そしてブレイドに変身しているときの剣崎の声ですが、マスクのせいでくぐもって本人とは分からないという解釈でお願いします
そして!お気に入り数が50を突破しました!こんな作品を読んでくれる皆様方、本当にありがとうございます!
「ハァハァ...」
危なかった。剣崎一真、一生の不覚である。
あと少しで遅刻するところだった剣崎は「ふぅ...」と一息付き、汗を腕で拭う。昨日は家庭教師として生徒の5つ子たちと同じ視線に立てるよう、この体の本来の持ち主-上杉風太郎の本棚を漁り、中学生の教科書から丁寧に復習していたのである。
何事もまずは基礎からというが剣崎はこの基礎を省くことが今まで出来てしまっていた。だからこそその省いた穴をしっかり埋められるよう基礎訓練をしていたのである。
だがその基礎訓練のせいですっかり寝るのが遅くなってしまい、気づけばいつもより20分も遅い起床となってしまった。
ふらふらと歩く上杉の近くに見たことも無い暗い外国車が停車した。随分とかっこいい車だ。同じ黒でも虎太郎の白鳥号とはえらい違いである。そんなどうでもいいことを考えているとその車の中から見知った顔がでてきた。その車のドライバーと思われる初老の老人が恭しく頭を下げてくる。
そして
「あ!フータロー」
「おはようございます、上杉さん!」
と一花と四葉が挨拶をしてくる。
俺も「おはよう」と返すと五月がこちらに歩いてきたた。
「おはようございます、上杉さん。昨日はどうもありがとうございました。」
と頭を下げる。
「あんな授業で頭を下げてもらっちゃ逆にこっちが悪い気になるよ」
と言い、五月に頭を上げさせた。
だがそれだけ言うと五月以外は少し先に歩いてしまう。それもそうだ。昨日は俺の実力不足のせいでちゃんとした授業ができず微妙な空気になってしまったのだ。
そのせいで何となく気まずい空気になった。
二乃はすれ違いざまに「ダメ教師」と小声で俺に聞こえるように呟いた。
ぐうの音も出ない。
「ごめんなさい。上杉さん。でもこれから一緒に頑張っていきましょう」
と五月は優しく語りかける。
「あぁ、ありがとう。五月。じゃあ昨日のテストの問一の答え、覚えてくれてるよな」
「えぇ!当たり前じゃないですか!答えは...
え〜とぉ...そのぉ...」
......先が思いやられそうだ。
それにしても五月以外の姉妹から何となく距離感を感じてしまう。よく昔から剣崎は優しいけど、真っ直ぐすぎて不器用だと言われており、それを本人も痛いぐらい実感している。
だから人と信頼関係を築くのが少し苦手だったりした。
そこで昨日作り上げた5つ子卒業計画ノートを見て、あることに気づいた。
『あれ?三玖...一昨日のテストの1問目を正解してるじゃないか』
ということに気付く。
『ならなぜ昨日の質問で彼女は答えなかったんだ?』
そんなことを考えているとすぐに昼食の時間になってしまった。
食堂に行くと、今から昼食を摂ろうとしていた三玖に出会った。
剣崎は優しい笑顔で
「やぁ、三玖」
と声をかけた。
そこで彼女の持つトレーの上に視線を下ろす。
「サンドイッチと...なにその飲み物...?」
「抹茶ソーダ」
「なんだそりゃ!」
そんなおかしなものを好むのは地球上を探しても橘さんくらいなものだろう。
それにしてもこの子、本当に何を考えているのかわからない。そういえば始も最初に会ったときはこんな感じだったなぁ...なんて昔を思い出し、三玖に聞きたいことがあったことに気付く。
「ひとつ聞いていいか?三玖。
昨日の問題の件なんだけど...」
と言いかけたところで
「上杉さん!お昼一緒に食べませんか?」
「うぉっ!」
と後ろからいきなり現れた元気な声に思わず飛び退く。
「なんだ四葉か。びっくりしたなぁもぅ」
「あはは〜。朝は先に行っちゃってすみませ〜ん」
と謝ってくる。そしてもう一度三玖に話しかけようと口を開いたところに再度四葉が割り込んだ。
「これ見てください。英語の宿題!
全部間違えてました!あはははは!」
「......」
どうしようかと思ったその時
「ごめんね〜邪魔しちゃって」
と一花が四葉を引き剥がした。
「一花も見てもらおうよ」
と四葉が提案するも
「うーん、パスかな
だって私たち馬鹿だし ね?」
と苦笑した。
「だからってなぁ」
と剣崎は言うがすかさず一花も口を開く。
「それにさ
高校生活勉強だけってどうなの?もっと青春をエンジョイしようよ」
「恋とか!」
そこで剣崎は「恋...か...」とだけ呟くと黙りこくってしまった。
剣崎は恋などしたことは無かった。人と心を通わせることがライダーになる前はほとんどなかったこともそうだし、ライダーになったらそれはそれで戦いに明け暮れる日々で恋などしている暇はなかった。
だが本当の理由はもっと違う所にあった。剣崎は恋をすることそのものを心のどこかで恐れていた。彼は11歳の時に目の前で両親を失った。自分の先輩が恋人を失い、絶望する姿を見た。
そしてようやく親友として心を通わせることことができた相川始や出会った時から一緒に頑張ってきた虎太郎や広瀬さん達との別れ。
これらのこと全てが今の剣崎に大切な人を作ることそのものを無意識の内に拒絶させていたのだ。
そんなことを考えて深刻な顔をして俯いていると一花が心配そうに
「フータロー君?なにか辛いこと思い出させちゃった?」
と心配そうに、だが何かを期待するかのように声をかけた。
「いや、大丈夫だよ。少し昔のことを思い出しちゃっただけさ」
一花は何がわかったのか「ははーん」などと言っていた。そしてそこに四葉が
「あはは...恋愛したくても相手がいないんですけどね
三玖はどう?」
と問いかけた。
三玖は「えっ」と声を上げたあとに頬を少し染め小さな声で
「い...いないよ」
と呟き、走ってどこかに行ってしまった。
その後四葉がとなりで
「あの表情...姉妹の私にはわかります。
三玖は恋をしています」
と俺に告げてきた。
教室に戻った剣崎は三玖のことを考えていた。別に三玖に好きな人がいるのは構わない。花の高校生だ、恋愛の1つや2つはしても損は無いだろう。だが三玖には勉強をしてもらわないと困る。剣崎も高校生のころ恋愛が原因で高校生活が狂った人間を何人か見てきた。そして自分の席につき机の中の教材を出そうとすると1番上に手紙のようなものがあることに気がつく。
その手紙の表紙には『フータローへ 三玖』と書いてあった。
手紙を開くと
『昼休みに屋上に来て。
フータローに伝えたいことがあるの。
どうしてもこの気持ちがおさえられないの。』
色々考えた結果、ある答えにたどり着いた。
『三玖が好きなのって俺の事か?!』
剣崎は焦った。三玖が恋心をもってしまうのは仕方の無いことだ。そりゃあ勉強を頑張って欲しいけど抱いてしまったものはそう簡単に離せない。
だが相手が自分となると話は別だ。俺は剣崎一真だ。上杉風太郎ではない。もしこれで彼女と恋愛などをしてしまったら彼女の気持ちそのものを騙すことになってしまう。
混乱していたところに五月が話しかける
「どうしました?上杉さん
何か悩み事でもありますか?」
と問われ
「え!あ!いや!な、なんでもない!なんでもないよ!」
と焦りまくりで答える。
五月は不思議そうな顔をして「変な上杉さん」と呟いて自分の席に座った。
だが呼ばれた以上行かねばなるまい。そうして昼休みに屋上たどり着いた剣崎は
「だれもいないじゃん!」
と1人で叫んだ。
イタズラか?まさか昨日の俺の酷すぎる家庭教師に対する抗議なのでは...
よからぬ考えをしていると後ろのドアがガチャと音を立てて開いた。そこから現れた人物におれは声をかけた
「三玖!」
「良かった。手紙見てくれたんだ」
三玖は安堵の表情を浮かべる
「い、いやそういうことをしたいのは分かるんだがいまは勉強が...」
「食堂で言えたら良かったんだけど
誰にも聞かれたくなかったから」
『まずい...これは非常にまずい』
剣崎はそう思い次の三玖の言葉に身構える。
そして三玖は
「ずっと言いたかったの
...す......す...」
剣崎は断る覚悟を決め、目を閉じ...!
「陶 晴賢」
...と三玖の口からでてきた武将の名前にあっけに取られ言葉が詰まってしまった。だがすぐさま剣崎はその言葉の意味を理解した。
それは昨日彼が口頭で姉妹らに聞いた問題のこたえだった。すかさず剣崎は三玖の肩を掴み尋ねた
「待ってくれ、三玖!何故それを今このタイミングで!?」
だがその衝撃で三玖の手握ったスマホが手から落ちてしまった。
「わーっ」
「あ、ご、ごめん」
と言い、三玖のスマホを拾いあげようとした剣崎の目に映ったのは三玖のスマホのホーム画面。
風林火山と書かれた武田菱だった。
三玖は
「見た?」
と威圧的に聞いてくる。見てしまったものは見てしまったので
「え...ああ...」
と答えた。三玖は
「戦国武将...好きなの...」
と顔に手を当てながら言った。
それを聞いた剣崎は
「なーんだ、好きって戦国武将のことかぁ
いいよね、戦国武将。俺も好きだったなぁ」と中学生の時を思い出す。
あの時は互いの国を巡る戦国時代の話に夢中だった。男の子なら誰でも1度は体験するだろう。そんなどうでもいいことを考え、剣崎は三玖に聞く。
「でも女の子で戦国武将が好きなんて珍しいね。どうして好きになったの?」
と純粋に不思議に思って聞いた。
「きっかけは四葉から借りたゲーム
野心溢れる武将達に惹かれてたくさん本も読んだ。
でもクラスのみんなが好きな人はイケメン俳優や美人なモデル」
「それに比べて私は髭のおじさん...」
「変だよ」
と三玖はつぶやく。
だが剣崎は首を捻り、
「なんで変なの?」
と三玖に聞いた。三玖は「え?」と言い剣崎を見上げると
「確かに戦国武将が好きな女子校生は珍しいかもしれない。でもそれだけで変な理由なんかにはならないと思うよ。それに...」
「好きなことに好きって正直に言えることって、俺本当にいい事だと思うんだ」
「...!......」
と心で正直に思ったことを剣崎は眩しいくらいの笑顔で三玖に言った。三玖はびっくりした顔で俺を見つめている。
そこで剣崎は「そうだ!」と手を叩き三玖に提案した。
「俺、三玖が知ってる戦国武将の話聞きたいからさ。次の授業は日本史を中心にして三玖に俺が知らない戦国武将のことを俺にも沢山教えて欲しいな」
一瞬の逡巡のあと三玖は
「本当にそんなことでいいの?」
と恐る恐る聞いてきた。剣崎は笑顔で
「あぁ 三玖がそれでいいなら」
と答えた。
だが三玖は少しだけ表情を固くすると
「本当に...本当にフータローは優しいね」
と呟いた。とっさのことに剣崎は「え?」とだけ声をだす。三玖は続ける。
「だってフータローはあの時...トラックに惹かれそうになった私を助けてくれた時...
もしかしたら自分が死んじゃってたかもしれないんだよ?!」
三玖の声が少し大きくなる。
「それなのに...それなのにフータローはそんな原因を作った私に嫌な顔1つせず接してくれる。どうしてなの?どうしてフータローはそんなに優しくなれるの?」
三玖は目を潤ませて俺に必死に尋ねた。
そんな三玖に剣崎はとても優しい声で
「人を助けるのに...理由なんていらないよ。
俺の目の前では、誰も悲しんで欲しくない。
みんなに笑顔にいて欲しいんだ」
嘘偽りなき言葉で剣崎は答え、
「だから俺は三玖にも笑っていて欲しいな」
と三玖の頭を撫でた。
三玖はドキッとした後、剣崎の目を見つめた。
三玖は気づいた。
このフータロー、もとい剣崎一真の危うさにだ。彼はみんなに悲しんで欲しくない、みんなに笑顔でいて欲しいといった。
だがそのみんなに、肝心な「自分」が入っていないのだ。彼は目の前の人間が死ぬなら自分が代わりに死ぬことをなんとも思っていない。むしろその行為を当たり前とすら思っている。そんな自己犠牲に等しい危うさに三玖は気づいた。ただ三玖はその場では言いたい言葉が見つからず、
「ありがとう」
と言うことしか出来なかった。
そして昼休みの終了10分前を知らせるチャイムがなった。
剣崎は心から安心していた。三玖が授業を受けてくれることに成功したのだ。それに戦国武将をきっかけに彼女のことをもっと知っていければな、なんて思っていた。
そんなことを考える剣崎の前で彼女は自販機で飲み物を買い、
「これ友好の印、飲んでみて」
と先程飲んでいた抹茶ソーダを進めてきた。
「これかぁ...」
とか力無く笑う剣崎に三玖は
「大丈夫だって。鼻水なんて入ってないよ、なんちゃって」
と笑いながら手渡した。剣崎は思わず
「え?」
と聞き返した。三玖は笑いながら
「石田三成が大谷吉継の鼻水の入った茶を飲んだっていう逸話があるの」
と得意げに答えた。そして
「もっと色々教えてあげるね、フータロー」
と微笑む彼女に剣崎は
「よろしくお願いします。三玖先生」
と同じく微笑みながら返し、2人は互いの教室へと帰っていった。
そしてこの日の最後の授業が終わると、俺は教室を出る。どうやら五月はクラスの女子と話をするようだ。
まぁ今日は家庭教師のバイトがある日ではないし、家に帰って5つ子姉妹に教える勉強内容の確認でもしようと考えていた。
だが教室の外に、ヘッドフォンを首にかけた少女-三玖を見た。
剣崎は教室を出ると
「どうした?三玖」
と三玖に聞いた。彼女はキッと覚悟を決めた顔で
「一緒に帰ろ、フータロー」
と告げてきた。
そして三玖と2人きりの帰り道。断る理由が1つもなかった剣崎は三玖の申し出を快諾した。帰り道は三玖の戦国武将トークをひたすら聞いていた。戦国武将のことを話す三玖の目は輝いていた。
そして帰り道の公園で俺は三玖に少し座っていかないか?と提案した。三玖は首をブンブンと縦に降った。
そしてベンチに座る三玖に今買った抹茶ソーダを手渡した。ちなみに剣崎が自分が飲むように買ったのは少し苦い思いでのあるオロナミンCだ。
「それにしても本当に三玖は戦国武将のことならなんでも知ってるな。三玖のおかげで色々な話を知ることができたよ、ありがとう」
と半ば感心しながら三玖に話かける。三玖は
「ううん、感謝するのはこっち。ありがと、フータロー。私も色んなことが喋れて楽しいよ。」
と最初の頃からは考えられないような笑顔で剣崎に答える。
「もっとその話、姉妹のみんなにも話してあげればいいのに」
と何気なく言うと三玖は体育座りをして蹲り、
「姉妹だから言えないんだよ」
とボソッと口にする
「え...なんで...」
「5人の中で私が1番落ちこぼれだから」
と蹲ったまま答える。
そうか、そういうことか。三玖は自分自身に自信がないんだ。だから好きなものを好きだとハッキリ言えないし、あまり自己主張もしないんだ。
だが剣崎もすかさずフォローを入れる
「でも5人の中じゃ三玖が1番優秀だ
あの時のテストも点数は一番三玖が上だった」
「やっぱりフータローは優しいね」
まぁ2位と五月との差は4点ほどしかなかったが。
「私程度に出来ること、ほかの4人も出来るに決まってる」
「5つ子だもん」
と三玖は少し悲しい笑顔で剣崎に告げた。そして三玖は「だからフータローは私なんか諦めて...」と告げたところで
だが剣崎は何かに気づいたように目を見開くと三玖の手を握った。とっさのことに三玖は「ひゃう」と声を漏らす。
「それだよ三玖、そこだよ。
5つだから三玖に出来ることはほかの4人にも出来る。
つまり他の四人に出来ることは三玖にもできるってことだ」
剣崎は続ける
「大丈夫だ、自信をもて。一花も二乃も四葉も五月も」
「そして三玖も。みんなが100点になる力があると俺は信じている。
だから俺は、みんな5人一緒に頑張って欲しい。5人揃って卒業してほしい」
剣崎は言った。
三玖はプィっとそっぽを向くと「なにそれ屁理屈」と呟き、
「『5つ子』を過信しすぎ」
と剣崎に言った。
「それに5人って...フータローは卒業しなくていいの?」
「え?!いや、そんな訳ないだろ!俺もちゃんと一緒に卒業するぞ!」
もし留年なんてことになろうものなら俺はこの上杉風太郎君に示しがつかない。いつ戻ってもいいよう風太郎くんに何も悪い影響を残す訳にはいかない。
そんなことを考えて、2人で笑う剣崎と三玖。だがそこで剣崎の携帯がピピピっと鳴った。何かと思って画面を見ようとしたその時、
だが1つの落雷が二人の耳をつんざいた。
あまりにも一瞬の出来事。三玖は何が起こったか分からなかった。剣崎はすぐさま雷の落ちた場所を睨みつつ三玖を庇うように前に立つ。
落雷によって起きた煙が晴れる。
そこに立っていたのは
長い角を携えた怪物、
♠︎6 ディアーアンデットだった。
「逃げるぞ、三玖!」
剣崎はそう叫ぶとすぐさま三玖の手を取り走り始めた。三玖はまだ現状が理解出来ず、目を白黒させる。
だがアンデットは2人を逃がすまいと脅威的な脚力で2人の前に飛んでくる。
だが剣崎は着地の隙を狙って、アンデットの腹に蹴りを入れた。アンデットが怯む。
その隙に剣崎は三玖の手を取ったまま逃げる。だがディアーアンデットは得意の雷撃で剣崎と三玖を追撃する。それをなんとか避け、人が誰もいないことを確認すると、2人は近くの工場に逃げ込んだ。
ハァハァとまだ呼吸が整わぬうちに三玖が剣崎に尋ねる。
「あいつは何?!なんで私たちを襲ってくるの?!」
剣崎は何も答えない。三玖は少し狂乱気味に「答えて!」と剣崎の肩を揺する。
だが剣崎は
いきなり三玖を抱きしめた。
三玖は先程のように訳が分からず混乱する。
そして剣崎は
「安心してくれ、君は俺が守る!」
と叫んだ。三玖はその言葉に妙な安心感を覚えた。だがアンデットがこちらの存在に気づいたようだ。工場の中に入ってくる。そして剣崎は三玖を離して立ち上がると
「もう時間はない、三玖!」
「はい!」
ビックリして何故か敬語になってしまった三玖。
「今から俺がやること、他の誰にもいわないでほしい。約束してくれるか?」
別に剣崎はこれで三玖がどう答えようと答えまいと変身するつもりだった。
だが三玖は
「分かった...秘密にする!私とフータローの!」
といつもの声とは比べ物にならないようにお腹から力込めて言った。
そうすると剣崎は安心したように
「ありがとう、三玖」
と優しく告げた。
剣崎は♠︎のAをバックルに装填する。
そしてバックルが腰に巻き付く。
そして剣崎は仮面ライダーとして戦う覚悟を決めるために『あの言葉』を叫んで走り出す。
『変身!!』
TURN UP
剣崎は仮面ライダーブレイドへと変身した。
「ウェェェェイ!」
剣崎はブレイラウザーをディアーアンデットに叩きつける。だがディアーアンデットは両手に持った剣を2本交差させてブレイドの剣戟をガードする。
剣崎は一旦バックステップで距離をとる。だがそこに電撃が浴びせられる。
もろに受けたブレイドは吹き飛ばされた。
「フータロー!」
三玖は叫ぶ。まさか今の一撃で...
だが吹き飛ばされたブレイドはすぐさま立ちがあるとアンデットに向かって走る。ブレイドは走ったままカードホルダーからカードを取り出しブレイラウザーにラウズする
『SLASH』
電子音がなったあとブレイラウザーの刀身が青白い光によって強化される。
アンデットはこちらに向かって走ってくるブレイドを迎撃するために電撃を放つ。
だがその電撃の全てをブレイドは強化された剣でガードする。
そしてブレイドは全身全霊を込めて手に握りしめたブレイラウザーをアンデットへと振り下ろす。
先程のようにガードしようとするアンデット。しかし先程とは違いブレイラウザーは『SLASH』のカードによって強化されていた。ブレイラウザーの剣戟により、アンデット持っていた2つの剣と2本の立派な角が叩きおられた。
アンデットがその衝撃で吹き飛ぶ。
そしてブレイドはカードホルダーからもう1枚カードを取り出すとそのカードをラウズする
『KICK』
電子音が流れたあと、ブレイドは高くジャンプする。そして空中一回転をした後、なんとか立ち上がったアンデットに右足を叩きつけた。
再度吹き飛ばされ、爆発をあげたアンデット。ブレイドは吹き飛ばされたアンデットのバックルが割れたのを確認するとそこに向かってカードを投げた。
アンデットはカードに吸い込まれ、カードには『THUNDER』と刻まれた。
戦いが終わった。ブレイドはバックルのレバーを引っ張る。
かれは仮面ライダーブレイドから上杉風太郎の姿へと戻った。
剣崎は三玖の方を見る。三玖は未だに何が起こったか理解しきれていない。
だが剣崎はそんな三玖に近づき話しかける。
「今まで黙っててごめん。でも俺はこれからもこの化け物が現れる限り戦わなきゃいけないんだ」
「もう誰かの涙を見たくないから」
と彼は口にした。
三玖は
「大丈夫。誰にも言ったりしないよ」
と剣崎に優しく告げる。
「たしかにこれからもフータローが戦いに行くのは心配だよ。でも私はちゃんと勉強するってきめた。フータローがこの怪物と戦うなら、
私は、今までの弱い私と戦う。
だから...大丈夫!」
と何かを決断して彼女はハッキリと剣崎に思いを告げた。
剣崎は
「ありがとう、三玖。」
と言い放つと三玖に小指を差し出す。
「俺は、5人が笑って卒業できるよう全力で家庭教師をやる。三玖は今回見た事を誰にも言わないのとちゃんと勉強を頑張る」
「それを約束する、指切りだ」
「分かった。約束するねフータロー」
そうして2人は約束の指切りを交わした。
「マンションの前まで送っていくよ、三玖」
「いいの?」
「こんなことがあった後だし、おれ三玖の話もっと聞きたいからさ」
とはにかむ剣崎
「分かった。いこう、フータロー」
と剣崎の横に並んで歩き出す
マンションの前まで来ると、
「じゃあな、三玖」
「うん、また明日。フータロー」
三玖はマンションを離れていく剣崎に手をふる。そして剣崎が見えなくなったところで心の中で彼女は1人呟いた。
『大丈夫だよ、フータロー。
このことは誰にも言わない。
だって......私と......
私だけのフータローの秘密だもん』
そして三玖はある決心をする。自分には当然ながら怪物から人を守る力なんてない。
だから自分が上杉風太郎を助けると。何があっても彼のそばで、彼を支えると。
だがそれを心で呟いた時、彼女の瞳の奥で何か黒いものが揺れたことを
本人ですら気づくことは無かった
♠︎6 ディアーアンデット
カテゴリー6に分類されるヘラジカの祖たる不死生物。
断崖絶壁の急斜面を軽々と跳躍する驚異的な脚力を持っており、山腹などに獲物を誘い込んで扇状に伸びた角から雷撃を浴びせて攻撃する戦法を得意としている。また、二本の七肢刀で相手と斬り結ぶ剣技にも長けている。
そしてご報告です。
三玖ファンの皆様には申し訳ないですが、この作品の三玖は少しだけ剣崎への愛をこじらせていきます。ですがそのまま拗らせ続けるわけではありませんし三玖を悪者にしようという気は一切ないので、闇堕ちしていた時のムッキーを見る時のように暖かい目で見守って頂ければ幸いです。
あと風太郎(剣崎)の身体能力についてですが、剣崎依存とさせていただきます。ご都合展開のようになり申し訳ありません。