異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga-   作:神鳥ガルーダ

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活動報告に書いた通り、二つの「異世界に転生した双子座」統合した作品です。


プロローグ
異世界転生


 地上暦1990年 ギリシア・聖域(サンクチュアリ)、アテナ神殿――――

 

 黄金の矢を受け倒れた女神アテナの化身、城戸沙織の命を救う為、青銅聖闘士(ブロンズセイント)天馬星座(ペガサス)】星矢は邪悪を祓う力を持つ【アテナの楯】を手にする為、アテナ神像を目指していた。

 そんな星矢を追うのは、アテナに代わり地上支配を目論む教皇……否、教皇の弟アーレスと真の教皇シオンを暗殺して二人に成りすまし、アテナ抹殺を企てた黄金聖闘士(ゴールドセイント)双子座(ジェミニ)】のサガ。

 

「死ね星矢―――――――っ」

 

「楯よ女神を救え――――――っ」

 

 火時計最後の魚座(ピスケス)の火が消えると同時に沙織が倒れている十二宮の入り口に向けて楯を翳す星矢。それは、襲い来るサガと同じ方角だった。

 【アテナの楯】から発せられた聖なる光がサガに浴びせられ、更に倒れている沙織の傍らの黄金の杖がその光を受け、反射して沙織を照らした。

 沙織の胸に刺さった黄金の矢が跡形もなく消え去り、沙織は目を覚ました。

 それは光の速さをも超えた、まさしく一瞬の出来事だった。

 【アテナの楯】の光を浴びたサガは髪の色を紫から金へと変化させながらその場に倒れた。

 サガの体から断末魔の叫びを上げるオーラが立ち上り消えていった。

 星矢が倒れたサガの顔を覗き込むとサガの表情が元の優しく清らかな顔に戻っていた。

 【アテナの楯】の光を浴びたことによりサガに巣食う邪悪が消滅したのだ。

 星矢は安堵の微笑みを浮かべながらその場で力尽きた。

 

 

 

 

 

 復活した城戸沙織は、聖域に残りしすべての聖闘士から真のアテナであると認められ忠誠の誓いを受けた。

 しかし今、沙織が気に掛けるのは彼女の命を救う為、命を賭けて黄金聖闘士たちが守護する十二宮を突破し、力尽きた5人の青銅聖闘士たちだった。

 星矢たちの下に向かう為、十二宮を駆け上がる沙織は三番目の双児宮で跪くサガと邂逅した。

 サガは自らの罪を沙織に告白し、自害する。

 こんな事で自分の罪が償えるわけではない。

 サガは本当は星矢たちの様に、アテナの聖闘士としての責務を全うしたかった。

 その思いを沙織に告げ、彼女がそれを受け入れるとサガは感謝の言葉と共にその胸に抱かれながら息絶えた。

 相反する2つの顔を持つ二重人格者であったサガこそが、今回の戦いにおいて最も苦しんだのかもしれない。

 善と悪の狭間で……。

 

 ★☆★

 

 それから数週間後。

 

 沙織に【アテナの聖衣(クロス)】の存在を告げる為、永遠の命を与える代わりにアテナ抹殺を仄めかす冥王ハーデスを欺いて【冥闘士(スペクター)】として仮初の生を受け蘇り、かつて彼自身が暗殺した真の教皇【牡羊座(アリエス)】のシオンに率いられ、【山羊座(カプリコーン)】のシュラと【水瓶座(アクエリアス)】のカミュと共に十二宮を駆け上がるサガは双児宮で、13年前自身に悪を植え付けた双子の弟カノンと再会する。

 かつてと違い、改心しアテナに忠誠を誓い自分の代わりに【双子座】の黄金聖闘士として闘う弟の姿に感涙し、彼のこれからの行動を期待した。

 そして、【乙女座(バルゴ)】のシャカをアテナに禁じられた影の闘法【アテナ・エクスクラメーション】で葬り、その事で怒りに燃える【牡羊座】のムウ、【獅子座(レオ)】のアイオリア、【蠍座(スコーピオン)】のミロと【(アテナ)(エクスクラメーション)】を打ち合うも【龍星座(ドラゴン)】の紫龍の介入により打ち負け、沙織の下に突き出された。

 沙織はサガに、かつてサガが彼女を暗殺する為に用いた【黄金の短剣】を彼に握らせると、自らの喉を突かせた。

 しかしそれは自害ではなく、生きたまま冥界に向かい冥王(ハーデス)を討つ為の行動だった。

 ハーデス城に帰還したサガたちは今度こそ自分達の意思によって冥王の首級を取る為、冥王に仕えるパンドラに迫るも、時間切れにより仮初の命が尽き、駆けつけた星矢たちにアテナと地上の愛と正義を護る意志を託すと、灰となって消えた。

 

 

 

 

 

「いい加減悟ったらどうだラダマンティス。もはや、お前たち冥界側の敗北は必至だということを!」

 

 カノンはそう言うと、纏っていた【双子座(ジェミニ)】の黄金聖衣(ゴールドクロス)を脱いだ。

 

「何!?聖衣を脱ぎ捨てただと?貴様……何のつもりだ?」

 

「もう私には不要のモノ。兄に返すのよ」

 

 聖衣はオブジェ形態になった。

 

「さあ行け【双子座】!他の黄金聖衣の下へと!!」

 

 カノンの声と共に、何処かへ飛び去っていく。

 

(さらばだ【双子座】よ。後は頼むぞサガ!)

 

 カノンは飛び去っていく【双子座】を見送り、ラダマンティスと対峙した。

 

「さあ、もはや私の役目は終わった。今度こそ心行くまで相手をしてやるぞ、ラダマンティス!」

 

「聖衣を脱ぎ捨て、裸同然の体で俺と戦うだと!」

 

 激昂したラダマンティスは、そのままカノンに攻撃した。

 聖衣を纏っていないカノンは、その攻撃を防ぐことはできず、深手を負ってしまった。

 

「聖衣も失く、半死半生のお前がこの俺に勝てるとでも思っているのか!とどめだカノン!グレイテスト……」

 

 ラダマンティスが『グレイテスト・コーション』を放とうとした一瞬の隙を突き、後ろに周り込んだカノンは、そのままラダマンティスを羽交い絞めにし、上昇して行った。

 

「勝てるとは思っていない。道連れになってもらうぞラダマンティス。死への道連れにな!!」

 

「ば……馬鹿な!?お前ほどの男が相打ちを狙うなど……しょ……正気かぁ?」

 

 カノンの意図に気付いたラダマンティスは、動揺していた。

 

「私の役目は終わったと言った筈だ!今、ジュデッカには、最強の黄金の12人が結集した」

 

「何ィ!?」

 

「これで勝利は完璧になる。……このカノン、もはや過去の悪事も全て清算して何の憂いもない。さあ、一緒に【G(ギャラクシアン)EX(エクスプロージョン)】を浴びてもらうぞ、ラダマンティス!!」

 

「や……止めろカノン!!」

 

 銀河を粉砕するといわれる力がカノンもろともラダマンティスを包み込む。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ラダマンティスの【翼竜(ワイバーン)】の冥衣(サープリス)は粉々に砕け、そのまま大地に墜落していった。

 冥界三巨頭の一人、天猛星【ワイバーン】のラダマンティスの最後である。

 

女神(アテナ)……兄さん……」

 

 罪深い自分を許し、贖罪の機会を与えてくれたアテナへの感謝と、後事を兄、サガに託して……カノンの体は冥界から消滅した。

 

 

 

 

 

 

 冥界の最下層、第八(プリズン)四の園ジュデッカ―――

 エリシオンに向かった沙織の下に若き青銅聖闘士(ブロンズセイント)達を向かわせる為に、サガたちは三度(みたび)復活した。

 その肉体は滅び、魂だけとなっても、アテナの為に、地上の愛と正義の為に闘う為に……。

 

「今一度、今一度言わせてくれ!」

「若き青銅(ブロンズ)の、少年達よ!」

「地上の愛と」

「正義の為に」

「我らは逝く」

「「命と魂の全てを注ぎ込んで」」

「「「「「今こそ燃えろ!黄金の小宇宙(コスモ)よ!」」」」」

「「「「「「「「「「「「この暗黒の世界に一条の光明を!!」」」」」」」」」」」」

 

 【射手座(サジタリアス)】のアイオロスの射る黄金の一矢に、黄金聖闘士12人の全ての小宇宙が注ぎ込まれる。

 【嘆きの壁】を破壊する為には太陽の光が必要である。

 12人全員が限界まで小宇宙を高める事によって神話の時代から黄金聖衣(ゴールドクロス)に蓄積された太陽に匹敵するエネルギーを発生させたのだ。

 アイオロスが射る一矢は、神以外通ることが適わず、破壊不可能と言われた【嘆きの壁】に大穴を空けた。

 神でもない……たった12人の力によって。

 壁が破壊されたと同時に凄まじいエネルギーが黄金聖闘士たちを包み込み、彼らの体を消滅させ、その場に残ったのは12体の黄金聖衣(ゴールドクロス)のみだった。

 

 

 

 

 

 神話の時代から続く冥王との聖戦に終止符が打たれた。

 アテナの黄金の杖がハーデスの体を貫き、ハーデスの肉体は滅びた。

 それと同時に冥界が崩壊していった。

 そして、コキュートスで封じられていた聖闘士達の魂が解放され、彼らにもとうとう安らかな眠りに付けるときが来た。

 しかし、【双子座】のサガとその弟カノンの魂をはじめ、数多くの聖闘士たちの魂が消失していた。

 

 ★☆★

 

 極めて近く、限りなく遠い世界―――並行世界(パラレルワールド)

 冥界……聖書の神話体系の悪魔と堕天使たちの住まう世界―――

 その片隅において、1人の少年が必死に逃げていた。

 彼の名はヴァーリ・ルシファー。

 悪魔と人間の混血ハーフで、悪魔達を統べる四大魔王の1人、ルシファーの曾孫に当たる少年である。

 彼は、二天龍の片割れ【白い龍(バニシング・ドラゴン)】アルビオンを宿す神器(セイクリッド・ギア)白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】を宿しており、魔王ルシファーの血族にして白龍皇である息子の力に怯えた実父が祖父に唆された事で虐待を受け、遂に耐えかね逃げ出したのだ。

 ヴァーリが成長し、その神器の力を用いて復讐される事を恐れた父親は、必死に追撃した。

 いかにその潜在能力が高くとも、まだ幼いヴァーリでは、魔王ルシファーの孫で最上級悪魔である父には今はまだ敵わない。

 とうとう追い詰められたヴァーリは、実の父親によって徹底的に甚振られ、とうとうその若い命を落とす事となった。

 まだ自身とコンタクトが取れずとも、成長すれば歴代最強の【白龍皇】になれる程の宿主を無残に殺されたアルビオンは、次の主の下に転生しようとする中で怒り狂っていた。

 

『許さぬぞ旧ルシファーの血族め。天龍の逆鱗に触れた事をいずれ後悔させてやるぞ!』

 

 ★☆★

 

 日本、駒王町―――

 不妊症による2度の流産から8年後、兵藤夫妻は遂に待望の我が子を得た。

 

「……………………はじめまして、お、お父さんだぞ…………ありがとうな、生まれてきてくれて……本当に……ありがとうな……」

 

「……名前は決まっているの?」

 

「……ああ、「一誠」だ。一番、誠実に生きてほしいって願いを込めた」

 

 在り来たりな名前だが、いい響きなので気に入った妻は、生まれたばかりの我が子に付けられた名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

『…これは……私は一体……どういう事なんだ…』

 

 驚く事にこの生まれたばかりの赤子、既に自我が芽生えていた。

 それは前世の記憶、前世の自我……しかし…。

 

『…今の状況も疑問だが、私自身の記憶も妙だ…。私は間違いなく【双子座(ジェミニ)】のサガ……しかし、なぜ…(カノン)の記憶もあるのだ?』

 

 彼は並行世界において、兵藤一誠という名の赤子に転生した。

 前世である【双子座】のサガの……そして何故か双子の弟、カノンの記憶と共に……。

 

 

 

 

 

 

 

 




必読!設定変更


再リメイクに伴い、設定の変更を説明させて頂きます。
今までは原作の聖闘士星矢を基準にしていましたが、アニメ版の方をメインにして、ところどころ原作部分を組み込むという、ちょっと複雑な設定にさせて頂きます。

例えば、星矢たちは腹違いの兄弟ではなく、血を分けた兄弟は一輝と瞬のみ。
氷河の師匠はカミュではなく水晶(クリスタル)聖闘士。
瞬の師匠の名はダイダロスではなくアルビオレ。
教皇シオンにはアーレスという名の弟がいる。

と、いった具合にです。

そして、組み込む原作部分。

黄金聖衣争奪編のラスト、サガの自害のシーン。
 アニメでは沙織が復活しても、サガは悪のままで沙織と対峙していましたが、原作通り、アテナの楯の光を受けて、悪の心がサガから離れ、沙織の前で胸を突き、自害する。

海皇ポセイドン編のラスト
 アニメではポセイドンの三又の矛からアテナをかばうのは星矢でしたが、原作通りカノンが庇い、涙ながらに己の罪を詫びる。

冥王ハーデス十二宮編、冥界突入まで。
 アニメだと星矢はムウの【スターライト・エクスティンクション】で飛ばされても、紫龍と共に再び参戦し、氷河と瞬も早い時期に合流しましたが、原作通り、星矢はスターヒルに飛ばされ、沙織が黄金の短剣で自分の喉を刺した後に紫龍、氷河、瞬と合流…白銀聖闘士(シルバーセイント)たちも復活していない。
 そしてアニメでは、ハーデス城でラダマンティスと戦い星矢は彼と共に冥界の穴に突入するが、原作通りバレンタインに抱き着き突入する。

 これだけは理解してください。

 あと、本編とはあまり関係ありませんが、アニメの設定は放映当時の設定が基本です。
 「冥王ハーデス十二宮編」からの後付け設定は組み込んでません。

 例えば、サガがシオンを暗殺したのは星矢が日本に帰国した後になっていますが、これはちょっとおかしいですので…。
 シオンほどの男が弟がサガと入れ替わっているのに13年も気づかないのと、次期教皇に指名したアイオロスの突然反乱を素直に信じるのはおかしい。
 なので、サガがアーレスを殺害し成り代わり、隙をついてシオンも暗殺、その後一人二役を演じていた。
 これが放映当時の設定だったはずなので…。

 あと、OVAのブックレットに氷河は最初カミュに師事し、その後水晶聖闘士に預けられたとか、書いてあった記憶があるんですが、これも妙なので、放映当時の設定の通り、氷河がカミュと初めて会ったのは天秤宮……。

と、いった具合です。
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