそれは世界の在り方として『矛盾』している。

 

 

同じ世界に同じ人間が2人存在してはいけない、それが全ての世界の共通のルールだ」

 

 

 

 

すると士はゆっくりとライドブッカーを開き、『仮面ライダーブレイド』のカードを取り出す。

 

 

 

「同じ人間が同じ世界に二人いれば、どちらかが消える。

 

 

俺自身も同じ人間が同じ世界で鉢合わせ、片方が消える瞬間を目撃したことがある。

 

 

だがお前らはそれを片方の身体に2人の意識を介在させるという方法でスルーしている。

 

 

だが、それが世界の『矛盾』となってしまった。

 

 

 

いいな?よく聞け。

 

 

 

 

 

この世界の『矛盾』を消し、歪みを縮小させるためには、

 

 

 

 

『上杉風太郎』。

 

 

 

お前の意識が完全に消え失せ、『剣崎一真』が完全にこの世界の『上杉風太郎』となる。

 

 

それが条件だ」

 

 

 

 

 

「俺が.........消える......?」

 

 

 

 

風太郎は唐突に言われたことに思考が回らなくなる。

 

 

だが何とか必死に考えを整理する。

 

 

「待て。『剣崎一真』が俺自身にとって変わるよう仕向けた存在、それが...」

 

 

 

 

 

「そこまで分かってるみたいだな。

 

 

 

なら最後の答え合わせだ。

 

 

 

お前が聞いた『謎の声』の正体。

 

 

 

そいつは『統制者』。バトルファイトの管理者だ。

 

 

『統制者』は『ジョーカー』のいないこのバトルファイトを正式に行わせるために、『剣崎一真』という歯車を呼び寄せた。

 

 

 

『剣崎一真』ではなく、『上杉風太郎』がこの世界に存在を認められないのは『統制者』がそう決めたからだ。理不尽かもしれないがな。

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、覚悟を決める時だ。

 

 

 

この世界を守るために己自身を犠牲にしてもう一人の自分に世界を託すか、

 

 

 

 

世界とともに心中するか...

 

 

 

それを決めるのはお前だ、『上杉風太郎』」

 




はい、結局すべての元凶はねじれこんにゃくでした。

あいつ小説版やジオウでもそうですけどほんとろくなことしませんね...

まぁあいつほど黒幕に適任なやつもいないのでしかない気もしますが
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