異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga- 作:神鳥ガルーダ
私の名は、祭団吉。
前世において、
今現在、超常の世界の水面下で何かが起ころうとしているのを感じ取った我が前世の兄シオンこと、天国信家の命を受け、我ら同様この世界に転生してきた聖闘士たちの中から、騒動に巻き込まれるであろう、
「…アーレス。お前は不服はないのか?」
「…不服…とは?」
「前世において、お前はサガに暗殺された…そのサガに協力する事、本当に憂いが無いのか?」
そう、私の前世の死因は兄同様サガによる暗殺であった。
★☆★
【サガの乱より13年前、地上暦1977年】
私は兄に代わり、教皇と教皇補佐以外立ち入り禁止のスターヒルにて、星見を行っていた。
もうすぐ前聖戦において女神による百八の魔星の封印が解け、再び聖戦が起こる事が読み取れていた。
そんな折、【
「サガよ。ここは禁忌の場所。お前が立ち入ってよい場所ではない。そうそうに立ち去るがよい」
「……本日、教皇に呼ばれ次期教皇はアイオロスだと告げられました」
「…そうか」
役目を終える兄は教皇の座を退き、【双子座】のサガか【
私はサガを推薦したが、兄が指名したのはサガではなくアイオロスだった。
「確かにアイオロスにも教皇の資格は十二分にあります。仁・智・勇を兼ね備えたアイオロスはまさに教皇に相応しいと私も思います……ですが!」
「………」
「私も仁・智・勇はアイオロスに負けるとは思えません。むしろ私の方が優れていると確信しております。それはアーレス様……師である貴方様も認めて下さっていたではないですか!!」
そう…実はサガ、そしてその弟カノンに聖闘士の指導を行ったのは私である。
私も
最も、二人とも最強の黄金聖闘士たる【双子座】になる星の下に生まれた存在ゆえに、あっさりと実力は抜かれてしまったが…。
「師よ!」
「よかろう。そこまで言うなら話してやろう…」
兄の杞憂に過ぎないと私は思っているが、兄はサガの中に不気味な何かを感じている。
サガは心清らかでまるで神の化身とまで讃えられ、
故に私だけでなく皆がサガこそが次期教皇に相応しいと思っていた。
対立候補であるアイオロスさえも、サガの方が相応しいと常々言っていたからな。
しかし、兄が言うにはサガの奥底には不審な何かがある。
その不安が常に感じられたらしい。
兄も自分の杞憂であれば良いと思っていたが、疑念がある以上、サガを指名する訳にはいかないと判断したのだ。
確かにアイオロスならば、見事教皇の務めを果たしてくれるだろう。
ならば、疑惑のあるサガに任せるよりも確実だろう。
「…う…ううっ…はあっはあっ…」
私が事情を説明している途中から、サガの様子が変わっていた。
蹲って呻き声をあげている。
「どうしたサガ?具合でも悪いのか」
「…教皇は見抜いていたのか。私の秘密を…老いたりとはいえ流石は前聖戦の生き残りよ…」
「何っ!?サガの髪の色が……」
青いサガの髪が灰色に変わっていく。
「死ねアーレス!!」
た…立ち……上がった…サガの……拳が、私……の左…胸を打…ち抜い……た。
「…あ…兄…う…えの……疑念…は…た…だしかった…。お前は……か…神で…は…な…い…」
意識が……朦朧と…してくる。
「じ…邪悪……の化……身……」
★☆★
「…アーレス?」
前世を思い出していた私に兄上が声を掛けてきた。
「いや。私にサガに対する恨みはない…とは言いませんが、兄上同様、私は許している…つもりです」
あの時、死の淵での私の勝手な想像が生み出した幻聴だったのかも知れぬが、死にゆく私の朦朧とする意識に確かに聞こえたのだ。
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アーレス様……師よ!私は何という事を…。
許してくれとは言いません。
こんな私の身も魂も地獄に堕ちてしまえ!!
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と……。
この世界に生まれ変わり、サガと再会した時、あの男は涙を流しながら、私の前で五体投地をした。
「アーレス様…言い訳はしません。私はあなたに許されざる事をしました。
だが、私のサガに対する感情は、怒りよりも哀しみだった。
確かに私はサガに命を奪われた。
それでも、私はサガ…そしてカノンが可愛かった。
私はサガの師でありながら、サガが魂の相克に苦しんでいた事に気付かなった。
兄上も後悔していたが、すぐに【アテナの楯】の光でサガの中の悪を浄化してやれば、サガが過ちを犯し、苦しませる事もなかったのだ。
サガの二面性には気付かなったが、カノンの悪事は優秀な兄に対してただ拗ねていただけだったからな。
カノンの能力は決して低くない。
あれも私などあっさりと超える実力を持っていたからな。
それどころか他の黄金聖闘士と比べても勝りこそすれ決して劣ってはいない。
しかし、僅かの差ではあるが、すべてにおいてサガの方が上回っている。
それほど能力に差がないにも関わらず、どうしても勝てない兄の存在に捻くれてしまったのだ。
私の死後、カノンのやらかした事を考えると、彼奴に対する対処を誤ったと自覚せざる得ない。
結局、私は教皇補佐としてはともかく、あの二人の師としては失格だったのだろうと思う。
「サガに対し含むところがないのであれば、これからも奴への協力を頼む」
「はい……ところで奴ら以外の
「…今だ不明だ」
サガと兄上以外の黄金聖闘士の転生者も見つかってはいる。
【
【
この2名である。
しかし、彼らは兄上の下には来ず、今の生活を大切にしていた。
最も、サガとはかなり親しい付き合いをしている。
無論、彼らも聖闘士の転生者としての自覚があるので、招集要請には従っているが。
しかし、他の黄金聖闘士たちはまた見つかってない。
私たちと違い、兄上たち黄金聖闘士の転生者の共通点は、赤子の頃から前世の記憶を有しているという点である。
私を含め、白銀聖闘士以下の聖闘士たちは、兄上たちと出会うか、生命の危機に瀕した時に記憶を取り戻す。
特に兄上と出会うと、転生者の前世の記憶を読み取る能力によって誰であるかすぐに解ってしまうのだ。
「他の連中も私たち同様、前世の記憶を最初から持っているはず…それでもまだ見つからないという事は…」
兄上は親友である【
未だ見つからないのは、ひょっとしたらまだ生まれていない可能性もある。
何しろ前世では弟である私が、今世では兄上より10歳以上年上なのだからな。
「…早くあの2人と会いたいものだ」
「私としては、他の黄金聖闘士よりもサガたち3人の【病気】が気がかりなんですがね…」
基本的にはあの3人は問題ない。
特にデスマスクの成長には、目を見張るモノがある。
敵を倒すに際し、罪のない人々―――女、子供であろうと―――を犠牲にしてもがまったく気にもしない冷酷非情だった彼奴が、今では「この世に犠牲にして良い命などない」などと言うようになった。
サガから聞いた話では、先のハーデスとの聖戦で、冥界の【嘆きの壁】を破壊した後、北欧アスガルドの神オーディーンにより一時的に蘇り、邪神ロキと戦ったそうだが、そこでデスマスクはとある女性との交流で、考えを変えたらしい。
それはいいのだが……。
「確かにな。3人とも前世では考えられなかった病気に冒されているからな…」
兄上も顔を引きつらせている。
まあ、病気と表現はしたが、正確には病気ではないし……我らに直接迷惑をかけているわけではないのだが……。
何故、ああなった…と私も兄上も頭を抱えている。
「まあ、奴らも見境がないわけではないからな。まあ、その事は考えないようにしよう」
人、それを現実逃避という。
まあ、奴らの病気を気にしていたら、こっちが本当の病気に掛かってしまいかねないからな。
実害はあまりない(と思いたい)から、気にしないでおこう…。
とりあえず、祭壇座のアーレスをサガとカノンの師匠という設定にしました。
デスマスクとアフロディーテの転生者が誰なのかはもうしばらくお待ちください。
そして、サガを含めた3人の病気についても…。
次回は、曹操の話になります。
シオンに代わる曹操に転生したのは誰なのか……お楽しみに。