剣崎一真/仮面ライダーブレイド:頭脳明晰。文武ともに優秀。純粋で真っ直ぐな性格をしているがそれ故に不器用なところがある。
親友を守るためにジョーカーとなり戦い続けるがあるとき意識を失う。そして目覚めると上杉風太郎という高校2年生の青年の体に憑依していた。
落第寸前の5つ子の家庭教師を頼まれ、持ち前の優しさも相まって、体の持ち主の妹の上杉らいはのためにそれを受ける。
そして人々を守るためもう一度仮面ライダーとして戦う。ただ体の持ち主の上杉風太郎に対して危険な目に遭わせてしまっていることには少なからず責任を感じている。
中野一花:長女。大人っぽい魅力で剣崎をからかうこともあるが、中身の剣崎がそもそも大人なのでまだ子供っぽいところもあるなぁ程度にしか思われていない。仕事仲間と車で移動していたところをアンデットに襲われ、ブレイドに助けられた。
中野二乃:次女。姉妹の輪の中に入り込んできた剣崎をよく思っておらず、その輪の中から追い出そうとしている。駅前でブレイドに助けられ、ブレイドの正体を知りたがっている。
中野三玖:三女。好きなものは戦国武将。元は自分に自信が持てなかったが、剣崎の励ましにより自信を持てるようになる。剣崎が仮面ライダーであることを姉妹の中で唯一知っており、剣崎に対する仄かな恋心が目覚め始めている。
中野四葉:四女。元気一杯で勉強に対するやる気もあるのだが、剣崎と同じで困ってる人を見過ごせない性格が災いして授業に参加できないことが多い。
中野五月:末っ子。剣崎とは転校初日に喧嘩になるも昼ご飯を分けたことで仲直りした。
5人の中で1番やる気があるもののそれが毎度空回りしている。剣崎とは自分たちを絶対に卒業させるという約束で指切りをした。
今回は戦闘はありません。
長くなって申し訳ありませんでした。本編に入ります。
「裁判長、ご覧ください」
今、中野家では中野姉妹の次女、中野二乃に剣崎が不貞な行為を働いたという容疑で裁判が開かれていた。
五月がそういいながら裁判長役の一花にスマホの画面を見せる。そこにはバスタオルを巻いた二乃をお姫様抱っこする剣崎が映っていた。五月は続ける。
「被告は家庭教師という立場にありながら、ピチピチの女子高生を目の前に欲望を爆発させてしまった...
この写真は上杉被告で間違いありませんね?」
「た、確かにその写真に写ってるのは俺だけど...」
認めざるを得ない剣崎。ていうかピチピチの女子高生ってなんかおっさん臭い表現だな...
そんなことを考える剣崎に二乃が追い打ちをかける。
「裁判長」
「はい、原告の二乃くん」
「この男は1度マンションから出たと見せかけて私のお風呂上がりを待っていました。悪質極まりない犯行に我々はこいつの今後の出入りを禁止を要求します」
「ま、待ってくれ!それは困る!」
もしそうなってしまえばこの5つ子たちに家庭教師を続けていくのは困難になる。
それだけは何としても阻止しなくてはならない。
だが一花は片目をつぶりながら言う。
「たいへんけしからんですなぁ」
「だから違うって!聞いてくれ一花!俺はバッグを忘れて...」
というものの一花は頬を膨らませそっぽを向いている。
だがそこで三玖が手を上げる。
「裁判長」
一花はニッコリと笑って発言を許可する。
「フータローは目付きは悪いけどこれは無罪」
なんかまたさりげなく馬鹿にされた気がする...
そんなことを考える剣崎を他所に三玖は続ける。
「フータローは誰よりも私たちのことを考えてくれてる。絶対にフータローはそんなことしない」
「み、三玖...」
俺は三玖に感動してしまった。
そして次の授業を日本史中心にしようと決心したその時二乃が三玖に文句を言う。
「あんたまだそいつの味方でいる気...
こいつは『撮りに来た』って言ったの!
盗撮よ!」
「忘れ物を『取りに来た』だけでしょ。
そして別に私はフータローの味方をしてる訳じゃない。二乃がお門違いなことを言ってるから正しいことを教えてあげているだけ」
二乃は一瞬頭に血が上りそうになるが、三玖の目を見るとあることに気づき、「はーん」と言う。
「裁判長〜。やっぱり三玖は被告への個人的感情で庇ってま〜す」
三玖はドキッとする。確かに二乃が勘違いをしているということは分かっている。だがフータローに味方をする気が無いといえばそれは真っ赤な嘘だ。
「ち、違...」
三玖はなにかブツブツと呟きながら俯いてしまう。そんな三玖に剣崎が声をかける。
「ありがとう、三玖!俺はきっと三玖が信じてくれると思ってたよ〜」
と言うが、三玖は剣崎の顔を見つめたあとまた顔を赤くしてその顔を手で覆ってしまう。
剣崎は内心「あ、あれ?」と思う。そこに二乃からの追撃が入る。
「え〜?その態度は警戒してるってことかな〜?」
それを聞くとすぐさま三玖は先程の口調に戻り、
「してない。二乃の気のせい」
と反論する。そして2人の言い合いが始まる。
「言っとくけど私は裸をみられたんだから!」
「見られて減るようなもんじゃない」
「は〜?あんたはそうでも私は違うの!」
「同じような体でしょ」
その様子を一花は腰に手を当て眺め、五月はあわあわとする。とりあえず五月がすかさず仲裁に入る。
「い、今は、私たちが争ってる場合じゃ...」
「五月は黙ってて」
「てかあんたもその写真消しなさいよ」
と二乃と三玖に凄まれ完全に怯えてしまい
「裁判長〜」とい一花に泣きつく。一花は「よーしよし、頑張ったねー」と五月をあやす。
一花はスマホに映る写真を見ながら二乃に問いかけた。
「まぁどっちの言い分も分からなくはないけど〜、そもそもなんでこんなことになったのかな?」
そう言われた二乃は「うっ」というと返答に困るように目をおよがせる。
仕方あるまい。あまり恩着せがましいことはしたくなかったが本当のことを言うしか無さそうだ。
剣崎が「実は...」そこで写真をもう一度見た五月が割って入った。
「これって...まさかフローリングの上で滑った二乃を支えた。
そういう風に見えなくもありませんが」
「そう、そうなんだよ!ありがとう五月!」
剣崎は五月に笑って礼を言う。
五月は少し頬を赤らめると
「お礼を言われる必要はありませんよ。
あくまで可能性の一つを提示したまでです。」
そして五月は「それに」と付け加える。
「困っている上杉さんを見過ごしてはおけませんでしたから」
と五月は優しく微笑む。
剣崎はこの写真を撮った本人が五月だということはすっかり忘れて、「五月〜、ありがと〜う」とひっきりなしに頭を下げた。
それを見ていた三玖は
「確かに。やっぱりフータローは優しいね」
と微笑み、一花は
「そもそもフータロー君にそんな度胸はないよねー」
と言ったところで、
「ちょ、ちょっと!
何解決した感じになってんの!?
確かに助けて貰ったのは事実だけど...
私、こいつに体を触られてるんですけど!」
と二乃は納得いかない様子だ。そんな二乃を呆れた目で見ながら、三玖は
「二乃、しつこい。それにあなたはフータローに助けてもらったんだからお礼の一つでも言うべき」
と言い放つ。二乃は
「...!!あんたねぇ...」
とイラつきを隠さない。
だが今の三玖の発言はさすがに聞き捨てならない。剣崎は人を助けるのに理由はいらないと思っており、自分が勝手にした行為に礼を強制させようとするのは少し話が違う。
剣崎は少し語調を強めて三玖に注意する。
「待ってくれ、三玖。俺はお礼をされたくて助けたんじゃない。ただ目の前で二乃が怪我をするかもしれなかったから助けたんだ。今の発言は撤回してくれ」
「!ご、ごめんなさいフータロー。私...そんなつもりじゃなくて...」
三玖は申し訳なさそうに剣崎に謝罪する。三玖の顔は目に涙を浮かべている。やってしまった。剣崎はまた自分の不器用さを反省する。そして三玖をどう慰めようか考えている時に一花が声をあげる。
「まぁまぁみんな、1回落ち着こうよ。
それに私たち、昔は仲良し5姉妹だったじゃん」
「...っ」
場の空気が一気に重くなる。とりあえず剣崎は二乃に
「とはいえ、俺の注意不足が招いた事故だ...
本当に...ごめん...」
と謝る。だが二乃は
「昔はって...私は...」
と言い残すと走って部屋を出ていってしまった。
「ま、待ってくれ!」
と叫び、二乃を追おうおする。だが三玖が
「ほっとけばいいよ」
と告げる。剣崎はいくら喧嘩をしていたとはいえ、その言い方は無いんじゃないか。その事を言おうとしたが三玖の悲しそうな顔を見て、とてもそんなことを言う気にはなれなかった。
「仕方ない...今日は帰るか...」
ため息をついて、エレベーターに乗り込む。
そこで剣崎の携帯がプルルルと鳴った。こんな時にアンデッドか。そう思った剣崎だが携帯を開くとそれは妹のらいはからのメールだった。
『上杉らいは
お疲れ様!
はーい、ごはんできてるよー
今日はなんとお兄ちゃんの好きなカレーうどんです!』
剣崎はつい微笑んだ。だがその心の中には
『彼女たちはこれでいいんだろうか』という不安が残っていた。
だが剣崎は昔のことを思い出す。剣崎は人の不幸を見過ごせない。だからこそ人が触れられたくない所にも首をつっこみ、トラブルになってしまうということが多々あった。それも剣崎の純粋すぎる優しさが引き起こしてしまったことである。そのせいで、剣崎は始や虎太郎などと対立してしまうこともあった。
ただ悩んでも仕方ない。剣崎はとりあえず出直すことに決め、エントランスを出ようとして足を止める。
なぜならそこにはジャージを着て、体育座りで蹲り、半べそをかいてる二乃がいた。
一瞬の沈黙のあと、二乃は自動ドアに向かって走り出す。だが自動ドアは既に閉じてしまい、開くことは無かった。
二乃は
「チッ、使えないわね」
と剣崎を睨む。剣崎はそこで二乃が鍵も持たず飛び出したはいいものの、中の3人に開けてもらうのもバツが悪い...と考えているのだろうと考えた。
そんな剣崎の視線に気づいた二乃は
「何見てんのよ。あんたの顔なんてもう見たくもないわ」
と剣崎を拒絶する。
だがそこで剣崎の覚悟は決まった。剣崎は二乃の前にどっかりと胡座をかいて座り込んだ。
「な、何よ」
と二乃は怪訝な顔をする。
「みんなバカばっかりで嫌いよ。そもそもあんたみたいな良くもわからない男を招き入れるなんておかしいわ」
だがそこで剣崎は優しい声で
「二乃は......みんなのことが大好きなんだな」
と微笑む。
「は、はぁっ?!なんで今の会話からそんな流れに...」
「俺さ...」
剣崎が二乃の言葉を遮る。
「いや、俺の友達の話なんだけど、その友達...11歳の時に両親を火事で無くしてさ...」
「...!...」
剣崎はまるで自分のことを他人のように語る。まぁ今の体からするとあながち間違いでもないのだが。
剣崎は続ける。
「そいつ、めちゃくちゃ真っ直ぐだけどめちゃくちゃ不器用で、いっつも周りの人間と衝突して...気づけば周りには誰もいなくなってた」
「......」
「そいつは頑張って打ち解けようとするんだけど、結局自分の性格のせいで、他人の大事なところに勝手に踏み込んで...いつも周りから拒絶されてた」
剣崎は昔を思い出し、懐かしそうに語る。
「でもそんなやつに転機が訪れた。人生で生まれて初めて心を通わせて、本音で語り合うことのできる仲間ができたんだ...」
剣崎は広瀬さんと虎太郎を橘さんを睦月を、そして相川始の姿を脳裏にうかべる。
「当たり前だけど、なんの衝突もなく友達になれたわけじゃない。何度も喧嘩したりしたし、お互いに不貞腐れて口も効かなくなったり、時には傷付け合う時もあった」
「でも、だから...だから本当にかけがえのない仲間に...『家族』と変わらないくらいの仲になれた」
二乃は俺の話を黙って聞いている。
「でも、それは...長く続かなかった。
全員と本当に心を通わせてからまもなく、あることが原因で、そいつは仲間たちの目の前を去った」
剣崎はあの日のことを...親友のために自身が『人間』であることをやめた日をはっきりと覚えている。
300年以上の年月が経とうと、それだけは忘れる事がなかった。
そこで剣崎は二乃の目を見て言う。
「確かに喧嘩したり、気に食わないことがあったり、同じ屋根の下で暮らしているなら、いろんな衝突があると思う。
でも、それでも...絶対仲直りをすることだけは忘れないでくれ。
そいつみたいにいつ急に大切な人が目の前からいなくなるか分からない。もしそんな時が訪れるとしたら...その時きっと後悔することになる」
「いくら二乃が口に出さなかったり、否定したとしても...俺にはわかる。二乃があの姉妹のことを誰よりも大好きで...誰よりも愛してるって...」
剣崎には分かっていた。二乃は誰よりもあの姉妹を愛しているからこそ、自分のような異分子が気に入らないことを。二乃が他の姉妹に向ける愛情は...あの時の自分がかけがえのない仲間たちに向けていたものと、遜色ない。
「だから、俺はそんな悲しい思いをお前にして欲しくない。
俺はお前に、いや...君たち5つ子の姉妹に...いつまでも笑顔でいて欲しいと、心から願ってる。」
そこまで言い切ると、剣崎は静かに笑う。
少しの沈黙が流れる。
その沈黙を破り二乃は
「あんた、友達のこととか言ってたけど、随分詳しく知ってるのね。
しかもその友達。なんだかあんたにそっくりね。」
と剣崎に言う。剣崎はギョッとして、「そ、そうかな?ま、まぁ俺もそれなりに仲良かったから」と取り繕う。
二乃は下を向いたまま
「見当違いも甚だしいわ。人のことわかった気になっちゃって。そんなのありえないわ。
キモ」
と剣崎を罵倒する。だが剣崎は何も言い返さない。優しく二乃を見守る。
だがそこで二乃は何かを決めたかのように立ち上がる。
「やっぱ決めた。私はあんたを認めない。たとえそれであの子たちに嫌われようとも」
ダメだったか。折角の説得も無駄になってしまったと剣崎が諦めたそのとき、目の前の自動ドアが開く。そこには三玖がいた。
三玖は
「二乃、いつまでそこにいるの。早くおいで」
と二乃に言う。
そこで剣崎に存在に気づき
「あ、フータローもいたんだ。ちょうど良かった、明日なんだけど」
と言いかけたところで二乃が割り込む。
「三玖!帰るわよ!」
「でもまだ話が」
「いいから!」
そこまでいうと二乃は黙り込む。そして目を閉じ自身の頬を両手でパンパンと叩くと少し気恥しそうに
「さ、さっきは......ご、ごめん」
とたどたどしく謝罪した。
三玖は一瞬驚いたような表情をしながらも、
「私も...言い過ぎちゃって、ごめんね」
と二乃に謝罪の言葉を口にした。
そして二乃は三玖の手を取ると、
「さぁ、さっさと行くわよ。こんなとこに座ってたらお尻が痛くなっちゃった」
といつもの調子で言う。三玖は「ちょっ」と言いつつ、手を引かれていく。
だがそこで剣崎を目にした三玖は全てを察したのか
『ありがとう、フータロー』
と剣崎だけに見えるように声を出さず口だけを動かした。
その様子を見届けた剣崎は安心したような顔つきになると、ぐぅぅぅと鳴った腹をおさえ、夕飯のカレーうどんを楽しみにしながら家路についた。
なるべく1日1本以上のペースで更新できるよう努力はしますが、都合上遅くなる時もあります。すみません。
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