五等分の運命   作:電波少年

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剣崎ってライダー主人公の中でも一番優しいやつだと僕は思います。

そしてお気に入り数が30を突破しました!皆さん本当にありがとうございます!


第6話:苦悩の『天才』

剣崎は学校が終わり、放課後中野姉妹の住むマンションへ向かった。そこでエントランスで彼女達が住む部屋の番号を鳴らし、その後インターホンに出た五月から「迎えに行く」と言われ今に至る。

わざわざ迎えに来てもらうのも悪いので自動ドアを開けてくれるだけでいいよ、と言おうとしたが五月は

「いくら友達とはいえども上杉さんはお客様です!」

と言われこれ以上言っても時間の無駄だなと思い、迎えに来てもらうことにした。

「こんにちは!上杉さん」

と五月の元気そうな声が聞こえてくる

俺も

「こんにちは、五月」

と返した。

 

そしてエレベーターに乗り30階へと向かう。

何もこんな高い所に住まなくてもいいだろうになんて考えながら中野姉妹が住む部屋のドアを開けた。

「どうぞ、上がってください。上杉さん」

「おじゃましまーす」

リビングに行くとそこには一花、二乃、

三玖、四葉の姿があった。良かった、ペンケースやノートがあるのを見る限り今日はちゃんとやってくれそうだ。

「ごめんね、フータロー君。昨日はあんな感じに抜けちゃって」

「すみまさん、上杉さん!この四葉、今日はちゃんと授業を受けます!」

と2人して謝ってくる。

剣崎は

「いや、いいんだ。今日からちゃんと受けてくれるなら大丈夫だよ」

と返す。

 

三玖の様子を見る限り今日はちゃんと受けてくれそうだ。

二乃も不本意ながらという感じで座っている。

 

そこで剣崎は口を開く

「今日はみんなにこれをやってもらう」

といいカバンから特性手作りテストをだした。ちなみに上杉家の家計簿的な事情から全て手書きである。

「このテストで50点以上取れたなら別に急用が入ろうが俺の授業を受けまいが好きにしてくれていい」

 

剣崎は昨日ハッと閃いたのだ。別に全員一気に教える必要は無い。四葉が全員赤点とか言っていたがそれも仕方ないだろう。調べてみたところ彼女らが通っていた黒薔薇女子という学校はかなりレベルが高く落第など特段珍しい事でもないらしい。確かにそれだけ厳しい学校なら多少手を抜いてしまえば仕方の無いことなのかもしれない。

 

だが卒業だけなら話は簡単だ。この剣崎手作りテストは高校生の中でも非常に基礎的な内容になっている。ここは黒薔薇女子ほど厳しくはないし、なにも大学を目指してくれと言われている訳でもない。卒業をするならば赤点を取らなければいいだけ。うちのレベルの高校ならこの基礎学習さえ出来ていればなんとでもなるだろう。

そこで五月が聞いてきた

「上杉さん。もし合格ラインを超えても勉強を教えてくれますよね?」

「ん?あぁ、こっちにも余裕があるなら手伝うよ。」

とニッコリと剣崎は笑う。

一花はそんなこっちを見てニヤニヤとしており、二乃はつまらなそうだ。

 

「制限時間は1時間だ。さぁ解いてくれ」

と解答を促す。

 

二乃は「あまりあたし達を侮らないでね」と言い放つ。

 

 

彼女らがテストを解き続けるなか剣崎は今の状況について考えて、ノートに箇条書きでまとめていた。

・自分は上杉風太郎という青年の体を借りている

・5つ子の家庭教師を任されている

・なぜかアンデットがこの世界に現れていた

・バックルと♠︎のカテゴリーA、カテゴリー2はある

 

そこで剣崎が考えたことは1つ。まだこの世界にアンデットは現れるのか。剣崎はあの一体でアンデットが現れないことを心から願った。

そして1時間の経過を告げるアラームが鳴った。

 

そして採点を終えて彼女たちに

「おめでとう!100点だ!5人合わせてな!」

と、半ば自暴自棄気味に伝えた。ちなみに点数は、一花が12点、二乃が20点、三玖が32点、四葉が8点、五月が28点である。

 

が、そこで剣崎が持っていた携帯が剣崎の意識を携帯に向かわせる。

 

これまた見たことない電話番号だった。

 

剣崎は「ごめん。みんなちょっとまってて。」と告げるとベランダに出た。

 

「はい、もしもし」

「やぁ、上杉風太郎...いや、仮面ライダーブレイド」

「!!!」

剣崎は思わず身構えた。その電話の主はボイスチェンジャーか何かを使っているのかかなり低い声だ。そして電話の主に叫ぶ。

「誰なんだあんた一体!」

「別に名乗るほどのものでは無い。私は君に伝えておくことがある」

「なんだそれは...?」

剣崎が恐る恐る話しかける。そうすると電話の主は

「今、君たちが通っている学校の近くにアンデットが現れている」

「!」

剣崎の儚い願いはあえなく崩れ去った。

 

「別にそこに向かうか向かわないかは君の自由だ」

そしてさらに

「ただ学校にいる者達の命は保証できないがね」

と冷たく言い放つ。

剣崎は考えた。この男は何者だ?なぜアンデットの存在を知っている?そもそもなぜ俺がブレイドだと知っている?

だが電話の主は剣崎に深く考える暇は与えず

「君の携帯にアンデットサーチャーを入れておいた。それでアンデッドの詳しい位置をしれるだろう。そしてそのマンションの駐車場に1つ贈り物を置いておいた。使ってくれ」

さらに剣崎は困惑した。誰だこいつは?しかもこの用意の良さは?

だがアンデットが人間の命を今にも脅かさんとしているなら答えは1つ。

「分かった。行ってやる」

「助かるよ。では頼んだ。仮面ライダーブレイド」

通話が途切れた。

 

そしてベランダからリビングに戻り、5つ子たちに告げる。

「みんなごめん。俺も急用できちゃって...

戻ったらすぐに授業をするからみんな少しだけ自習して待ってて!」

とだけいうと走ってマンションの駐車場へと向かう。駐車場に何があるか、剣崎は何となく予想はついていた。

 

5つ子達はポカーンとしていた。

今日こそはと意気込んでいた剣崎が、いきなり授業をすっぽかして出ていってしまったのだ。二乃は

「何よあいつ。教える気なんて最初から無いんじゃない!」

と得意なって言う。だがすかさず五月が

「上杉さんはそんな人じゃありません!」

と反論する。

「にしてもどうしたんですかねー、上杉さん。とても急いでいるように見えましたけど」

と四葉は頭の上に『?』マークを浮かべる。

「でもまぁ私も昨日自分の都合で勝手に抜けちゃったしね〜」

と一花は反省気味だ。

「...」

三玖は剣崎がとび出て行った玄関の方を見つめていた。

 

 

剣崎は駐車場へと向かう。そしてそこで見たのはかつての自分の愛車、ブルースペイダーだった。

俺はブルースペイダーに跨り、学校へ向けて全力でアクセルを捻った。

 

そしてカードを入れたバックルが腰に巻き付く。

 

「変身!!」

TURN UP

 

電子音と共に剣崎が乗ったブルースペイダーの前にオリハルコンエレメントが現れる。

それをくぐった瞬間、剣崎一真は

 

『仮面ライダーブレイド』に変身した。

 

 

そして学校では

「うわ!何だこの化け物!」

「先生助けてー!」

「け、警察を呼ぶんだ!」

と大混乱が起きていた。

 

羽の生えた化け物-ローカストアンデッドはまず目の前の生徒を殺めようとその手を伸ばす。

「し、死にたくない...」

その手が生徒に振り下ろされんとするその時、

 

「ギャッ!」と言う叫び声をあげて、怪物はいきなりバイクに弾き飛ばされた。

 

そしてそのバイクに乗っていたのは、数日前に駅前に現れた怪物を打ち倒した謎のヒーロー

 

『仮面ライダー』だった

 

 

ブレイドはバイクから降りるとグラウンドにいる者達に叫ぶ

「みんな早く校舎内に避難しろ!

ここは危険だ!!」

そう叫ぶと生徒や教員は一斉に校舎内に戻っていった。

 

「もう...もう誰も殺させない!」

剣崎は右手に剣を握りしめ怪物に斬りかかった。だが怪物はその驚異的な脚力でジャンプし、簡単に攻撃を避けた。

 

「だったらこっちも!」

ジャックフォームに変身して空に飛んでやる。と左腕のラウズアブゾーバーに手をかけようとしたが......

 

そもそもラウズアブゾーバーは無かった。

 

剣崎も完全にあると思いこんでいた。その隙にローカストアンデッドが強力なキックをブレイドにお見舞いする

 

「グッ!」

 

ブレイドは何とか右手の剣-ブレイラウザーで攻撃を防ぐ。こっちから相手の場所に行けない以上、ブレイドができることはただ一つ。

カウンターである。

 

ブレイドは次にくる攻撃に備えてカードホルダーを展開し、そこにあるカード『SLASH』のカードをブレイラウザーの刀身の横の溝に入れて引く。

 

SLASH

 

という電子音と共に刀身が青い光を帯びて強化される。

 

そしてブレイドは強化されたブレイラウザーを構える。

 

そして地面に降り立ったローカストアンデッドはもう一度地面を強く蹴って飛び上がり、ブレイドに蹴りを喰らわせようとする。

 

ブレイドはそれを読んでいた。蹴りの軌道を落ち着いて避けると、強化されたブレイラウザーの刀身をローカストアンデッドの体に叩き込んだ。

 

「ガァッ!」

 

と叫んだ後、ローカストアンデッドは力なく地面に倒れ、アンデットバックルが割れて、完全に封印できることを示した。

ブレイドは倒れたアンデットに封印のカードを投げる。そしてアンデットはそのカードに吸い込まれ、カードには『KICK』と刻まれた。

 

ブレイドは一息つく。そして変身を解除しようとしてハッとする。

学校の生徒達が自分のことを次々とスマホで撮影してくるのだった。

「すげー!!これこの間のヒーローじゃん!」

「あの怪物を倒したのか!本物じゃんかよ!」

「かっこいいー!!」

など先程の阿鼻叫喚とは真逆の雰囲気だ。

 

ブレイドはすぐにバイクに跨り、学校を出たあと路地に入り込み、変身を解除した。

 

 

そしてバックルをしまうとそのまま中野姉妹が住むマンションへと向かう。

 

部屋へ戻るとなにやらリビングが騒がしい。

ドアを開けると五月が開口一番に

「大丈夫ですか?!上杉さん!」

と焦り気味に声をかけてくる。

剣崎は知らない体を装い

「何かあったのか?」

とわざとらしく尋ねた。

続けざまに二乃が興奮気味にスマホの画面に映し出されたネットニュースを見せて

「ちょっとこれみなさいよ!!

またあのヒーローが出たのよ!

はぁ...私ももう一度会いたかったわぁ...」

と残念そうに呟く。

 

とにかく剣崎の正体がバレたということは無さそうだ。剣崎は少しホッとした。

とりあえず剣崎は

「まぁ今少し離れていたけど、テスト直しとかしてた?」

と5人に尋ねた。全員一斉にビクッとしたあと、黙りこくってしまった。

「イヤデスネーウエスギサーン。

シテナイワケナイジャナイデスカー。」

とロボットのように四葉が告げる。

「なら一問目、厳島の戦いで毛利元就が破った武将の名前は?」

「「「「「......」」」」」

誰からの反応もない。

 

「仕方ない、今からテスト直しするか」

 

そしてあっという間に時間はすぎていく。

簡潔にいえば、剣崎の家庭教師は下手の一言に尽きた。

剣崎は天才である。今まで勉強をするのに努力などをしたことがなかった。ほかの人間が努力をして理解していくところを剣崎はその有り余る才能だけで通り過ぎてしまった。

ゆえに剣崎が抱えた一番の問題は、彼女たちが何が分からないのか分からないのである。

 

例えば数学。

この問題は二次関数の並行を考えればいいと言っても、そもそも二次関数が分からない。

 

例えば社会。

30年戦争を説明しようとしてもプロテスタントとカトリック。強いて言うならキリスト教をそもそも知らない。

 

などなど挙げていけばキリがない。

剣崎が教えて行く上で普通ならそこは端折って説明するところを彼女らには一々説明していかねばならないのである。

五月がいくらやる気があったとしても根幹となる知識なければ問題は解けない。

ほかの4人に至ってはやる気があるのかすら怪しい。

とにかく剣崎は今の課題は彼女達の視点に合わせることだと確信した。彼女たちと同じ視点に立って問題を見つめない限り家庭教師をするとこは不可能だ。

 

結局すぐに授業は終わってしまい、五月を除く4人は次々に自室に帰っていく。

姉妹の中で1人残った五月は申し訳なさそうに謝る。

「ごめんなさい。上杉さん。一生懸命頑張ってはいるのですけど...」

「いや、今回に関しては完全に俺が悪いよ。授業を途中で放棄しちゃうし、ろくに教えられないし。ごめんな、こんな無力な教師で」

「い、いえ!上杉さんが謝ることではありません。何もかも私たちが今まで勉強から逃げてきたことが原因なんです...」

シュンと縮こまってしまう五月。

だが剣崎は何かを決めたような顔をした。そして

「よし!俺もっと努力するよ。みんなにちゃんと分かりやすく教えて絶対みんなを卒業させる!約束する!」

と五月に言い、五月に小指を向ける。

「あ、あの...上杉さん?」

不思議そうに聞いてくる五月に剣崎は

「指切りだよ。約束は破らないように指切りをしておくんだよ。いずれ他の4人ともするつもりだけどまずは五月にして欲しい」

そう言うと五月は少し顔を赤くして

「上杉さんがそう言うなら...」

と俺と同じように小指を差し出す。そして互いに小指を絡ませると

「「ゆーびきーりげーんまーんうそつーいたらーはーりせんぼーんのーます、」」

「「ゆーび切った!!」」

 

といい絡ませた小指を解いた。

 

ただ剣崎のいう卒業は言葉通りの意味だけではなかった。これから降り注ぐアンデットからの脅威から君たちを絶対守り抜く。

そんな固い決意を持って指切りをしたことを、五月はまだ知る由もない。




♠︎5 ローカストアンデッド
イナゴの祖たるアンデッドである。カテゴリーはスペードの5。
イナゴを大量に産み出して攻撃に利用する能力を持っており、明確な描写はないがこのイナゴもアンデッドから産み出されている事からかなりの強靱性を持つと思われる。

今回はこのイナゴを生み出す能力は使いませんでした。

そして剣崎は、上杉風太郎が免許を取っていたことを彼の免許証の実物を見て知っています。
1つ、ネタバレになるかもしれませんが、言わせて頂きます。
当然ながら『上杉風太郎』の優しさと『剣崎一真』の優しさはかなりベクトルが違います。
『風太郎』が時には突き放すことができる優しさならば、『剣崎』はそばにいてあげる優しさを持っていると僕は解釈しています。

どちらが本当の優しさなのかは分かりませんが、この2人の優しさの違いが物語...というよりは姉妹に影響を及ぼすかもしれません。
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